JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第228号 9月号 2022年9月30日発行 ―目 次―  トピックス 〜会員団体の活動報告〜 1. 昨今の日本キリスト教奉仕団による「アジア研修交流事業」活動 社会福祉法人 日本キリスト教奉仕団 アジア研修交流事業担当 渋沢 浩二 〜会員団体の活動報告〜 2. コロナ禍における日本点字図書館 社会福祉法人 日本点字図書館 総務課長 澤村 潤一郎 3. 「リハ協カフェシンポジウム」第1弾 登壇報告 社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 田畑 美智子 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. グローバルフェスタJAPAN2022 2022年10月1日(土)・2日(日) 2. 「リハ協カフェ」2周年記念シンポジウム【第2弾】 2022年10月15日(土) トピックス 〜会員団体の活動報告〜 1. 昨今の日本キリスト教奉仕団による「アジア研修交流事業」活動 社会福祉法人 日本キリスト教奉仕団 アジア研修交流事業担当 渋沢 浩二 日本キリスト教奉仕団は、戦後の混乱期から始まった北米の教会などからの支援物資(ララ物資)の配分を任された世界教会奉仕団の福祉の精神を継承して、1958年に社会福祉法人日本キリスト教奉仕団として始まりました。やがて当奉仕団は障がい者福祉事業に力を注ぐようになりました。 当奉仕団の使命は、キリスト教精神(アガペ:神の愛)に基づき、人種、国籍、宗教の如何を問わず、障がい者が個人の尊厳を保ち自立した生活を営むことができるように支援することにあります。そして1980年から、公益事業としての「アジア研修交流事業」の取り組みを始めました。これは、アジアの国や地域から、障がい者福祉に従事する職員をお招きし、日本での研修を通して母国での障がい者へのサービスの向上に努めていただくというものです。これまでの約40年間に、インド、中国、タイなど15の国や地域から84名の方が研修生として参加されました。 一昨年はコロナ禍による入国制限によって、海外から研修生をお招きすることができませんでした。そのような中で起きたミャンマー国内の政変によって、当初予定していた「ミャンマー5か年計画」を中断し、昨年度から新たに「モンゴル5か年計画」を立てて、モンゴル国から研修生を招待する準備に入りました。しかし、コロナ禍第6波の影響によって実施時期が延期され、今年の5月〜6月にようやく実施することができました。 今回は、その「モンゴル5か年計画」の1年目の活動についてご報告いたします。まず、モンゴルからの研修生を選抜するためにモンゴル国内で応募者を募り、その応募者の中からウランバートル市で障がい者職業訓練校の副校長をされているウヤンガさんを選出し、招待しました。 モンゴルと日本では、障がい者福祉制度はもちろん、障がい者に対するサービス内容も違います。日本で複数の施設を訪問し学習する中で、ウヤンガさんは、障がい者一人ひとりの特徴や程度に合った介護サービス、障がい者への労働や就労の機会の提供、 障がい者の家族に向けた様々な支援活動、各地域に設置されている障がい者のための相談センター、幼児への養育サービスによる障がい児の認定とその適切な対応などを見て、驚きと感動を覚えたようです。一方で、週末にはスカイツリー、水族館、浅草寺、鎌倉・江の島等を訪問して日本文化に触れる貴重な体験もいたしました。 これらの研修を通して、ウヤンガさんは「今後のモンゴル国内の障がい者福祉の向上のために 、具体的なサービスを実施していく必要があります。」と力強く語っていました。 今後、モンゴルでの障がい者福祉の発展のためにご活躍されることを祈ってやみません。   2. コロナ禍における日本点字図書館      社会福祉法人 日本点字図書館 総務課長 澤村 潤一郎 日本点字図書館は、点字図書・録音図書等の製作と貸出、視覚障害者用具の販売、中途視覚障害者に対する相談支援と生活訓練を、日々の主な事業としています。コロナ禍の影響はそのすべてにおよびました。 3年目の今も感染予防のため制限を設けざるを得ないのが、来館による一部のサービスです。用具販売所の店頭では、選定や操作説明・修理等の対応に時間を要することが多く、混雑を避けるため来館を事前予約制とし、1時間あたりの来店人数を制限しています。対面リーディングサービスは、読み手と利用者が二部屋に分かれてオンラインで結ぶという形式で行い、ひとりあたり利用できる時間数を従来より縮小しています。一方図書の貸出は、もともと郵送やネット配信での利用が多くを占めていたため、当初制限を設けましたが、現在は復旧しています。 利用者サービス以外にも影響を受けたのが、啓発イベントです。コロナ禍以前、当館では一般の方々に視覚障害や当館事業について知ってもらうため、11月に2日間にわたって「日本点字図書館オープンオフィス」という施設公開イベントを開催していました。2019年は延べ約1,000人の参加があったのですが、コロナ禍以降は従来のような形と規模では実施できなくなりました。そこで、今年度からは少人数制の体験型講座「にってんワークショップ」を月1回開催することにしました。「点字」「歩行」「用具」など毎回異なるテーマを2時間で学んでもらえるようにしています。夏休みシーズンの8月には、小学生を対象とした特別企画を実施しました。 コロナ禍の影響を最も受けたのが、国際協力事業です。