○「国連・障害者権利条約特別委員会」傍聴団報告書/U.傍聴団メンバーからの感想

国連特別委員会を傍聴して

社会福祉法人日本盲人会連合会長 笹川 吉彦

 図らずもこの度「障害者権利条約」特別委員会の傍聴団の一員として国連本部を訪ねることができたことは幸運だった。

 私の場合は第2班ということで、8月5日から最終日の9日までの間、連日同委員会を傍聴することとなった。松井RI副会長の見事な通訳で審議の内容は具に知ることができ、感謝の念で一杯だった。また、地元二ューヨーク在住の岡本さんや新井さん、谷口さんなどのサポートもありがたく、不慣れな二ューヨークでありながら快適な日々を過ごすことができた。

 国連本部への入場は予想通り極めて厳しく、毎回顔写真の携帯力―ドを首から掛け、所持品のチェックを受けなければならなかった。

 5日の日に委員会室に入ってすぐ、思いがけなくも世界盲人連合(WBU)のキキ・ノードストローム会長に出会い驚いたが、彼女はEUのNGO代表として、またIDAの会長として出席しているとのことだった。

 今回の委員会のハイライトは何といってもNGOの同委員会への出席と発言が認められたことで、これは大変な成果だった。その実現のためわが国も共同提案国として大いに活躍したことを聞き、心強く思った。政府委員の発言が終わった後、NGO代表の発言が認められていたが、キキ会長の発言が最も多く本人も議長も苦笑する程だった。

 審議の内容は条約制定に対して慎重論と積極論がかなり交錯しており、わが国の発言もすでに制定されている6つの権利条約との兼ね合いなどで、慎重論を採っていた。

 国際会議ということもあってか、時間についてはかなりルーズで待たされることもしはしはだった。
 最終日の9日は待機時間が多く、NGOの出席も認められず午後4時から開かれる最終委員会を待つばかりだった。
 最終委員会では全会一致で報告書がまとめられ採択されたが、各国のこの問題に対する関心の度合いや国情の違いなど、条約制定までには前途多難を感じた。

 大変残念だったのは、アジア太平洋地域のまとまりが悪く、他の地域に比べ大きく立ち遅れていることだった。その責任の一端はわが国にも大いにあることを痛感した。


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