JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第232号 1月号 2023年1月31日発行 ―目 次―  トピックス 〜会員団体の活動報告〜 1. 32年間の信頼関係にもとづく協力活動 ベトナムの子ども達を支援する会 事務局長 板東 あけみ 〜会員団体の活動報告〜 2. 困難な状況の中、がんばった研修生たち。 公益財団法人 ダスキン愛の輪基金 統括室長 横山 かおる インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. 第9回ソーシャルファームジャパンサミットinこくら 2023年2月4日(土) 2. 令和4年度 音声教材の効率的な製作方法等に関する調査研究事業「デイジー教科書事例報告会」 2023年2月26日(日) トピックス 〜会員団体の活動報告〜 1. 32年間の信頼関係にもとづく協力活動 ベトナムの子ども達を支援する会 事務局長 板東 あけみ 1990年に初訪問したベトナム南部ベンチェ省には、30余年間にわたるベトナム戦争の影響が色濃く残り、電気がきていない、病院には医療機材も技術も乏しい、ワクチンも十分ない、治療も十分に受けられない、小学校すら十分にないなど、まるでタイムマシンにのったかのような錯覚すら感じました。半面ベンチェ省の行政幹部が、資金のない中自分たちの給与から拠出寄付をあつめて、障がいのある子ども達の学校の建設計画をつくり始めておいでになったことに深い感銘を受けました。この2つの出来事から、当会を1990年に設立し、この30年あまりに医療・教育・福祉・地域の軸と、障がいの予防・早期発見・早期介入・社会参加の軸を重ねて、交流ツアーを出してきました。 医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・保健師・発達検査専門家・特別支援教育の教師などの専門家に加えて、障がいのある方々やご家族の参加もありました。そしてこの間に教員研修と合わせて障がい児学校が建設されて、早期支援のための支援センターができ、近隣の保育園と並行通園できる子ども達が急増しました。新生児管理やリハビリなどの医療技術協力も実を結び、合わせて提案した母子健康手帳は、ベンチェ省の成果を政府が評価されて、貴重なボトムアップとなり今やベトナム全地域で使用されています。ベンチェ省の村の中のほとんどの集落には、地域健康管理員が配置され、在宅の障がいの重い人たちへの情報提供や相談活動もなされています。 これらのベンチェ省の変化を30余年ずっと見続けてきて、私たちは援助する側される側という関係ではなく、ともに学びともに実践する中で共有できることがたくさんあるということを学びました。子ども達を護るためには医療と教育と福祉と地域社会が一丸となって連携する。私たちはベンチェ省の人たちと交流するたびに、この基本的なことをいつも胸に刻み、日本でも活かせることは活かしたいと思っています。先日、当会が預けていた資金で購入された支援センター用の新しい教育玩具の写真と、それを使って活動している子ども達の楽しそうな写真もあわせてきました。 この3年間、新型コロナで現地に出向く活動はできませんでしたが、オンライン会議などでつながってきました。今年こそ現地に行って活動をしたいとねがっています。     2. 困難な状況の中、がんばった研修生たち。      公益財団法人 ダスキン愛の輪基金 統括室長 横山 かおる 公益財団法人ダスキン愛の輪基金は、共生社会の実現を目指し1981年、株式会社ダスキンとダスキンのフランチャイズ加盟店の支援により設立された財団です。 事業内容は、日本の障がいのある人に海外で研修をしていただく「ダスキン障害者リーダー育成海外研修派遣事業(以下、派遣事業)」とアジア太平洋地域の障がいのある若者に日本で研修を受けていただく「ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業(以下、招聘事業)」です。 2020年の1月頃からパンデミックとなった新型コロナウィルスの感染拡大により両事業とも大きな影響を受けました。 派遣事業では、研修地にいた第39期研修生の急遽帰国、選出されたばかりの第40期研修生は、出発延期となり、描いておられたプランの見直しを余儀なくされることになりました。 招聘事業第21期研修生も定めた研修期間10カ月を超え、滞在することとなり、慣れない国で感染しないよう注意して暮らす毎日となりました。 新型コロナウィルスがまだどのようなものかわからない状況では、“ソーシャルディスタンス”という新語ができるほど、人と接触することが避けられるようになりました。 視覚障がいのある人は、“触ること”が自身の“目”の役割になります。 聴覚障がいの人は、マスクをすると人の表情を見ることができなくなり、スムーズなコミュニケーションがとれなくなります。 他にも直接会う、励ましあうという人と人とのつながりを作れなくなることは、弱い立場に置かれている人をはじめ、障がいのある人の孤立を顕在化させました。 ただ、その間も最大9か月以上、実施委託先の(公財)日本障害者リハビリテーション協会人材開発課の皆さんの熱意、関係各位の皆さんのご協力で、モチベーションを下げることなく研修生全員無事帰国することができました。 ようやく、2022年度から派遣事業の研修生も出発し、招聘事業研修生5名も来日、昨年12月末に無事研修を修了、帰国しました。 渡米した研修生の話を聞くと、コロナ前と後では、社会構造や人との接し方などが様変わりしたようです。 円安やインフレ、ロシアのウクライナ侵攻など外部環境も厳しい状況にあります。 1年半以上来日を待った第22期研修生も含め、多くの研修生たちは、母国の障害者福祉の発展、共生社会の実現を目指し、今後も不屈の精神で困難な状況の中に希望を見出し、仲間と共に研修に励んでくれていると思います。 それを支えて下さっている研修機関の皆さまはじめ関係各位に心より感謝を申し上げます。 これからも研修生を応援下さい! ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報    (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)    署名国・地域数164/ 締約国・地域数 186 (2023年1月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1.第9回ソーシャルファームジャパンサミットinこくら 2023年2月4日(土) コロナ渦、円安、ウクライナ戦争などの世界的な大きな変化が起こっています。