<スライド1> 優生保護法裁判の勝利と早期解決に向けて 2021年12月7日 全国優生保護法被害弁護団 共同代表 新里 宏二 <スライド2> ・2018.1.30仙台地裁に提訴・仙台地裁前 ・同年6月13日第2回口頭弁論期日、中島裁判長、  「憲法判断を回避する予定はない。」 (写真 旧優生保護法による強制不妊手術     国は謝罪と補償を! のプラカードを持つ新里弁護士ら) <スライド3> 旧優生保護法被害・国家賠償法の提訴 ・2018年1月30日、15歳の時に旧優生保護法による強制不妊手術を受けけた宮城県内在住の60代の女性(佐藤さん)が、国家賠償法1条1項に基づき、国に対して損害賠償を求める訴えを仙台地方裁判所に提起(一次提訴)。 ・この訴訟は、旧優生保護法による不妊手術は憲法13条で保障された人格権、子どもを生み育てるか否かとの自己決定権を奪い、1996年に旧優生保護法が改正され優生手術が廃止されたにもかかわらず、その後も何らの被害回復の措置もとられていないことが、国(行政・立法)の不作為であって違法であることを理由とする。 <スライド4> 2019年5月28日仙台地裁請求棄却 「承服できないのは、地裁が旧法の違憲性を厳しく指摘しながら賠償は認めなかったことだ。」(朝日新聞,社説) 「判決は画期的であり、その意味は極めて重い。」 「除斥期間を過ぎても「特段の理由」で訴えが認められた判決も過去にはある。旧優生保護法を違憲としながら原告の訴えを認めない判決には疑問が残る。」(毎日新聞,社説) (写真 不当判決のプラカードを持つ) <スライド5> 2019.5.29 朝日新聞 新聞記事画像:「強制不妊に違憲判決 仙台地裁 国の賠償は認めず 請求権20年で消滅」 <スライド6> 2019.5.29 朝日新聞 新聞記事画像:「強制不妊『20年の壁』 違憲『8合目までいったのに』 賠償請求権 例外認めず」 <スライド7> 旧優生保護法 4件目「違憲」 件目「違憲」 神戸地裁、原告側の請求は棄却 毎日新聞 2021/8/3 14:15 神戸地裁前で「不当判決」などと書かれた紙を掲げる弁護団=神戸市中央区で2021年8月3日午後2時15分、猪飼健史撮影 旧優生保護法(1948〜96年)下で不妊・中絶手術を強いられたとして、兵庫県内の男女5人が国に計5500万円の賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁(小池明善裁判長)は3日、旧法を違憲と判断した。長期間、差別的条項を廃止しなかった国会の不作為を違法と指摘。一方で、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する民法の「除斥期間」を適用し、原告側の請求を棄却した。 全国9地裁・支部で起こされた同種訴訟のうち6件目の判決で、違憲判断は仙台、大阪、札幌に続き4件目。国会の不作為を違法とする司法判断は初めて。原告側は控訴する方針。 <スライド8> 追加提訴・9地裁25名が提訴 ・2018年5月17日、札幌(小島さん)、仙台(飯塚さん)及び東京在住の70代(北さん)の男女3名が2次提訴。 ・同月27日全国優生保護法被害弁護団が結成。本職及び西村武彦弁護士が同弁護団の共同代表。 ・同年6月28日北海道のご夫婦(夫80代、妻70代)及び熊本の73代男性渡数美さん(違法な睾丸摘出手術)が3次提訴。北海道の人工妊娠中絶及び不妊手術を受けさせられた妻とその夫も家族形成権の侵害として訴え。 ・9地裁(札幌、仙台、東京、静岡本庁+支部、大阪、神戸、熊本及び福岡)、25名が提訴(既に、4名が死亡)。 <スライド9> 四つの違憲判断 ・2019年5月28日仙台判決 憲法13条(リプロダクティブライツ権)違反 ・2020年11月28日大阪判決 憲法13条、14条(平等権)違反 ・2020年1月15日札幌判決 憲法13、14、24条2項(家族形成権)違反 ・2021年8月3日神戸判決 憲法13、14,24条2項違反  さらに、廃止を放置した違法も認める すべてについて、20年(除斥期間)の壁 <スライド10> 2020年6月30日東京地裁判決 対象外の者への手術として違法な手術であることは認めた(違憲判断はしていない) 遅くとも平成8年の法改正時までには、社会通念上訴えの提起が著しく困難とまでは言えない。 ・20年の除斥期間の起算点をずらすことを認めながら、平成20年からすでに20年を経過として請求棄却。 ここに大きな可能性が <スライド11> 2021年1月15日札幌地裁は ・同判決では、憲法13,14条のみならず、24条2項にも違反するとした。広瀬孝裁判長は判決理由の読み上げの最後で「これまで苦労されてきた人生を肌身に感じ、それ故(請求を)認容すべきか直前まで議論に議論を重ねました。しかし、法律の壁は厚く60年はあまりにも長く、このような判断となった。」と述べた。 ・判決の理由の中で、「民法724条後段所定の20年の期間は、被害者側の認識がいかんを問わず一定の時の経過によって法律関係を確定させるため、請求権の存続期間を画一的に定めたものと解されるのであって(平成元年最判)、そのような法律上の規定の適用を、信義則(民法1条2項)、権利濫用(同条3項)といった法令上の一般則ですらない、正義・公平の理念という極めて抽象的な概念のみに基づいて排除するというのは、原告の受けた被害の重大さを考慮にいれても、なお躊躇があるといわざるを得ない。」と。 <スライド12> 札幌判決の示すもの ・最高裁は、H元年判決で、民法724条後段について除斥期間(期間の経過によって当然に権利が失効)と判断、 ・その例外として、H10判決(東京予防接種禍事件)、H21年判決(殺人死体遺棄事件)で、時効の停止の「法意を」を用いて、正義・公正に加えて適用制限する。 「裸の正義・公正」ではない。 ⇒出口論(除斥期間の完成を一定期間猶予) ・最高裁H16判決は遅発型の損害について、損害の発生時を不法行為の時とする。  →起算点論・入り口論 それぞれについてさらなる主張を求めるもの <スライド13> 本年10月29日東京高裁が結審・判決は来年3月11日 ・審理の経過 ・10月4日、3人の学者の証人申請を却下(国が反対尋問不要とした) ・そこで、北さんの本人尋問の申請、権利行使ができなかった状況の立証 ・30分以上の合議の上、本人尋問を採用し、10月29日北さん尋問の実施 ・審理を終結し、判決言い渡しは来年3月11日 ・尋問では、仙台地裁への提訴の翌日の新聞で、初めて同じ被害として、2月2日弁護団のホットラインに相談を行った。スクラップにしていた、「東京新聞」、相談票も証拠提出。 →東京地裁判決の、「遅くとも平成8年法改正時点では社会通念上訴えの提起が著しく困難とまでは言えない」への反証 <スライド14> 拷問禁止条約・障害者権利条約 ・強制不妊手術は拷問にあたり、拷問禁止条約、障害者権利条約など人権条約に違反する。継続的侵害の法理により時間的管轄は適用されない。 ・2019年2月障害者権利委員会から日本政府に対し、「出訴期限法(時効)による司法手続きの利用の制限」について事前質問がなされ、国は、「もっとも、除斥期間についても、明文の規定はないものの不法行為の時から20年が経過したあとも請求権が消滅しないと判断した判例もあり、・・裁判所の判断による。」司法に責任を押しつけているといえないか。 ・障害者権利委員会から厳しい、総括所見が求められるといえる。 <スライド15> 各地の地裁・高裁(札幌を除く)での状況 ・地裁 仙台(3次訴訟)、静岡(浜松・本庁)、福岡及び熊本はまだ審理が続く状況 ・高裁 仙台高裁次回12月8日弁論、証人及び飯塚さん(本人尋問)の申請  大阪高裁は2件、原審大阪地裁は近々結審の可能性あり、  神戸地裁は控訴理由を提出したところ。 違憲判決の積み上げの先に勝利が <スライド16> CALL4、優生保護法に奪われた人生を取り戻す裁判 ・仙台弁護団、あゆむ会、プロジェクトで、クラウドファンディング ・CALL4、優生保護法に奪われた人生を取り戻す裁判 ・是非アクセス・寄付を 目標100万円 <スライド17> 一時金支給法の運用状況 ・本年9月末現在 945件 被害者総数25,000人に対して、3.78パーセント ・5年の期限の延長それ以上に、抜本改正を  - 違憲性を認め謝罪  - 十分な補償 <スライド18> 全面解決を目指して ・東京高裁(平田 豊裁判長)での判決言渡期日が決まるなど、ここで大きく支援の輪を広げることが重要 ・今後ともご支援をよろしくお願いします。