こだま346号 2007年3月号

 目次
 視点…1
 吉田万三都知事候補の訴えと政策…5
 全国委員会報告…15
 「湯ったり飲んびり」豪華旅行に行ってきた!…18
 東京大空襲戦災資料センターに出かけました!…22
 東視協40年を振り返って(2)…27
 「思い出たっぷりの東京マラソンコース」…30
 教養講座を聞いて…36
 【連載34】 「絶望的環境に陥った点字の実験と救いの恩人」(1)…39
 情報アラカルト…42
 ありがとうコーナー…44
 役員会だより…44
 日程情報…46
 編集後記…48

  視点
 今年は日本国憲法施行60年の記念すべき年である。しかしながら、昨年9月の安倍政権の発足によって世界に誇るべきこの憲法が危機に瀕している。
 昨年の165臨時国会では、自衛隊の海外出動を主要任務とする防衛省設置関連法「戦争する人づくり」を狙った教育基本法改悪法などが、自・公政権によって強行成立させられた。また、現在開会中の通常国会では、国民投票法案(改憲手続き法案)が上程されている。安倍首相は、今年の年頭会見で「私の内閣で改憲の道筋をつける。今年7月の参院選は『憲法改定』を選挙の争点とする」とまで言いきっている。
 さらに見逃せないのは、政府の「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」(議長・安倍首相)がこの程、報告書をまとめたことである。その骨子は、海外で戦争するための司令塔づくりを目的としたものである。
 さて、このような安倍政権のめざす方向は、世界の流れから見てどう評価すべきであろうか。イラクでは、アメリカによる侵略戦争と占領支配が泥沼化し「内戦状態」にすらある。ブッシュ大統領のイラク政策は、アメリカ国内でも強い批判をあび、中間選挙ではブッシュ共和党が大敗を喫した。ブッシュは、この結果にも耳をかさず新たな2万人の米軍増派の方針を示している。これに対し共和党の有力議員を含む超党派の反対世論がアメリカ国内で沸き起こっている。
 2月21日、アメリカにとって最大の同盟国ブレア英国首相が「数カ月間で1500人の英国軍を撤退させる」と言明した。さらにデンマークやリトアニアもイラク部隊の撤収計画を発表した。アラブ諸国の評論家やメディアは「米国の同盟国がブッシュ政権のイラク政策の失敗を認識し始め、撤退傾向をさらに強めるだろう」と述べている。3月4日には、アラブ連盟のムーサ事務局長がカイロで「米軍主導の多国籍軍のイラクからの撤退決議が国連安保理で必要」との声明を発表した。このような世界の動きに背を向け、イラクへの航空自衛隊の派兵を続けているのが安倍政権である。
 戦争は、多くの障害者を産み出す最大の暴力である。障害者は、平和でなければ生きられない。このような思いから私たちは、昨年9月9日に「視覚障害者九条の会」をつくった。そして、2月11日には「学習とトークのつどい」が開催され約60名が集まった。この中で小森陽一氏(九条の会事務局長)は、次のような発言をした。
 「国連は、北朝鮮の核実験に対し『国連憲章41条』に基づく制裁決議を採択した。これは、兵力を伴わない措置を取ることを各国に求めたものである。これこそ憲法九条の指し示す思想なのである。」
      編集委員会  田中 章治

  吉田万三都知事候補の訴えと政策
 東京都知事選挙が迫ってきました。選挙戦は、事実上終盤です。浅野元宮城県知事の立候補を受けて、マスコミも都知事戦について報道し始めました。彼は、市民候補だとの宣伝がありますが、宮城県の福祉を、全国水準真ん中から最低水準に落とした福祉切捨て知事の実績を持っています。そういう意味では石原都政と同じです。私たちは、視覚障害者の平等と社会参加のために、吉田万三都政をめざします。
 さて、以下の吉田万三都政の訴えと視覚障害者政策を掲載します。1人でも多くの仲間に吉田万三さんへの支持を訴えましょう。

