はがき通信ホームページへもどる No.150 2014.12.25.
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全員参加企画『いいモノ見つけた!』〜14〜




 『フェアベリッシュ』

 麻痺した足の指って内側に硬縮しませんか? ジッパーで爪先まで開くので、
履いてから指を伸ばせる靴です。ただ、冬の外出には向かないようだ。
 定価は1万2000円ですが、1万円ぐらい。
「フェアベリッシュ」で検索すればいろいろなところで扱っています。
 会社名・連絡先:(有)フェアベリッシュ(代表 伊藤弘美)
http://www.wissquare.jp/community/network_a08.html 


 紹介者:東京都:F川

 


<特集!「はがき通信」懇親会in福島2014>





 今号の「特集」は、福島市で10月4日(土)〜10月5日(日)に「はがき通信」懇親会とコラボして開催された4都県頸損・はがき通信 合同交流会です。親睦を深め励まし合う目的で年に1度、仲間が一堂に会する交流会でのことはもとより、2日目の被災地訪問などについて情報交換のためにご投稿をご紹介いたします。




 特集 懇親会が終わって 


 昨年、広島での「はがき通信」懇親会のとき「来年は東京で懇親会を行います!」とレセプション交流会で宣言しましたが、ホテルの料金や場所、空室、車イスでの使いやすさ、観光地に行きやすいところ……など、ホテルがたくさんある東京ですが、なかなか良いところが見つかりませんでした。
 そんな今年の春頃、毎年秋に行っている、東京頸損連絡会・神奈川頸損連絡会・栃木頸損連絡会・福島頸損ネットワークの合同交流会を福島で開催することを耳にしました。そこで「はがき通信」懇親会とコラボできないか? と提案。頸髄損傷者連絡会の皆さんも快諾してくれ、福島でより多くの皆さんと交流できればと思い、初めての試みである合同での懇親会を開催することになりました。
 交流会は福島市にあるコラッセ福島で行われました。被災された方から体験談や避難所を移られたときのお話、ご家族と連絡が取れず不安が続いたお話を聞くことができました(私は残念ですが参加できませんでした)。
 夕食懇親会は、コラッセ福島12階にある展望レストランで素晴らしい福島の夜景を見ながら、和食と福島のお酒を楽しみました。
 翌日はリフト付バス、リフト付ワゴンタクシー、自家用の6台ほどで南相馬市へ向かいました。車からの震災被害の視察を終えた後、仮設住宅を訪れて双葉町から避難されている被災者のお話をうかがうこともできました。
 今回、このように他団体との合同での懇親会は初めての試みでした。初の東北での開催、バスを使っての被災地訪問……と初めてのことばかり、準備には時間がかかったものの、新たな交流、再会、料理を囲みながら談笑もちろん、バスの中でも楽しい時間を過ごせたと思います。



 今回の懇親会では交流や情報交換だけでなく、皆さん多くの貴重な経験をすることができたと思います。協力していただいた頸髄損傷者連絡会の皆さん、福島のT.Sさん、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

懇親会世話人:麸澤 孝



 「はがき通信」懇親会in福島会計報告 


※紙面版のみ掲載

会計担当:瀬出井 弘美



 特集 4都県頸損・はがき通信 合同交流会と被災地視察を振り返って 


 去る10月4日・5日、4都県頸損・「はがき通信」合同交流会と福島被災地視察を、全国からの大勢の皆さんのご参加で開催しました。
 誰もケガや病気もなく無事に終了することができましたことは、皆様のご理解とご協力があったからこそ実現したと思っております。
 また遠方より福島へお越しいただきました全国の皆様に、この書面にて心から御礼と感謝を申し上げたいと思います。

 [事前準備]
 さて今回の合同交流会と被災地視察が実施に至るまでを、振り返ってみたいと思います。
 はじめに連絡を受けたのは確か3月下旬だったと思います。「福島頸損友の会」のS山会長より10月に福島で「4都県頸損連絡会」と「はがき通信」合同交流会を開催したいらしい、という内容だったと記憶しています。
 今までは日帰りでの交流会を、栃木頸損連絡会と福島頸損友の会が交代で開催していました。今回は宿泊を伴い、翌日に希望者が被災地へ視察に行くというものでした。詳しくは東京頸損連絡会のKさんから連絡があるということでした。
 さっそくその翌日にKさんから電話がありました。日程としては、あまり寒くならない10月上旬、できれば10月4日(土)・5日(日)が第1希望とのことでした。
 参加予想人数としては総勢約40〜50名(当事者が20名くらい)を想定、付添いとして家族、ヘルパー、ボランティアなど募集すると聞いた瞬間、頭の中が真っ白に!
 それでも3年半経過した現在の福島を、全国の皆さんに知ってもらうための絶好のチャンスと逆に開き直り、受け入れを快諾。もちろん私一人ではできることに限界があるため、さっそく当「障がい者の旅行を考える会」の活動でお世話になっている、ボランティアのSさんに事情を説明し、協力してもらうことにしました。
 はじめに皆さんが宿泊する福島駅周辺のホテル探しから取り掛かりました。ほとんどの方は新幹線と大型リフトバスで福島入りするということで、福島駅西口が利便性がよく、西口周辺で最も新しいリッチモンドホテルへ行って担当者と相談しました。
 事前に車イスの方が使用する旨を話し、実際にツインルーム(ユニバーサルルーム1室を含む)と、付添い者が使用するシングルルームを見学しました。入口ドア・室内通路・ベッド回りなどのサイズを測って、電動車イスで入室して使用できるかなど調査しました。
 ホテル側でも個人旅行等で車イスの方を受け入れた経験はあるものの、電動車イスの方が同時に10人以上も宿泊した実績はないそうです。私からの質問に受け答えはするものの、スタッフもどこか不安そうでした。

