はがき通信ホームページへもどる No.97 2006.1.25.
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【今月号の特集のテーマ!「パソコン入力の工夫」】

 今号の「特集のテーマ」は、「パソコン入力の工夫」です。それぞれの方が身体機能に合わせた機器を工夫をされていることをご紹介させていただきます。

 なお、「パソコン入力の工夫」について今回の特集だけに限らずにいつでも原稿をお待ちしております。


 <特集> 腕をつるバネ付き装具+マウススティック 

C4

 「はがき通信」のみなさん、おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 さて、今回の特集は「パソコン入力の工夫」ですが、私なりの工夫を紹介させていただきます。私の障害レベルはC4ですが、右腕のみわずかに動きます。しかし、動く右腕も可動域が小さいのと、力が弱いのが難点です。
 入力の工夫をする以前に、まずはパソコン機器そのものが自分に適していることが大事だと思っています。パソコン機器は、通常売られているデスクトップ型のものを使用しますが、マウスは操作できませんので、Windows付属ソフト「ユーザー補助」を利用いたします。
 さらに、私にとってキーボードを叩く時のキータッチの重さが重要です。メーカーや機種によってかなりの違いがありますので、キータッチの軽いものを選ぶよう気をつけています。また、キーを叩く時に滑りにくいように、キーボードカバーは必ず装着いたします。
 パソコン操作における工夫といたしましては、わずかに動く右腕にかなりガッチリした装具をつけてキーを打ちます。この装具の手のひらあたりに細長い棒をつけていますが、キーを打つ時に棒先が滑らないように滑り止めのゴムを装着しています。また、右腕の力が弱くてすぐに疲れるため、右腕をバネ付き装具で吊っています。この装具は、バネの強弱と自分の腕の力とのバランスを取るのに苦労いたしました。さらに、この装具は車イスに着脱可能にしています。
 このような装具を付けても、キーボードの右半分しか操作できませんので、キーボードの左半分を操作するためにマウススティックを使用しています。また、マウススティックを置くために、ペンを差し込む道具を代用しています。
 わずかしか動かない右腕ですが、マウス機器の変わりに使用するWindows付属ソフト「ユーザー補助」はテンキーを使用しますので、右腕でテンキーを操作できることは非常に助かっています。もし、マウススティックでテンキーを操作することになりますと、画面上のマウスポインタの動きが非常に見づらいために操作しにくく疲れます。



 パソコンの勉強等には、本を読みながらのパソコン操作が必要です。キーボードの左側に本立てを置き、本はマウススティックでめくれるようにしています。
 以上のような自分なりの工夫をして、パソコンをおおいに利用しています。