  「ストップ! 都政私物化・税金無駄遣い  ステップ! 都民の声生かす都政」
 石原知事の超豪華海外出張や税金を使った飲み食い、ワンダーサイトという都の文化事業を利用した知事の四男重用問題が明らかになり、「都政の私物化は許せない」という都民の批判の声が広がっています。
 住民に奉仕すべき地方自治体の長が、自分と身内には税金を惜しげもなく使う一方、寝たきり高齢者のための福祉手当や盲導犬のえさ代補助など数十万円単位のわずかな予算も、ばっさり削って平然としている、こういう石原知事には都民を代表する資格はないと思います。
 都政の私物化と税金の無駄遣いを一掃し、何よりも都民の声を大事にする都政をつくりましょう。

  「税金は、暮らし・福祉優先に使うべき」
 石原知事は、「何が贅沢かといえば、まず福祉」と公言し、この間、福祉関係費を450億円も減らしました。(99年〜05年度決算)全国1の福祉制度を次々廃止・改悪し、「福祉後進都市」への道を歩み始めました。中小企業予算は4割も削り、予算に占める比率は全国水準の半分に落ち込みました。こんなひどいことは都政史上初めてであり、全国でも石原知事だけです。「財政が厳しいから」というのが切捨ての理由でした。しかし、実際は石原都政8年の都の税収は、見込みよりも3兆円以上も多かったのですから、福祉や暮らしを切り捨てる理由はなかったのです。
 石原知事は、福祉や暮らしを切り捨てる一方、大型開発を中心とした投資にはバブル前の2倍、毎年1兆円近いお金を注ぎ込んでいます。都財政の「負の遺産」といわれてきた臨海開発には、この間6兆4千億円もの都財政を注ぎ込んできました。更に今、重大なことは、石原知事が唐突に持ち出してきたオリンピック招致の名で、大型開発を一層拡大しようとしていることです。10年後のオリンピック招致をテコに、高速道路や大会関連投資だけで、なんと8兆円規模の税金を投資する、そのために毎年1千億円も積立てるというのです。ですから、来年度の都税収入は増収が5千億円も見込まれているのに、それを都民の福祉や暮らしには使わず、もっぱらオリンピック基金などの巨額な積立てと大型開発に注ぎ込もうとしています。
 こんな税金の使い方はゆるせません。伸びた税収のおおくを都民の暮らし応援に使います。東京都の財政規模は12兆円、インドの国家予算に匹敵するほど巨大なものです。税金の使い方を切り換えれば、都民の切実な要求の多くは実現できます。「世界都市」というなら、何よりも都民の暮らしの質の高さで世界に誇れる東京をつくろうではありませんか。

  「憲法 生かし、悪政から暮らし守る政治、東京から」
 「憲法を破る」と公言する石原知事の身勝手な考え方が都政に持ち込まれて8年。今、都政のあらゆる分野で矛盾が噴き出しています。
 石原知事は、国連憲章を否定し、女性や障害者、アジアの人々を蔑視する発言を繰り返し、都民の批判を受けました。石原知事が税金を1千億円も注ぎ込んで始めた「新銀行東京」は、中小企業に役に立たないばかりか、不良債権を抱えた都財政の新たな「負の遺産」になろうとしています。石原知事と都教育委員会による生徒と教師への「日の丸・君が代」の強制は、東京地裁からも「違憲・違法」という判決が下されました。
 石原知事にこれ以上都政を委ねたら、都政も都民生活も取り返しのつかないことになります。
 都議会では、この石原都政を自民、公明、民主、ネットなどが支える状態が続いていました。今、求められているのは都政の根本的な改革ではないでしょうか。
 私は、都民の皆さんと力を合わせて都政に憲法を生かし、国の悪政から都民の暮らしと福祉を守るため、自治体本来の役割を取り戻すために全力をあげます。
 私は、強引で専制的なリーダーシップではなく、都民の暮らしに目を向け、都民の声をくみ上げる真のリーダーシップを発揮する決意です。ご一緒に、都政を都民本意に転換させ、東京から新しい政治の流れを全国に広げ、悪政を打ち破ろうではありませんか。
  『吉田万三さんに託して
    視覚障害者の要求を
      実現させましょう』

