資料 障害者の権利実現へのパートナーシップに関する大阪宣言

 障害者の完全参加と平等実現を目標に、世界的には「知的障害者の権利宣言」(1971年)、「障害者の権利宣言」(1975年)、「障害者に関する世界行動計画」(1982年)、「職業リハビリテーションおよび雇用(障害者)に関する条約(ILO第159号条約、1983年)、「障害者の機会均等化に関する標準規則」(1993年)、「特別なニーズ教育に関するサラマンカ声明及び行動フレームワーク(サラマンカ声明)」(1994年)および「すべての人のための教育に関するダカール行動フレームワーク」(2000年)などに基づき、また、アジア太平洋地域では、「アジア太平洋障害者の十年」(1993年〜2002年)の「行動課題」(1993年)および行動課題実施のための「73の目標」(1996年)および同「107項目」(2000年)などに基づき、これまで取組みがすすめられてきた。にもかかわらず、各国・地域、とくに途上国においてはその目標達成にはまだまだ多くの課題が残されているのが、現状である。

 目標達成に向け、こうした取組みをさらに強化・継続することなどを目的に、昨年12月の国連総会で「障害者の権利及び尊厳の促進及び保護に関する包括的かつ総合的な国際条約」に関する決議(56/168)が採択されたこと、および国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)でも「21世紀におけるアジア太平洋地域の障害者にとって包括的でバリアフリーの、権利に基づいた社会の促進」に関する決議(58/4)が採択されるとともに、それに基づきアジア太平洋障害者の十年が2003年から2012年までさらに10年延長されることが決定されたことをこころから歓迎する。

 1993年以来、アジア太平洋障害者の十年推進NGO会議(RNN)が、毎年キャンペーン会議を、沖縄(1993年)、マニラ(1994年)、ジャカルタ(1995年)、オークランド(1996年)、ソウル(1997年)、中国・香港特別行政区(1998年)、クアラルンプール(1999年)、バンコク(2000年)、ハノイ(2001年)および大阪で開催してきたことで、アジア太平洋障害者の十年推進に積極的に寄与してきたことを評価するとともに、来年からはじまる次のアジア太平洋障害者の十年においては、障害者の完全参加と平等実現の強力なツールとなる、障害者権利条約採択に向け、域内各国における世論形成して政府の判断と行動を促進するため、従来のRNN加盟団体に加え、より多くの地域レベルおよび各国レベルの障害NGOおよび民間セクターを含む、関係団体の協力・連携のもとにさらに強力な推進活動を継続的に展開する必要がある。

 わたしたち「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム参加者は、そのような認識をもとに、以下のことの実現をめざして行動することを宣言する。

  1. 障害者の権利条約の早期実現に向け、関係機関および団体などと協力・連携しながら、全力をあげて取り組む。それに関連して域内各国政府に次のことを要請する。

    (1)その早期採択に向けて各国政府が積極的に取り組むこと。

    (2)今後開催される障害者権利条約にかかる国連特別委員会の政府代表団に障害当事者をはじめ、障害関係団体の代表をメンバーに加えること。

    (3)既存の6大人権条約(自由権規約、社会権規約、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約、児童の権利に関する条約、拷問等禁止条約)を障害者の権利保障に積極的に活用すべく、各国の国内モニタリング機構を補強するとともに、そのモニタリングならびに障害者の機会均等化に関する標準規則の実施・強化プロセスへの障害当事者をはじめ、障害関係団体の専門家の参加を確保すること。

  2. 次のアジア太平洋障害者の十年の推進に積極的に取り組むとともに、域内各国政府などに次のことを要請する。

    (1)次のアジア太平洋障害者の十年推進のために財政的措置を講ずること。

    (2)障害に関する共通概念の確立、共通概念を用いた実態調査に基づく国内統計の整備、ならびに同統計などをベースにした障害者施策推進のため、社会的環境と障害の関係を基本とし、国際生活機能分類(ICF)を指標のひとつとして活用すること。

    (3)(1)障害原因となる貧困の削減、戦争、紛争およびテロの防止、地雷の廃絶およびエイズなどの予防、ならびに女性障害者および高齢障害者を含む、すべての種類の障害者が、地域社会におけるあらゆる活動に参加できるようにするために、とくに環境改善とコミュニケーション支援、地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)、教育、訓練と雇用・就労、地域生活支援および家族支援などの整備について、一定の期限と数値目標を定めた、全国および地方レベルの計画を策定すること。(2)同計画策定への障害当事者団体をはじめ、障害関係団体代表の参加を確保すること。(3)同計画の実施状況の定期的モニタリングにも当事者団体をはじめ、障害関係団体代表の参加を確保すること。

    (4)(大津でのハイレベル政府間会合での検討・採択が予定されている)「琵琶湖新千年紀行動フレームワーク」のサブリージョンおよび地域レベルにおける実施状況を定期的に調整・モニターするための域内作業グループへの障害当事者団体をはじめ、(設立が提案されている)「アジア太平洋障害フォーラム(APDF)」加盟団体の参加、ならびにその参加を確保するため財政的支援をすること。

  3. RNNを発展させた、地域全体でより多角的な活動を継続的に展開するための基盤をもつ新たな組織として設立が予定されているAPDFへの地域および国内関係団体などの参加と支持をひろく働きかけるとともに、国際関係機関、域内各国政府、財団および民間セクターなどに対して次のような支援を要請する。

    (1)国内、サブリージョンおよび地域レベルでの新千年紀フレームワークなどの目標達成状況の定期的モニタリングへの参加ならびに、有効な提言およびそのフォローアップなどを行ないうるだけの調査および企画・立案能力を備えた活動を継続的に実施しうるための財政的基盤を確保すること。

    (2)サブリージョンおよび地域レベルでの定期的モニタリングとリンクした形での第二のアジア太平洋障害者の十年キャンペーン会議実施への財政的支援を確保すること。

  4. 日・タイ両政府の協力により設立された、障害者のエンパワメントおよびバリアフリー社会づくりを目指す、「アジア太平洋障害開発センター」に対して積極的に協力および支援をするとともに、国際関係機関、域内各国政府、財団および民間セクターにも支援を要請する。

  5. アフリカ障害者の十年(2000年〜2009年)、アラブ障害者の十年(2003年〜2012年)、およびヨーロッパ障害者年(2003年)との経験交流および連帯活動に積極的に取り組むとともに、そうした活動への国際関係機関、域内各国政府、財団および民間セクターの参加・支援を要請する。


2003年10月23日
「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム参加者一同


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