JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第205号 10月号 2020年10月30日発行 ―目 次―  トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. 全国盲ろう者協会のご紹介 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 事務局・事業担当課長  小林 真悟 2. ロックダウンの続くネパールの山村で〜当事者と家族の自助グループの力 アジア保健研修所(AHI)職員   清水 香子 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 2. 「地域共生社会開発プログラム」プロモーションビデオを公開 イベント情報 1. 「地域共生社会開発プログラム」連続イベント 2020年11月21日(土)・11月30日(月) 2.令和2年度「障害者週間連続セミナー」    マルチメディアデイジー図書の活用による読みの困難を持つ子どもへの    有効な支援の実例と今後について   -国連、持続可能な開発目標(SDGs)の誰も取り残されない社会の実現に向けて- 2020年12月5日(土) 3. 第15回インクルージョン保育のためのグループ指導カリキュラム研修セミナー 2020年11月28日(土)・11月29日(日) トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. 全国盲ろう者協会のご紹介 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 事務局・事業担当課長 小林 真悟 盲ろう者とは、目と耳の両方に障害を併せもつ方のことです。かの有名なヘレン・ケラーのような人、と言えばお分かりでしょうか。日本にも、このような人たちが約1万4千人いると推定されています。 全国盲ろう者協会は、こうした方々を支援するために1991年(平成3年)に、全国の盲ろう者の福祉を目的とする唯一の社会福祉法人として設立しました。日本では、「盲ろう者」についての法的定義は確立していませんが、当協会では、目と耳の両方に何らかの障害を併せ持つ方々を、身体障害者福祉法で規定された等級の程度に関わらず、「盲ろう者」として支援しています。 現在は、東京都新宿区の早稲田町に事務所を構えています。職員数は12名、内2名は盲ろうの職員です。見え方や聞こえ方に応じて、職場のパソコンや電話機等をカスタマイズし、各々が利用しやすい職場環境を整え、盲ろうの職員が用いるコミュニケーション方法を習得した職員と共に業務に当たっています。 主な事業活動としましては、(1)相談支援、(2)啓発、(3)情報提供、(4)人材養成・育成、(5)各種調査・研究、(6)国際協力、(7)全国盲ろう者大会開催、(8)盲ろう者の総合リハビリテーションセンターの開設に向けた活動などを行っています。 毎年夏に開催している「全国盲ろう者大会」は、全国の盲ろう者や支援者・関係者らが集う一大行事です。討論やレク・芸能発表など、毎年様々な分科会が行われるほか、盲ろう者に役立つ機器展示、盲ろう者が制作した編み物等の作品販売などが行われ、この大会を通じて、普段、孤独になりがちな盲ろう者同士の絆が育まれております。 国際協力では、海外の盲ろう者福祉に関する調査や、盲ろう者支援プロジェクト等を行っています。また、2018年度より、日本財団より助成いただき「アジアにおける盲ろう者団体ネットワークの構築」事業を5カ年計画にて実施中です。本事業では、未だ盲ろう者団体・支援団体すらないアジア諸国に、盲ろう者団体を立ち上げるための支援をし、アジア盲ろう者団体ネットワークを構築するとともに、こうした活動を日本の盲ろう当事者に紹介し、国際協力に携わる人材を育成したいと考えております。 2. ロックダウンの続くネパールの山村で〜当事者と家族の自助グループの力      アジア保健研修所(AHI)職員 清水 香子 近年ネパールでは、経済成長とともに貧富の差が拡大し、貧困に関わる様々な事柄が人びとの心を蝕むようになっています。インドや都市部へ出稼ぎに行き差別や孤独感から鬱になる人、失業や過酷な労働から逃れるため飲酒や薬に走る人、そうした人から暴力を受ける人。そして特に地方においては、精神科の知識を持つ保健従事者は不足している上、偏見や差別が根強く残り、手を差し伸べられず症状を悪化させている例が多くみられます。 AHIの元研修生が設立したNGO「コピラネパール」は、このような西部9郡の山村で、精神疾患のある当事者やその家族が集まる自助グループづくりと、その連合体強化をすすめてきました。グループのメンバーたちは、生活の悩みや困りごとを出し合い、解決に向けて助け合います。 その活動は多様です。グループ貯蓄や共同菜園づくり、心の病気を抱えた人の発見やその家族の相談、小学校の教員や村行政と連携して行う、子どもたち、住民、行政職員を対象にした偏見や差別をなくす研修まで。徐々に、心の病気について理解しはじめた村人たちや行政の姿勢が変化し、メンバーへの態度も変わっていきました。 そして今。現在(10月初旬)もロックダウンが続きコピラネパールのスタッフも入れない村で、村の人びとに頼られ活動する自助グループの姿があります。不安を抱えた多くの人たちがメンバーの家を訪れます。 メンバーはそうした人たちの話に耳を傾け、専門的な治療が必要な場合は、行政やコピラネパールの支援につなげます。収入が途絶えた人びとへの補助金を行政から引き出す交渉も行いました。 「以前は差別され、自分は無力な存在だと思っていました。今は、そんな私でもここにいていい、ここで人の役に立つことができる、と知りました」−6年前の、自助グループのある女性の言葉です。 誰もが地域の中で大切な存在とされ、関わる場や役割がある。それこそが地域が困難を乗り越える力になる。その確かさを、このコロナ禍にあって、より一層思います。 ************************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 182 (2020年10月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en 2.「地域共生社会開発プログラム」プロモーションビデオを公開 共生社会の実現のため、住民参加や連携を可能にする方法のひとつを開発しました。 この「地域共生社会開発プログラム」を紹介するプロモーションビデオを作成し、この度YouTubeにアップしました。どうぞご覧ください。 【本編】 https://youtu.be/zPu410GiT1s 【松本編】 https://youtu.be/Zz33C9OGIdw          イベント情報 1. 