JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第216号 9月号 2021年9月30日発行 ―目 次―  トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. 野毛坂グローカルの活動紹介 野毛坂グローカル 代表  奥井 利幸 2. RI/ICTA議長である私の仕事 特定非営利活動法人 支援技術開発機構 副理事長 河村 宏 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. ソーシャルファームシンポジウム 2021年10月9日(土) 2. グローバルフェスタJAPAN2021 2021年10月9日(土)・10日(日) 3. 第8回「リハ協カフェ」 2021年10月30日(土) トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. 野毛坂グローカルの活動紹介 野毛坂グローカル 代表 奥井 利幸   野毛坂グローカルは、「誰ひとり取り残さない」地域まちづくりの実践をめざす団体です。海外と日本の地域の学びあい、多世代の学びあい、様々な人の相互の学びあいを実践しています。 野毛坂グローカルの一番大切な思い、それは「当事者団体」を目指したいということです。何の当事者団体なのか? 、、、「一人の弱い人間」としての当事者団体です。 代表の奥井は長年「支援者」としていわゆる社会的弱者支援分野における国際協力に携わってきました。課題を設定し、その課題解決のためのプロジェクトの計画をし実施し評価する、そういうプロジェクトにいくつも携わってきました。どのプロジェクトでもキーワードは、プロジェクト終了後に自律発展するようプロジェクトデザインをどうするのか、どう実施するのか、そんなことが一番の関心事でした。 ある時に、地域の宣教師が亡くなりお葬式にいきました。アメリカから来て何十年も地域のために尽くした人でした。大勢の人が功績をたたえ悲しんでいました。支援者としてというより自分たちの尊敬できる仲間として。 そのときに受けた強いショックは忘れられません。自分は一つのプロジェクトに、わずか数年だけしか関わりません。その地域の人からみればあくまで外部から来たお客さんです。プロジェクトが終わればいなくなる人間です。助言をするだけの存在です。いくら、「地域の人々と同じ目線で」と心がけてもそう思う時点で上から目線です。「この宣教師にはかなわない」と思う一方で「自分も当事者になりたい」と強くおもいはじめたできごとでした。 野毛坂グローカルはそんな思いではじめた団体です。 障害者かどうかにかかわらず、人間ひとりひとり誰もが弱い存在です。でも弱さを「悪」とするから「強くなれ」といわれてみんな一生懸命背伸びする。そして背伸びができなくなったときに、落ちこぼれてしまう、そんな世の中に見えてしまいます。 野毛坂グローカルは弱さをもつ人間の当事者団体として、「弱さがあっても幸せを感じる、弱さがあるのが普通、弱さがあることが強み」との思いを基本とした活動を実施しています。     2. RI/ICTA議長である私の仕事      特定非営利活動法人 支援技術開発機構 副理事長 河村 宏 ※去る2021年8月20日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『第7回「リハ協カフェ」』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。 RIの最も顕著な国際的貢献は、世界の障害者団体が大同団結して推進した国連障害者権利条約の成立の際の活動だと思いますが、同条約に先立つ国連世界情報社会サミット(WSIS)に、ICTのアクセシビリティに関与するRIの専門家の国際的なネットワークが大きな貢献をしました。その結果、障害者権利条約の情報アクセスに関わる部分は、ユニバーサルデザインの推進によって障害者差別を解決するという今でも通用する先端的な考え方になっています。また、WSISに準備段階から筆者と共に参加した、当時タイ視覚障害者協会代表の民間人だったM・ブンタン氏が、タイ政府が障害者権利条約の政府間交渉のタイ政府代表として起用して交渉を大きく進展させたことにも、同氏のWSISにおける活躍が影響を与えています。 更に、WSISに対するRIの貢献は、それまで様々な社会的に不利な立場の人々一つとしてのみ国連会議で語られてきた障害者が、初めて2003年の成果文書で「障害者」として独立して言及されたということでも特筆されます。 国連から見るとRI等の国際NGOは、各国政府、国連機関と区別される市民社会の一員とみなされます。私は2014年にジュネーブで開催された第3回国連防災世界会議(仙台会議) にRIの「障害インクルーシブな防災」のプロジェクト・マネージャーとして出席し、障害者が農民、女性等の市民社会の中の独立したグループの一つではなく、その他NGOとして一括して扱われる存在でしかないことを知って愕然とし、約9か月の準備期間中にRIとして他の障害者関係の国際団体に呼びかけ、粘り強く交渉して、前例を破って障害者グループの設置を実現して、グループのフォーカルポイントになって仙台会議を最もアクセシブルな国際会議にするために微力を尽くしました。 