こだま344号 2007年1月号


  目次
 視点…1
 2007年のごあいさつ…5
 『40周年の年を「亥」い年に』…8
 吉田万三革新都政をめざします…14
 特養マッサージ師の会 要請行動報告…17
 【読者投稿】 糖尿病でも食べられる「ヘルシーなフルコースを堪能して」…21
 12月の教養講座に参加して…25
 【読者投稿】 あっと驚く30年!…28
 【連載33】内閣告示「常用漢字表」原案に差別語を発見…33
 情報アラカルト…37
 ありがとうコーナー…38
 役員会だより…41
 日程情報…44
 編集後記…47

  視点
 石原慎太郎東京都知事は、去る12月26日、6兆6,020億円の2007年度東京都予算原案(知事査定)を発表した。この知事査定は、200億円の復活予算を組み込んで予算案となり、2月から始まる2007年第1回定例都議会で審議され、正式に予算となる。予算は、都民の力・東京のエネルギーの使われ方が見える。そこで今月は、知事査定から石原都政を考えたい。
 今回の知事査定に私は2つの特徴をみる。その1つは実質5千億円もの増収が3環状道路・オリンピック基金など大型開発関連に振り向けられており、福祉・暮らしの都民の願いに向けられていないことであり、2つは福祉健康(500億円)、地球温暖化対策(500億円)、スポーツ文化(250億円)など額の大きい基金があるため、予算そのものは増えているが来年度すぐには使えない予算とされており、実質的に使える予算は微増となっていることだ。
 5千億円の増収についていえば、私たちはまず、障害者医療費助成、福祉手当、都営住宅家賃減免、特養マッサージ師の補助金など切り捨てられた福祉の復元を求めたい。
 しかし、石原都政の知事査定は、私たちの願いを正面に受けとめるものではない。予算の割合をみると、一般会計予算の伸びが7パーセントであるのに、福祉保健局予算は、高齢者人口増などによる自然増を除くと1〜2パーセント程度の増にすぎない。応益負担に苦しむ障害者自立支援法関連の軽減策は都には全くない。東京都障害者福祉会館の運営費、障害者スポーツセンターの運営・事業委託費、日本点字図書館の事業委託や補助金は減らされている。そのことは福祉全体にも通ずる。老人医療費助成などの都民生活支援に直結した「扶助費」も減額されているのである。
 他方、大型開発に直接つながる投資的経費は5.1パーセント328億円も増やされ、1千億円のオリンピック基金などの巨額の積立てが行なわれるなど、これらに税収増の大半がつぎ込まれているのである。
 もう1つ大きな問題がある。それは心身障害者扶養年金制度を廃止して、廃止に伴う財政措置を「負の遺産」と位置づけ、厄介者扱いしていることである。掛け金を支払ってこれから給付を受けようとする者の給付額を3万円から2万円にしようとしているのだ。親亡き後を支えようと東京都を信じて掛け金を払った都民を裏切る行為である。
 「これでいいのか東京都政」多くの都民に知ってほしい、一緒に考えたい。4年に1度の機会がこの春の都知事選挙だ。私たちの一声・一歩は無駄ではないはず。力を合わせようではないか。
    (編集委員会  山城)

  2007年のごあいさつ
   会長  鈴木 彰
 2007年、あけましておめでとうございます。会員の皆さん、そして、読者の皆さん、それぞれ決意を新たに新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。
 私たち東視協にとって、今年は記念すべき結成40周年の節目の年です。1967年、20数人の先輩たちによって結成され、私たちはそれを継承発展させ、今日に至っております。
 長い歴史の中には困難なこともありましたが、組織を大きくし、向上させることに努めてきました。運動の成果を挙げれば数多くありますが、1つだけ挙げれば、なんと言いましても駅ホーム上の可動柵の設置の実現です。長年にわたり粘り強く要求し続けたことが実現に結びついたものです。
 現在では全国に広がりつつあり、この成果は全国に誇れるもので、私は東視協の存在の意義を改めて強く感じています。
 先月号に掲載しましたように、40周年の記念事業を計画し準備を始めました。
 @ 記念誌発行 A 記念講演 B 祝賀パーティー C 事務所建設であります。
 私はそれに加えて、会員150人を今年中に実現したいと思っています。そのために、組織部を確立しました。リーフレットを作成し、関係者にお届けする活動も始めました。多くの仲間を迎え、一緒に活動をしていかれれば良いと思っています。
 今年は言うまでもなく、4月には都知事選挙、自治体選挙およびその首長選挙があります。また、7月には参議院選挙と続きます。東視協は思想・信条の自由を保障しています。しっかり考えて選挙に臨みましょう。
 今年1年、力を合わせて運動しましょう。

