JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第82号 2010年5月28日発行 ―目次― +++++ トピックス 1.上海世博の障害者パビリオン 2.CSR推進NGOネットワーク 平成22年度準備会議に参加して (2010年4月22日) 3.CSR推進NGOネットワーク 第1回定例会 報告 (2010年5月13日) +++++ インフォメーション 1.AAR緊急支援活動 2.JANNET 「CBRと開発」 勉強会 報告書が完成 3.国連障害者の権利条約批准国情報 (2010年5月28日現在) +++++ イベント情報 1.ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第11期生 成果発表会 (2010年6月20日) 2.第12回 高齢障害者のための移動と交通に関する国際会議 +++++ トピック 1 上海世博(万博)の障害者パビリオン 社会福祉法人 日本点字図書館 田中 徹二 メインゲートから左のBゾーンにある生命陽光館のテーマは、「差別をなくし、貧困を脱却し、生命を大切にし、陽光を分かち合う―より良い都市、より良い障害者の生活」です。万博史上初めての障害者パビリオンだけに期待を持って入館しました。片足のない女性が車いすで一人ずつ声をかけながら迎えてくれました。入るとすぐ右手に白いグランドピアノが置かれていて、毎日午前と午後の二回、著名な視覚障害ピアニストが演奏しています。私が訪れたときには、全盲のスン・ヤンさん(北京中央音楽院)が演奏していました。 真っ暗な中を歩かせて、目の見えない状況を体験させるコーナーがありました。10人ぐらいを一組にして案内するのですが、前の人の右肩を右手でつかみ一列になって進みます。左の壁にはさまざまな形の浮き出し図形が木彫りされていて、それを触りながら確認できるようになっていました。しかし、中国語の説明だけでしたのでさっぱりわかりませんでした。最後に盲人サッカーの実演があり、鈴の入ったサッカーボールを転がす音が聞こえてきて、しばらくすると激しくボールを蹴る音がしてゴールインしたようでした。 その脇に手を使えない障害者が口に筆をくわえたり、足で筆を使って、絵や書を書く実演がありましたが、私が訪れたときには、午前の実演が終わってしまっていて、絵や書だけが展示してありました。 「生命陰院」という部屋では、肖像画、写真、動画などを使った映画を上映していました。ホメロス、ベートーヴェン、エジソン、ヘレンケラー、ホーキング博士など有名な障害者、鑑真和尚をはじめとする中国人の障害者を紹介していました。 機器の展示では、主に視覚障害者用のものを触りましたが、特に珍しいものはありませんでした。そのほかでは、補聴器、スポーツ用義足などがありました。また、ALSで全身まひの人が目の動きだけでコンピュータを操作する展示もありました。 ほかのパビリオンは、並んで入っても、映像がほとんどで説明は中国語のみ。私にとってはとても満喫できる状況ではありませんでした。また、優先入場させてくれたのはイタリア館だけで、あとは白杖を見ても知らん顔をされました。 +++++ トピック 2 CSR推進NGOネットワーク 平成22年度準備会議に参加して JANNET事務局・日本障害者リハビリテーション協会 上野 悦子 4月22日にJANICが開催した標題の会議に出席しました。参加者は19団体から21人でした。今回の準備会議は、今年度のCSR推進NGOネットワークの定例会の前にその準備として、参加するNGOが集まり、同ネットワークへの参加、期待などを共有し、今年度のNGO側の中心的や役割を担う、コアメンバーを募ることが目的で開催されました。3年計画ですすめられている本ネットワークの昨年までの活動を振り返り、3年目に当たる今年の活動方針を確認し合いました。参加団体は1年毎の登録で、今年度は、26団体が登録しています。JANNETは1年目から参加して情報収集を行っています。参加企業については、この日時点で14社が確定し、さらに事務局(JANIC)からアプローチ中とのことでした。 また2010年度のコアメンバーには、オイスカ、ハンガーフリーワールドなどから決まりました。 会議の冒頭では、このネットワークと各団体の思いや関心を紹介し合いましたが、中には、企業との連携を積極的に進めているところもあり、団体によって意識の格差があるのを感じました。  +++++ トピック 3 CSR推進NGOネットワーク 第1回定例会 報告 社会福祉法人 東京へレン・ケラー協会 福山 博 「広い!」。5月13日(木)、CSR推進NGOネットワークの本年度(2010)第1回定例会に参加するため、五輪記念青少年総合センターの会議室に入った私は、思わずひとりごちました。前回は事務局を含めても26人でしたが、今回はNGO27団体、企業17社、事務局を含めた参加総数は57人にのぼったのです。貧困や環境破壊など地球規模の課題解決に向けてNGOと企業の相互理解を促進し、効果的な連携を図ることを目的に2008年4月に結成された本ネットワークは、着実に成長しているようです。 この日の定例会は、まず、この4月にJANICの事務局長に就任された山口誠史氏(前・NPO法人シェア事務局長)が開会の挨拶を行い、続いて、中野民夫氏(博報堂)をファシリテーターに、(1)「NGOと企業がそれぞれ大切にしていることは何か」、(2)「どうしたらNGOと企業が違いを乗り越えて連携できるか」の二つのテーマについて、ワールドカフェ方式で話し合いました。模造紙を大きく広げた10のテーブルに参加者が5、6人ずつ別れて座り、テーマに基づいてオープンに発言し、それぞれ模造紙にマジックで書き、テーマが変わると進行役以外は他のテーブルに移って、また新しいメンバーで話を深めていくというやりかたです。 私のグループでは、「ステークホルダー間の信頼が大切」ということではNGOと企業には違いはない。しかし、徹底的に話し合って合意を得てから活動するNGOに対して、企業はトップダウンで仕事を行う点が違う。NGOは助成金の申請書の作成は素早いが、報告書はまことに遅いなど耳の痛い話もあり、このような当たり前の約束が守れないで、連携とはおこがましいとの声も聞かれました。 次いで、2009年度のコアメンバーよりこの3月に今年度取り組むテーマとして、「連携基準ガイドラインの普及」、「BOPビジネス」、「ISO26000」(組織の社会的責任ガイダンス規格)、「環境と貧困」の4つの課題が提起されていました。そこでこのテーマに、「その他」を加えた5つの分科会に分かれて話し合いが持たれ、最後に各分科会の代表からまとめの発表がありました。