JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第92号 2011年3月29日発行 ―目次― トピックス 1.マヤ・トーマス氏との意見交換会(2月15日、愛知県日進市) 2.マヤ・トーマス講演会(AHI、日本福祉大学 2月15日) インフォメーション 1.JDF東北関東大震災被災障害者総合支援本部設置 2.国連障害者の権利条約批准国情報 +++++ トピック 1 マヤ・トーマス氏との意見交換会(2月15日、愛知県日進市) AHI 清水香子 2010年2月15日、アジア保健研修所(AHI)では、マヤ・トーマスさんをお招きし、日進市で障害の課題に地域でとりくむ方々・市福祉課の方との昼食交流会・意見交換会を行いました。 マヤさんより、障害分野で活動する方たちが、分野を越えて地域の他の課題にとりくむグループや行政などとつながり、よりよい地域をつくっていこうという共通の目的を持って、一緒にとりくむことの大切さが語られると、これを受けて日進の方々より、それぞれの努力や課題が話されました。 長年、異なる障害を持つ方が共に協力しあって就労し、彼らの結びつきを生み出してきたNPO法人なかまの家(ポレポレ)の山口朝子さんは、彼らがひとりぼっちにならない地域をつくろうと努めてきました。近所の高齢者の方にボランティアの協力を依頼することで、地域で孤立化する高齢者の方の生きがいや地域との関係づくりの場を提供する役割も果たしているといいます。またお好み焼き屋の運営を通じて、市や他のNPOが企画するイベントや事業にも積極的に参加・協力し、障害を持つ人々と地域の方とがふれあい、彼らが地域に貢献する機会も多く持ってきました。それにより、障害への先入観や偏見といった壁をなくし、彼らもいてこその「日進=わたしたちのまち」だという認識を人々の間に作り出そうとしています。これらは、マヤさんが繰り返し述べていた「CBID=まちづくりにおいて誰もが排除されない、誰もが排除されないまちづくり」と重なりました。 マヤさんは、その力強い働きに「とても励まされました。これから実践してみたいアイディアもいただきました」とのこと。日進の方々にとっても、マヤさんの論にあてはめて自分たちの活動を改めて考え、その意味、またそれぞれの役割を改めて確認し、勇気づけられる機会になったようでした。 *************************************************** +++++ トピック 1 マヤ・トーマス講演会(AHI、日本福祉大学 2月15日) 日本福祉大学 石本馨 当大学でCBRに関する公開講座を開くのは2009年以来2回目である。今回は財)日本障害者リハビリテーション協会のご協力のもと、アジア保健研修所(AHI)との共催で、東京でのセミナーを終えたマヤ・トーマスさんをお招きして上記のタイトルで講演会を実施した。前半はマヤさんからCBIDの意義、CBRとCBIDの関係、インドや中国の事例を通してCBIDの実際や発展に向けての課題などをご講義いただいた。後半では障がい者の活動事例としてアジア保健研修所(AHI)の清水香子さんからインドネシアの障がい者自助グループの活動が、またNPO法人チャレンジドの辻直哉さんからご自身による知多地域の活動が紹介された。 清水さんは、障がい者が既存の住民組織に関わったことで住民の態度が変化した事例を紹介し、自助グループが障がい者間の交流機会となり彼らの意識変革につながったこと、また、地域の文化や価値観との融合が活動の鍵となったと述べた。辻さんは頸髄損傷を持ったご自身の経験から名古屋鉄道や中部国際空港のユニバーサルデザイン化に関わった経緯を紹介された。また、障害を持つ大学生へのヘルパー派遣目的でNPOを設立したが、実際のニーズは地元の障がい児・者や高齢者のほうが多く、今では地域福祉の拠点となっている現状が紹介された。二人の事例に対し、マヤさんからは国や地域の現状が異なれば障がい者を取り巻く課題や手段が異なるが、CBIDのガイドラインは共通のツールとしてどの国においても活用可能であること、今後は効果検証も含めた事例集積が必要であるとのコメントがあった。 今回の講演を通して、障がい者自身が自分の利益のみならず障がい者全体の共通課題としての問題に取り組むことの大切さと、彼らの活動が地域全体の活性化につながり得ることを確信した。それと同時に日本にもCBIDの事例が多数存在することを改めて実感し、事例集積に当たっては日本からも発信する必要性を感じた。 *************************** インフォメーション 1.JDF東北関東大震災被災障害者総合支援本部設置 2011年3月18日(金)に「JDF東北関東大震災被災障害者総合支援本部」が設置されました。 