当館では、1994年より「アジア盲人図書館協力事業」を、2004年からは「池田輝子ICT奨学金事業」を毎年行ってきました。「アジア盲人図書館協力事業」は、アジア太平洋地域の国において、盲学校や点字図書館、視覚障害者団体等のスタッフにパソコン点訳や点字プリンタの操作等を指導し、現地の点字教科書や点字資料の充実に役立ててもらおうというものです。近年はマレーシア盲人協議会のパートナーが現地に出向いていましたが、2年間実施できていません。 「池田輝子ICT奨学金事業」は、アジア太平洋地域から視覚障害を持つ若者をマレーシアの拠点に招聘し、各国の現況や課題を語り合い、ICTやマネジメント等を学んでもらって、将来それぞれの国で視覚障害者のリーダーとして活躍してもらうことを目的にしています。2020年度は中止せざるを得ませんでしたが、昨年度と今年度はオンラインで実施しています。 視覚障害者福祉にかかる当館事業は、触れたり密着したりする機会が多く、また館内では常時100人前後の従業員が勤務するため、感染予防と感染拡大防止に大変気を使います。上記のようにICTが役立つ場合もありますが、障害当事者へのきめ細やかなサービスや、一般の方々への効果的な啓発には、対面・オンサイトでの事業実施が不可欠です。人と人が気兼ねなく触れ合い、語り合える日常が、一日も早く戻ってくることを願っています。 3.「リハ協カフェシンポジウム」第1弾 登壇報告 社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 田畑 美智子 ※去る2022年8月26日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『「リハ協カフェシンポジウム」第1弾』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。 8月26日の「リハ協カフェシンポジウム」第1弾に参加し、障害分野の国際活動に関わるようになった経緯等をお話しました。 私の場合は広い世界への憧れが、英語を始めとした外国語に夢中になるきっかけとなりました。また、今年も干ばつが深刻な、東アフリカの危機支援に各国のミュージシャンがチャリティ活動を展開したり、ベルリンの壁崩壊に象徴される冷戦の終焉などの世界の激動を目の当たりにし、自ずと国際問題に関心が深まり、フェアトレードや人権問題キャンペーンのお手伝いをするようになりました。 2002年に大阪でアジア太平洋の視覚障害リーダーが集うブラインドサミットが開催されましたが、ここで通訳をしたことがきっかけとなり、世界盲人連合という視覚障害分野の世界的なNGOに関わるようになりました。 障害分野の国際活動に取り組むようになった理由はいくつかあります。自分が経験していることや解決方法が知見として活かされること。識字率でも就学率でも就職率でも文化活動への参加でも、大体の指標で障害のある人たちの数値は健常の人たちより低いこと。そして何より、今各地の当事者が経験している悔しさや悲しみが、自分の生活やこれまでの人生と照らし合わせると、とても他人事ではないこと。 オンラインの参加者からは、情報格差への取組み、障害により異なる母語の取得や意思疎通、海外の当事者と接することで学んだことや自分が変わったこと、組織の問題など、色々な質問をいただきました。ただ、オンラインではやり取りのコントロールに限界があり、やはり早く対面で、若年層の皆さんのダイレクトな空気を感じられるようになればと願うばかりです。 世界にはさまざまな困難を抱える人たちが本当にたくさんおられるわけですが、障害当事者としては、やはり障害分野の国際活動に1人でも多くの方が関心を持っていただければ嬉しいと思います。     ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 185 (2022年9月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1.グローバルフェスタJAPAN2022 2022年10月1日(土)・2日(日) 「グローバルフェスタJAPAN」は、国際協力活動、社会貢献活動、SDGsなどに取り組む官民様々な団体が一堂に会する国内最大級の国際協力イベントです。 今年のテーマは、“ここからつながる世界。ともにここから創る未来。みんなが参加する国際協力” 貧困など開発途上国の開発課題、感染症、気候変動、環境を始めとする地球規模課題、さらに昨今ではウクライナ問題や食料危機などの人間の尊厳を脅かす問題が深刻さを増しています。 このような現状だからこそ、SDGsの意識の高まりも踏まえ、誰もがこうした問題への理解を深め、国際協力に参加していく契機となれば幸いです。 今年はTICAD、南西アジアや中央アジアの周年事業の年でもあります。 ご来場・ご視聴を通じて、世界の国や地域のことを知っていただく、今年はそうしたグローバルフェスタにしたいと思っております。 新型コロナウイルスの感染防止対策を充分に講じた上で、リアル(対面形式)とオンライン配信を両立したハイブリッド形式で開催します。 <開催概要> 日時:2022年10月1日(土)・10月2日(日)10:00-17:00 場所:リアル会場:東京国際フォーラム(ホールE2/ロビーギャラリー)JR線「有楽町駅」から徒歩1分、「東京駅」から徒歩5分 東京メトロ有楽町線「有楽町駅」(B1F地下コンコースにて連絡) オンライン:イベント当日、下記URLサイトに会場を設置します。「オンライン会場」ボタンよりご参加ください。 