 石川 清重  E-mail: isikawa@pa2.so-net.ne.jp

 「石川家のホームページ」 http://www008.upp.so-net.ne.jp/myhpii/main.htm

 ※上記ホームページ内の「障害者のパソコン入力の工夫実例集」にて、たくさんの方の実例集が詳しく紹介されています。


 <特集> パソコンのステック1本操作術 

C4不全、頸損(病気)歴18年、リクライニング電動車イス使用

1.キー入力について

 「はがき通信」の皆様から、いつも貴重な情報をもらうだけでしたので、何か情報を提供せねばと日頃思ってきました。そこで私が今まで培ってきたパソコンのステック1本操作術について述べさせてください。パソコンは、退院して自宅にもどってからずうっと今までやっていますので16年以上になります。趣味と仕事で使っています。
 パソコンを始めてすぐに困ったのは言うまでもなくキー入力時の複数キーを同時に押す操作でした。当事はやっとMS-DOSが出回り始めた時代でユーザー補助などは全くなかった。そしてまだ父も元気でしたので横にいてキーを押すのを手伝ってくれたりしました。それは面倒な作業だったが息子が不憫と思ったのでしょう。まずはこの問題の解決がなにより先決と思ました。これを解決するために、元気なころミニコンピュータを扱った経験があったので、マシン語から調べて試行錯誤の末、このキー操作の処理とプリンタの遠隔操作をする常駐ルーチン「PKCON.COM」を作った。これによって初めてパソコンがステック1本で自由自在に使えるようになり、パソコンで仕事ができると思いました。プリンタの遠隔操作というのは、キー操作だけでいつでも好きなときに、紙の送り、逆送り、巻き戻しそして印刷をするものです。当事のプリンタの用紙は連続紙で、500ページがトイレットペーパーのようにつながっていたので見たいところはそこまで紙送りや巻き戻しをして自由に見ることができた。プリンタをメモ帳がわりに使えてとても便利でした。後に藤川景氏の本『五秒間ほどの青空』の中にでてくる同じ原理で動かす「ページめくり機」を見たときは嬉しかった。
 今やパソコンはWindows時代。もちろん私もOS(基本ソフト)に付属しているユーザー補助を利用している。マウス操作もユーザー補助を使っている。
 ところが、テンキーでのマウス操作は非常に難しく、感覚が全くないからテンキーを押しているのかあるいは放しているのかがわからず、目で見えるマウスの動きだけが頼りでなかなか目的のアイコン上に静止できない。Windowsの最大の売りはGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)といってやたらと厄介なマウス操作が入ってきて扱いにくくなっている。それでもキー入力派のために、尻すぼみだが、まだ、アイコンをマウスでクリックする代わりをキー操作で代行できるショートカットキー(Shift、 Ctrl、 Alt、 通常キーなどの複数キーを同時に押下することでいろんな機能を発揮させる方法)が残されている。私はこれをできるだけ使うようにしている。たとえば、メニューの「ファイル(F)」はAltキーとFキーを押すだけのわずか2ストロークで済むので、テンキーでマウスをうごかすのに比べたら雲泥の差だからだ。
 ところで、私みたいにユーザー補助の固定キー機能を使っていて、できるだけキー入力派という人は極めて少ないか、いないのではないかと思っている。というのはユーザー補助の固定キー機能がマニュアルどおりに動かなくなることがしばしばあるのだけれども、だれからもユーザー補助の固定キー機能がおかしくなるという話を聞いたことがないからだ。一度はやってみてとっくの昔にあきらめて、文字入力以外に使っていないのであろうと想像している。
 Windows98もWindowsXPもどちらも、ユーザー補助の固定キー機能の動きがおかしくなることがある。さらにWindows98の場合はキーの状態を示す表示までもが間違っているから厄介だ。これでは、あたかも幽霊がいてこっそり見えないようにしてShift、Ctrl、Altキーを押さえているのと同じで、文字を入力しても、入力されなかったりまたは突如印刷が始まったりするなど、ユーザーにとっては不可解なハングアップとみえるわけだ。なぜキーの状態の表示が間違っているとわかったかというと、別途にキーの状態を表示するルーチンを一緒に常駐させて両方の表示を見比べてパソコンの動きを調べることによって初めて解った。WindowsXPのほうはキーの固定が解除できなくなったりすることはあるがキーの状態表示は正しく表示されているからまだよい。
 では、こんなハングアップ状態になったらどうするか。半日もかかって打ち込んだデータを簡単に捨ててしまうわけにはいかない。私が試行錯誤でみつけた解決法は次のとおり。Shift、Ctrl、Altキーを固定と解除が2巡りする回数である6回以上、それぞれのキーについて押しつづける。そしてそれでもだめなときはもう片方(同じキーが左右の2箇所についている)のキーについても同じことをやる。それは例えば右側のShiftキーと左側のShiftキーとパソコンは識別しているからです。この6回以上押すことでほとんどの場合回復する。
 ここまでは、システムに原因がある場合だったが、そのほか個々のアプリケーションに原因がある場合がある。固定キーを押して通常キーを押した場合、アプリケーションによっては固定キーが解除されてしまった後に固定キーの状態を調べるものがあり、この場合は固定キーが認識されない。こんな時は固定キーを2度押して完全固定にしてから通常キーを押すと正しく認識されるようになる。
 最も便利でよく使っているショートカットキーはコピー(Ctrl+C)、ペースト(Ctrl+V)、切り取り(Ctrl+X)だ。ほとんどすべての場面で使用できますので、お勧めです。
 現在の多くのホームページはGUIの最も進んだものになっていてマウスでしか操作できなくなっていてキーボード派には使いづらくなって憂えていたら、2004年に決まったWebアクセシビリティに関するJIS規格では、コンテンツの全機能をキーボードで操作可能にすることが決まっていることがわかり少しほっとしている。このJIS規格どおりのコンテンツでは視覚障害者も音声ブラウザを用いて自由自在に操作できるようになるようです。ここでの主役は、もう四肢マヒ者から視覚障害者に交代していると思いました。