●仮設住宅スロープ・著者(事前調査)



 そんな不安感を取り除こうと「私の車イスで入室できたので、家族やヘルパーなどの付き添い者もいるし、全国各地のホテルに宿泊されて慣れている方ばかりだから心配いりませんよ」と不安を払拭するようにアドバイスをしました。
 それに付け加えて「このホテルで実績がなければわれわれが実績を作りますから!」とまで言った瞬間、ホテルスタッフの顔が引きつっていたのを今でも覚えています。
 次に50人以上で交流会ができる会場、できれば無料で借りられる会場確保に着手しました。そこで当初、当会が登録し海外旅行説明会などで使用している、「福島市保健福祉センター」の大会議室を借りようと、2ヶ月前の予約日に連絡を入れました。しかし、あいにく10月4日は福島市の行事が入っていて、一般の方は全会議室とも使用できないとのことでした。その他の無料で借りられる会場に何ヶ所か連絡してみたのですが、全て同じ理由で借りられませんでした。せっかくホテルが予約できたのに、会場が手配できないのでは、今回の交流会ができなくなると思いました。
 その後もいろいろ問い合わせて、最終的に県の有料施設で、ホテルに近い「コラッセふくしま」の特別会議室なら空いているとの情報を得てすぐに仮予約をしました。その後、Kさんに有料だけど移動面を考えると好立地であることを説明して、了解を得て会場を決定しました。
 次に5日の「被災地視察先はどこにするか?」という問題です。先に相談した当会のボランティアであるSさんは、今も帰還困難な浪江町出身であり、現在は南相馬市の借り上げ住宅に住んでいます。
 そこで「同じ浪江町の知人が南相馬市の仮設住宅に住んでいるから視察を受け入れられるか聞いてみる」ということで、連絡をしてくれました。
 後日、その方から自治会長さんに事情を説明してもらい、快く視察を受け入れてもらいました。
 6月には下見を兼ねてSさんと南相馬市へ。知人で世話人のWさんと自治会長のTさんへ挨拶に行き、実際に仮設住宅を見学させていただきました。
 事前の電話では聞いていましたが、敷地には舗装された駐車場があり、大型バスを駐車できるスペースもありました。
 また集会所入口には木製の立派なスロープが完備され、入口扉や通路も車イスにとって十分な幅と広さがあり、室内は完全バリアフリーで広く、使いやすい広間になっていていました。
 さらに通路の奥には男女別トイレの他に、電動車イスでも十分なスペースの多目的トイレまで設備されていました。これらを見た瞬間、「これなら最大40人は対応できる!」と実感して嬉しさのあまり、その場でKさんに連絡を入れて正式に視察場所も決定しました。
 そして、今回の被災地視察の中で最も苦労したのが津波現場とコースです。当初、海沿いで津波の被害がひどい場所を中心に、車窓から見学していただこうと考えました。

●津波被災地(事前調査)



 ところがKさんからは、午後4時台の新幹線で帰られる方もいるので、福島駅を午前9時にスタートし、午後3時半には“必ず”福島駅に戻ることを目指してほしい、ということでした。
 とにかく時間を厳守して行程を考えなくてはいけないと思い、日程が迫ってきた1週間前の9月27日に、バスと同じ速度を想定してシミュレーションを行いました。福島駅を出発し川俣町から飯舘村を通り、時間を計測しながら南相馬市までの行程でした。そして休憩地点から海沿いのコースを見て回り時間を計測した結果、仮設住宅での交流の時間を含めると、予定より1時間近くオーバーしてしまうのです。そこで短縮コースとして、現在は誰も住んでいない南相馬市小高区の旧6号線の山沿いから、小高町内を通り抜けて国道6号線に出るコースを計測し、走行してみました。
 ちなみに小高町の国道6号線沿いには、津波で被害を受けて放射線量の数値が高く、現在も解体・片付けができない数軒の民家もあります。車窓からそれらを見つつ仮設住宅へ向かうこのコースだと、時間的にも短縮できるので最終的にこちらを選択しました。

