JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第225号 6月号 2022年6月30日発行 ―目 次―  トピックス 〜会員団体の活動報告〜 1. 「すべての人々の健康といのちがまもられる世界をめざして」 公益社団法人 日本キリスト教海外医療協力会 小池 宏美 〜会員団体の活動報告〜 2. アジア諸国の作業療法士との交流 ―COVID-19下における臨床や教育現場での報告 一般社団法人 日本作業療法士協会 国際部 西本 敦子 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. 「リハ協カフェ」2周年記念シンポジウム【第1弾】 2022年8月26日(金) 2. いきがい・助け合いサミットin東京 2022年9月1日(木)・2日(金) トピックス 〜会員団体の活動報告〜 1. 「すべての人々の健康といのちがまもられる世界をめざして」 公益社団法人 日本キリスト教海外医療協力会 小池 宏美 日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)は、日本がアジアの人々に対して犯した戦争への深い反省に立ち、和解と平和の実現を願って1960年に設立されました。「医療を通じて愛を世界へ」のテーマの下、困難の中にある人々の健康といのちをまもり、人々と苦悩・喜びを分ちあうことを使命としています。 そのため、三つの活動をしています。一つ目は、保健医療従事者の派遣です。クリスチャンの医師や看護師などを、アジア、アフリカの国々に派遣しています。二つ目は、奨学金支援です。保健医療サービスを受けにくい地域で、貧しい人々や弱い立場におかれた人々のために働きたいと願う保健医療従事者を、奨学金で支援しています。三つ目は、現地の希望に沿った支援、協働プロジェクトです。現地の団体と話し合って活動の目標と内容を決め、協力して保健医療活動をおこなっています。2022年6月現在、タンザニアで母子保健プロジェクトを、ケニアで療育事業への協力をおこなっています。 JOCSは、2018年に5ヵ年の計画を定めました。これまで半世紀にわたり貧しく弱くされた人たちと共にありたいと活動を続けてきましたが、2018年からの5年間では、「取り残された一人ひとりを捜し、苦悩と喜びを皆で分かちあう」ことを改めて念頭に置き組織として重点的に取り組みました。 2020年度、2021年度はコロナ禍にあって、海外渡航が出来ず、計画を変更せざるを得ないこともありました。そんな中、力を入れたのが奨学金事業です。インドネシア、カンボジア、ネパール、バングラデシュ、ウガンダ、ケニア、タンザニアの7ヵ国で、コロナ流行前よりも多く、70名の奨学生を支援しました。新しい取り組みも展開しています。協働プロジェクトではケニアの協力団体に対して、コロナ流行前には、専門家の短期派遣などを通して、スタッフの育成、療育カリキュラムや教材作り等に協力してきました。渡航が難しい状態では、理学療法士によるオンラインでの指導や勉強会を実施しました。 新型コロナウイルス感染症はまだまだ収束の目途がたっていません。しかし、状況の変化に対応しながら、アジア・アフリカの現地のニーズに応える活動を続けてまいります。バングラデシュには、精神障がいに苦しむ子どもたちとその家族を支援する団体に新たに保健医療従事者を派遣します。奨学金事業、協働プロジェクトも一層推進し、政府や大きな援助団体が取り組みの対象としない存在の人にしっかりと寄りそっていきたいと願っています。       2. アジア諸国の作業療法士との交流 ―COVID-19下における臨床や教育現場での報告      一般社団法人 日本作業療法士協会 国際部 西本 敦子 一般社団法人日本作業療法士協会(JAOT)は1966年に結成され、1972年には世界作業療法士連盟(WFOT)に加盟していています。今年の3月にはWFOTがウクライナ情勢に関しての声明文発表に合わせて、JAOTからも声明文が発表されました。COVID-19に関しては、会員に向けて感染対策の基本や具体的な対策などを掲載した「COVID-19感染対策のマニュアル」や動画の作成、COVID-19患者の作業療法の実践事例調査、COVID-19下での心身の影響や所属施設での対応状況の調査を行いました。 また、2014年以降、アジア諸国の作業療法士との連携がこれまで以上に強化され、各国のが集う「アジア作業療法協会交流会」を隔年で開催しています。この交流会では各国の作業療法事情や学術、教育について話し合われ、前回は2021年9月にオンラインで開催されました。「COVID-19の状況下における臨床現場、教育、メンタルヘルスなどの取り組み」について、香港、シンガポール、フィリピン、韓国、台湾、日本の6カ国、地域の作業療法士が発表しました。日本からは、私と同僚が「COVID-19に対する臨床現場での対応」について報告しました。私が所属していた国立国際医療研究センター病院では、COVID-19発生後、国内で最も早くからCOVID-19患者の受け入れ、治療を開始しており、COVID-19患者の治療やリハビリテーションは、ゾーニング(病棟内の清潔と感染区域の区分)や個人防護具装着、手洗い等の徹底した感染対策の下で行いました。