JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第217号 10月号 2021年10月29日発行 ―目 次―  トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. ベトナムにおけるインクルーシブ教育とは ベトナムの子ども達を支援する会 事務局長 板東 あけみ 2. サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者に求められていること 和洋女子大学 家政学部 家政福祉学科 准教授 木 憲司 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. CBID国際シンポジウム 2021年11月6日(土) 2. 地域共生社会推進全国サミットinかまくら 2021年11月18日(土)・19日(日) 3. 第9回「リハ協カフェ」 2021年12月24日(金) トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. ベトナムにおけるインクルーシブ教育とは ベトナムの子ども達を支援する会 事務局長 板東 あけみ   私は以前支援学級で26年間、担任をしていました。最後の勤務が19年前のことなのでだいぶん古いことですが、通常学級に入ったものの本人が学校に行きたがらないなどの理由で、保護者が悩まれ、結果支援学級に転級になるケースに何人か出会いました。 ベトナムのベンチェ省における活動の中で、現地地方行政の依頼により障がい児学校の建設に協力をして1994年に完成しました。現在も幼稚部から高等部まで多様な障がいのある子ども達が学んでいます。しかし特別支援学級は全くありませんでした。インクルーシブ教育として通常のクラスに障がいのある子どもが1人いると5人の子どもがいると換算してクラスの児童数を決めていました。しかし、ベトナムは学年末のテストで進級できるかどうかがきまります。もし通らなければ留年になります。その子どもに必要な個別指導も十分できないまま、留年を繰りかえすと結果退学という道を選ぶ家族も出てきます。在宅の子ども達の家庭訪問で何人もの退学してきた子ども達に出会いました。子ども達一人一人自分の発達にあった学習を受ける権利があると思いますが加配教員もないまま、まして専門的な研修も受けていない教員が指導して行くのは非常に難しいと思います。そして人口130万人の地域に障がい児学校1校で足りるわけもありません。 それで当会は2018年に特別支援学級設置の提案をしました。初めてのことは特に念入りに・・・。私はハノイに行って教育研修省初等教育課にまず説明をして内諾を得ました。 そして、当会が参加する研修期間は3日間、新設予定校の全教職員と障がい児学校の教員も参加しました。ほかの小学校からも数人参加されていました。 1日目の会場は障がい児学校。まず当会の小学校と中学校の現役支援学級の教員が「支援学級」とは何かを説明しました。また教員をグループに分けて各グループに今度新設支援学級に入る予定の9人の子どもの保護者に入ってもらい、経験や願いを話してもらいました。次に現地の障がい児学校教員は十分経験を積んでおられるので、実際に教育指導について話してもらいました。2日目は設置予定校へ行き、きれいに整備された教室をみせていただいたり、当会のメンバーによる模擬授業やみんなで教材開発もしたりしました。3日目は障がい児学校に戻り、午前はまとめの話し合い、午後は運動会をしました。その4か月後に再訪しましたが誰一人退学することなく支援学級やほかのクラスでの勉強や活動を楽しんでいました。 昨年来新型コロナでなかなか大変ですが、オンライン授業もあって支援学級の子どもたちも元気に学校につながっているとのことでした。昨年と今年は現地に行けていないので、来年こそは現地に行って支援学級を増やして、退学する子どもを減らしていきたいと願っています。     2. サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者に求められていること      和洋女子大学 家政学部 家政福祉学科 准教授 木 憲司 ※去る2021年8月20日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『第7回「リハ協カフェ」』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。 障害児者を支える仕組みの一つとして、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者(以下「サビ児管」)が各事業所に配置が義務付けられております。通常は計画作成といえば、相談支援専門員が作成する「サービス等利用計画・障害児支援利用計画」を思い浮かばれると思いますが、各事業所においても「個別支援計画」の作成が義務付けられており、これらの両計画が有機的につながり、幅広い視点と奥深い支援の両立が果たせると考えています。(図1) 今回のリハ協カフェでは、サビ児管に求められている役割についてお話しさせていただきました。 利用者の障害特性等に応じた適切なサービスや支援プロセスを管理する「個別支援」はもちろん最重要なのですが、地域の社会資源の一つである各事業所は、地域連携を通じて、新たな社会資源の創出についても、市町村や相談支援専門員等とともに考えていくことが重要なのではないかと提言させていただきました。 