JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第206号 11月号 2020年11月30日発行 ―目 次―  トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. ネパールにおける教育事業とCBR―― 東京ヘレン・ケラー協会の国際協力 ―― 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 海外盲人交流事業事務局長 福山 博 2. 社会リハビリテーションと社会生活力プログラム〜日本障害者リハビリテーション協会主催 第2回「リハ協カフェ」での報告〜 元筑波大学大学院教授/日本リハビリテーション連携科学学会・社会リハビリテーション協会顧問 奥野 英子 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. みんなのSDGs オンラインセミナー第4回 「SDGsと新型コロナ:“障がい課題”を取り残さないために」 2020年12月4日(金) 2.令和2年度「障害者週間連続セミナー」 マルチメディアデイジー図書の活用による読みの困難を持つ子どもへの有効な支援の実例と今後について -国連、持続可能な開発目標(SDGs)の誰も取り残されない社会の実現に向けて- 2020年12月5日(土) 3.JDF全国フォーラム(オンライン開催) 2020年12月7日(月) トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. ネパールにおける教育事業とCBR―― 東京ヘレン・ケラー協会の国際協力 ―― 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 海外盲人交流事業事務局長 福山 博   当協会は1950年にヘレン・ケラー女史を名誉総裁に設立されました。 国際障害者年を契機に1982年10月に、海外盲人交流事業事務局が発足し、1985年12月よりネパール盲人福祉協会(NAWB)をカウンターパートにネパールにおいて支援事業を行っています。 最初の事業は、点字教科書を発行するための点字出版所をNAWBに建設することでした。そこで、1986年8月にNAWBの職員を当協会に招き、点字製版・印刷機の操作と保守・修理等の研修を行い、帰国に合わせて点字製版機や印刷機をカトマンズのNAWBに送りました。 ただ、当時のNAWBは古いヒンドゥー寺院内にあり、土埃が舞う室内で点字出版を続けるには限界があったので、郵政省国際ボランティア貯金の配分金を受けて、1992年1月に点字出版所の建物を新築しました。 現在、NAWB が教科書を配布している統合教育校は75校で、これまでに作成した点字教科書は延べ11万組に及びます。 当協会は、1989年3月ネパール社会福祉協議会(SWC)と協定書を交換して、ナラヤニ県バラ郡において「バラCBR事業」を開始し、2001年6月まで続けました。 バラCBRではリハビリテーションと並行して失明予防プログラムも展開し、1990年度外務省NGO補助金を受け、眼科診療所を併設したバラCBRセンターを建設しました。 バラ眼科診療所への当協会の支援は、CBR事業の完了後もさらに1年間継続し2002年6月末に完了し、その後は現在もNAWBバラ支部が事業を継続しています。 学齢期の視覚障害児のために統合教育も推進し、そのための寄宿舎を1995年5月、1999年7月、2000年5月に3校建設しました。 2010年4月から日本の篤志家3氏の財政支援でNAWBに設けた3つの育英基金で、毎年19人の視覚障害生徒に教育費と寮費を給付しています。 2. 社会リハビリテーションと社会生活力プログラム 〜日本障害者リハビリテーション協会主催 第2回「リハ協カフェ」での報告〜      元筑波大学大学院教授/日本リハビリテーション連携科学学会・社会リハビリテーション協会顧問 奥野 英子 2020年10月30日に開催された第2回「リハ協カフェ」において、「社会リハビリテーションと社会生活力プログラム」について、報告させていただきました。その概略をまとめさせていただきます。 リハビリテーションには、@医学リハビリテーション、A教育リハビリテーション、B職業リハビリテーション、C社会リハビリテーション、Dリハビリテーション工学の5つの分野があります。国際リハビリテーション協会(RI)は1986年に、社会リハビリテーションの定義を採択しました。 「社会リハビリテーションとは、社会生活力(social functioning ability,SFA)を身につけることを目的としたプロセスである。社会生活力とは、さまざまな社会的な状況の中で、自分のニーズを満たし、最も豊かな社会参加を実現する権利を行使する力を(ちから)を意味する。」 社会リハビリテーションは、障害のある方々が活用できる諸サービスを自ら活用して社会参加し、自らの人生を自立的、主体的に、楽しく生きていくために、権利を行使する力である「社会生活力」を高めることをめざす援助技術の体系と方法です。「社会生活力」を身につけるためのプログラムを実施するとともに、ソーシャルワーカーは福祉サービスの活用、対象者と環境との調整、サービス間の調整等も行います。 わが国では、「社会生活力」を高めるためのプログラムはこれまで、身体障害、知的障害、精神障害等、障害別に3つのプログラムを開発・発行し、障害者更生施設等で実施されてきました。 これらの統合版として2020年3月に、肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、知的障害、発達障害、高次脳機能障害、精神障害、言語障害、内部障害、難病、「生きづらさ」を抱える方々も対象とするプログラムとして、『障害のある人のための社会生活力プログラム・マニュアル:自分らしく生きるために』(中央法規、2020年)を発行しました。 プログラムは5分野24モジュールで構成されており、楽しく、実践的なプログラムです。今後、障害者総合支援法における「自立訓練事業」や地域活動支援センターなどで実践されることを願っています。   ************************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 182 (2020年11月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1. みんなのSDGs オンラインセミナー第4回「SDGsと新型コロナ:“障がい課題”を取り残さないために」 2020年12月4日(金) これまで開催した「SDGsと新型コロナ」シリーズでは、在日外国人を取り残さないために、様々な実態や支援のための課題を共有し、いまだからこそSDGsの視点で議論をかさねてきました。今回は“障がい課題”に焦点をあてて、リアルな課題とその解決に向けたアクションなどについて議論したいとおもいます。 日時:2020年12月4日(金) 18:30-20:30 開催形式:マイクロソフトTeamsによるオンラインセミナー 参加費:無料 主催:みんなのSDGs(http://www.our-sdgs.org/) ※参加にあたり、情報保証など各種支援が必要な方は申込フォームにご記入ください。 《プログラム》 第一部:「コロナで影響を受けている“障がい課題”とアクション」 障がいを持つ児の教育分野での現状と取り組み:井上一 氏(星槎グループ 本部長) 障がいを持つ人の生活と雇用を守る:松井亮輔 氏(法政大学名誉教授/日本障害者リハ協会 副会長) 不平等な障がい 権利条約と政策への取り組み:秋山愛子 氏(国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)) 第二部:パネル形式で意見交換 総合司会:池上 清子 (プラン・インターナショナル・ジャパン理事長/法務省難民審査参与員) モデレーター:伊藤 智典 (JANNET障害分野NGO連絡会/日本理学療法士協会) 《申込方法》下記URLよりお申し込みください。 https://forms.gle/i2unnWVt6kjmCL1Q6         2.令和2年度「障害者週間連続セミナー」マルチメディアデイジー図書の活用による読みの困難を持つ子どもへの有効な支援の実例と今後について -国連、持続可能な開発目標(SDGs)の誰も取り残されない社会の実現に向けて- 2020年12月5日(土) 本セミナーでは、国連、持続可能な開発目標(SDGs)の誰も取り残されない社会の実現に向けて、特に読みの困難を持つ子どもに焦点を当て、マルチメディアデイジー図書の教科指導における有効活用事例や個別のニーズへの対応の必要性とその効果および、教科書以外の児童書の提供の重要性について専門家から話題提供いただきます。更に、パネルディスカッションにて今後の有効な支援についての提言も含めて、意見交換を行います。 日時:2020年12月5日(土)12:00−13:30 場所:有楽町マリオン(東京都千代田区有楽町2-5-1) 主催:公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 情報保障:手話・要約筆記有り 定員:50名 《詳細・申込方法》下記URLよりご覧いただき、お申し込みください。 詳細:https://kokucheese.com/event/index/601923/ 締め切り:11月27日(金) 《お問い合わせ》公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    事務局:soumu@dinf.ne.jp      3. JDF全国フォーラム(オンライン開催) 2020年12月7日(月) 2020年に開催予定であった、国連・障害者権利条約の日本の初審査が、新型コロナウイルスの影響で延期となっています。 条約の審査と勧告(総括所見)を通じて、国内の政策や、私たちの暮らしをどう変えていけるのか。この時期に、新型コロナウイルスと障害者にかかわる課題にも焦点を当てながら、話し合います。 初めてのオンライン開催となりますが、皆様の幅広いご参加をお待ちしています。 日時:2020年12月7日(月)13:00-16:30 開催形式:zoomウェビナーによるオンライン開催 参加費:無料(情報保障あり) テーマ:障害者権利条約 日本の審査でこう変わる 私たちの暮らし−「総括所見」と今後の実施戦略− 《プログラム》 基調報告 阿部 一彦 日本障害フォーラム(JDF)代表 シンポジウム 障害者権利条約 日本の審査でこう変えよう! 私たちの暮らし 第一部 障害者権利条約の初審査を今後の施策にどう活かすか パネリスト:(順不同) 石川 准  障害者権利委員会副委員長/障害者政策委員会委員長 辻川 圭乃 日本弁護士連合会 田門 浩  弁護士/世界ろう連盟人権擁護専門委員 コーディネータ:佐藤 聡 DPI日本会議事務局長 第二部 新型コロナウイルスと障害者 権利条約を活かした新しい暮らしに向けて パネリスト:(順不同) 伊東 亜紀子 国連経済社会局 障害者権利条約事務局チーフ 星川 安之  共用品推進機構 専務理事 安藤 信哉  全国脊髄損傷者連合会 副代表理事 指定発言・質疑 コーディネータ:増田 一世 日本障害者協議会 常務理事 《申込方法》下記サイトからお申し込みください。 URL:https://www.normanet.ne.jp/~jdf/seminar/20201207/ 《お問い合わせ》日本障害フォーラム(JDF)事務局 〒169-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 日本障害者リハビリテーション協会内 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5292-7630 E-mail :jdf_info@dinf.ne.jp      編集後記 日本作業療法士協会の西本です。昨年度までJANNETの研修研究委員として研修会などの企画・運営に携わっておりました。この度広報委員となりましたので、またこちらでもよろしくお願いいたします。 さて11月も終わり、依然コロナ禍で先が見えにくい状況が続いております。日本作業療法士協会の全国学会も初WEB開催で10月に行われました。学会自体は、普段開催地(今年は新潟)が遠方で参加できない作業療法士もWEBでいつでも発表が聴けるとあって盛況だったようです。海外からの講師の講演も時差がある中ZOOMで事前に収録し通訳は字幕で対応するなど良い形を模索する中、未来に可能性が感じられた会でした。 今回のニュースレターで、社会リハビリテーションと社会生活力プログラムが紹介され、私自身も大いに関心を持ちました。 (西本 敦子/JANNET広報啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上