JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第215号 8月号 2021年8月31日発行 ―目 次―  トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. 特定非営利活動法人 ワールド・ビジョン・ジャパンの団体活動紹介 特定非営利活動法人 ワールド・ビジョン・ジャパン  佐々木 貴代 2. ミャンマーにおける緊急人道支援活動 −課題と展望− 認定NPO法人 難民を助ける会 [AAR Japan] 支援事業部マネージャー 野際 紗綾子 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 2.「野毛坂グローカル」が『アジア健康長寿イノベーション2021』受賞 3. アジア保健研修所 2021年度オンライン国際研修の動画作成 イベント情報 1. 第43回総合リハビリテーション研究大会 2021年10月2日(土) 2.グローバルフェスタJAPAN2021 2021年10月9日(土)・10日(日) 3. 第8回「リハ協カフェ」 2021年10月30日(土) トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. 特定非営利活動法人 ワールド・ビジョン・ジャパンの団体活動紹介 特定非営利活動法人 ワールド・ビジョン・ジャパン  佐々木 貴代 ワールド・ビジョン(WV)は、1950年にアメリカの宣教師ボブ・ピアスによって設立された、キリスト精神に基づいて世界の子どもたちを支援する国際NGOです。WVは1960年代、日本でも両親を亡くした子どもたちが生活する施設等を通じて支援活動を行いました。その後、日本の経済成長と内外の海外支援に対する機運の高まりとともに、1987年、「ワールド・ビジョン・ジャパン」(WVJ)が設立されました。WVJは、チャイルド・スポンサーシップ等による開発援助、緊急人道支援、アドボカシーを活動の3本柱として、設立から30年以上を経た2020年度、世界33か国で支援活動を展開するまでになりました。 「私たちのビジョンは、すべての子どもに豊かないのちを 私たちの祈りは、すべての人の心にこのビジョンを実現する意志を」 これはWVのビジョン・ステートメントです。WVJは、すべての子どもが、人種・性別・障がいの有無にかかわらず、生まれながらに持っている可能性や能力を十分開花し、心身ともに健やかに成長するよう、子どもたちやその家族、地域、それらを支える社会が変革されていく世界を目指して活動しています。 すべての子どもには、障がいを持つ子どもたちも含まれ、WVは、スタッフや地域の人々に対し、障がい児も健常児と同じ権利があることの権利擁護の啓発活動や、車いすなどの補助具や職業訓練の支援、施設のバリアフリー化、障がい者施設・特別支援教育への支援などを行っています。WVJが行うチャイルド・スポンサーシップによる長期の開発支援においてもこれらの活動を実施するとともに、スポンサーシップで支援者と交流しているチャイルドの中には障がいを持つ子どもも含まれています。 WVJは、障がいを持つ子どもも持たない子どもも、共に大切な存在として受け入れられる地域、社会を目指し、これからも活動を進めてまいります。     2. ミャンマーにおける緊急人道支援活動 −課題と展望−        認定NPO法人 難民を助ける会 [AAR Japan]  支援事業部マネージャー 野際 紗綾子 ※去る2021年6月9日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『第6回「リハ協カフェ」』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。 現在、AAR Japanは、ミャンマーの最大都市であるヤンゴンに1999年に事務所を開設し、障害分野を中心とする活動に注力してきましたが、2021年2月に急激な政情悪化に見舞われました。国内は大きく混乱し、多くの人々が理不尽な暴力にさらされました。行政機関と障害当事者・関連団体との協議の場は事実上絶たれました。治安の悪化と新型コロナウィルスの感染再拡大の中で、障害児・者とその家族の暮らしも経済的に苦しくなっていきました。こうした状況下で、当会の活動地域であるヤンゴンとカレン州で、5月から緊急人道支援を実施しています。具体的な活動としては、食糧や衛生用品を含む生活必需品の確保につながる支援を実施してきました。 現在の課題は、治安悪化の中、どのようにして、現地職員や受益者となる障害児・者とその家族の安全を確保しながら活動を実施できるか、ということになります。通常であれば、団体のロゴを掲示しながら物資配布を行ったり、受益者の声を写真や画像を通じてメッセージとして発信します。しかし現在は、現地職員や受益者の安全確保のため、周囲に目立たないよう活動を行わなければならず、個人や場所が特定されないように配慮しなければなりません。政治的思想や諸状況により、周囲の誰が「敵」となり得るかも分からない中で、支援実施団体や受益者に危害が加わる恐れがあるためです。医療サービスも十分に提供されない中、現地職員や受益者が新型コロナウィルスに感染しないように対策を徹底することも求められています。 上述のとおり、現在は緊急人道支援活動が必要とされていますが、これからは、より息の長い障害分野への中長期的なサポートも必要になってくるでしょう。ミャンマーには、とても優れた障害当事者の活動家や団体があり、この国の未来を中心的に担うことができる能力と意欲を兼ね揃えています。