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書籍「朽ちていった命」読了

「朽ちていった命」-被曝治療83日間の記録- (新潮文庫)
1999年9月30日に茨城県東海村核燃料加工施設JCO東海事業所で起きた臨界事故で被曝した大内久さんの被爆してから亡くなるまでの壮絶な83日間の闘いの記録である.医療スタッフの24時間にわたる献身的な治療やこころからの励ましに感動した.

医療を統括した前川医師(現在,東大名誉教授)のメッセージ「原子力防災の施策のなかで,人命軽視がはなはだしい.現場の人間として,いらだちを感じている.責任ある立場の方々の猛省を促したい」という言葉が印象に残る.
ただ,この同じ前川医師が3.11に起きた東電原発事故後に語ったメッセージ
「原子力発電を続けるしかあるまい」
この2つのメッセージの間の大きなギャップが理解できない.

大内さんの壮絶な死,大切な家族を亡くされたご家族の痛みを決して風化させてはいけないと強く感じた.
NHKスペシャル「被曝治療83日間の記録」

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本を読むということ

周りを見渡すと本を読まない大学生が確実に増えている。活字?に触れる機会と言えぱ、携帯情報端末である。欲しい情報に比較的簡単にアクセスできてしまう。
いつだったか、見ず知らずの大学生から丁寧な感謝のメールをいただいた。「見つけました。HPの情報、助かります。これでレポートが書けます」と。腹がたつ以前に、原稿が書けなくて苦しかった日々のことが頭をよぎった。それ以来,HPに情報を開示することに慎重になっている.

猪瀬直樹さんの「言葉の力」(中公新書)に印象に残るメッセージがある。
(以下、引用)『言葉の力は、引用、検索する力と言い換えることができよう。そもそも自分のなかに言葉をしまっていなければ、検索しようがない。(中略)本は知的な筋肉になるのだから、若いうちから読んでおいたほうがよい。(中略)思い悩んで読んだりするときにいちばん筋肉がつくのである』

最近の自分、そして若い頃の自分と重ね合わせながら反省するとともに大いに共感した。

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こころの対話

朝の通勤途中,混み合うスクールバスを避けて,路線バスに向かう.
バス停で,明るい話し声が聞こえてくる.どうやらこの二人,ここで初めて出会い,打ち解け合ったようだ.
麦わら帽をかぶった少女は5歳(聞こえてくる会話の中でわかった),少女のお祖父さんに連れられて,プールに向かう途中だ.
リュックを背負った女性はダウン症をもっている.バスで10分間ほどの職場に向かうようだ.
少女がかわいくてたまらなく,それが女性の笑顔から伝わってくる.
二人の楽しい会話は,バスがやってくるまで,そしてバスの中へと続く.

「手にもっているのナニ?」と少女が尋ねる.
女性は「てちょう」.....「しょうがいしゃ」,
すると,少女のお祖父さんが「ノートだよ」と少女にやさしく説明する.
すると,女性は「いや,ちがう」...「しょうがいしゃ」...「てちょう」とゆっくり満面の笑みを浮かべながら少女に語りかける.
その後も,少女の遠慮の無い質問攻めにも,女性はひとつひとつやさしくこたえ,そのやりとりにまわりにいた乗客も思わず笑いがこぼれ,やさしい幸せな時間が流れた.

ここでは,大学での学びの10倍も100倍も,いやそれ以上のまなびがあるように思えた.

少女がこれからも太陽のように明るく育ってほしいとこころから願った.
そして,この女性のやさしい笑顔が頭に焼きついて離れない.

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