 吉田万三革新都政は、国連が採択した障害者権利条約の趣旨の具体化と実現をめざします。後れた視覚障害者の平等と社会参加、その実現と推進を支援する立場から以下のことの実現をめざします。
 1.石原都政が削った障害者医療費助成、ひとり親医療費助成、心身障害者福祉手当、児童育成手当て、都営住宅家賃減免、特別擁護老人ホームの視覚障害あんまマッサージ師採用への補助金を復元。
 2.石原都政の都営住宅新規建設ゼロの方針を改め、都営住宅を建設し、安心して住み続けられる東京の実現。
 3.障害者自立支援法による福祉の切捨てを軽減する東京都独自の施策を講じます。ホームヘルプ・移動支援・日常生活用具などの負担を軽減。
 4.石原都政の心身障害者扶養年金制度廃止の方針を改め、親亡き後の障害者の生活を支える施策。
 5.障害当事者と都民の参加による、障害者差別をなくす東京都の条例の制定。
 6.知事と障害者の対話集会を開催するなど、障害者の声を都政に反映させるシステムづくり。
 7.東京都障害者福祉会館の都直営を維持し、障害者の平等と社会参加を進める当事者活動の拠点にふさわしく事業と機能・職員の配置の拡充。
 8.都営地下鉄全線への可動式ホーム柵の設置をめざし、当面、ワンマン運転の大江戸線に早急な実現。
 9.点字ブロック及び音響式信号機を増やすなどの施策を講じて、視覚障害者が安心して歩ける東京の実現。
 10.視覚障害者のあんまマッサージ指圧・鍼・灸の営業を次の点で支援。
 @無免許で営業しているあんまマッサージ指圧業者の取締りの強化。
 Aあんまマッサージ指圧師鍼師灸師等に関する法律第19条を守り、晴眼養成施設の新増設に反対。
 B高齢者のあんまマッサージ指圧の治療に対する東京都の補助金制度を創設。
 11.東京都の障害者特別採用制度で点字の試験を実施し、ヘルスキーパー・電話交換・視覚障害者への情報提供担当の職員として採用。

  全国委員会報告
    事務局長  織田津友子
 2月17・18日に行われた全国委員会の報告は以下のとおりです。
 1日目は、「永続可能な全視協の基盤を確保するための財政提案」についてのみ論議されました。提案理由はこだま2月号で紹介しました執行委員会の提案、点字民報の隔月刊発行と事務所維持負担金の増額について、反対の組織から「点民読者に対し、隔月発行にする、頁数を減らすなどの説明がなかった。」「点民を隔月発行にするのはお金だけの問題なのか」「埼玉大会で全視協ニュースと機関誌の一本化を決めて発行してきたのに、隔月にした場合、情報量は十分なのか」「点民の有料化をもう1度考えて欲しい」「地方組織の会員は、毎月点民が届くことで全視協会員であることを確認している」などの多くの意見が出されました。
 この提案は、賛成もしくはやむを得ないと発言した組織も多く、結論として次期大会に発議されることになりました。
 事務所維持についても30年の見通しを今考えるのではなく、もっと身近な予算をたてることが先決など意見が出されていました。
 なお、東視協の意見は、役員会で点民の発行については毎月発行、隔月発行も仕方ないと意見が分かれたことと、事務所維持分担金を1500円に値上げすることは反対であると発言しました。
 2日目の会議は、会員拡大のところでは東視協の組織委員会の活動が評価されました。行事の活用、機関誌の配布、日常的なつながりが大切である。平和問題については憲法9条の歴史の学習会などいろいろな取り組みがされていること、転落事故ゼロの日行動の周知がされなかったのはまずいとの意見が出ました。
 最後に大会実行委員会から準備の状況や参加の呼びかけ、大会後の旅行はしないことが発言されました。