この件に関しては、今後本年度のコアメンバー(リーダー・長宏行<オイスカ>)が煮詰めて、今後の定例会でさらに問題提起する予定になっています。 +++++ インフォメーション 1.認定NPO法人 難民を助ける会による被災地での緊急支援活動 JANNET団体会員である認定NPO法人 難民を助ける会が、ハイチの被災地において、緊急支援、特に障害者支援の活動を展開しています。詳細は以下のサイトをご覧ください。 ハイチ大地震緊急支援速報 http://www.aarjapan.gr.jp/lib/act/act1001-1haiti.html  +++++ 2.JANNET 「CBRと開発」 勉強会 報告書が完成 2009年7月11日に行われた 第1回「CBRと開発」勉強会 「バングラディシュにおける開発の経験から障害を考える」、および10月11日に行われた第2回「ウズベキスタンでの事例からCBRの課題を学ぶ」の2本の報告書が完成しました。報告書はJANNET HPからご覧になれます。是非、ご覧下さい。 報告書 HP: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/cbr_kenkyu/index.html +++++ 3.国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 1. バングラデシュ 2. クロアチア 3. キューバ 4. エクアドル 5. エジプト 6. エルサルバドル 7. ガボン 8. ギニア 9. ホンジュラス 10. ハンガリー 11. インド 12. ジャマイカ 13. ヨルダン 14. マリ 15. メキシコ 16. ナミビア 17. ニカラグア 18. パナマ 19. ペルー 20. フィリピン 21. カタール 22. サンマリノ 23. スロベニア 24. 南アフリカ 25. スペイン 26. チュニジア 27. ケニア 28. サウジアラビア 29. ニジェール 30. オーストラリア 31. ブラジル 32. チリ 33. タイ 34. アルゼンチン 35. 中国 36. パラグアイ 37. トルクメニスタン 38. ニュージーランド 39. ウガンダ 40. オーストリア 41. コスタリカ 42. レソト 43. 大韓民国 44. ルワンダ 45. スウェーデン 46. オマーン 47. アゼルバイジャン 48. ウルグアイ 49. ドイツ 50. バヌアツ 51. グアテマラ  52. イエメン 53. モロッコ 54. スーダン 55. クック諸島 56. モンゴル 57. イタリア 58. 英国 59. ベルギー 60. シリア 61. ブルキナファソ 62. ハイチ 63. デンマーク 64. セルビア 65. ドミニカ 66. マラウイ 67. ポルトガル      68. ラオス 69. チェコ 70. トルコ 71. セイシェル 72. イラン 73. モンテネグロ     74. タンザニア       75. ボリビア 76. アルジェリア     77.モーリシャス       78. ウクライナ (2010年5月28日現在) 国連 批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/default.asp?id=257 +++++ イベント情報 1.ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業第11期生 成果発表会  ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業第11期生は10ヶ月の研修を修了し、 7月初旬に帰国いたします。そこで、各研修生が10ヶ月を振り返り、 研修の総まとめとして成果発表会を開催いたします。ご来場の皆さまには、 研修生の成長した姿をご覧いただき、彼らと共に帰国後の目標や夢を語らう場とさせていただきます。 日時: 2010年6月20日(日) 13:30〜17:00  場所: 戸山サンライズ大研修室 (新宿区戸山1-22-1) 申し込み先: http://cgi.normanet.ne.jp/~duskin/postmail/postmail.html  +++++ 2.高齢障害者のための移動と交通に関する国際会議 2010年6月2日から4日にかけて、香港リハビリテーション協会(Hong Kong Society for Rehabilitation)が第12回 高齢障害者のための移動と交通に関する国際会議12th International (Conference on Mobility and Transport for Elderly and Disabled Persons (TRANSED 2010) )を開催します。会議のテーマは、「すべての人のための持続可能な交通と旅行(Sustainable Transport & Travel for All)」です。参加方法等、詳細については、http://www.transed2010.hk/front/ をご覧下さい。 +++++ 編集後記 タイでは政情が不安定な状態が続いています。今年の8月にジョムティエンで予定されていたICEVI(国際視覚障害教育者協議会)の世界大会も残念ながら延期されました。早くこのような状況が改善されることをねがっています。 そのタイから、思わぬお客様がありました。そのお客様は、私が勤務する盲学校に過去に留学し、その後筑波大学の大学院を修了し、現在タイの大学で障害児教育を教えている視覚障害者の先生です。今回は障害当事者のNPOのメンバーといっしょに来校されました。  日本の盲学校における視覚障害児のコンピュータ利用の現状、理系科目の実験などの指導の方法、社会の中での視覚障害者のテクノロジーの活用等について知りたいということでした。短い時間でしたが、視覚障害者とテクノロジーについてディスカッションすることができ、よい機会となりました。  タイではタイ語で画面を読み上げるソフトがまだまだ充実していないこと、点字を表示する装置が高額で利用が困難であることなどが問題のようです。今後も情報交換を続け、協力していきたいと思いました。 編集委員: 青松 利明(国際視覚障害者交流・協力ネットワーク) +++++ JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。 団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 Email: eueno@dinf.ne.jp URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/