<表紙> 国連障害者権利委員会の最新動向 2019年12月5日 JDF全国フォーラム 静岡県立大学 国際関係学部 教授 東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授 内閣府障害者政策委員会 委員長 国連障害者権利委員会 副委員長 石川 准 <スライド2> 会議にて 集合写真 会議中の様子(写真) <スライド3> 障害者権利委員会(CRPD)の活動状況(1) ・新執行部体制がスタート   委員長: Danlami Umaru BASHARU(ナイジェリア)   副委員長:Jun ISHIKAWA(日本) Jonas RUSKUS(リトアニア)          Rosemary KAYES(オーストラリア)    書記: Amalia Eva GAMIO(メキシコ) ・国際法の専門家( Markus SCHEFER :スイス)が新たに委員に選出 ・ジェンダーバランスが改善。6/18が女性 <スライド4> CRPDの活動状況(2) ・会期は初年度から変わらず年2回 ・会期の日数は次第に増加し、本年は各4週間 ・しかし予算削減の影響を受けて来年からは春3週間、夏4週間に会期の短縮 ・本年は18カ国(初回審査14、定期審査4)を審査。来年は予算減のために14カ国 <スライド5> バックログ問題 ・初回審査優先の方針と、それに伴う簡略定期審査のための事前質問事項(LOIPR)採択の当面の間の最小化方針を執行部会議で決定 ・バックログの操作的定義の採用を執行部会議で提案。操作的定義の石川案は、審査待ち締約国のうち、報告書提出後二年を経過した国の数 ・現在(第22会期終了後)の初回審査のバックログは単純計算では37だが操作的定義(実質的定義)では17 <スライド6> 審査体制の課題 ・LOI、LOIPR、 COBsには締約国の障害者組織(OPDs)、国際NGO等、総じて市民社会の力量が反映する ・権利委員会ではLOI、LOIPR、COBsの原案を国別報告者(Country Rapporteur)が書く。担当事務局職員が原案を読みコメントを返し、校正等の編集作業を行う。したがって国別報告者の経験、専門知識、熱意、投入した労力、問題意識が原案の完成度や重点に多少とも影響する <スライド7> 2020 TB Review ・CRPDは条約体委員長会議等で意見を表明 > 建設的対話の時間は6時間は必須。削減すべきでない > ダブルチャンバー(double chamber)は実施困難 > 年3回の会期実施は困難 <スライド8> 内閣府政策委員会の役割 ・障害者基本計画政策委員会案の策定 ・基本計画実施状況監視 ・権利条約の独立した監視枠組み(IMM:Independent Monitoring Mechanism)としての役割 <スライド9> 今期の政策委員会の主たる作業 ・障害者差別解消法の見直し ・権利委員会審査を前にしたIMMとしての活動 <スライド10> 差別解消法見直しの論点 ・間接差別を含む差別の定義の明確化 ・民間事業者の合理的配慮提供の義務化 ・相談、紛争解決の仕組みの強化(将来指向非金銭的救済〈Forward-looking, Non-pecuniary Remedies〉を含む) ・障害者差別解消支援地域協議会の強化 <スライド11> 権利委員会一般的意見に基づく差別解消法見直し作業 ・権利委員会一般的意見第6号(第5条 平等及び無差別)に基づき論点を抽出 ・差別禁止法が実装すべき規定を一般的意見に基づき抽出し、現行の差別解消法との差分を示す方法論を採用 ・自治体調査で収集した課題から法改正および運用の改善の論点を抽出する手法も併用 <スライド12> IMMとしての活動の課題 ・ほとんどの締約国においてIMMは審査前にパラレルレポートをまとめ権利委員会に提出する。また政府代表団の一員として建設的対話に、あるいは市民社会の一員としてブリーフィングに参加する ・政策委員会がこうした活動を行えるか否かは未定。ハードルは高い <スライド13> 日本の権利条約実施の課題は多岐に及ぶ ■たとえば > 差別解消法 > アクセシビリティ > 意思決定支援 > 非自発的入院 > 地域移行 > パーソナルアシスタンス > インクルーシブ教育 > 障害統計 > 国内監視 など <スライド14> 情報アクセシビリティ ・我が国には情報アクセシビリティ政策を推進するための根拠となる個別法が未整備 ・情報アクセシビリティは障害者政策のほぼ空白地帯であった <スライド15> 情報アクセシビリティ関係法令、施策の進捗 ・WIPOマラケシュ条約批准 ・読書バリアフリー法の制定 ・移動等円滑化法、バリアフリー整備指針に、ウェブアクセシビリティ指針が新設される ・デジタル共生社会実現会議報告書の策定 ・電話リレーサービスワーキンググループの報告書がまもなくまとまる <スライド16> 電子書籍のアクセシビリティ 米国・EUの効果的なアクセシビリティ政策 ↓ ・Kindle電子書籍はiOSやAndroid内蔵の音声読み上げ機能を使ってKindleアプリで読書できる ・電子書籍端末Kindle fireも読み上げ機能を提供 <スライド17> Amazon Accessibility Advisory Council 2019 Amazonの本社「Day 1」ビル 球体温室型ワークスペース「The Spheres」 Day 1 ビル内に展示されている歴代のkindle レジなしコンビニ「amazon go」 <スライド18> 米国のアクセシビリティ政策(1) ・リハビリテーション法508条=代表的な公共調達法 ・連邦政府は巨大かつ最大の顧客 ・2017年に508条アクセシビリティ基準を改定 ・欧州のアクセシビリティ基準であるEN301549と高い整合性がとれている ・WCAG2.0とも高い整合性 <スライド19> 米国のアクセシビリティ政策(2) ・CVAA: The Twenty-First Century Communications and Video Accessibility Act ・21世紀における通信及び映像アクセシビリティ法 ・インターネットテレビへの字幕付与、モバイルデバイスのアクセシビリティを民間事業者に義務づける ・titleT.スマートホンのアクセシビリティ対応等 ・titleU.インターネットテレビへの字幕付与等