<スライド1> 障害者放送協議会シンポジウム IPTV(ITU国際標準"H.702")を通じた「目で聴くテレビ」の取り組み 認定NPO法人障害者放送通信機構 理事 梅田 ひろ子 <スライド2> 「目で聴くテレビ」 と 「アイ・ドラゴンの歴史」@ 1995年 阪神淡路大震災時 NHK教育テレビが安否情報を流すために通常番組を中止 その結果、聴覚障害者にとって大切な「手話ニュース」もなくなりました 当時、ニュースには字幕はなく、聴覚障害者は情報を得ることが困難な状況でした <スライド3> 「目で聴くテレビ」 と 「アイ・ドラゴンの歴史」A 「自分たちの放送局を持ちたい!」 ・全日本ろうあ連盟 ・全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 ・株式会社アステム ↓ 1998年 CS障害者放送統一機構 設立 (現 認定NPO法人 障害者放送通信機構) 「目で聴くテレビ」の誕生 <スライド4> 「目で聴くテレビ」 と 「アイ・ドラゴンの歴史」B 「目で聴くテレビ」を受信するために開発された専用受信機「アイ・ドラゴン」 2002年 文化庁からリアルタイム字幕配信事業者の指定を受ける 2003年 「アイ・ドラゴン」が「聴覚障害者用情報受信装置」として厚生労働省より日常生活用具に指定される 「アイ・ドラゴン」は、インターネット環境とテレビがあればどこでも見られるデジタル機器です 〔写真 聴覚障害者用情報受信装置「アイ・ドラゴン4」〕 <スライド5> 「目で聴くテレビ」 と 「アイ・ドラゴンの歴史」C 第56回ギャラクシー賞 報道活動部門選奨受賞(2019年) 「ギャラクシー賞」は優れたテレビ・ラジオ番組、放送文化に貢献した個人・団体を顕彰する目的で1963 年に創設され、放送界では最も権威ある賞です。 〔写真 授賞式〕 <スライド6> 「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰 内閣総理大臣表彰を受賞 (2020年) 〔写真 表彰状、授賞式風景など〕 <スライド7> 「アイ・ドラゴン4」でできること@ テレビ放送の情報保障として「リアルタイム手話・字幕放送」 H.702に準拠した聴覚障害者用情報受信装置「アイ・ドラゴン」でテレビ放送に対応した「手話通訳」と「字幕」を合成した画面 〔写真 目で聴くテレビの画面〕 →地上波の画面 →インターネットにより、「手話」と「字幕」を送信 →手話通訳の画面の位置の変更や大きさの変更が可能 →字幕の位置や色大きさの変更が可能 <スライド8> 「アイ・ドラゴン4」でできること ・新潟中越地震(2004 年) ・能登半島地震(2007年) ・新潟県中越沖地震(2007年) ・東日本大震災(2011年) ・口永良部島噴火(2015年) ・熊本地震(2016年) ・北海道胆振東部地震(2018年) ・大阪府北部地震(2018年) ・平成30年7月豪雨(2018年) ・令和元年8月の前線による九州北部の記録的な大雨(2019年) ・新型コロナウイルス感染症 ・令和3年福島県沖を震源とする地震 〔写真 目で聴くテレビの画面〕 →NHK災害放送の画面 →リアルタイム手話通訳 <スライド9> リアルタイム手話・字幕放送 〔写真 目で聴くテレビの画面〕 手話通訳画面の配置を自分の好きな位置に設定可能です (@右下A右上B左上C左下の4パターン) 手話通訳画面を大きくすることもできます <スライド10> H.702とは? H.702とは、IPTV技術を使って、手話や字幕・音声解説を端末に送り、TVに同時に表示させるサービス ・ IPTV上でアクセシビリティサービスを行うための基本機能を定義した勧告 ・2015年11月にITU-T(国際電気通信連合)で2016年には(一社)情報通信技術委員会(TTC)国内標準規格となった ・手話のサイズや位置を変更可能 ・字幕の色やサイズの変更、複数の字幕からの選択など <スライド11> 「アイ・ドラゴン4」設置例 設置済施設一例 青森県立青森聾学校、盛岡聴覚支援学校、 本宮市民元気いきいき応援プラザ、 草加市役所(小学校4ヶ所)、埼玉県障害者交流センター、 荒川区立障害者福祉会館アクロス荒川、 新宿区社会福祉協議会、藤枝市福祉センター、 