質疑応答では、そもそも障害の制度は複雑で介護保険に比べるととっつきにくい、わかりにくいというご意見もいただきました。全くその通りで、各障害特性・状態像の違いは高齢者に比べると範囲が広く、きめ細かくニーズに応じた制度とすると、どうしても複雑になっていくし、全ての障害に詳しいジェネラリストが育ちにくいという背景があるのだと思います。現在、介護保険の地域包括支援センターにあたる「基幹相談支援センター」も各市町村で根付き、全体のコーディネート役が育ちつつあるところだと思います。横の連携をどう地域で作っていくかということが、市町村でも重要な課題となっていますが、そのキーパーソンの一つの職種がサビ児管でもあると思っております。引き続きサビ児管の皆様の活躍に期待していきたいと思います。 ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報    (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)    署名国・地域数164/ 締約国・地域数 184 (2021年10月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1.CBID国際シンポジウム 2021年11月6日(土) 新型コロナウイルスの感染拡大により地域社会での人々のつながりはますます希薄になっています。誰かとつながり、話を聞いてもらえたら、地域での暮らしが誰にとっても未来を考えられるものに変わるかもしれません。誰もが他の人のためにできることに気づき、行動につなげる人が増えれば地域社会が変わることにつながるのではないでし ょうか。そのためには何から始めたらいいのでしょう。 コロナ禍の今だからこそ、変化を起こすつながりづくりのヒントを日本とアジアの事例から見つけてみませんか。 そのような思いを込めて本シンポジウムを開催します。シンポジウム終了後も参加者、講師の皆さんとつながりをもてるしくみを検討しますのでぜひご参加ください。 【CBID国際シンポジウム「何から始める?変化を起こすつながりづくり―アジア発、地域共生社会実現へのヒント―」】 ●開催概要● 日時:2021年11月6日(土)13:30〜16:00 ※16:00〜16:30には質疑と交流の時間を設けています。ぜひご参加ください。 会場:リモート開催(Zoom Webinar) 主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 後援:CBID アジア太平洋ネットワーク・アジア太平洋障害者センター(APCD)・大阪府民共済生活協同組合・埼玉県民共済生活協同組合 参加費:1,000円   定員:100名 情報サービス:日英同時通訳、日本手話、日英要約筆記 詳細・申し込み:https://kokucheese.com/event/index/616588/ ●報告者● @花戸貴司さん(医師、滋賀県東近江市) へき地診療所に勤務する傍ら、医療・介護の専門職だけではなく様々な地域住民が参加し支えあう「チーム永源寺」を主宰。 Aラオン・マニタームさん、ソムチャイ・ランシップさん(タイ北東部「希望の家」財団) 貧しい人と孤児のための入所ホームだった「希望の家」を閉じ、地域で取り残されている障害のある子どもたちを住民とともに支援する活動に転換。 Bドゥー・ティ・フーイェンさん(ベトナム・ハノイ障害者協会「DPハノイ」副代表) ハノイにおいて障害者のためのジムを運営。障害者だけでなく、地域に開いたジムを目指し、行政等からの支援も受けている。 【問い合わせ先】 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 上野悦子、宮前ユミ 電話03−5292−7628  Fax 03−5292−7630 メールアドレス:kokusai@dinf.ne.jp 2.地域共生社会推進全国サミットinかまくら 2021年11月18日(土)・19日(日) 地域共生社会とは、制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、 地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会です。 今回のサミットは、「いざ、共生・共創〜安心して自分らしく暮らせるまちをともにつくる〜」をメインテーマに、年齢、性別、性的指向や性自認、障害や病気の有無、家族のかたち、職業、経済状況、国籍、文化的背景などが様々に異なる人たち、全ての人が、住み慣れた地域で、その人らしく安心して生活できるよう、地域での支え合いや多様な社会参加の在り方等について考えるサミットです。 