  「湯ったり飲んびり」豪華旅行に行ってきた!
     東部  新井 康代
 3日、10時定刻出発。参加者31名。(稲垣さんの特養マッサージ師の仲間3名、ボランティアの方4名含む。)
 東都観光大型バス、ちょっとシャイな運転手さんと20歳のすてきなガイドさんが一緒です。
 稲垣さんの名幹事で車内は、たちまち和やかなうちに、サッポロワイナリーに到着。ワインビン4万本分の貯蔵されているタンク。この中で泳いだら、どんなだろう! なんて声も。試飲コーナーで無添加の赤ワインを買う。開封したら3日以内に飲んで下さいといわれる。それは大丈夫。一晩でと高山さん。
 昼食は、ジンギスカンを横目に幕の内弁当でした。サッポロビールはおいしかった。
 フルーツ公園は、山の斜面のような広々としたところで脚の達者な人向きです。
 3時過ぎには、簡保の宿。夕食前にゆっくりと露天風呂にも入り気持ちよい。
 6時・宴会。加藤さん、栗山さんの小話に始まって、カラオケ、詩吟、替え歌、途中1時間の休憩を入れて2次会もしっかりとみんな歌いました。ボランティアさん、汗びっしょりです。
 4日、昨日に続き晴天。めざす昇仙峡、岩肌の山々は、独特の風景でとてもすばらしかった。もう一度、ゆっくり行ってみたい。
 体験・ほうとう作り。残念ながらすでに80パーセント出来ており、後は棒でハンカチのように正方形にのばして切るだけ、これがけっこう難儀でした。
 出来上がったほうとうを味噌鍋に放り込んで10分、なかなかおいしい。満腹感にひたった私は、そぞろ歩いてバスに乗った。私を呼ぶ人がいる。すっかり昼食用のクーポン券を渡していなかったのだ。ボランティアの森下さんも一緒に謝ってくれて嬉しかったです。
 クイズ、山菜に関する問題10を内田さんが作って豪華な景品が付きました。
 最後は、バスの中での感想を簡単に。
 菅井孝雄さん:稲垣さんのお蔭でとても楽しかった。カラオケの電源が切れても気持ちよく歌えた。
 小林節子さん(ボランティア):初めての参加でどうなのかと思っていたけど、すぐに打ち解けてとても楽しくできた。
 森下和子さん(ボランティア):皆さん、元気がよくて仲がよくて、私も元気な森ちゃんといわれているけどかなわないです。
 工藤唯さん(バスガイド):こんなに笑ったのは久しぶりです。ここのところちょっと落ち込んでいたけど少し元気になれました。
 ☆ 鈴木会長、野島さん、織田洋さん、カンパありがとうございました。
 ☆ 小板橋さん、下奥さんをはじめ、多くの皆さんに差し入れをいただきました。ありがとうございました。