石川県立中央病院、珠洲市役所、白山市役所、 焼津市社会福祉協議会、 国際障害者交流センター(ビッグ・アイ 大阪) 向日市民体育館、和歌山市役所、洲本市役所(庁舎4ヶ所) 明石市役所、いきいきプラザ斑鳩、平群町役場、 香芝市総合福祉センター、天理市障害者ふれあいセンター、 三田市社会福祉協議会、芦屋市保健福祉センター、 伊丹市障害者福祉センター、東広島市(避難所11ヶ所)、 鳥取市障害者福祉センター 徳島県立障がい者交流プラザ、オーテピア高知図書館、ほか <スライド12> 「アイ・ドラゴン4」でできることA 手話・字幕つきの番組がアーカイブに1,000本以上 24時間365日見放題!ジャンルは21 <スライド13> 見応えたっぷりアーカイブ 24時間365日視聴可能 ステイホームにピッタリ! 手話・字幕つきの番組がアーカイブに1,000本以上 □バラエティ Makkoのフィンランド紀行 チャレンジ!かおり 自然と遊ぼう など □全国ろうあ者大会 第66回大会(大阪) 第65回大会(福岡) 第64回大会(徳島) など □防災 内閣府防災「くまモン特別講座くまでも分かる地震への備え」 など □手話語り 月曜男の手話漫談 かおりんのかおり なすの七色万華鏡 など □スポーツ・健康 デフリンピック 村上センセーの 歯のおはなし ヘルシー体操 など □ドキュメンタリー いきいきワイド 人生晴れ舞台 インタビュー番組 など □手話 今日の手話 覚えよう!新しい手話 国際手話のコーナー など □全日本ろうあ連盟 JFDレーダー 目で聴く日聴紙 全国ろうあ者大会 など <スライド14> 視聴者の声 ・重田・村上さんの「手話くらべ」が面白い ・デフリンピックの歴史がよくわかり勉強になった ・「地方の手話」が見られるのがよい ・アーカイブを全部みた。次の新しい番組を待っている ・コロナに関する情報がとても便利だった <スライド15> 新しい文化の担い手たち! 映画監督 早瀬憲太郎さん 映画監督 今村彩子さん 映画監督 今井ミカさん デザイナー 岩田直樹さん 3月7日(日)の大阪ろうあオンライン大喜利は自宅で見ましょう! YouTube LIVE配信 水元博司、重田千輝、村上信次(目で聴くテレビ手話キャスター) 13時30分〜15時00分 <スライド16> いま、力を入れていること@ 平常時の防災学習 「自分が助かる!誰かも助ける!」防災体験会 「個別避難計画」作成の場に アーカイブの防災番組を視聴 (例:内閣府防災 「くまモン特別講座くまでもわかる地震への備え」) ・非常食の試食会 ・防災士の講演 ・非常用リュックの中身の紹介 など 〔写真 聴覚障害者防災士による講演、非常食〕 <スライド17> いま、力を入れていることA Jアラート試験放送による 「アイ・ドラゴン」「テレビコントローラー」起動実験 2022年2月16日 午前11時 〔フロチャート〕 @盛岡市防災ラジオがJアラートを受信  緊急情報フラグ(接点信号等) Bアステム専用サーバーに起動フラグを立てる C「アイ・ドラゴン」がサーバーにフラグを身に行く D「アイ・ドラゴン」がテレビコントローラーと光警報器に信号を出す Eテレビ自動起動/光警報器発光 <スライド18> 〔動画紹介〕 J-ALERTの全国一斉試験について (実験風景と関係者のコメントを紹介) <スライド19> 「目で聴くテレビ」の放送時間について 2020年度のリアルタイム手話放送は、193時間14分 毎週1時間のIPTV「目で聴くテレビ」を加えると 245時間14分 NHK総合(37時間1分)の手話放送時間の6.62倍 、 NHK教育(231時間18分)の1.06倍 (総務省「令和2年度の字幕放送等の実績」) <スライド20> 今後の課題 ・現在は、聞こえない方に対して放送を行っている ・H.702は、音声解説についての機能も定義している ・複数の字幕を扱える ⇒知的障害のある方にも有効な機能を有している <スライド21> 「目で聴くテレビ」は、本来は国や放送局が取り組むべき情報保障 を行っていますので、この放送を公的に支えていただきたいと願っています 福祉避難所、障害者関連施設等に「アイ・ドラゴン4」を配置してください テレビメーカーが、H.702機能を搭載したユニバーサルテレビ製造を進めることを期待します