もしかしたら現在は絶望の淵にいるかもしれません。しかし希望を絶やすことなく、治安が安定したら活動を再開・発展できるように、これからも状況を見守りながらご支援頂けたら、こんなにありがたいことはありません。 ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 184 (2021年8月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en 2.「野毛坂グローカル」が『アジア健康長寿イノベーション賞2021』受賞 「アジア健康長寿イノベーション賞」は、日本政府によるアジア健康構想の一環として、東アジア・アセアン経済研究センター(事務総長・ 西村英俊)および日本国際交流センター(理事長・大河原昭夫) が2020年に創設した表彰事業で、健康長寿の達成、高齢者ケアの向上に資する取り組みをアジア各国から募集し表彰するものです。 この度、アジア健康長寿イノベーション賞2021(第2回公募)の【コミュニティ部門】にJANNET正会員団体の「野毛坂グローカル」が携わる取り組みが大賞を受賞されました。 URL:http://www.jcie.or.jp/japan/2021/07/30/post-13745/    3.アジア保健研修所 2021年度オンライン国際研修の動画作成 2021年度、JANNET正会員である「アジア保健研修所(AHI)」がオンラインで実施されている、国際研修Part1(6/14〜6/26)の様子が2分半の短い動画になりました。下記URLからぜひご覧ください。 URL:https://youtu.be/cvx26Q8n6ac イベント情報 1. 第43回総合リハビリテーション研究大会 2021年10月2日(土) 昨年度は開催が延期された本大会では、本年は「コロナ危機」をテーマに、障害者権利条約などに基づく国際的な動向も踏まえながら、障害当事者の方々の暮らし方へのインパクト、ならびに、リハビリテーション分野の専門職の方々による対応などについて話し合います。 ポストコロナに向けて、障害当事者の方々のニーズにより適切にこたえ得る、総合リハビリテーションのあり方について、次に繋がる一定の方向性が見いだせることを願っています。 『第43回総合リハビリテーション研究大会 コロナ危機下での障害のある人−総合リハビリテーションの視点から−』 日時:2021年10月2日(土) 9:30〜17:00 会場:オンライン開催(Zoomウェビナー) 参加費:1,500 円 ※手話通訳、要約筆記、テキストデータ(視覚障害・読字障害等のある方) あり 主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 生涯学習:日本作業療法士協会生涯教育制度ポイント、日本言語聴覚士協会生涯学習ポイント 【プログラム (順不同・敬称略)】 第1部 9:30〜09:40 主催者あいさつ (公財)日本障害者リハビリテーション協会会長 炭谷 茂 9:40〜10:00 本大会の経緯と趣旨について 実行委員長 松井 亮輔 日本障害者リハビリテーション協会副会長 10:00〜10:50 《基調講演》国連における新型コロナウイルスと障害者に関する対応など 伊東 亜紀子 国連経済社会局 障害者権利条約事務局チーフ 11:00〜12:30 パネル1「コロナ危機と障害者:その暮らし方がどうかわったか」 パネリスト 篠原 三恵子 NPO法人筋痛性脳脊髄炎の会 理事長 藤原 久美子 DPI女性障害者ネットワーク 代表 後藤 強   社会福祉法人ゆたか福祉会 理事・法人本部長 久松 三二  一般財団法人全日本ろうあ連盟 事務局長 家平 悟   障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会 事務局次長 コーディネーター 藤井 克徳 NPO法人日本障害者協議会 代表 12:30〜13:30 昼休み 第2部 13:30〜15:00 パネル2「コロナ危機とリハビリテーション」 パネリスト 松矢 勝宏 東京学芸大学 名誉教授 丹羽 真一 福島県立医科大学会津医療センター精神医学講座 特任教授 吉川 一義 金沢大学人間社会研究域学校教育系 教授 矢本 聡  東日本国際大学健康福祉学部 教授 高岡 徹  横浜市総合リハビリテーションセンター センター長 コーディネーター 大川 弥生 元(独)国立長寿医療研究センター生活機能賦活研究部長 15:00〜15:10 休憩 15:10〜16:25 パネル1・2のパネリストによる対話 共同コーディネーター 藤井 克徳  大川 弥生 16:30〜16:55 総合リハビリテーションのあり方に関する検討会 中間報告 伊藤 利之 横浜市リハビリテーション事業団 顧問 16:55〜17:00 閉会あいさつ 日本障害者リハビリテーション協会常務理事 君島 淳二 閉会 【申込方法】 お申込み方法などについては、こちらをご覧ください。 URL:https://www.normanet.ne.jp/~rehab/2021/43moushikomi.html 【お問い合わせ】 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 「第43回総合リハビリテーション研究大会事務局」 162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 TEL:03-5273-0601 FAX:03-5292-7630 Mail:rehab@dinf.ne.jp 2.