2.ペーパーレス

 パソコンがあつかえるようになり、仕事や知的生産活動を始めようとすると、「たくさんのメモや資料を調べながらアイデアをまとめたり文章を書いたりしたい」という欲求がでてきます。このことに関する私の工夫を紹介します。
 一言でいえば紙は使わない。印刷物はすべてPDF(ポータブル・ドキュメント・ファイル)ファイルとしてパソコンのハードディスクにいれていてパソコンの画面上でみる。紙とは違って、拡大縮小、ページめくり、しおりやメモの追加、必要な箇所の切り取り、検索などすべてが自由自在にできる。
 紙の文書をPDFファイルにするには、それ専用に作られた富士通のスキャンスナップを使っています。使い始めて2年になりますが、とても便利です。手紙、書類などが来たら、とりあえず読み込んでハードディスクにPDFファイルとして保存しておいて必要なときにみるようにしています。容量100Gバイトのハードディスクですと単行本1冊分10Mバイトとして1万冊分相当が収録できますから、片端から読み込んでも満杯になる心配はありません。付属のソフト「Acrobat」を用いると印刷も直接PDFファイルに出力できるから紙は不要になります。そして介助者にプリンターから印刷した紙をとりだして見せてもらう必要もありません。
 仕事でも、必要な資料などはPDFファイルなどの電子文書でもらっています。やりとりは小容量のファイルは電子メールの添付ファイルで、大容量のファイルは「宅ふぁいる便」で行っている。「宅ふぁいる便」は50Mバイトまで送れて無料です。
 要するにPDFファイルなどの電子文書化によってすべてのことがスティック1本で自由自在にできるようになり、あの厄介な紙のページくりのストレスからも解放されます。
 もうひとつの工夫はパソコンを2台にしてディスプレイ2台を使っていることです。片方のディスプレイで文書やメモを表示しておき、それを見ながらもう片方でワープロなどをするためです。2つのパソコンはLANでつなぎ、キーボードは1つで切り替え装置を介在して使っています。これでたくさんのメモや資料を調べながらアイデアをまとめたり文章を書いたりできるようになりました。

 福岡県:Y・I  E-mail: HDA03062@nifty.ne.jp

 「スキャンスナップ」
 http://scansnap.fujitsu.com/jp/

 「宅ふぁいる便」
 http://www.filesend.to/


 <特集> マウスの代わりにトラックボール 

残存レベルC5、頸損歴18年、35歳

 「パソコン入力の工夫」ということで編集委員にお声をかけていただき、自分の事例を簡単にまとめてみました。何かのご参考になれば幸いです。
 パソコンを触るときに、頸損者はマウス操作とキー操作(特に複数のキーを同時に押す操作)が困難です。私はマウスの代わりにトラックボールを使ってます。現在2つのトラックボールをデスクトップPC用とノートPC用に使い分けてます。
 デスクトップ用はロジクール社の光学式トラックボール(Marble Mouse)です。左右2つのクリック・ボタンを加工してもらい外に出しております。こうすることで左手でボールを転がし、右手でクリックやドラッグをすることができ、GUIの操作が楽になりました。トラックボール本体の向きも上下を逆にし、ボールが手前に来るようにして手の甲で転がしやすい位置に設定しております。



 ノートPCの方はケンジントン社(Expert Mouse Pro)のものです。これは頸損の方ではお使いの方が多いと思われます。四つのボタンがあり、それぞれにクリックやダブルクリックやドラッグなどを自由に割り当てることができ、ボタン操作が楽になりました。ボールは大きく動かしやすいですが、ほこりがたまるのでたまに掃除が必要です。
 キー操作については、ユーザー補助の機能を使ってます。他に工夫している点ですが、Windowsを使ってフリーズした場合の対処法はCtrl+Alt+Deleteを押してフリーズから抜けるのですが、3つのキーを同時に押すのは頸損には困難です。Windows2000とXPをお使いの場合は「Windowsタスクマネージャ」を使ってフリーズしたアプリケーションを終了させることができます。



 画面下のタスクバーの空いているところを右クリックしてメニューより「タスクマネージャ」を選択するか、「スタート」→「ファイル名を指定して実行」→「taskmgr」と入力し「OK」とすればタスクマネージャが開きます(※Ctrl+Shift+ESCでも開きます)。アプリケーション・タブ欄に現在開いているアプリケーションの一覧が表示され、フリーズしたアプリケーションは「応答なし」と表示されているので、それをクリックして「タスクの終了」を押せばアプリケーションを終了させることができます。私はこのやり方でフリーズから抜け出ています。もちろんそれでも抜けられない場合もありますのでご参考までに。
 最近は音楽をパソコンに取り込んで楽しんでます。ソフトはアップル社の iTunes を使ってます。無料で配布されています。CDをクリック一つでパソコンに取り込むことができ、曲の再生や管理もできます。アルバム1枚取り込むのに曲数や音質にもよりますが、だいたい40MBぐらいに圧縮されて保存されます。CDに比べて音質は悪くなりますが、今まではステレオでCDをいちいち入れ替えてもらわなければいけなかったのが、取り込んだ好きな曲をクリック1つで自由に選んで聴くことができて重宝してます。