日時:【生配信】2021年11月18日(木)10:30〜16:00 11月19日 (金) 9:30〜14:30 【録画配信】2021年12月4日(土)〜19日(日) ※動画配信は一部視聴できない講演がある場合があります 参加費:無料 定員:1500人 主催:神奈川県鎌倉市 【プログラム】:1日目  11月18日(木) 10:30〜11:00 開会式 11:00〜12:00 基調講演『安心安全なデジタル社会の創成』 12:00〜13:30パネルディスカッション(メインテーマ)『安心して自分らしく暮らせるまちをつくるために』 13:30〜14:30 鎌倉の取組紹介 14:30〜16:00パネルディスカッション(サブテーマ@)『多様な社会参加で、安心して自分らしく暮らせるまちをつくる』 2日目  11月19日(金) 9:30〜11:00パネルディスカッション(サブテーマA)『SOSの声とつながり、社会的孤立を防ぐには』 11:00〜12:30 パネルディスカッション(サブテーマB)『災害時に誰一人取り残さないために〜福祉、防災、コミュニティの連結〜』 12:30〜13:00 引継式 13:00〜14:30 特別公演『選択肢を増やそう』 【公式ホームページ・申し込み】:https://chikyo-summit-kamakura.jp/ 【お申込みお問合せ先】 株式会社日本旅行 藤沢支店 担当:法林(ほうりん)、萩原、中俣 〒251-0025 神奈川県藤沢市鵠沼石上1-5-4 TEL:0466-22-7411 FAX:0466-24-4175  受付時間:10:00〜17:00(土日祝日休業) MAIL: chikyosummit_kamakura@nta.co.jp   3.第9回「リハ協カフェ」 2021年12月24日(金) 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会では、海外からの訪問者の報告会等を実施しておりましたが、本年度は、新型コロナウイルスの影響で海外関連の報告会の実施は難しい状況にあります。そのため、「リハ協カフェ」として、リモートによる報告会を企画し、2020年8月より隔月で開催してまいりました。今回は、第9回目の開催です。 第9回は、9月7日〜9日にデンマークで開催された「第24回RI世界会議」でのご発表内容を、日本語で更に詳しくご講義いただきます。 北村 弥生先生(長野保健医療大学 特任教授)より「自治体における障害者手帳所持者を対象にした調査結果」、廣瀬 里穂先生(目白大学 保健医療学部 作業療法学科 助教)より「生活環境を多職種で共有した自宅復帰の支援 〜急性期病院でクライアントの活動と環境に焦点をあてて〜」についてご報告いただきます。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。 日時:2021年12月24日(金)13:30〜15:15 場所:リモート開催(Zoom) 参加費:無料 ※情報保障あり 【プログラム】 13:30-13:35 開会挨拶 君島淳二(公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 常務理事) 13:35-14:15 報告1「自治体における障害者手帳所持者を対象にした調査結果」 発表者:北村 弥生氏(長野保健医療大学 特任教授) 14:15-14:25 質疑応答 14:25-15:05 報告2「生活環境を多職種で共有した自宅復帰の支援〜急性期病院でクライアントの活動と環境に焦点をあてて〜 」 発表者:廣瀬 里穂氏(目白大学保健医療学部作業療法学科 助教) 15:05-15:15 質疑応答 15:15    閉会 *プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。 【申込方法】 以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。 https://www.kokuchpro.com/event/cafe9/ 申込受付:12月23日(木)15:00まで ※情報保障が必要な方は、12月17日(金)までにお申し込みください。 満員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、点字資料など必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。  【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお) 〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523  Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 編集後記 メルマガを編集していつも感じるのは、一口に障害分野といっても、その取り組みの範囲や内容は本当に広いことです。また、大きな目標は同じでも、個々の取り組みについての考え方や進め方はそれぞれ異なったりします。JANNETのようなネットワークでは、地理的な範囲も全世界になりますので、なおさらです。さらにこれらの取り組みを、SDGsのような、社会や生活のほぼ全領域にわたるような枠組みのなかでどうとらえ、進めていくのか…… これについては、相互の話し合いも欠かせないのかもしれませんね。今後とも、メルマガや、その他の学習会などで、会員・関係者のそれぞれの取り組みについて、相互に学び合える機会を設けていきたいと思っています。 さて情報提供ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていた、障害者権利条約の日本の審査は、2022年8月〜9月に開かれる障害者権利委員会第27会期で行われることとなったそうです。詳しい情報はこれからですが、この動きについても、注目していきたいと思います。 (原田 潔/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上