センター通信より

ボランティア紹介


点訳を通して平和への思い

点訳友の会「ムッツゴロ」 K.N


 自分の闘病、親の介護を経て穏やかな時間を取り戻し、ようやく昨年から図書の点訳を再開しました。「浦島さん」状態で不安もありましたが先輩方にアドバイスを頂き、また校正を引き受けて下さった三人の仲間の皆さんに支えて頂きながら、何とかこの春に仕上げる事ができました。
 その本は『チェーホフの生涯』という翻訳物です。ロシアの偉大な劇作家という事は知っていたのですが、特別に好きな方という訳ではなく、偶然に図書館の新刊コーナーで目にとまりました。チェーホフ家の家族写真が表紙になっていて、その真ん中で優しく微笑んでいたチェーホフにひと目ぼれしました。
 その時はまだロシアのウクライナ侵攻は始まっておらず、久しぶりの点訳を楽しみつつ、ロシアの雄大な大草原や悠然と流れるボルガ川の風を感じながら遠くロシアに思いを馳せていました。
 チェーホフはアゾフ海に面する港町、タガンローグの出身で地図で見るとウクライナに近い場所です。また奇しくも作者のイレーヌ・ネミロフスキーは今、盛んにテレビ等で報じられている、まさしくあのキエフの出身です。そのキエフの惨状を目にした時は120年以上も前の二人の作家を思い出し、もしこの現状を見られたら、何と思われるだろうと、とてもいたたまれない気持ちになりました。
 また、イレーヌ・ネミロフスキーはユダヤ人作家として迫害を受けながらも小説を次々に発表し続けるも、最後はアウシュヴィッツ収容所で非業の死を遂げられています。
 何の罪もない人達をまき込む戦争は絶対にあってはなりません。戦争ほど愚かな事はありません。一日も早くやめるべきです。
 そしてウクライナに平和が訪れる事を願ってやみません。
 今回、たまたま携わった点訳で平和への思いをより一層、強く胸にきざみました。これからも図書の点訳を通していろんな事を学んでいきたいと思っています。
 最後に私達「ムッツゴロ」は草創期から尽力下さった先輩方や、頼もしいリーダーの元、29名のメンバー一丸となって頑張っています。私も微力ながら視覚障害者の方へ丁寧でわかりやすい情報が提供できるように精進して参りたいと思っています。

以上