障害者福祉についての新たな法制に関する意見書 国は、2010年1月7日、障害者自立支援法違憲訴訟原告団、 弁護団との間で「基本合意」を交わし、 「2013年8月までに障害者自立支援法を廃止し新たな 総合福祉法を制を実施する」むねの確約をしました。 この合意は、同年4月21日までに全国14個所の地方裁判所で成立した 訴訟上の和解においても、重ねて確認されています。 この基本合意で約束した新たな総合福祉法制定のため、 内閣総理大臣を本部長とする障害者制度改革推進本部が設置され、 障害者制度改革推進会議総合福祉部会で精力的な議論がつくされ、 2011年8月30日、同総合福祉部会は 「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言である” 新法の制定を目指して”」をまとめました。 このことから、今通常国会に上程予定の新法の制定を全国の障害のある当事者は、 心待ちにしています。 ところが、本年1月24日付「内閣提言予定法律案等件名・要旨調」の中では、 「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(仮称)」であり、 「障害者自立支援法廃止」や、「新法の上程」でもなく、 2月8日の総合福祉部会において、一部改正に過ぎず、 「骨格提言」とは全く異なるものであることが明らかになっています。 これは、法を廃止し障害者の意見を踏まえた新法をつくるという 基本合意の根幹に反するものであり、明らかに約束違反であります。 国が訴訟上の和解で確約した基本合意を反故にする先例を見過ごすならば、 今後あらゆる政策分野の集団訴訟における基本合意が軽視されることになり、 和解による解決を妨げ、ひいては国民の司法への信頼をも失うことにもなりかねず、 その悪影響は計りしれません。 基本合意は、政権や政治情勢の変動如何に関わらず 国家として遵守すべき法的文書であり、 訴訟上の和解の中心をなすものであることを国は改めて銘記すべきです。 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。 平成24年6月22日 福岡県田川郡福智町議会 議長 属 公弘 内閣総理大臣 野田 佳彦 殿