エネルギー、肥料の高騰は私たちの生活を直撃しています。とりわけ社会的に困窮している就労機会に恵まれず、社会参加ができにくい人々にとっては一層の厳しさが予想されます。 ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)は社会経済の発展と同時に改善し続ける必要のある課題であり、市民レベルで取り組むことが重要です。今回は、基調講演にワーカーズコープ連合会の田嶋専務、福岡市より潟Jムラックの賀村代表をお迎えし、炭谷理事長との対談により現在の労働と福祉の在り方、雇用を生み出すソーシャルビジネスの可能性を考えます。 日時:2023年2月4日(土)13:00〜17:00 開催形態:オンライン・北九州市小倉国際会議場(ハイブリッド開催) 参加費:無料 プログラム: 基調講演1 「社会との共存共栄から共生へ」〜支えられる側からお互いが支え合う関係へ、カムラックの歩みと実績 株式会社カムラック代表取締役 賀村 研 氏 基調講演2 共に働く 協同労働と労働者協同組合法の可能性 日本労働者協同組合(ワーカーズコープ連合会)専務理事 田嶋 康利 氏 対談 テーマ「これからのソーシャルインクルージョン」 ソーシャルファームジャパン理事長 炭谷 茂 氏/田嶋 康利 氏/賀村 研 氏 事例発表 九州北部のソーシャルファーム5 団体 司会  (一社) ソーシャルビジネスネットワーク 申し込み:右のQRコードを読み取ってお申し込みください。 詳細:ソーシャルファームジャパンFacebook URL:https://www.facebook.com/SocialFirmsJapan/ お問い合わせ、現地参加申し込み:SFJ事務局「NPOコミュニティシンクタンクあうるず」 TEL:0155-67-6305 Email:npo_ctt_owls@netbeet.ne.jp 1.令和4年度 音声教材の効率的な製作方法等に関する調査研究事業「デイジー教科書事例報告会」 2023年2月26日(日) 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会は、平成20年度からボランティア団体等と協力して小中学校の発達障害など読みの困難がある児童生徒にデイジー教科書を製作・提供を行っています。 当初80名だった利用者は、昨年度は約1万5千人を超えて急速に普及しつつありますが、普及絵率は6%程度に留まっています。その理由の一つが、通常の学級でのICT環境が整備途上だったことでしたが、令和2年度GIGAスクール構想で一人一台の学習者用端末が実現しました。しかしながら、この端末はクラウドサービスとの連携を前提としており、デイジー教科書の配信システムでの対応が求められていました。 本報告会では、端末のブラウザだけでデイジー教科書の再生が可能な新配信システムをご紹介するとともに、通常の学級でのデイジー教科書の活用事例をご報告していただき、そこから得られた成果や課題を学び、今後のデイジー教科書のあり方と普及について考えます。 日時:2023年2月26日 (日) 13:30〜16:00 会場:オンライン開催(Zoomウェビナー)※参加登録された方には、ZoomのURLをお送りいたします。 主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 定員:300名 参加費:無料 情報保障:ご希望に応じて、要約筆記・手話通訳をご用意します。 申込締切:2023年2月22日(水) プログラム *内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。 13:30 開会挨拶 君島 淳二(日本障害者リハビリテーション協会 常務理事) 13:35-13:50 デイジー教科書の利用申請状況報告、新配信システム紹介 西澤 達夫(日本障害者リハビリテーション協会 参与) 13:50-14:10 通常学級でのデイジー教科書の活用事例報告 小野澤 華奈子 氏(上田市立丸子中央小学校 教諭) 14:10-14:40 読むことに困難をかかえる児童の支援における新たな配信システムへの期待と中学校以降のデイジー教科書の利用における見えてきた課題について 池田 明朗 氏(上田市立丸子中央小学校 教諭) 14:40-15:10 今後のデイジー教科書のあり方と普及について〜入試への対応を含む実践的な取り組みについて〜 鈴木 昌和 氏(NPOサイエンス・アクセシビリティ・ ネット 代表) 15:10-15:20 デイジー子どもゆめ文庫(児童書)のご紹介 山田 稔子(日本障害者リハビリテーション協会 情報センター) 15:20-15:30 質問受付 15:30-16:00 質疑応答 16:00 閉会 司会:村上 博行(日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長) 申込先・お問合せ:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター TEL:03-5273-0796 / FAX:03-5273-0615 e-mail: daisy_c@dinf.ne.jp 詳細、申込URL:https://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/book/20230226.html 編集後記 2023年初のメルマガとなりました。本年もよろしくお願いいたします。 今年は持続可能な開発目標(SDGs)の中間年次にあたり、国内実施指針の改定も予定されています。 また第4次となるアジア太平洋障害者の十年がスタートする年でもあり、どのような動きとなるのか、しうるのか、注目されます。 さらには、昨年の障害者権利条約の日本の初審査を受けて出された総括所見(勧告)に基づいて、今後国内での条約実施をどのように進めていくのか、NGO・市民社会としても取り組みが問われるところです。 新型コロナウイルスによる各種の行動制限が徐々に解除され、対面での活動が少しずつ再開されているところですが、今年は新たな取り組みを計画されている方々も多くいらっしゃるのではないかと思います。 JANNETは、今年設立30周年を迎えます。記念行事を含めて、様々な活動の企画について、各委員会で話し合いを行っているところです。 引き続き、会員の皆様と情報共有し、話し合いながら取り組みを進めてまいりたいと存じますので、引き続きよろしくお願いいたします。 (原田 潔/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上