  『40周年の年を「亥」い年に』
 亥年生まれの年男・年女の皆さん、おめでとうございます。
 皆さんの干支、しし鍋を囲み猪口で乾杯したら、次に、還暦を迎える日本国憲法にです。憲法前文は
 「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」
 とあり、これが、60年間、戦争放棄を貫いてきたことと、この憲法9条を守る決意を込めて、乾杯!
 次は、@ ストップ「格差と貧困」。税金の使い方を切り換えて、暮らし・福祉・医療・教育・営業を守り、都民にあたたかい、安心して暮らせる東京。
 A オリンピックに名をかりた大型開発を見直し、緑と環境優先、安全で住み続けられるまち・東京。
 B 憲法・教育基本法・地方自治法を守り、その精神で都民が平和でのびのびと働き、学ぶことのできる東京。
 の、革新都知事、吉田万三さんを誕生させ、乾杯!
 そして、赤いちゃんちゃんこのあはき法と共に、40周年の席で乾杯といきたいものです。
 皆さんの出番である亥年の「亥」は、生命力を蓄えた状態とされていますので、吉田万三さん当選と、40周年に向って、その蓄えた生命力を「猪突」してくださることを願っています。
 では、亥年生まれの方々の抱負をご紹介します。
    (編集委員  野島 潔)
  ・・・・・・・・・
 仙波 剛さん(北部)  今年の目標は、ハーフマラソンを完走すること。もう1つは、もう1度一人暮らしのチャレンジをすること。
 田中禎一さん(南部)  1935年生まれ、7回目の亥年を迎えた今年は、東視協結成40周年にもあたり、結成メンバーの一人である私にとっては「えっ? もうそんなに経ったの?」という思いです。
 さて、今年はまず、うたごえサークル「ステッキーズ」が初めてのコンサート(9月2日)を計画しています。結成以来10数年間歌ってきた歌をまとめ、これからのステップにしようとわずか8人のメンバーながら思い切って計画しました。しかし人数がもっと多ければより充実しますので、これからでもぜひ入団してください。そして、東視協40周年記念行事への参加。ステッキーズのほか、久しぶりで東視協アンサンブルも再開します。東視協意外では私の趣味でやっている国際共通語エスペラントの世界大会が8月に横浜で開かれるので、これに参加する海外の視覚障害者(約10数名)との交流を楽しみにしています。
 山田 秀憲さん(北部)  私がまだ幼少だった頃、「60歳」は失礼ながらかなりなヨボヨボの年寄りに見えた。だが、いざ自分がこの年齢を迎えてみると、少なくとも年寄りとはまだ思わない。半世紀前から比べれば平均寿命は確かにのびている。これからどうせ生きていくのなら、自分に納得できる仕事や暮らしを最後までやり遂げていきたいものだ。
 渡邉 秀一さん(北部)  この世に生を受け、すでに3回りしました。日本人に一番人気のある古人の真似をすれば、幸若舞を吟じた後15年生きれば是非もない、ということです。しかし、私とすれば家族親戚の期待を背負い、悪といわれながらも川越を繁栄させた5代将軍綱吉の腹心 柳沢吉保のように有名になりたくない、と大日本史の基礎となった「群書類従」を編纂し、自分は縁の下の力持ちでよいと志を貫いた塙保己一が好きです。彼らの生き方は私の生き方の手本でもあります。
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  吉田万三革新都政をめざします
    東視協役員会
 吉田万三さんは、革新都政をつくる会と
 @ ストップ「格差と貧困」。税金の使い方を切り換えて、暮らし・福祉・医療・教育・営業を守り、都民にあたたかい、安心して暮らせる東京をめざします。
 A オリンピックに名をかりた大規模開発を見直し、緑と環境優先、安全に住み続けられるまち・東京をめざします。
 B 憲法・教育基本法・地方自治法を守り、その精神で都民が平和でのひのびと働き、学ぶことのできる東京をめざします。
 の、3つの目標達成をめざして協定を結び、本年4月8日東京都知事選挙に吉田万三さんを擁立して闘うこととなりました。
 東視協は、障害者医療費助成、心身障害者福祉手当、児童育成手当、都営住宅家賃減免、特別養護老人ホームの視覚障害マッサージ師配置の補助金、東京都障害者福祉会館の事業と運営など、視覚障害者のいのち・暮らし・就労を支える制度を切り捨てて視覚障害者の平等と社会参加を破壊している石原都政を終わらせ、吉田万三都政を現実にする運動に取り組みます。なぜなら、障害者医療費助成など障害者のいのち・暮らし・就労・社会参加を支える制度は、石原都政とは正反対の革新都政のもとで生まれ育ったものだからです。吉田万三さんは、足立区において、区民不在の区政を区民の手に取り戻そうと奮闘した実績を持つからです。
 しかし、東視協のこの方針は、会員一人ひとりの思想・信条を無視するものではありません。革新都政をつくる会に加盟し、吉田万三都知事をめざすこの方針は、会員の要求を実現する土台と環境づくりのためのものであり、会員の思想・信条をしばるものではありません。
 国連は、昨年12月に障害者権利条約を決議し、障害者を差別しない社会を世界に呼びかけました。そのための社会環境の土台がまさに三つの目標だと思います。障害者の平等と社会参加、この道は、福祉と市民が主役、平和・人権・民主主義を最も大切にする政治と社会ではないでしょうか。