 福岡県:M・K


 「ロジクール」
 http://www.logicool.co.jp/index.cfm/JP/JA

 「七陽商事-ケンジントンの日本代理店」
 http://nanayojapan.co.jp/

 「アップル」
 http://www.apple.com/jp/

 <特集> 「らくらくマウスⅡ」使用感 

C4.5、頸損歴26年、46歳

 数十年ぶりに寒い冬を体感しています、皆さんも風邪などひかれてませんか?
 九州でも北部に位置する私の家も今年の冬は応えます。腰が凍りつくようなそして……痛みで目覚めます。
 F県に住む、M(46歳)といいます。頸損歴26年、交通事故により3、4、5番頸椎圧迫骨折で両肩と肘のみ可動。女性のお尻をタッチできるも、首以上の知覚神経しかなく手の平の感覚がないので、趣味もカメラと健全なものに。夏の夜空に打ち上がる花火の撮影に力を入れております。
 昨年小倉で行われた懇親会で会場の整備や案内にお力をお借りしたボランティアの方たちや実行委員のお2人ありがとうございました。顔見知りの仲間とお会いできてとても楽しかったです。日帰りだったので夕食を共にできなかったのが残念でした。
 さて、編集委員に「らくらくマウスⅡ」の使用レポートの割り当てをいただいたので私なりの感想を書きます。
 「マウスⅡ」を使用して4年になります。一度引込み線の疲労による脱線のため販売元に修理を出しましたが、とても丁寧な対応と敏速な修理をしていただきました。「マウスⅡ」は私には欠かせない相棒です。不満もありますが現在のパソコンはマウスなしでは動かせないと言っても過言ではありません。



 「マウスⅡ」は、クリックボタンとダブルクリックボタンが独立しており1回プッシュすることで操作が可能でドラッグもボタン1つでロック・ロック解除されて指定区域を楽々と移動できてとても重宝しております。途中で指先の押さえが悪くてやりなおすということがなくなりました。ただ写真をご覧のように右側に並ぶ8方向のボタンでマウスポインターをUFOキャッチャーのように目的の場所まで移動します。だから緩やかな曲線を描くことができません!
 私は手首に装具を付けて手首と肘を浮かせてキーボードの操作を行っています。「こことステップ」というホームページにらくらく「マウスⅡ」の詳細が載っているので皆さんも自分に適した道具と出合えるように願っています。装具の先端に編み棒に装着してあるゴムを利用しています。安価でいろんな使い方ができてお奨めです。



●ジョイスティックタイプもあります。

 パソコンの必需品として福祉課に相談し「マウスⅡ」を日常生活用具と許可を得ました。一部負担金で購入できます。皆さんも尋ねてみて下さい。前例がないと言われれば最初になるつもりで。今年も健康で良い年を過ごされますように皆様のご多幸を祈っております。

 福岡県:Katumi E-mail: m86-katsumi@fukuoka.email.ne.jp

 「NPO法人 こことステップ」
 http://www.kktstep.org/

 <特集>マウスにキャップを貼り付ける 

残存レベルC6、頸損歴18年、36歳

 私の「マウス入力の工夫」です。はじめはワープロ専用機のキーボード入力のために、写真のような装具を使用していましたが、パソコンを始めるにあたりマウスも操作しなくてはならなくなりました。
 なんとかキーボードのキーを押すこととマウスの操作も同じ1本スティックの装具を使用して行えるようにできないか考えて、ペットボトルのキャップを逆さにして両面テープで左クリックに貼り付けました。この方法(写真参照)だと装具を使用してマウスを動かすことと左のクリックができるようになりました。しかしストレスなくマウスを動かすには上肢の動きが残存レベルC6(手首を上げることができる)位向けの方法かと思います。



 難点は、ドラッグ(左クリックを押しながらマウスを動かす)が広範囲しにくいことです。
 また、マウスが小さいと動かすときに転げたり、貼り付けるキャップの大きさや深さにより使い勝手がかなり違ってきます。
編集委員:藤田 忠


 <特集>消しゴム付鉛筆+スポンジ付マウス 

C6.7、頸損歴33年、56歳




 私はキーボードを打つ時に、消しゴムのついた鉛筆をさかさにしてキーを叩きます。マウスには、マウスを購入した時に固定されていたスポンジ状のものをそのまま両面テープで、親指と中指がかかるようにくっつけています。

 白田 正一
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