グローバルフェスタJAPAN2021 2021年10月9日(土)・10日(日) 「グローバルフェスタJAPAN」は、国際協力活動、社会貢献活動、SDGsなどに取り組む官民様々な団体が一堂に会する国内最大級の国際協力イベントです。 30回目となる今年のテーマは、“多様性あふれる社会 ―思い描く未来を語ろう―” 新型コロナウイルスの感染防止対策を行った上で、リアル(対面形式)とオンライン配信形式を両立したハイブリッド形式という新しいかたちで開催します。 出展者による展示・活動報告をはじめ、多彩なゲストが出演するステージや 体験イベント等を通じて、楽しみながら様々なグローバルな活動や参加の機会を知ることができます。 ぜひこの機会に、見て、聞いて、触れて、国際協力をもっと身近に感じてください。 <開催概要> 日時:2021年10月9日(土)・10月10日(日)10:00-17:00 場所:リアル会場:東京国際フォーラム(ホールE) JR線「有楽町駅」から徒歩1分、「東京駅」から徒歩5分 東京メトロ有楽町線「有楽町駅」(B1F地下コンコースにて連絡) オンライン:ホームページ内サイトが当日オンライン会場に切り替わります。 主催者が用意するZoomのURLにアクセスし、オンライン コンテンツや配信プログラムをご自宅などでお楽しみいただけます。 入場料:無料 主催:グローバルフェスタJAPAN2021実行委員会 URL:https://www.gfjapan2021.jp/ 3.第8回「リハ協カフェ」 2021年10月30日(土) 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会では、海外からの訪問者の報告会等を実施しておりましたが、本年度は、新型コロナウイルの影響で海外関連の報告会の実施は難しい状況にあります。そのため、「リハ協カフェ」として、リモートによる報告会を企画し、2020年8月より隔月で開催してまいりました。今回は、第8回目の開催です。 第8回は、9月7日〜9日にデンマークで開催される「第24回RI世界会議」のご発表報告としまして、河野 眞氏(国際医療福祉大学 成田保健医療学部作業療法学科 学科長・教授)より「ポスト紛争期のミャンマー・カレン州における障害のある人たちの生活実態調査」、湯沢 由美氏(医療法人丹沢病院 精神保健福祉士)より「地域で働く実践家から見た、国際学会参加を通した国際貢献と臨床に持ち帰るもの」(仮)についてご報告いただきます。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。 日時:2021年10月30日(土)13:30〜15:15 場所:リモート開催(Zoom) 参加費:無料 ※情報保障あり 【プログラム】 13:30-13:35 開会挨拶 君島淳二(公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 常務理事) 13:35-14:15 報告1 「ポスト紛争期のミャンマー・カレン州における障害のある人たちの生活実態調査」 発表者:河野 眞氏(国際医療福祉大学 成田保健医療学部 作業療法学科 学科長・教授) 14:15-14:25 質疑応答 14:25-15:05 報告2 「地域で働く実践家から見た、国際学会参加を通した国際貢献と臨床に持ち帰るもの」(仮) 発表者:湯沢 由美氏(医療法人丹沢病院 精神保健福祉士) 15:05-15:15 質疑応答 15:15    閉会 *プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。 【申込方法】 以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。 https://kokucheese.com/event/index/615341/ 申込受付:10月29日(金)15:00まで ※情報保障が必要な方は、10月22日(金)までにお申し込みください。 満員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、点字資料など必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。  【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお) 〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 編集後記 今月号でAAR Japanの野際さんが執筆されたミャンマーでの緊急人道支援活動の記事では、治安悪化の中、どのように安全を確保しながら支援を行うべきか紹介されており、印象に残りました。ただでさえ、新型コロナという見えない敵と戦わねばならない中、周囲にいるかもしれない「敵」を意識しつつ必要な物資を支援するために、平時とはかけ離れた配慮をも伴わなければならないことに、やるせなさを感じるとともに、一刻も早い同国の政情回復を願ってやみません。  全国盲ろう者協会では7月末に、韓国、シンガポール、日本の盲ろう者がZoomを介した研修会を実施しました。普段、接する機会がない異国の盲ろう者同士がオンラインで繋がり、親交を深める貴重な時間となりましたが、こうした行事も、安定した国情あってのものであることを、改めて実感させられました。 (小林 真悟/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上