 [イベント本番]
 10月4日の当日を迎えて朝起きると天候にも恵まれ比較的暖かい日でした。福島の世話人である(私とボランティアのSさん、同じくボランティアのUさん)の3人は12時にコラッセふくしまに集合して会場入りしました。
 そして当日の交流会で皆さんに配るお菓子の袋詰め作業をしていると、東京からKさんも到着して受付や看板の配置の準備・打合せをしながら、皆さんを待つことに。
 お菓子の袋詰め作業が終わると、私とSさんは東京からのリフトバスを、宿泊するホテル前で迎えることに。予定よりも早い14:30に東京からのリフトバスが到着。全員下車した後、運転手さんと指定駐車場にバスを停め、私の車で会場へ向かいました。
 一方会場では参加者がどんどん来場され、予定より早く交流会が開始されました。この日、北は北海道から西は関西まで遠くから福島へ集まっていただきました。
 交流会では私が司会進行を務めました。講師のSさんのお話、『3.11の震災と原発事故が起きてから現在に至るまで』を聞いた後、参加者全員がマイクリレー方式で自己紹介をしました。「質問や、実際に震災が起きたらわれわれはどう対処したらいいのかなど」さまざまな意見交換がなされ、最後は全員で記念写真を撮って終了となりました。
 一度ホテルへ戻り、再びコラッセふくしまへ。8階のレストラン「Ki-ichigo」で宿泊者を中心とした夕食会が行われ、時間の許す限り親睦をはかり楽しいひと時を過ごしました。
 翌10月5日の被災地視察では、私の車を先導として大型リフトバス、リフトタクシー(2台)、リフトバンなど併走して福島駅(西口)を午前9時に出発。
 川俣町から誰も住んでいない飯舘村を通り、10時45分にイオン南相馬店に到着し休憩。
 11時にイオン南相馬店を出発して、南相馬市中心部から「相馬野馬追い」で有名な雲雀(ひばり)が原合戦場(ひばりがはら かっせんじょう)を横目に旧6号線の山沿いの道を抜けて、南相馬市小高町内を通って国道6号線沿いの津波現場を見て、同市原町区の仮設住宅へ到着。
 到着と同時にリフトバスとリフトタクシーから参加者が下車して仮設住宅内へ。全員が揃ったところで世話人のWさんと、自治会長のTさんへご挨拶とお土産を渡しました。そのあたりでちょうど昼食時間となり、全員でお弁当の会食となりました。
 会食後にTさんとWさん、実際に仮設住宅に住んでおられる女性から3.11の震災と、原発事故後、浪江町を避難して現在の仮設住宅へ住むまでの話を聞きました。質疑応答後、集会所を背景に写真を撮る予定でしたが、雨が降り出したので集会所内にて集合写真を撮り、予定通り福島駅に15時半に到着して、無事に終了しました。



 最後に私から今回の被災地視察の感想として。
 かなり時間に制限があり、皆様には、もっと見ていただきたい場所がたくさんあったのですが、当初考えていたコースより短縮せざるを得なかったことがとても残念です。
 今回の被災地視察で少しでも現在の福島の状況が皆様に伝わればいいなーと思っています。
 今回の行事で私と行動し、支援していただいたボランティアのUさん、ヘルパーで当日私の先導車を運転のOさん、福島と南相馬市間の大型リフトバス運転のS藤さん、終始私の力になってくれたSさん、以上の皆様のご理解とご尽力なくしては、参加者の皆さんを受け入れることができなかったと思います。
 また今回行事の連絡を担当してくれたS山さん、東京の世話人であるKさん、K冶さん、麩澤さんとは常に密に連絡を取り合いました。9月20日には福島へ最終打合せに来ていただきましてありがとうございました。心からお礼申し上げます。

 <追伸> 
 私たちの仲間(同じ頸髄損傷者の女性)が現在も、狭い仮設住宅で家族と一緒に生活をしている現実も知ってほしいと思います。震災は、いつ・どこで起きるか分かりません。そして原発は日本列島を取り囲むように建設、設置されています。
 今回の福島原発事故で政府の原子力政策の安全神話はもろくも崩れ去りました。その代償は大きく福島は現在「震災・津波・原発・風評被害」の4重苦にあっています。もう二度と同じ原発事故が起きないよう、原発のいらない日本になることを願うばかりです。

福島県:T.S.
「障がい者の旅行を考える会」代表


 ※当会は、福島県を中心に東北地方のお体の不自由な方々にも気軽に旅行へ参加してもらえるよう非営利目的でボランティア活動をしています。もちろん参加する意思さえあれば、全国どこの方でも参加は可能です。
 詳しくはウェブサイトもあり、会の名称をキーワードにご検索ください。
http://www.tad1999.com/ 
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