また、国内のCOVID-19のクラスターの発生箇所は、老人施設、医療施設がレストランや学校でのクラスター数と同様に多いことがわかり、クラスターにより介護やリハビリが必要な入所者に十分な関わりが難しく、医療や介護従事者一人一人の感染対策の重要性を改めて伝えました(図1)。 また、各国の報告では、COVID-19の状況下でOTを学ぶ学生は学習や臨地実習の機会が減り、リハビリ対象の方や認知症のある高齢者、心身に障害のある小児との外出の機会が奪われました。作業療法士たち(OT)は、その状況をチャンスと考えて、オンラインの授業に切り替えたり、また、リハビリが必要な対象者には、これまでの運動指導や日常生活動作の指導を基に、自宅でできる運動をyoutubeなど動画配信を行いました。(図2)。 また、フィリピンの報告では、COVID-19の感染拡大で外出が制限され、外来のリハビリを受けられない対象者に対し、テレビ電話でOTや理学療法士(P T)が身体機能や歩行能力を評価し、画面越しに運動指導を行うオンライン診療を紹介しました。COVID-19の状況下で、新たに始めた取り組み、これまでの活動も形を変えて続けるなど共感できることは多く、貴重な機会となりました。 最後に、JAOTは今年9月に第56回日本作業療法学会が開催されます。「持続可能な社会を創る作業療法」をテーマに、高齢者や心身に障害を持った人、地域包括ケアシステムなど地域や世界とOTとの関わりについて、誰ひとり取り残さない活動やSDGs の達成目標に関連した取り組みが報告されることが期待できます。 ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報    (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)    署名国・地域数164/ 締約国・地域数 185 (2022年6月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1.「リハ協カフェ」2周年記念シンポジウム【第1弾】 2022年8月26日(金) 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会の国際委員会では、コロナ禍における海外の障害関連の報告会として、2020年8月より隔月で、オンラインによる「リハ協カフェ」を開催してまいりました。 開催から2周年を迎え、国際協力の次世代育成を踏まえたシンポジウムを障害分野NGO連絡会(JANNET)とともに企画いたしました。 現在、障害分野での国際交流の最前線で活動されている方々から、活動に至るいきさつやきっかけなど、その人の生きざまをお話しいただくことで、障害分野および国際協力に関心を持つ若い世代が、今後の障害分野における国際協力に、積極的に参加していくことの一助となることを願って実施いたします。 第1弾は、ラオスで駐在されている峯島昂佑さま(難民を助ける会[AAR Japan])と、アジアの視覚障害者と繋がられている田畑美智子さま(日本視覚障害者団体連合)からお話しをお伺いいたします。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。     日時:2022年8月26日(金)13:00〜14:35(予定) 会場:オンライン配信(zoom)・アーカイブ視聴(YouTube)9/1(木)〜9/16(金) 主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 共催:障害分野NGO連絡会(JANNET) 対象:高校生・大学生・一般(国際交流や障害分野に興味のある方なら、どなたでも。) 料金:学生・リハ協会員・JANNET会員 無料(寄付は受け付けております。) 一般 1,500円(資料代として。このうち500円は、日本障害者リハビリテーション協会から障害分野NGO連絡会(JANNET)を通じて、ウクライナへの支援活動をしている団体へ寄付させていただきます。) 定員:100名 ※情報保障あり 【プログラム】 13:00-13:03 開会挨拶 松井 亮輔((公財)日本障害者リハビリテーション協会 副会長) 13:03-13:23 パネルディスカッション第1幕 テーマ「なぜこの国なの?なぜ障害分野なの?」 パネリスト 峯島 昂佑さま(難民を助ける会[AAR Japan])・田畑 美智子さま(日本視覚障害者団体連合) 13:23-13:43 なんでも聞いてみよう 〜質問コーナー〜 13:43-14:03 パネルディスカッション第2幕 テーマ「教えて!アジアの障害分野〜各国の課題〜」 14:03-14:23 なんでも聞いてみよう 〜質問コーナー〜 14:23-14:29 パネリストの皆様から皆さんへメッセージ 14:29-14:35 閉会挨拶 清水 直治(障害分野NGO連絡会(JANNET)会長) 14:35 閉会 ※進行  伊藤智典さま(日本理学療法士協会 事業部国際事業課課長)・清水香子さま(アジア保健研修所 職員) *プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。    【申込方法】 以下のサイトにてお申し込みください。入金方法もこちらに記載しております。 URL: https://forms.gle/Nma6AUiWD3UaM3fPA 申込受付:2022年8月25日(木)15:00まで ※情報保障が必要な方は、8月18日(木)までにお申し込みください。 