  東京大空襲戦災資料センターに出かけました!
     青学部 滝沢由紀子
 2月25日日曜日、関東地区の青学部の仲間が東京大空襲戦災資料センターに出かけました。センターは江東区に5年前に4000人の方からの募金により設立されました。はじめの25分間は1978年にNHKで放映された番組のビデオ上映を観ました。
 東京大空襲は昭和20年3月10日の未明、B29の爆撃機が大量の焼夷弾を落とし、約2時間あまりで東京の下町は火の海となった。けが人を含め100万人の人々が被災した。そのうち死者は10万人を超えた。
 最初の爆撃から鎮火するまでやく8時間かかったそうだ。生きるために必死に逃げ惑う人々の声や爆音を聞き、空襲の怖さ、凄まじさを感じました。戦災者の二瓶さんと一緒に展示物を見てまわり、赤ん坊が使っていた哺乳瓶や衣服、お皿や花瓶といった、当時使われていた生活用品やドイツ製のピアノが焼け残ったまま人々からの提供で展示されていた。空襲の被害にあった場所、遺体が埋められていた場所の地図が示されていた。本来は展示物には触れることはできないのですが、特別に開けていただき、1000度以上の熱で焼かれたものに触れ驚きました。
 二瓶さんに当時の状況を語っていただき、さまざまな質問をしました。男性は戦場に行き、幼い子供、妻、お年寄りは留守を守りました。小学3年生以上の子供は教師に連れられ学童疎開をしていた。疎開先で親が空襲に遭い、亡くなったと聞かされてもきっと生きていると信じ終戦を迎え、我が子を引き取りに来る親がいる中、最後に一人だけ残された子供は親の死を受け入れるしかなく本当に辛かったと思います。そういった戦災孤児の問題や遺体の安置についても国は何も考えていなかったそうです。逃げ惑う火の中で折り重なるようにして人が倒れ、我が子をしっかりと胸に抱いたまま亡くなられた人がたくさんいたそうです。 何の罪もない人間を無差別爆撃により命を奪われ、一番犠牲になったのは幼い子供だったのではないかと思います。
 物資が乏しい中でも見知らぬ人から食用油をもらい、そのお陰で火傷の治療ができたことを聞き、人のやさしさに支えられて生き長らえてきたのだと思い胸が痛みました。今、現代社会がこんなにも豊かになりすぎ人に対する思いやりが欠けてきています。戦争中、貧しいからこそ人は助け合い、当時の方が人情があったとお年寄りは皆、そう言っています。
 このようにたくさんの質疑応答をし、あっという間に時間が過ぎてしまいました。平和の原点はお互いの立場や意見を尊重し、譲り合う精神や話し合いで解決することが必要です。今こそ憲法9条改悪を阻止、国民が団結し運動しようではありませんか。

  東視協40年を振り返って(2)
 (今月も結成当時から会の活動をしておられた佐野昭典さんにご投稿をお願いしました。重みのある話をぜひ読んでください。)

    北部  佐野 昭典
 昭和42年(1967年)、美濃部革新都政を勝ち取った年の4月、東視協が結成された。あの時の喜び、希望、活力に満ちた気持は今も忘れない。
 30人ほどで始まった東視協、一時期200人を超える勢いもあった。思い出は数えきれない。東視協が先頭に立って活動したからこそ実現させられた要求もたくさんある。特に障害者会館の建設、点字ブロックの普及、点字書購入の価格差保障、ガイドヘルパー制度などを挙げることができる。私は公務と共に組合運動、障害者運動、鍼の研究をやり抜くのにずいぶん苦労をした。我が家では母子家庭みたいだと言われたものだった。
 さて、思い出を二つ、一つは惜しくも亡くなられた後藤桃子さんと、短い期間ではあったが東視協の情報らしきものを出したことだ。やっと集めた原稿、二人が書いた原稿を持ち寄り、文教盲の点字印刷室で編集・印刷した。桃子さんの文章と点字の能力は素晴らしかった。墨字版は何回か須藤憲一郎さんのご協力で出した。もう一つは文化放送に東視協の1泊旅行への助成をお願いに行ったこと。具体的な事業を挙げた方が理解されやすいと思ってだが、一人前の大人が二人で金の助成を願うのには辛いものがあった。その後カンガルー募金(TBS)から年間10万円の約束を取り付けることができ嬉しかった。
 40年は私の年齢の半分だ。これからの東視協に期待することは、これまで以上に仲間意識を高め東視協らしく運動してもらいたいこと。都盲協などにはできない要求運動を推進すべきだ。東視協の会員は権利と義務意識が高く、大多数の会員が自立していることが誇りと自信である。政治的社会的に困難な情勢にあるからなおさらのこと、団結して前進しようではないかと呼びかける次第です。

