<表紙> 障害者権利委員会と、委員会との協働の方法 テレジア・デゲナー 2019年12月 JDF全国フォーラム(東京) <スライド2> 演題 1.障害者権利委員会について(委員長としての経験) 2.市民社会組織の役割(協働のためのアドバイス) 3.「人権モデル」と、その国内政策への影響 4.総括所見を受けたあとの、締約国の取り組みの好事例 5.さいごに <スライド3> おめでとうございます! 日本の市民社会は、権利条約の最初の審査に向けて、順調に準備をされています。 <スライド4> 日本の第1回政府報告、事前質問事項、市民社会からのパラレルレポートの一覧 (障害者権利委員会のホームページより) <スライド5> 1.障害者権利委員会について(委員長としての経験) <スライド6> 障害者権利委員会 2009-2019 権利委員会最初の10年 ボーフム障害学センター(BODYS)発行 「インクルーシブな平等をめざして:権利委員会の10年」 ※日本語訳がネットで公開されています。(書名で検索!) ※テレジア・デゲナー 参考資料「障害の人権モデル」  英文 https://www.researchgate.net/publication/283713863 仮訳 http://www.jdnet.gr.jp/report/17_02/170215.html <スライド7> 障害者権利委員会の最初の10年 ・70以上の締約国の報告、総括所見 ・20以上の個人通報 * ・7つの「一般的意見」 ・2つの調査(イギリス、スペイン) * ・数多くの声明 (*選択議定書による) <スライド8> 理念的な獲得:障害の人権モデル 医学モデル 人を機能障害でしか見ない ↓ 社会モデル 障害は社会によって作られる ↓ 人権モデル 人権はノーマルであること/健康を必要としない <スライド9> 理念的な獲得:インクルーシブな平等 形式的な平等 同じような状況にある人を、同じように扱う。「分離するけれども平等」 実質的な平等:事実上の平等−間接差別を含む インクルーシブな平等: 1.(公平な)再分配 2.(尊厳などの)認識 3. 参加 4. 配慮 <スライド10> 個人的な「獲得」 ガブリエラが2017年に正義を求めに来たとき、私が女性障害者として障害者委員会委員長だったこと <スライド11> 2.市民社会組織(CSO)の役割 ・「私たち抜きに私たちのことを決めないで」   条約策定過程(2002-2006)でのモットー ・締約国は責務の履行者だが、CSOは変化を起こす行為者 ・ジュネーブでは:  情報源となり、通報を行い、調査を提起し、一般的意見について意見提供する ・国内では:  条約の実施と監視 <スライド12> 一般的意見第7号(条約第4条3項および第33条3項関連) 条約の実施と監視に、障害者(障害のある子どもを含む)がその代表する団体を通じて参加することに関する一般的意見第7号(2018) 第4条(3) 締約国は、この条約を実施するための法令及び政策の作成及び実施において、並びに障害者に関する問題についての他の意思決定過程において、障害者(障害のある児童を含む。以下この3において同じ。)を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、及び障害者を積極的に関与させる。 第33条(3) 市民社会(特に、障害者及び障害者を代表する団体)は、監視の過程に十分に関与し、かつ、参加する。 <スライド13> 一般的意見第7号 ・障害者による団体、障害者のための団体、その他の団体 ・連合団体、障害種別を超えた団体、当事者団体、家族・女性・子どもなどを含む団体(多様性!) ・個人または集団的権利としての参加 ・すべての障害者による意味のある参加(アクセシビリティ!) ・団体の法的能力(法的地位)や登録手続きなどが、  参加の障壁となってはならない ・資源と能力の開発 <スライド14> 障害者団体と市民社会組織による、障害者権利委員会の作業への参加に関するガイドライン(2014) ・締約国の審査  > パラレルレポート  > 委員へのブリーフィング  > 文書提出 ・一般的意見の起草  > 一般的討議の日(への参加)  > 意見提出 ・個人通報への関与  > 助言、代表(代理)、   第三者としての関与、   フォローアップ ・調査への関与  > 情報提供、訪問の支援、   フォローアップ ・締約国の能力向上 ・早期の警告と緊急な行動 ガイドラインに従い、時間と字数制限を守ることは大切です! 国別報告者と共に作業することは大切です! 権利委員へのブリーフィングは大切です! <スライド15> 3.人権モデルと、その国内政策への影響 ・条約12条は、人権モデルの要石 ・障害の定義が、障害モデルと混同されてはならない! ・インクルーシブな平等が、人権モデルに基づく政策の指標となる:  ・公平な再分配がされているか?  ・(尊厳などが)適切に認識されているか?  ・意味のある参加がされているか? <スライド16> 4.総括所見を受けた後の、締約国の取り組みの好事例 ・総括所見を、アクセシブルな形で自国語に翻訳する! ・自国でフォローアップ会議を開催する! ・国内行動計画を改定する ・条約の国内実施戦略を作る(立法、政策、法体系) ・独立した監視機関を設立または強化する ・市民社会の参加を確立または強化する <スライド17> 5.さいごに ・日本の第1回政府報告は、権利委員会24会期(2020年8月〜9月)で審査される ・事前質問事項(2019年9月)を見ると、建設的対話では多くの課題が審査される見込み ・市民社会組織へのアドバイスは:  ・ジュネーブに行き、国別報告者や権利委員に   ブリーフィングすること  ・建設的対話では、主要な3〜5つの課題に集中すること  ・総括所見に含めるべき課題に集中すること  ・声を一つにすること <スライド18> ご清聴ありがとうございます ご質問をどうぞ