満員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、点字資料など必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。      【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお) 〒162-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 2. 生きがい・助け合いサミットin東京 2022年9月1日(木)・2日(金) 日本社会はいま、誰にも優しい地域共生社会に向かって大きく転換しようとしています。経済成長絶対・自己責任の社会の厳しさ、冷たさに、心ある人々が耐えられなくなってきたためです。 その転換の先頭に立って、一人残さずいきがいを持って助け合う地域を創り出そうと頑張っているのが、生活支援コーディネーターや協議体のみなさん、行政、社協、包括の担当者、民生委員、自治会役員、NPOなどの志ある方々です。 この重要な、難しいけれどもやりがいに満ちた任務をしっかり果たしたいとの思いで、3年前に初めて開いた大阪サミット、そしてコロナ禍の中、昨年開いた神奈川サミットには、3,000人を超える方々が参加しました。 そこで生まれた絆は、各地に情報交換のネットワークを生み出し、新地域支援事業を着実に進め、住民の活力といきがいを引き出す原動力となっています。 今年の東京サミットは、いよいよ、総仕上げです。すべての住民が明るく、自分らしく、いきいきと生きることのできる日本社会の実現に向けて、みんなで、思い切りジャンプしましょう。 開催日時:2022年9月1日(木)12:30〜17:30 9月2日 (金) 9:00〜16:30 会場:グランドプリンスホテル新高輪・国際館パミール(東京都港区高輪3-13-1) 参加費:資料代としてお1人2,000円(会場参加、オンライン視聴共に変わりはありません) 定員:会場参加 1,500名/オンライン視聴 3,000名 申込期間:5月16日(月)〜8月1日(月)(ただし定員になり次第締め切ります) 主催:公益財団法人 さわやか福祉財団 主な対象:生活支援コーディネーター、協議体構成員、地方自治体、社会福祉協議会、地域包括支援センター等の地域づくり関係者、国・関係機関・NPO・民間団体の関係者等、助け合い・支え合う地域づくりに関係する方、その他関心を持つ一般住民 など ※「いきがい・助け合いサミット in 東京」の全体シンポジウムとすべての分科会のオンデマンド配信を行います(配信予定時期:11月頃、期間:2週間)。 当日参加された皆様からの質問(一部)にお答えする内容等を加えて配信します。参加された皆様はすべてのプログラムの視聴が可能となります。 【プログラム】:9月1日(木) 12:30〜12:50 オープニングイベント 13:00     開会 13:05〜15:00 全体シンポジウム「地域共生社会への進展〜住民主体で大ジャンプ〜」 15:30〜17:30第1部パネル(分科会1〜13/13テーマ) 18:00〜19:00大交流会(グランドプリンスホテル新高輪・国際館パミール) 9月2日(金) 9:00〜11:00第2部パネル(分科会14〜25/12テーマ) 11:00〜13:00 ポスターセッション・昼食 13:00〜15:00 第3部パネル(分科会26〜37/12テーマ) 15:30〜16:30 全体発表会 16:30     閉会 【公式ホームページ・申し込み】:https://summit.sawayakazaidan.or.jp/ 【お問い合せ・お申し込み先】:株式会社JTB 横浜支店 「いきがい・助け合いサミットin東京」受付デスク 〒221-0835 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町3-29-1 第6安田ビル6階 TEL:045-316-4602 FAX:045-316-5701  E-mail: jtb_convention@jtb.com [営業時間]:9:30〜17:30(土・日・祝日休業) 担当:竹澤・佐藤・伴野 総合旅行業務取扱管理者:鈴木 智子 編集後記 今月号のトピックスでは、JOCS様が2018年から5カ年計画を定めたとの記事がありました。私が勤める全国盲ろう者協会も、同年にアジアの盲ろう者団体のネットワーク構築事業を5カ年計画で開始しました。最終年度は、コロナ禍におけるアジアの盲ろう者の状況調査や、ネットワーク化に向けた具体的な整備を進めたいと考えています。 ところで、日本の盲ろう者のうち約千人が利用登録している「盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業」の2020年度の実績を見ますと、前年度に比べて約4〜5割程度、利用時間・件数が減っておりました。他者とのコミュニケーションが減ってしまい、心理的に不安定になる方もいらっしゃったそうです。他の国々に住む盲ろう者も、多くの不自由・不安を感じられたことと思います。国を超えて盲ろう者同士がコロナ禍の悩みを共有し、共に励まし合い、明日を生きる気力に繋がる。こうしたエンパワメントにもネットワークが寄与できればと期待しています。 (小林 真悟/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上