  「思い出たっぷりの東京マラソンコース」
     南部  野島 潔
 私の話を読んでいただく前に、自分の両腕を手首のところでクロスさせてください。左肘の都庁がスタート。42.195キロを、私と一緒に走りましょう。都庁からまずは、重なっている手首のJR有楽町駅へ、次に右肘の品川駅を折り返し、手首の有楽町に戻り、右指の浅草寺から再び手首に戻り、左指の東京ビッグサイトでゴールというバツ印が2月18日のコース。さあ完走めざして「ヨーイ ドン」。
 寒さとどしゃぶりの雨とで、トイレの列は長いし9時10分は迫るしであせりましたが、なんとか3万人のランナーの最後尾をスタートすると、あっという間にJR新宿の大ガードをくぐり歌舞伎町へ。「若い時遊んだな」。
 ほどなく進むと私が結婚式を挙げた厚生年金会館前を通り、市谷あたりからは右手の中央線の音と併走し、飯田橋の交差点を右折、上の歩道橋は文京盲学校時代の通学路で、中央線のガードをくぐり、竹橋の毎日新聞社前から日比谷公園の角へ。「ここらで彼女とよく白鳥を見たっけ」。
 この、日比谷公園から第1京浜国道の品川までは、箱根駅伝や東京国際女子マラソンでおなじみの、一度は走ってみたかったあこがれのコースだったので、ルンルン気分で増上寺の参門や、東京タワーをまぶたに思い起こしながら快走。
 気分良く、「視覚障害ランナー 野島さん、がんばれ! 伴走ランナー吉田さん、がんばれ! 社会参加と平等に向って走れ! 東視協40年の伝統を力に走れ!」の横断幕で待ち構える三田の障害者会館へと思いきや、予想タイムが大幅に遅れたせいで仲間に会えず。仕方なく、トイレを済ませ走り出そうとしたら、大応援団の残党の西原和子さんと会い、ビショビショの手袋で握手でき、元気がわいて来ました。
 JR田町駅前から、品川駅手前を折り返し、再び障害者会館から日比谷公園に戻り、ここを右折し、有楽町駅のマリオン前。「NTT104有料化反対の署名行動をしたっけ」などと思いながら、銀座4丁目交差点に。ここがコースのほぼ中間点で、冒頭の手首の重なる部分です。
 この銀座4丁目交差点を左折し、銀座通りに給食ポイントが。でも私たち鈍行ランナーには1切れのバナナもなく、こうなると空腹はさらに強まるし、モチベーションは下がるし、娘の高校合格祈願で、浅草寺の雷門をくぐったことも忘れ、JR総武線のガードを抜け、安産の神様の水天宮に戻るあたりまで、「人形焼きが食べたいな」と意識は朦朧として、ただ足を前に出すだけで、顔はかじかむ状態でした。
 松屋あたりで、スポーツドリンクを口にすると雨が止んでいることに気がつき、三越の角の銀座4丁目の交差点を今度は晴海方面に左折し、フルマラソンの正念場の35キロ地点を過ぎると、歌舞伎座から築地本願寺を通り佃大橋に、もんじゃ焼きが頭に浮かぶ。
 このあたりから今度は雨に変わり、冷たい北風に濡れた体が直撃されるが、ボランティアが差し出してくれた飴やチョコを口にすると、底力が出て来て、何回か橋を渡るためのアップダウンを、大多数のランナーが歩いている中を、悠然とゴボウ抜きの快走で、テニスで有名な有明コロシアム前の坂を登りきると、逆三角形の屋根の東京ビックサイトが目の前に、「あと195メートル」の声がかかり、苦痛にゆがんでいた顔から笑みがこぼれ、両手を広げゴールインし、伴走の吉田さんとがっちり握手。第1回東京マラソンのメダルを手にした時、寒いのも忘れ感動にひたることができました。
 その後、仲間が催してくれた完走祝賀会に行き、そこで飲んだ、熱いお湯割りのおいしかったこと。「仲間っていいな」って、つくづく思った最高に充実した1日でした。
 「記録は」って、聞かないでください。ワーストでしたから。もし、障害者会館の仲間からの差し入れがエネルギーになっていたら、あと2分は縮められたのにと思うと悔やまれてなりませんが、トイレと寒さに悩まされながらも、無事完走できたことだけを、私と一緒に喜んでください。