このRIとしての貢献の結果、現在の国連の中心課題の一つであるSDGsの推進を支える市民社会パートナー・グループには、障害者の看板がしっかりと立っています。 ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報    (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)    署名国・地域数164/ 締約国・地域数 184 (2021年9月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1.ソーシャルファームシンポジウム 2021年10月9日(土) ソーシャルファームは、障害者など一般雇用が困難な者の雇用を目的とした社会的企業のひとつであり、ヨーロッパを中心に発展してきました。その重要性は増してきているが、制度の形態は国によって異なります。これまでイギリス、ドイツ、フィンランド、イタリア、韓国、オランダのソーシャルファームを実地調査し、シンポジウムを開催し、それぞれの国の立場から日本型ソーシャルファームの推進に向けてのヒントとなる講演を聞く機会を設けてきました。 今回のセミナーでは、ヨーロッパでの推移から東京都条例制定までの流れを踏まえ、東京都におけるソーシャルファームの動きや今後の日本の発展を展望します。   日時:2021年10月9日(土)13:00〜15:30 会場:戸山サンライズ2階 大研修室(東京都新宿区戸山1-22-1)※対面40名およびリモート(Zoom)参加。 主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 後援:埼玉県民共済生活協同組合 参加費:無料  情報保障:要約筆記つき 手話通訳・点字プログラム・磁気ループ・車いすスペースは要申込 【プログラム】*プログラムは変更になる場合があります。 13:00-13:05  開会挨拶 君島淳二(公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会常務理事) 13:05-13:35  基調報告  「これからのソーシャルファーム〜ヨーロッパ、韓国、日本それぞれの方向〜」 炭谷 茂(ソーシャルファームジャパン 理事長・社会福祉法人 恩賜財団 済生会 理事長・公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 会長) 13:35-14:05  活動報告「東京都認証ソーシャルファーム事業所の活動状況」 三鴨みちこ(「有限会社まるみ」社長・認証ソーシャルファーム(杉並区)) 14:05-15:30 パネルディスカッション                       シンポジスト:篠田高志(東京しごと財団 課長) 三鴨みちこ(「有限会社まるみ」社長 (認証ソーシャルファーム)) 内山英紀(耕合同会社代表(予備認証 事業者)) 炭谷茂(ソーシャルファームジャパン 理事長・恩賜財団 済生会 理事長・日本障害者リハビリテーション協会 会長) コーディネーター:寺島彰(日本障害者リハビリテーション協会 参与)   15:30 閉会 【申込方法】 下記のいずれか方法でお申し込みください。 @ 下記Webサイトより申し込み こくちーず https://kokucheese.com/event/index/614837 A メールもしくはFAX お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、ヒアリングループ、点字資料、車いすスペースなど必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。 申し込み締切:10月9日(土)13:00まで(※点字プログラムをご利用の方は9月23日(木)まで) 【お申し込み、お問い合わせ先】 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 情報センター 〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0796   FAX: 03-5273-0615   Eメール:dinf-j@dinf.ne.jp 2.グローバルフェスタJAPAN2021 2021年10月9日(土)・10日(日) 「グローバルフェスタJAPAN」は、国際協力活動、社会貢献活動、SDGsなどに取り組む官民様々な団体が一堂に会する国内最大級の国際協力イベントです。 30回目となる今年のテーマは、“多様性あふれる社会 〜思い描く未来を語ろう〜” 新型コロナウイルスの感染防止対策を行った上で、リアル(対面形式)とオンライン配信形式を両立したハイブリッド形式という新しいかたちで開催します。 