  特養マッサージ師の会 要請行動報告
    東部  稲垣 実
 昨年12月18日に東視協と共同で東京都と厚労省に要請行動を行いました。
 今回は、昨年4月の介護保険改正により機能訓練加算から個別機能訓練加算になったことでの問題が中心で行いました。特に個別機能訓練計画書などの書類や記録が増え、視覚障害者には働き続けることが困難になっている現状について訴えました。東京都の要請行動は、共産党都議団のご協力をいただき福祉保健局の担当課長が出席しました。
 要請内容は、特養の経営支援補助事業の継続と特養で視覚障害マッサージ師が安定して働き続けられるような新しい制度の創設を要望しました。また、昨年4月の介護保険改正により施設の管理者からいじめを受け、特養を辞めることになってしまった視覚障害者マッサージ師のことについて問題提起しました。課長は「あなたたちの思いはわかりました。」と冷たい回答でした。
 厚労省の要請内容は、視覚障害者が働き続けられるような制度にするよう要望し、特マ独自の思案「個別機能訓練加算についての提案」を文書で提出しました。参加者から個別機能加算に改正されての現場での問題点や質問が出されました。改正された制度通知の解釈には、都道府県により差があり、対応も異なることがわかった。その時の質問に対し後日回答があり、要望がとおり個別機能訓練計画が3ヶ月ごとの見直しについて継続の場合は、同意のサインはいらないということになりました。
 厚労省は、今回の改正について「機能訓練指導員が勤務時間に何をしているのかわからない特養があるので、機能訓練を行なったことを担保する意味で個別機能訓練計画書作成を義務づけた」と言いました。厚労省は担保を書類や記録でサービスの質を高めることができ、不正請求を防ぐことができると思っているようです。しかし、それらの書類や記録が視覚障害者の雇用に高いハードルとなっていることに気がついていないようです。書類や記録を書く時間が増え、肝心なお年寄りに対する機能訓練やマッサージの時間が減っていることがわからないのでしょうか。

  【読者投稿】 糖尿病でも食べられるフレンチ風「ヘルシーなフルコースを堪能して」
    南部  山中 由紀子
 今回は、12月2日に慶応病院の糖尿病の患者会で、早稲田にあるリーガロイヤルホテルにヘルシーなフランス料理のフルコースを食べに行った時のことを、高田馬場からのシャトルバスの乗り場探しの苦労話を交えて書かせて頂きます。
 夕方の4時半くらいに高田馬場駅に着き、電車の暖房で喉が渇いたので、ビッグボックスに行き、まず交番でシャトルバスの乗り場を訊きました。私の手を取って、乗り場がある方向に向けたり、言葉も交えて教えてくれました。それから交番近くのお店でコーヒーを飲み、教えてもらった場所に向かいました。九段下行きの都バスのバス停は見つかったので、シャトルバスの乗り場も近くにあるはずだと思い、うろうろ探しまわったり尋ねたりしましたが見つかりません。途方にくれていたら、5時過ぎに観光バスに似たバスが来たので、ホテル行きのシャトルバスであることを確認してやっと乗りました。
 ホテルに着き、参加者がそろい、食事会が始まりました。まずは、乾杯! 私はシャンペンを少しずつ飲むことにしました。
 メニューとしては、4品が出ました。前半の2品はとても食べにくいもので、スプーンではキノコがすくえず、スープのお皿も浅いためスープがすくいにくく、パンにつけて食べました。きれいに上手に食べられませんでした。
 出されたメニューは、温かいキノコのサラダ、ブイヤベース、トリ胸肉のファルシー(キエフ風)、フルーツカクテル、パン、バター、コーヒー。
 料理は、塩分・脂肪分共に控えめで、彩りもよく、「よくここまでカロリーを抑えられたものだ」と感心しました。もちろん、お食事は全部食べてもかまわないと参加された先生より話がありました。糖尿病とうまく生活していくうえでの工夫などについて談笑しながらおいしく楽しいひとときを過ごすことができました。
 私は、糖尿病を発病して、「西洋料理は、バターをたくさん使って作られているから、もう食べられない」とずっと思っていましたが、今回の会食で色々なものを少しずつ食べれば、お腹がいっぱいになるということを痛感しました。各地のおいしいものや外国のお料理も食べてみようと思いました。