  07年2月 教養講座を聞いて
      西部  小板橋 靖彦
 「障害年金の基礎知識」というテーマで、社会保険労務士の和泉尚美氏の講師によりお話がありました。
 最初に、日本の年金制度について、その構造部分、つまり共済年金・厚生年金を二階部分として、国民年金を基礎年金とする、現在のつくりについて簡単に話されて、障害年金についての中身に入りました。
 内容としては、以下のような項目で話されました。
 1.障害年金の受給要件
 (イ) 初診日要件:初診日に、年金制度の被保険者であること。ただし、20歳前障害は例外
 (ロ) 保険料納付要件
 (ハ) 障害要件
 2.事後重症
 障害認定日において、障害の状態に該当しなくても、65歳に達する日の前日までにおいて、障害の状態が重くなり該当するに至った場合
 3.基準障害
 最初の障害が年金支給に該当せず、後からの障害(基準障害)と合わせて初めて年金の受給に該当するに至った場合
 4. 20歳前障害
 5.受給額
 6.裁定請求のポイント
 7.審査請求と再審査請求
 8.障害手当金は慎重に
 9.特別障害給付金(新制度)
 法律用語や、法的解釈など、脳が活性化しなくなるようなところも多く、ほとんど私の頭からは瞬時に抜けてしまいましたが、1つ印象に残っていることとして、障害年金には、受給に所得制限がなく、障害基礎年金には、所得制限がある。ということの解釈として、障害年金の等級判定が、家事や外での労働が可能か否かで判断し、1級該当の解釈は、「仕事がまったく不可能な状態」というものだそうで、従って障害年金の所得制限がないのは、働けないのだから所得が発生しようがない、という論理の結果だそうである。
 講師の先生も、日本の年金は複雑で矛盾もあると話されていましたが、障害年金と基礎年金の所得制限の有無には、大いなる矛盾があると感じましたし、年金制度の抜本的な改善なくして、あまねく障害者の生活の改善は遠いことだと思いました。

  【連載34】 「絶望的環境に陥った点字の実験と救いの恩人」(1)
     北部  長谷川 貞夫
 前回は、差別語の「めくら」を、汎用コンピュータを用いた六点漢字の自動代筆による請願で、内閣告示の「常用漢字表」から削除することに成功したことを述べた。ところがこれを最後に、そのコンピュータは使えなくなってしまったのだ。それには、4つも重なる仕方のない事情があった。
 私が何カ所かで、ご好意により利用させていただいた、汎用コンピュータというものは、昭和50年の初めにおいては1システムが数億円もし、到底個人で所有することはできなかった。だから国などを含め、ほとんどの利用機関は、月ごとに使用料を払うレンタル機を使っていた。そして、そのコンピュータは1年ごとぐらいに、上位機能にするため、システムアップがなされた。現在のパソコンのバージョンアップである。
 すると、それまでの点字用のプログラムは、そのままでは動かなくなる。だからシステムアップごとに、自動代筆ができなくなった。このシステムアップさえなければ、紙テープに、六点漢字コードを穴の形にあけたデータを届ければ、例えば国会図書館では、オペレーターが、簡単に自動代筆の印刷物にしてくれていたのである。それを使えるようにするには、システムアップに合わせたプログラマーによる修正作業が必要だった。ところが、そのプログラマーは、ご自分の仕事などで私にボランティアとして手伝ってくれることができなくなってしまった。自分のパソコンを持てる今は何と恵まれた時代だろうか。