このたびの震災で大きな被害を受けた被災障害者を支援するため、構成団体の力を結集して取り組んでいきます。 総合支援本部を東京に置くとともに、当面、現地支援センターを宮城県仙台市内に設置します。 下記のホームページでは、日々の活動記録や速報、要望書等の公文書、その他を掲載していきます。 URL: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/JDF_shienhonbu.html 2.国連障害者の権利条約国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 1. アルジェリア 2. アルゼンチン 3. オーストラリア 4. オーストリア 5. アゼルバイジャン共和国 6. バングラディシュ 7. ベルギー 8. ボリビア 9. ボスニア・ヘルツェゴビナ 10. ブラジル 11. ブルキナファソ 12. カナダ 13. チリ 14. 中国 15. クック諸島 16. コスタリカ 17. クロアチア 18. キューバ 19. チェコ共和国 20. デンマーク 21. ドミニカ共和国 22. エクアドル 23. エジプト 24. エルサルバドル 25. フランス 26. ガボン 27. ドイツ 28. グアテマラ 29. ギニア 30. ハイチ 31. ホンジュラス 32. ハンガリー 33. インド 34. イラン 35. イタリア 36. ジャマイカ 37. ヨルダン 38. ケニア 39. ラオス 40. ラドビア 41. レソト 42. マラウイ 43. モルディブ 44. マリ共和国 45. モーリシャス 46. メキシコ 47. モンゴル 48. モンテネグロ 49. モロッコ 50. ナミビア 51. ネパール 52. ニュージーランド 53. ニカラグア 54. ニジェール共和国 55. オマーン 56. パナマ 57. パラグアイ 58. ペルー 59. フィリピン 60. ポルドガル 61. カタール 62. 韓国 63. ルワンダ 64. サンマリノ共和国 65. サウジアラビア 66. セルビア 67. セイチェル共和国 68. スロバキア 69. スロベニア 70. 南アフリカ 71. スペイン 72. スーダン 73. スウェーデン 74. シリア 75. タイ 76. チュニジア 77. トルクメニスタン 78. トルコ 79. ウガンダ 80. ウクライナ 81. イギリス 82. タンザニア連合共和国 83. ウルグアイ 84. バヌアツ共和国 85. イエメン 86. ザンビア 87. アラブ首長国連邦  88.エチオピア 89.マレーシア 90.リトアニア 91.アルメニア 92.ナイジェリア 93.モルドバ共和国 94.セネガル 95. セントビンセント及びグレナディーン諸島 96.欧州連合 EU 97.ルーマニア 98.トーゴ共和国 (2011年3月22日現在) 国連 批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 +++++ 編集後記 このたびの地震と津波の被害に遭遇され今も困難な状況に直面されている皆さま、被災により亡くなられた方のご遺族の皆さま、原子力発電所の事故により避難生活を強いられ、不安な日々を過ごされている皆さま、停電や物資の不足により耐乏生活を余儀なくされている皆さま、全ての被災者の皆さまに心からお見舞い申し上げます。  今号のトピックスでは、今回の未曾有の自然災害が起きた3月の前月に行われた意見交換会と講演会を取り上げています。このタイミングで国際協力に関する情報を掲載したメールマガジンを発行することは、地震前の平常心でいられた頃に情報提供していた頃と較べて、心が落ち着かない感じがしています。しかし、インフォメーションで紹介しているJDFの総合支援本部のホームページから関連のリンク先の情報まで目を通すと、多くの方が苦難を乗り越えるために、様々なところで「つながり」を強め、少しでも正常な「今後」に向けて奮闘努力されている姿が見えてきて、頭が下がるばかりです。  全ての被災者の皆さんにとって、今日よりも明日が、明日よりも明後日が、少しでも不安の取り除かれた平穏な日となるよう心よりお祈り申し上げます。 社団法人日本理学療法士協会 国際部 古西 勇 JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。 団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 Email: URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/