  12月の教養講座に参加して
    南部  下奥 重望
 12月の教養講座は、「国連障害者権利条約と障害者差別禁止法」というテーマで、野村茂樹弁護士に講演をしていただきました。野村氏は学生時代、弱視になられ、弱視者として初の司法試験に合格され、弁護士活動をしておられます。
 まず、障害者権利条約が制定された経緯についての歴史的な背景を話されました。国連では、1948(昭和23)年に「世界人権宣言」が採択されたあと、児童や障害者の権利宣言が発表されました。しかし、これらは義務的な効力はありません。1981年に、国際障害者年が国連のテーマに掲げられ、障害者に対する関心は世界的に高まりをみせましたが、条約までは制定されることはなく、昨年12月、ようやく『障害者の権利に関する宣言』が採択されたそうです。
 次に、障害者差別について触れられ、全国初の千葉県が制定した『障害者差別禁止条例』について説明されました。同条例は、障害当事者、家族等からの色々な事例を集めそれらの事例を個々に検討したうえで、制定された画期的な条例です。野村氏も、自分が体験した差別の内容について触れながら話されましたが、同じ人間でありながら、「障害者だから」という理由で、差別されなければならないのか、憲法では「健康で文化的な最低限度の生活」「職業選択」「学問の自由」などが保障されているのに、実際はまったくといってよいくらい保障されていない矛盾があることについて、自分の生活を振り返りながら感じました。
 たいていの人は自分のせいで障害者になったわけでもありませんし、また意識的に障害者になろうと思って生活している人はいません。それなのに「障害者」になると、世間の都合で良くも悪くもみられますし、(特に)何かできないことがあると、個人として判断されるのではなく「障害者だからできない」という矛盾を感じながら生きなければならないのは、おかしな社会ではないかと思った次第です。
 講演を聴きながら、本当に障害者一人ひとりが「個人」として尊重される日が1日でも早く訪れることを願う次第です。

  【読者投稿】 あっと驚く30年!
    西部  中谷 茂
 気がついたら30年連続、通算70回も行ってたの!
 それは一人の友達の誘いから始まった。その頃私は青年ではあったが、政治的にはまだミーハーだった。もちろん東視協にも入っていなかった。とはいえ、仕事をしていても同年代の友達はいないし、もちろん恋人もいなかった。歌声運動をやっていた友達に誘われて、わらび座という劇団の集まりである「わらび正月」に誘われたのはその頃だった。ただ、伝統的な日本文化、民俗芸能に興味があったわけではなかった。年末に家で紅白を見て酒を飲んでいる生活に飽きたからだ。ちなみにその頃流行っていたのはジュリーの「勝手にしやがれ」とか、石川さゆりの「津軽海峡冬景色」などであった。
 わらび座の歴史の奥深さには感動しましたが、あの田沢湖町の原野を開拓し、生活寮や劇場を自分たちの手で作り、重いテープレコーダーをかついで村の人々から民謡をきいて、それをみんなで歌い、踊りの練習をしていたなど、それは頭の下がることばかりだった。劇場の機材(照明器具など)も古くなった公民館のものを払い下げてもらい、それを今でいうリニューアルしてまるで新しいもののように使っていた。
 そういうお祭りなので参加者は知り合いであろうがなかろうが、まるで以前から知り合いであったかのような接し方で私とも知り合いになってくれた。夜を徹して悩みや、要求などを話し合っているうちに仲間と団結をすることの大切さを学びました。お祭りの行事として行われた映画会では、ベトナムの映画の字幕を参加者の労働組合の人に読んでもらった。当事、聾唖者の人たちが芝居を手話通訳で見たり、歌声の歌の手話コーラスなど、文化権を主張して闘っている姿とだぶり、視覚障害者の文化権の運動もやろうと思いました。
 その後 私は東視協に入り、文化運動、歌声運動を中心にやり、正月は毎年わらび座に行き、それでも足りなくなって春、夏にも参加しました。そういう中で10年目に結婚をし、新婚旅行先もわらび座に行きました。しかし、満員だったので夫婦は別部屋となった。
 時代は進み、東ヨーロッパの崩壊、わらび座が温泉を掘り当て、銀行の介入で資本主義化してきて昔の面影を壊す風潮がはびこり、多くのわらび座ファンをがっかりさせたが、わらび座は健全な発展をしようとするグループが勢力を盛り返し、日本文化を西洋のミュージカルと合体させ、新しい分野を開拓している。それに伴いかつてのお祭りの良さも復活してきている。
 書き出すと長くなりますが、私は連れ合いと一緒にこれからもわらび座に行き続けるでしょう。なお、わらび座の詳しい話は私のところに聞きにきてくれればもっといろんなことをお話します。

