障害者に係る新たな法制度の確立に関する意見書 障害者自立支援法は、障害のある人が地域で安心して暮らせる社会の実現を目指して、 平成18年度から施行されている。 しかし、障害者自立支援法の施行直後から、サービス利用の抑制や施設等における 報酬が減少するなどの問題が指摘されたため、国は暫定措置として 特別対策や緊急措置を講じてきたが、今なお、運用上の問題点や課題が指摘されており、 厚生労働省と障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団との間で、 平成25年8月までに障害者自立支援法を廃止し、新たな福祉法制を実施するという合意がなされた。 こうした中、政府は平成22年6月には障害者総合福祉法(仮称)の制定を閣議決定し、 昨年8月には障がい者制度改革推進会議総合福祉部会において 「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(骨格提言)がまとめられた。 しかし、障害者自立支援法にかかわる障害者総合福祉法案は、 骨格提言とはほど遠い内容であり、訴訟上の和解において 元原告と国が交わした合意を国が無視するものと指摘せざるを得ず、 今後、骨格提言の趣旨が反映されるよう制度改革を継続しなければならない。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、障害者に係る新たな法制度の確立に当たっては、 次の事項を実現するよう強く要望する。 1 障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が取りまとめた骨格提言を最大限尊重し、 法制度に反映させること。 2 障害者の権利に関する条約の基本精神を踏まえ、障害当事者を参画させること。 3 新たな法制度の施行に当たっては、法制度を円滑に進めるための 地方自治体の財源確保について十分に配慮すること。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成24年3月19日 名古屋市会