障害者の権利を保障する総合福祉法の制定を求める意見書 国は、平成18年に障害のある人も障害のない人とともに、 地域社会で生活できる仕組みを目指した障害者自立支援法を制定したが、 法の施行直後から、新たに導入された応益負担制度を初め、さまざまな問題点が指摘されてきた。 また、平成22年1月に障害者自立支援法違憲訴訟の原告団との間で、 新たな総合的な福祉法制度を実施するとの基本合意を交わしている。 一方、国連では、障害者の権利に関する条約が採択され、既に100ヵ国以上が批准を終えているが、 我が国は国内法が未整備のため、いまだ批准できていない。 これらの問題解決に向けて、国においては障害者に係る制度の集中的な改革を目指し、 障害者施策の推進に関し意見をまとめる障がい者制度改革推進会議を設置し、昨年8月に 同推進会議のもとに設けられた総合福祉部会において、 障害者総合福祉法の骨格提言に関する総合福祉部会の提言を取りまとめたところである。 提言では、障害者権利条約と障害者自立支援法違憲訴訟の原告団との間で結ばれた 基本合意を基礎とし、障害のない市民と公平、谷間や空白の解消、 格差の是正など6つの目標を新法に求めるとともに、支援の対象となる障害者の範囲や利用者負担の考え方についても示されている。 この提言は、障害者本人を初め、障害者にかかわるさまざまな立場の方々の思いを取りまとめたものであり、 障害の有無にかかわらず互いに個人の権利を尊重し合いながらともに生きる社会の実現につながるものである。 よって、国におかれては、障害者総合福祉法(仮称)の早期制定を目指すとともに、 制定に当たっては、下記の事項を実施するよう強く要請する。 記 1 障がい者制度改革推進会議及び総合福祉部会が取りまとめた意見・提言を尊重し、 反映させること。 2 障害者の自立した地域生活が可能となる質的・量的に充実した障害者福祉施策の提供体制を確立すること。 3 制度を円滑に進めるための地方自治体の財源を十分確保すること。 ここに、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成24年3月23日 金沢市議会