  【連載33】内閣告示「常用漢字表」原案に差別語を発見
  ー 自動代筆で国語審議会全委員に差別語の撤廃を要請し成功 (4) ー
 「六点漢字の自叙伝」が2回ほどお休みになりました。
 このシリーズの前号では、私が国立国語研究所の林大先生を訪ねて、新しく改訂される常用漢字表の「盲学校」の「盲」の字の訓読みの「めくら」がどうなっているかを質問したところまで書きました。
 その先生からのお答えは次のようでした。
 先生は「残念ながら、そのまま残されています」とお答えになった。そこで先生から審議会で、この差別語を削除するようにご提案くださるようにお願いした。
 先生が、私の気持ちをよく理解してくださり、協力的であることはわかっていた。しかし、国語審議会は、国語のあり方についていろいろな考え方と立場の人たちの集まりであり、何事も新しいことを決めるには相当な議論と手続きがいるようであった。
 私の想像では、先生は国立国語研究所所長ということで、その審議会の中で難しい議論をまとめられる立場であったのだと思う。だからご自身で、反対の予想される提案はお避けになったのであろう。先生は「あなたの目的を実現するには49人の審議会委員に、直接にお願いの手紙を出すのがよいでしょう」といわれた。
 これは誠にありがたいご提案であった。
 そこで私は思いついた。やっと大型コンピュータを用い、点字キーで墨字が書けるようになったところである。まだ、一般にもパソコンもワープロもない時代であり、ここで私が視覚障害者であることを名乗り、点字で書いたデータを普通の文書にして請願すれば、きっと効果的だと。
 そこで、虎ノ門にある日本コンピュータセンターというところで、私がいって作ったコンピュータ用の紙テープデータから墨字の請願書をプリントアウトしてもらった。
 手紙の発送は、昭和54年1月30日であった。
 「常用漢字表案」の答申は迫っている。私は、各委員からの返事を待った。しかし、1通の返事もなかった。各委員は、個人からの請願には返事をしないことになっていたのかもしれない。だか、どんな手紙の返事にも勝る無言の返事があった。
 それは、昭和54年3月30日の審議会による「常用漢字表案」の答申であった。そこからは、見事に差別語が消えていた。(続く)

  情報アラカルト
 皆さんはどんなお正月を過ごされましたか? 風邪やノロウイルスが流行しています。いつもよりもしっかりと手洗いをし、うがいもお忘れなく!!
 1.変わりもち
 しゃぶしゃぶ用もちを食べる数だけ焼く。焼いている間に、かまぼこの薄切りと、ミニトマトを半分に切ったものをもちの数だけ用意する。焼き上がったもちにかまぼこの薄切り1枚を乗せて、その上にミニトマトを乗せる。皿に盛りつけ、すし酢を少し流し入れて出来上がり。雑煮、お汁粉、きな粉もちなど定番メニューに飽きた方、試してみてください。もちはご家庭にあるもちでも、小さく切って使ってください。
 2.おいしいみかんの保存の仕方
 温州みかんをおいしく保つには、箱に入っているものでも、穴の開いた網袋に入れて涼しい場所に置く。暖かいところは避ける。箱に入れたままで外に置くことも、できればしないでください。