入場料:無料 主催:グローバルフェスタJAPAN2022実行委員会 URL:https://gfjapan2022.jp/ 2.「リハ協カフェ」2周年記念シンポジウム【第2弾】 2022年10月15日(土) 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会の国際委員会では、コロナ禍における海外の障害関連の報告会として、2020年8月より隔月で、オンラインによる「リハ協カフェ」を開催してまいりました。 開催から2周年を迎え、国際協力の次世代育成を踏まえたシンポジウムを障害分野NGO連絡会(JANNET)とともに企画いたしました。 現在、障害分野での国際交流の最前線で活動されている方々から、活動に至るいきさつやきっかけなど、その人の生きざまをお話しいただくことで、障害分野および国際協力に関心を持つ若い世代が、今後の障害分野における国際協力に、積極的に参加していくことの一助となることを願って実施いたします。 第2弾は、アジアの障害インクルーシブな国際協力による地域開発・人材育成を中心に研究を進められている佐野竜平さま(法政大学 現代福祉学部 教授)と、カンボジアをはじめ、主にアジア地域でスポーツを通じた支援活動をされている団体の井上恭子さま(ハート・オブ・ゴールド 事務局次長)からお話しをお伺いいたします。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。     日時:2022年10月15日(土)9:30〜11:45(予定) 会場:オンライン配信(zoom)、アーカイブ視聴(YouTube)10/24(月)〜11/8(火) 主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 共催:障害分野NGO連絡会(JANNET) 対象:高校生・大学生・一般(国際交流や障害分野に興味のある方なら、どなたでも。) 料金:学生・リハ協会員・JANNET会員 無料(寄付は受け付けております。) 一般 1,500円(資料代として。このうち500円は、日本障害者リハビリテーション協会から障害分野NGO連絡会(JANNET)を通じて、ウクライナへの支援活動をしている団体へ寄付させていただきます。) 定員:100名 ※情報保障あり 【プログラム】 13:00-13:03 開会挨拶 清水 直治(障害分野NGO連絡会(JANNET)会長) 13:03-13:23 パネルディスカッション第1幕 テーマ「なぜこの国なの?なぜ障害分野なの?」 パネリスト 佐野竜平さま(法政大学現代福祉学部教授)・井上恭子さま(ハート・オブ・ゴールド事務局次長) 13:23-13:43 なんでも聞いてみよう 〜質問コーナー〜 テーマ「教えて!アジアの障害分野〜各国の課題〜」 14:03-14:23 なんでも聞いてみよう 〜質問コーナー〜 14:23-14:29 パネリストの方々から皆様へメッセージ 14:29-14:35 閉会挨拶 君島 淳二((公財)日本障害者リハビリテーション協会 常務理事) 14:35 閉会 ※進行  野際紗綾子さま(難民を助ける会[AAR Japan])、村上博行((公財)日本障害者リハビリテーション協会 ) *プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。      【申込方法】 以下のサイトにてお申し込みください。入金方法もこちらに記載しております。 URL: https://forms.gle/YHouhyqjm5QU6nwo7 申込受付:2022年10月14日(金)15:00まで ※情報保障が必要な方は、10月6日(木)までにお申し込みください。 満員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、点字資料など必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。      【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお)  〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523   Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 編集後記 オリンピックと同様、4年毎に開催される聞こえない人たちのオリンピック、デフリンピックがあります。2025年の開催に日本開催の期待が高まっていました。 東京都からデフリンピック開催に協力して頂ける事を正式に受け、9月10日、オーストリアで開催された国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)の総会に於いて、第25回夏季デフリンピックの日本開催が決定しました。デフリンピック開催から丁度、100周年の節目となります。 また、9月23日は2017年に国連総会に於いて“手話言語の国際デー“に定めた日であり、今年で5周年となりました。 今年は世界ろう連盟(WFD)から青色でライトアップをして啓発活動をしていこう!という事で、日本では、さっぽろテレビ塔やフジテレビ本社、明石海峡大橋、熊本城天守閣、高千穂峡など、全国各地の名所に於いてブルーライトアップを実施し、手話は言語である事をPRし、手話教室等を開催しました。手話言語法制定に繋がる事を期待したいと思います。 (嶋本 恭規/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上