<スライド1> 権利条約批准から4年 −私たちはこう取り組む (日弁連の取組み) 弁護士 東 奈央(大阪弁護士会) (日弁連 障害者差別禁止法制に関する特別部会委員) <スライド2> 日本弁護士連合会(日弁連)とは ◆日本国憲法の制定に伴い、1949年9月1日に設立 (弁護士法に基づいてされた法人) ◆構成員(会員):全国52の弁護士会・弁護士・弁護士法人 ◆全ての弁護士は、日弁連+各地の弁護士会に登録 ◆国家機関から監督を受けない独自の自治権(弁護士自治) ⇒日弁連の意見(意見書・声明・報告書)の重要性 <スライド3> 障害者差別禁止に関する法律や政策 【日弁連】2001年 第44回日弁連人権擁護大会(奈良) 【人権擁護大会は、1958年から毎年1回開催されている】 「障害者差別禁止法の制定を目指して−バリアのない社会のために−」 《差別禁止法の制定を求める宣言》 ★日弁連が人権擁護大会のシンポのテーマとして障害者問題を取り上げたのは、このときが初めて。 【日弁連】2002年 障害者差別禁止法制定に関する特別部会設置 <スライド4> 障害者禁止法制に関する特別部会 日弁連の委員会活動のひとつである、人権擁護委員会の中に位置づけられる、特別部会 ・障害当事者の弁護士 ・障害のある家族をもつ弁護士 ・障害のある人の権利擁護に強く関心をもつ弁護士が活動している <スライド5> 障害者差別禁止に関する法律や政策 【日弁連】2007年3月 「障がいを理由とする差別を禁止する法律」法案概要(試案)を発表 ★差別禁止法を作るべきだ!と声を上げ、法案(試案)を発表していた。 【国会】2013年12月 権利条約批准について、国会で承認決議 <スライド6> 障害者権利条約批准のとき(声明)  2013年12月4日 会長声明を発表  本日、「障害者の権利に関する条約」の批准が、国会で承認された。  権利条約は、2006年・・・(中略)採択されたが、 政府が権利条約を担保する国内法整備が不十分なまま、 批准の承認手続を進めようとしたのに対し、当連合会は2009年3月13日、会長声明を公表し、 障がいのある人の基本的人権を保障するシステムの基本的枠組みを構築することを強く求めた。(中略) <スライド7> 障害者権利条約批准のとき(声明) ・・・国内法整備を経た上で権利条約批准の承認に至ったことについては、当連合会も評価する。 しかし、現時点においても、 社会的障壁の除去の実施について民間事業者の合理的配慮義務が努力義務にとどまり、 国内人権機関も設立されていないなど、国内法整備は、必ずしも十分とは言い難い。  権利条約の趣旨を国内において実現させるために、国は、引き続き、 次に述べるような国内法整備を行うことが必要である。 <スライド8> 障害者権利条約批准のとき(声明) 1【合理的配慮】民間の合理的配慮義務(法的義務に) 2【人権機関】政府から独立した国内人権機関 3【教育】インクルーシブ教育 4【精神障害者】強制入院のあり方見直し、権利擁護制度、地域生活の支援の充実 5【司法】訴訟法における配慮義務 6【虐待】虐待防止法の対象(学校・官公署等、医療) 7【福祉】社会モデルに基づく福祉を 8【成年後見】個々に応じた必要最小限の制限に、自己決定を反映する制度へ <スライド9> 障害者権利条約の完全実施へ 2014年10月 第57回人権擁護大会シンポジウム(函館) 「障害者権利条約の完全実施を求めて−自分らしく、ともに生きる−」 【完全実施を求める宣言】 差別の禁止&解消のための基本的施策 差別の禁止&解消のための個別施策(労働・教育・アクセス・欠格条項・複合差別・精神医療・司法) 個人の尊厳が確保された生活〜福祉サービス、虐待防止、成年後見(見直し含む) 国内人権機関と個人通報制度 <スライド10> 政府報告書に対するパラレルレポート ・2015年 パラレルレポート策定のプロジェクトチームを発足 ・論点ごとに、専門分野の弁護士が全国から結集し、内容を整理している @政府報告書の問題点(課題や報告がなされていない点)を指摘 Aリストオブイシューズに盛り込むべき事項 <スライド11> 政府報告書に対するパラレルレポート ・日弁連は、以前より(権利条約以外において)、パラレルレポートを策定してきた ・条約の完全実施を求め、現在の課題を報告し、政府報告書審査制度の重要性を訴えてきた ・NGOとしての日弁連が、パラレルレポートを提出する重要性 ・裁判事例や裁判所の判断の仕組み(課題)を含めた報告 <スライド12> 【例】自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)に対する日弁連報告書 ・結論から言えば,日本において自由権規約の実施は極めて不十分である。 ・日本では日本国が締結した条約はそのまま国内法としての効力を有する。 したがって,自由権規約の自動執行力のある実体規定は裁判所が適用することができる。 しかし,現実には自由権規約の条項を根拠に個人の権利を認めた裁判例は少なく, 特に最高裁判所は自由権規約の条項を根拠に規約違反を認めたことがない。 ・日本の裁判所は,自由権規約の適用については極めて消極的である。 <スライド13> 【例】自由権規約に対する日弁連報告書 ・行政機関,立法機関,あるいは地方自治体が,政策・立法などの提言をする際にも, 自由権規約その他の国際人権条約が根拠として参照・引用されることはほとんどない。 ・日本では,自由権規約その他の個人通報制度が未だ実現していない。 また,日本を含む地域人権保障機構もまだ設立されていない。さらに国内人権機関も設立されていない。 ・上記のような状況からすれば,日本において, 条約の国内実施措置として政府報告書審査制度は極めて重要な意義をもっているといえる。 <スライド14> 障害者権利条約の完全実施を目指して ・充実したパラレルレポートを提出し ・国連障害者権利委員会において、充実した日本政府審査を実現し ・国連障害者権利委員会から指摘された事項を踏まえて、国内法整備、 国内の実態改善に向けた諸施策を実行していきましょう。 【引き続きどうぞよろしくお願い致します】