  ありがとうコーナー(省略)

  役員会だより
 このコーナーの問い合わせ、参加の連絡は、事務局 03−3207−6014まで。
 2007年がスタートしました。今年は、東視協・全視協結成40周年の年、大きな行事がたくさんあります。会員、私たちの暮らしと福祉を左右する都知事選挙、参議院議員選挙の年です。役員会は、仲間の力を結集してがんばりましょう。どうぞよろしくお願いいたします。
 @ 石原都政の税金無駄遣いと福祉切り捨ての都政を変え、吉田万三革新都政を実現しようと、多くの皆さんにご協力いただき、革新都政をつくる会発行のビラ(点字・活字版)を先ごろ、都内の視覚障害者に送りました。このビラの内容を知人に広げていただきたいと思います。さらに東視協は、私たちの思いを多くの都民に広げるために、街頭宣伝にも取り組みます。当面、1月21日(日)に銀座で行ないます。午前10時・丸の内線銀座駅ホームの中央で待ち合わせて、移動して1時間程度宣伝をします。ぜひご協力ください。参加される方は事務局までご連絡ください。
 A 革新都政をつくる障害者の会が、都知事予定候補者の吉田万三さんを招いて「障害者家族の春を呼ぶ集い」を2月4日午後1時から行ないます。東視協は、12時30分に地下鉄有楽町線麹町駅の市谷寄り改札口で待ち合わせて参加します。
 B 3月3日・4日に行なう石和温泉への参加を募集しています。希望はブロックごとに集約していただきますようお願いいたします。締め切りは今月末です。
 C 東京都や区市町村の予算を決める議会が2月から始まります。ガイドヘルプ・日常生活用具給付など区の行なう事業への改善の要求を請願や陳情にまとめて提出しましょう。昨年夏、東視協はこの運動に取り組み、荒川区、葛飾区、豊島区、中野区などでガイドヘルプや日常生活用具給付事業の改善を勝ち取っています。

  日程情報
1/17(水) 障館相談(担当・鈴木 彰)
 同  事務局会議
 同  こだま1月号テープ版発行(予定)
1/18(木) こだま1月号活字版発行、事務局作業
1/20(土) 事務局作業
 同  「ステッキーズ」レッスン
 同  青年学生部例会
1/21(日) 都知事選銀座行動
 同  東視協役員会
 同  40周年事業実行委員会
1/22(月) 東視協規約検討委員会
1/24(水) 障館相談(担当・栗山 健)
 同  事務局会議
1/25(木) 事務局作業
 同  まちづくり委員会
 同  日本共産党都議会議員団大衆団体との懇談会
1/26(金) 革新都政をつくる障害者の会代表者会議
1/27(土) 事務局作業
1/28(日) 教養講座「統合医療における鍼灸マッサージ師の役割」
1/27(土)、28(日) 全視協弱視者交流集会
2/1(木) 駅ホーム転落事故ゼロの日行動
2/2(金) 雇用を進める会
2/3(土) 「ステッキーズ」レッスン
 同  北部ブロック会
2/4(日) 革新都政をつくる障害者の会決起集会
2/7(水) 障館相談(担当・織田津友子)
 同  事務局会議
2/8(木) 事務局作業
2/10(土) こだま2月号点字版発行
2/11(日) 視覚障害者9条の会講演とトークの集い
2/12(月) 南部ブロック会
2/25(日) 教養講座「障害者の年金制度」(予定)、多摩障害者スポーツセンター
3/1(木) こだま編集委員会
3/3(土)、4(日) 東視協1泊旅行

  編集後記
 読者の皆さん、あけましておめでとうございます。今年も会報「こだま」をよろしくお願いいたします。
 昨年は、自立支援法で始まり、自立支援法で終わりました。この問題は応益負担がなくなるまで運動を続けないと障害者の未来は見えてきません。
 東視協も結成40周年を迎え、新たな一歩を踏み出そうとしています。記念行事や新事務所の開設など東視協活動の新たな基礎を作り出そうとしています。皆さんのなお一層のご協力をお願いいたします。そのためにも、会長挨拶でもありましたが、会員を150名以上増やし、一回り大きな東視協を作り上げるということが今後の課題でもあります。今なお一人で困っている仲間がたくさんいるはずです。多くの仲間に呼びかけ、東視協を増やしましょう。