  情報アラカルト
 1.歯磨きの本 点字版がもらえます。ライオン株式会社から発行されています。口臭編・歯周病編があり、チェックの仕方、予防方法、セルフケア用品などについて紹介されています。ぜひ読んでいただき、参考にしてください。
 お問い合わせ先:ライオン株式会社お客様相談室(担当 平塚)
 電話:03−3621−6611
 メールアドレス:hidetuka@lion.co.jp (高山米子さんからの情報提供)
 2.商品の紹介 ― 中華マン温め器は、電子レンジで中華マンを温めるケースです。使い方はケースの中に中華マンを入れてふたを閉め、電子レンジで数分間温めます。ケースの横には空気穴が開いており、ケース内に蒸気がこもらないので、中華マンがべちょべちょになりません。他に、ぎょうざやシュウマイなどを温めるのにも使えます。大きさは直径15.4センチ、高さ6.1センチ 2個630円です。西友などに置いてあります。
お問い合わせは、スケーター(0742−63−2017)まで。

  ありがとうコーナー(省略)

  役員会だより
 1. 3月22日は、都知事選の公示日です
 吉田万三候補の第一声が新宿駅西口で予定されています。時間は未定です。私たちも参加しますので、どうぞよろしくお願いします。時間が決まり次第、集合場所と併せてお知らせします。
 2.会費を納めてください
 3月末が会計の締めとなります。今年度の会費、もしくはそれ以前の会費が未納となっている方は、ぜひ納めていただきますよう、よろしくお願いします。
 3.第41回東視協総会について
 5月20日(日)、場所はまだ未定ですが、万障お繰り合わせの上、ぜひ参加してください。
 4.「私の要求」を集めます
 点字ブロックの敷設、音響信号機の設置、仕事、生活に関する要求など、要求をお持ちの方は、4月30日までに各ブロック長または事務局まで点字・活字・メールで提出してください。またすでに要求をしているもので、今年度中に実現した要求がありましたら、事務局までお知らせください。

  日程情報
3/10(土) 革新都政をめざす対策会議
  同  東部ブロック会
  同  北部ブロック会
3/11(日) 女性部例会
3/12(月) 南部ブロック会(吉田万三革新都政宣伝行動会議)
3/14(水) 障館相談(担当・山城完治)
  同  事務局会議
  同  こだま3月号テープ版発行
3/15(木) こだま3月号活字版発行、事務局作業
3/17(土) 事務局作業
  同  「ステッキーズ」レッスン
  同  青年学生部例会
3/18(日) 東視協役員研究会
3/19(月) 「手をつなごう集会」代表者会議
3/21(水) 障館相談(担当・鈴木彰)
  同  事務局会議(予定)
3/22(木) 東京都知事選挙公示
  同  まちづくり委員会
3/24(土) 事務局作業
3/25(日) 教養講座「視覚障害者とパソコン・情報機器」
3/26(月) 「かーなづーち」レッスン
3/28(水) 障館相談(担当・栗山健)
  同  事務局会議
3/29(木) 事務局作業
4/1(日) 西部ブロック 吉田万三候補への支持拡大行動
  同  西部ブロック会・花見
4/4(水) 障館相談(担当・織田津友子)
4/5(木) こだま編集委員会
4/6(金) 雇用をすすめる会
4/7(土) 事務局作業(予定)
  同  「ステッキーズ」レッスン
4/8(日) 東京都知事選挙投票日
4/14(土) こだま4月号点字版発行
4/15(日) 東視協役員会
4/22(日) 教養講座「小石川植物園」見学(予定)

  編集後記
 今月号の「こだま」はいかがでしたか。42.195キロを走り抜いた野島さんの話は私たちに勇気を与えてくれました。あの雨風の中をただひたすら走る、誰にでもできることではありません。共通することといえば、私たちも障害者の明るい明日をめざすために毎日走り続けています。しかし、野島さんの頑張りにはまけるけど…。
 都知事選挙が始まります。福祉切捨ての石原都政を終わらせ、私たちが応援する吉田さんにぜひ勝っていただき、福祉を取り戻しましょう。
 「こだま」は皆さんと一緒につくる東視協の会報です。多くの皆さんからの投稿をお待ちしています。日ごろ困っていることや体験しておもしろかったことなど、ぜひお寄せください。よろしく。