「地域共生社会開発プログラム」連続イベント 2020年11月21日(土)・11月30日(月) (公財)日本障害者リハビリテーション協会で開発し、実施してきた「地域共生社会開発プログラム」は、地域で困っている人のことを考え行動するために、専門家だけでなく地域住民がお互いのできることを持ち寄り、その実践を通じて地域での共生社会を目指していくものです。 この度、このプログラムを全国の様々な地域で活用していただきたいと考え、ワークショップを体験していただく「体験研修会」、このプログラムを知っていただく「説明会」を、連続イベントとして開催いたします。地域の活動に関心のある方はどなたでもご参加いただけます。 手話通訳、要約筆記を用意しますのでお申し込み時にお知らせください。 【「地域共生社会開発プログラム」体験研修会】 日時:2020年11月21日(土)10:00〜17:00 会場:戸山サンライズ(東京都新宿区戸山1-22-1) 大・中会議室 講師:鈴木直也氏(NPO法人起業支援ネット 副代表理事) 参加費:3,000円(テキストなど資料代) 定員:20名 ※申込締切:2020年11月13日(金)      【「地域共生社会開発プログラム」プログラム説明会】 日時:2020年11月30日(月)14:00〜15:30 会場:オンライン開催(Zoom使用) 主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 参加費:無料 申込締切:2020年11月24日(火) 《申込方法》 下記URLよりお申し込みください。 申込URL: https://00m.in/cbid 《お問い合わせ》 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課 上野・仁尾 〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 2.令和2年度「障害者週間連続セミナー」 マルチメディアデイジー図書の活用による読みの困難を持つ子どもへの有効な支援の実例と今後について -国連、持続可能な開発目標(SDGs)の誰も取り残されない社会の実現に向けて- 2020年12月5日(土) 本セミナーでは、国連、持続可能な開発目標(SDGs)の誰も取り残されない社会の実現に向けて、特に読みの困難を持つ子どもに焦点を当て、マルチメディアデイジー図書の教科指導に おける有効活用事例や個別のニーズへの対応の必要性とその効果および、教科書以外の児童書の提供の重要性について専門家から話題提供いただきます。更に、パネルディスカッションにて今後の有効な支援についての提言も含めて、意見交換を行います。 日時:2020年12月5日(土)12:00−13:30 場所:有楽町マリオン(東京都千代田区有楽町2-5-1) 主催:公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 情報保障:手話・要約筆記有り 定員:50名 《詳細・申込方法》 下記URLよりご覧いただき、お申し込みください。 詳細:https://kokucheese.com/event/index/601923/ 締め切り:11月27日(金) 《お問い合わせ》 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    事務局:soumu@dinf.ne.jp           3. 第15回インクルージョン保育のためのグループ指導カリキュラム研修セミナー 2020年11月28日(土)・11月29日(日) 認定NPO法人日本ポーテージ協会は、発達に遅れや偏りがある子どもの0歳からの発達相談と親・家族支援を目指し、1985年に設立されました。「新版ポーテージ早期教育プログラム」を用いた親・家族を中心とした家庭における指導と「インクルージョン保育のためのグループ指導カリキュラム」による児童発達支援センターや幼稚園、保育所等におけるグループ活動の支援をしています。 この度、研修セミナーを双方向オンライン配信で開催いたします。皆様のご参加をお待ちしております。 日時:2020年11月28日(土)・29日(日) 場所:オンライン研修(zoomを使用) 参加費:会員・・・20,000円(団体会員に所属する方を含む)     会員外・・・24,000円     学生・・・14,000円  ※資料代(チェックリスト等)を含みます。 受講資格:グループ保育を行っている方やグループ指導に関する基礎的な理論や実技を学びたい方 定員:50名 講師:日本ポーテージ協会 会長(日本体育大学教授<特別支援教育>)清水 直治    日本ポーテージ協会 理事(大阪・四天王寺太子学園施設長) 成澤 佐知子    日本ポーテージ協会 運営委員(千葉・みなみ栄保育園園長)南 博    日本ポーテージ協会 運営委員・認定相談員  福本 みどり 《申込方法》 日本ポーテージ協会あてに電話、FAX、メールにてお申し込みください。 ホームページのセミナー申込専用フォーム、QRコードからもお申し込みいただけます。 申込・詳細URL:https://japan-portage.org/gcseminar15/ 《お問い合わせ》 認定NPO法人 日本ポーテージ協会 〒166-0012 東京都杉並区和田3-54-5 第10田中ビル3階3号室 TEL: 03-3313-4822   FAX: 03-3313-2575 Mail:seminar@japan-portage.org (セミナー専用) URL:https://japan-portage.org 編集後記 はじめまして。この度、JANNETの広報啓発委員に就任しました、全国盲ろう者協会の小林と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 さて、今月号では貴重な誌面を頂戴し、当協会の活動を紹介させて頂きました。その文中でも述べました通り、当協会では現在、「アジアにおける盲ろう者団体ネットワークの構築」事業を進めています。しかしながら、このコロナ禍により、予定していた第2回目の会議は中止せざるを得ませんでした。せっかく築き始めたアジアの盲ろう者同士の絆を繋いでいくためにも、まずはアジア盲ろう者団体ネットワークのホームページを立ち上げ、各国の活動を投稿・閲覧できるプラットフォームを作るべく、準備を進めています。完成した暁には、このメールマガジンを通じて皆様にもご紹介させて頂きたいと思いますので、ご期待ください。 (小林 真悟/JANNET広報啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上