JANNET障害分野NGO連絡会
メールマガジン 第211号 4月号 2021年4月28日発行

―目 次― 
トピックス
~会員団体の活動紹介~
1. 一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会の団体活動紹介
一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事兼事務局長
 又村 あおい

2. デイジー図書による読みの困難を持つ子ども達への支援の現状、課題
公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 参与
西澤 達夫

3. NGO-外務省定期協議会(2020年度)の報告について
JANNET研修・研究委員会 専門委員
奥井 利幸

インフォメーション
1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報

イベント情報
1. 第6回「リハ協カフェ」
2021年6月9日(水)



トピックス
~会員団体の活動紹介~
1. 一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会の団体活動紹介

一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事兼事務局長
 又村 あおい
  
一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会(以下、本会)は、知的障害者の権利擁護と政策提言を行うため、全国55の正会員各団体がそれぞれ役割を担う有機的なつながりをもつ連合体として活動しています。その歴史は、1952年に知的障害児を持つ3人の母親が障害のある子の幸せを願って教育、福祉、就労などの施策の整備、充実を求めて、仲間の親・関係者・市民の皆さんに呼びかけたことをきっかけとして設立された「精神薄弱児育成会(手をつなぐ親の会)」まで遡ります。その後、社会福祉法人として活動していましたが、2020年4月から一般社団法人として再スタートしたところです。
本会は全国の47都道府県・8政令指定都市育成会が7つのブロックで地域連携を強化し、ブロックの活性化とともに、地方の特性を生かした活動にも力を入れています。
障害者本人の高齢化への備えとともに、高齢化する家族同居への支援の具体的な提案も含めて、児童学齢期からの支援、インクルーシブ教育の推進と特別支援教育の充実、地域支援および家族支援の強化を重点課題として、育成会活動の原点である「障害者の権利擁護」と「必要な政策提言」を行う運動を進めていきます。
(主な活動)
本会は、主な活動として月刊の機関誌・交流誌「手をつなぐ」(約3万部)の発刊、知的障害児者の暮らしを支えるための各種書籍の刊行、障害者虐待や障害者差別の解消、成年後見制度の利用促進といった権利擁護活動の推進、知的障害児者福祉向上を図るための政策提言、地域住民に向けた知的障害児者理解の啓発活動などを行っています。
また、会員の交流と研修を目的に、年1回の全国大会やブロック大会のほか、随時に権利擁護や政策課題をテーマとしたセミナーなどを実施しています。現在は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に努め、オンラインを活用して大会・研修会等を実施しています。


2. デイジー図書による読みの困難を持つ子ども達への支援の現状、課題
      
公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 参与
西澤 達夫

■マルチメディアデイジーを必要とする子どもたちと読みの困難さ
文部科学省が平成24年12月に実施した通常の学級に在籍する特別な支援を要する発達障害の可能性のある児童生徒の調査結果では、読みまたは書きに困難がある割合は2.4%、人数では約24万人で、この子どもたちが、読みの支援を必要としています。
読みの困難さですが、文字がにじむ、ゆらぐ、鏡文字になったり文字がかすんだりといった見えこのような見え方の問題だけでなく、「記号」である文字を「音」として認識することが困難だったり、名称を想起する速度が遅いことによって起こると言われています。
■マルチメディアデイジーで期待される効果=読みの負担低減
紙の教科書だと、読むこと自体に一生懸命でなかなか中身が入ってきません。これに対し、マルチメディアデイジーでは、テキストがハイライトして、その部分を音声で喋ってくれるので、どこを読んでいるかがわかります。
見て情報をとることが難しい場合は、音で情報をとれます。そして、背景色、文字の大きさ、再生速度も変更可能で、一人一人の困難さに応じたカスタマイズができるので、読みに関する負担が減って本来自分が持っている能力を、学習の目的に使うことができます。
■マルチメディアデイジー教科書による支援の現状と今後の課題
当協会では、平成20年度からボランティア団体等と協力して小中学校の発達障害など読みの困難がある児童生徒にマルチメディアデイジー教科書を製作・提供を行っています。
当初80名だった利用者は、急速に普及しつつありますが、以下の課題があり、当協会としても様々な施策を具体化中です。
・ 効果的な読みの支援としての認知が進み、令和元年度はデイジー教科書の利用者が約1万2千名となったが、普及率5%で限定的、都道府県別の普及率の差が大きい。
・ 子どもたちにとって言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにしていく読書活動が不可欠なため、教科書の提供だけでは不十分であり、教科書で推薦している図書等のマルチメディアデイジーによる提供が待たれている。
 
※去る2021年2月24日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『第4回「リハ協カフェ」』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。
 