出展者による展示・活動報告をはじめ、多彩なゲストが出演するステージや体験イベント等を通じて、楽しみながら様々なグローバルな活動や参加の機会を知ることができます。 ぜひこの機会に、見て、聞いて、触れて、国際協力をもっと身近に感じてください。 <開催概要> 日時:2021年10月9日(土)・10月10日(日)10:00-17:00 場所:リアル会場:東京国際フォーラム(ホールE) JR線「有楽町駅」から徒歩1分、「東京駅」から徒歩5分 東京メトロ有楽町線「有楽町駅」(B1F地下コンコースにて連絡) オンライン:ホームページ内サイトが当日オンライン会場に切り替わります。主催者が用意するZoomのURLにアクセスし、オンラインコンテンツや配信プログラムをご自宅などでお楽しみいただけます。 入場料:無料 主催:グローバルフェスタJAPAN2021実行委員会 URL:https://www.gfjapan2021.jp/ 3.第8回「リハ協カフェ」 2021年10月30日(土) 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会では、海外からの訪問者の報告会等を実施しておりましたが、本年度は、新型コロナウイルの影響で海外関連の報告会の実施は難しい状況にあります。そのため、「リハ協カフェ」として、リモートによる報告会を企画し、2020年8月より隔月で開催してまいりました。今回は、第8回目の開催です。 第8回は、9月7日〜9日にデンマークで開催される「第24回RI世界会議」のご発表報告としまして、河野 眞氏(国際医療福祉大学 成田保健医療学部作業療法学科 学科長・教授)より「ポスト紛争期のミャンマー・カレン州における障害のある人たちの生活実態調査」、湯沢 由美氏(医療法人丹沢病院 精神保健福祉士)より「地域で働く実践家から見た、国際学会参加を通した国際貢献と臨床に持ち帰るもの」(仮)についてご報告いただきます。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。 日時:2021年10月30日(土)13:30〜15:15 場所:リモート開催(Zoom) 参加費:無料 ※情報保障あり 【プログラム】 13:30-13:35 開会挨拶 君島淳二(公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 常務理事) 13:35-14:15 報告1 「ポスト紛争期のミャンマー・カレン州における障害のある人たちの生活実態調査」 発表者:河野 眞氏(国際医療福祉大学 成田保健医療学部 作業療法学科 学科長・教授) 14:15-14:25 質疑応答    14:25-15:05 報告2 「地域で働く実践家から見た、国際学会参加を通した国際貢献と臨床に持ち帰るもの」(仮) 発表者:湯沢 由美氏(医療法人丹沢病院 精神保健福祉士)            15:05-15:15 質疑応答    15:15    閉会 *プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。    【申込方法】 以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。 https://kokucheese.com/event/index/615341/ 申込受付:10月29日(金)15:00まで ※情報保障が必要な方は、10月22日(金)までにお申し込みください。 満員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、点字資料など必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。  【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお) 〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523 Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 編集後記 今月号は、支援技術開発機構の河村さんからのご報告があり、I Rの国際的な貢献として、国際的なネットワークの構築や国際社会での障害者の位置づけに尽力されたことを知り、力強いメッセージを感じました。また、野毛坂グローカルのご紹介では、「自分も当事者になりたい」と言われた奥井さんの言葉にハッと思い返すところがありました。 さて、先日東京で開催されたパラリンピック、オリンピックで、私の娘(4歳)は「ママ、パラリンピックには、目が見えない人や、手や足がない人が出てるんだよ(語弊があったらすみません)」。娘にとっては、肌の色や言語が違う人がいるだけでなく、障害がある人がいることを知り、新鮮だった様で得意げに話してくれました。この子たちが成長した時、様々な当事者がいることが当たり前の世界であって欲しいと願います。 (西本 敦子/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上