 
3. NGO-外務省定期協議会(2020年度)の報告について

JANNET研修・研究委員会 専門委員
奥井 利幸

3月22日にNGO-外務省定期協議会が実施されました。
オンラインということもあり、NGO側からは41団体58名の多くの参加がありました。
例年は年に2回、外務省において対面式で実施されるのですが、今年度は新型コロナウィルス感染症の影響により実施されておらず、今回が今年度はじめての協議会でした。
外務省側からは、岡田恵子外務省国際協力局審議官など幹部の出席もいただき、司会は外務省側(工藤博 国際協力局民間援助連携室首席事務官)、NGO側(池田誠 (一財)北海道国際交流センター 専務理事)共同で就かれ、「対等な立場」が強調されました。
外務省岡田審議官の冒頭挨拶では、このような困難な状況であるからこそ、(官・民・市民社会といった)多様なセクターの連携が必要、特にNGOとの協力により「最も脆弱な人々にリーチすること」が重要であることが強調されました。
プログラムは事前に申し込みのあった6団体のNGOから一団体5分間の提言/課題などの発表があったのち、「ミャンマーにおけるODA/ビジネスと人権」「OECD/DAC、CSOパートナーシップ/ガイダンス策定への日本の対応」「2021年度ODA予算」について、情報提供、課題提起、意見交換がありました。 
本協議会は議事録の公開を前提したものであることもあり、その場での率直な意見交換を行うことは難しいのですが、外務省と各NGOが同じ場で顔を合わせて情報をシェアする意味は大きいと思われます。
今回はJANNETとして提言/課題などの提起は行わなかったのですが、外務省に対してだけでなく、他のNGOとシェアを行うという意味でも、次回の協議会での障害者支援/インクルーシブ社会の実現の立場からの発信を検討してもよいかと思います。

********************************************************************************
インフォメーション
1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 
(関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)
署名国・地域数164/ 締約国・地域数 182 (2021年4月末現在)
https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en

           
イベント情報
1. 第6回「リハ協カフェ」
2021年6月9日(水)

公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会では、海外からの訪問者の報告会等を実施しておりましたが、本年度は、新型コロナウイルの影響で海外関連の報告会の実施は難しい状況にあります。そのため、「リハ協カフェ」として、リモートによる報告会を企画し、2020年8月より隔月で開催してまいりました。今回は第6回目の開催です。
第6回は、春名由一郎氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター副統括研究員)より「世界の職業リハビリテーションの収斂進化」、野際紗綾子氏(認定NPO法人 難民を助ける会 [AAR Japan] 支援事業部マネージャー)より「ミャンマーにおける緊急人道支援(仮)」をご報告いただきます。
関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。
日時:2021年6月9日(水)13:30~15:15
場所:リモート開催(Zoom)
参加費:無料 ※情報保障あり
【プログラム】
13:30-13:35 開会挨拶 君島淳二(公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会常務理事)
13:35-14:15 報告1「世界の職業リハビリテーションの収斂進化」 
          春名 由一郎氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 副統括研究員)
14:15-14:25 質疑応答
14:25-15:05 報告2「ミャンマーにおける緊急人道支援」(仮)
          野際 紗綾子氏(認定NPO法人 難民を助ける会 [AAR Japan] 支援事業部マネージャー) 
15:05-15:15 質疑応答
15:15    閉会
*プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。
【申込方法】
以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。
https://kokucheese.com/event/index/611047/
申込受付:6月8日(火)15:00まで
※情報保障が必要な方は、6月1日(火)までにお申し込みください。
満員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。
お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、点字資料など必要があれば
申し込み時にお知らせください。
参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。 
【お申し込み、お問い合わせ先】
《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》
担当:村上・仁尾(にお)
〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号
TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523   
Eメール:kokusai@dinf.ne.jp


編集後記	
今月号で、マルチメディアデイジー図書についての報告がありました。読みが困難な子どもたちにとって画期的であり、みる、聞くという使える感覚を使い読みの学習に役立てるということでした。
西澤先生もおっしゃっていた子ども時代の読書は新たな知識や言葉を学び、感性や表現力をみがく貴重な機会です。今後、マルチメディアデイジー図書が教科書だけではなく子供たちが触れる多くの図書で作成されることが期待されます。
コロナ禍で様々な障害を持つ子どもたちの学びの場も限定的であったり、必要な支援が遅れたり提供し切れないことが心配されます。
学びと言えば、私の職場(国立国際医療研究センター病院)でも、コロナ禍で学生の臨床実習が昨年から受けられず、患者さんに触れられる貴重な機会がなかなか確保できない状態です。新たな実習の形を模索しています。
(西本 敦子/JANNET広報啓発委員)

JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。
JANNET障害分野NGO連絡会
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内
【JANNET事務局直通】   TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630
URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 


以上