JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第204号 9月号 2020年9月30日発行 ―目 次―  トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. とりのこさない人材育成 公益社団法人 日本理学療法士協会 事務局国際事業課 課長 伊藤 智典 2. 「第1回 リハ協カフェ」(8月21日(金)オンライン開催)に参加して 津田塾大学 国際関係研究所 特任研究員 横田 香穂梨 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 2. JANICが「第10回沖縄平和賞」を受賞 イベント情報 1. 「地域共生社会開発プログラム」連続イベント 2020年10月11日(日)・11月21日(土)・11月30日(月) トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. とりのこさない人材育成 公益社団法人 日本理学療法士協会 事務局国際事業課 課長 伊藤 智典 公益社団法人 日本理学療法士協会(JPTA: Japanese Physical Therapy Association)は1966年に設立し、12万人以上の理学療法士会員で構成される国民の医療・保健・福祉の増進に寄与することを目的とした公益社団法人です。事業としては、健康と福祉の増進、障害と疾病の予防などとともに、国際協力や貢献に資する事業も実施しています。 これまで様々な関係組織との連携、協力、協働をさせていただきながら国際的な事業を行ってきました。いくつか紹介しますと健康・医療戦略に基づくアジア健康構想、日ASEANスマートシティネットワーク、世界理学療法連盟(World Physiotherapy)、アジア理学療法士連盟(ACPT: Asian Confederation for Physical Therapy)、そしてアジアの国々の理学療法士協会と協力した本会独自の事業などがあります。多くの事業では様々なレベルにおいて、障がいのある人、その家族、理学療法士やリハビリテーションに関連する健康専門職などの人材育成に関連する活動を行っています。 障害分野NGO連絡会(JANNET: 障害分野NGO連絡会(JANNET: Japan NGO Network on Disabilities) では、同会の研究研修事業や広報啓発事業を通じ、グローバルフェスタでの点字・手話に興味をもっていただく諸活動、JANICでは研修会や勉強会の参加、みんなのSDGsではWebinarの企画支援などに参画させていただいています。また過去には、2015年に東京で開催された第3回アジア太平洋Community-Based Rehabilitation (CBR)会議の運営支援、ウランバートルで開催された第4回会議への参加など大変貴重な経験をさせていただきました。障がいを持つ人も持たない人も、すこやかでインクルーシブな社会生活を送れることを目指したかかわりにおいて、多くの人と人がつながる大変貴重な経験をさせていただいています。 グローバリゼーションが進展する世の中において、これからも国内外での国際事業を企画・実行、連携・協働しながら、インクルーシブ社会を支え、推進する一員として活動してまいります。 2. 「第1回 リハ協カフェ」(8月21日(金)オンライン開催)に参加して      津田塾大学 国際関係研究所 特任研究員 横田 香穂梨 8月21日(金)午後、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会(以下、リハ協)主催の「第1回リハ協カフェ」が実施されました。リハ協初のオンラインイベントは、全国の参加者がカメラでリハ協とつながり、君島淳二常務理事による開会挨拶でスタート。プログラムは、リハ協副会長の松井亮輔氏、同参与の寺島彰氏それぞれによる報告の2本立てです。チャットを活用した質疑応答を挟んで行われました。 第一報告は、松井氏による「証言:RIの盛衰―1969年総会・第11回世界会議から1980年総会・第14回世界会議までとそれ以降―」です。 1922年設立のRI(Rehabilitation International:国際リハビリテーション協会)は、「リハビリテーションの10年」宣言、国際アクセスシンボルマーク、国際障害者年、CBR(Community Based Rehabilitation)、障害者権利条約など20世紀後半の障害分野における重要な成果に大きく貢献してきました。その輝かしい歴史と、1980年大会でのRI規約改正案(役員過半数を障害当事者とする)を機に次第に弱体化していった経緯が詳しく解説され、最後に、松井氏による現状分析と今後に向けての提案が行われました。 続く第二報告は、寺島氏による「世界のソーシャルファーム―イタリア、イギリス、ドイツ、韓国、オランダ各国のソーシャルファーム―」です。 日本国内でも、東京都が昨年条例を策定するなど(今年度から認証開始予定)、少しずつソーシャルファームを促進する機運が高まっているそうです。それを踏まえ、既に法律や制度が整えられているヨーロッパ諸国と韓国による先行事例が、各国の特徴や課題とともに紹介されました。「収入の50%以上は商取引によるものであること」「従業員の3割以上は障害者または労働市場において不利のあるその他の人々であること」などの定義を紹介しつつ、寺島氏が強調されたのは、ソーシャルファームが「福祉ではなくビジネス」であることを理解することの重要性です。 余談になりますが、私は2009年前後にリハ協国際課にいました。今回カフェに参加し、当時と比べ、RIの経済的危機および組織としてのアイデンティティをめぐる課題がより一層深刻になっていること、そして、ソーシャルファームのように福祉を福祉の枠の外へとつなげる動きが加速していることを理解しました。 障害分野の専門家ではない者からみると、RIというひとつの組織内での政策決定をめぐっての専門家と一部障害当事者団体の対立は、「当事者主体性をどのように社会化できるか」という、現在、様々な「当事者」が直面している極めて普遍的な課題であるように思えます。一方で、カフェのもうひとつの話題であったソーシャルファームのように、圧倒的多数の障害者が日常的に関わる様々な実践の場においては、障害者とリハ専門家双方の当事者性や役割は必ずしも十分に可視化されていないのではないでしょうか。コロナ禍により、失業者が増え、官民問わず様々な社会組織が一層の財政難に直面する可能性があります。このような時だからこそ、専門家と障害当事者が関わること自体の意義とそれぞれの役割を再考し、狭義の「障害」や「生産性」の概念を広義に定義し直しメインストリームを書き換えるような大胆な試みを構想することはできないだろうか・・・。先生方の報告とみなさんの熱意あふれる質疑を聞きながら、そのようなことを考えました。  ************************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 182 (2020年9月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en 2.JANICが「第10回沖縄平和賞」を受賞 この度、JANICが沖縄県から「第10回沖縄平和賞」を受賞されました。 今回の受賞は、「アジアを中心に、貧困や環境などグローバルな社会課題に取り組む日本のNGOの活動を長年に渡り支えてきた」ことが評価されました。 JANICが設立され今年で33年を迎え、現在、約150団体の会員NGOが90を超える国と地域で活動を行っています。 JANICは「世界中で平和の担い手となり連綿と活動してきた、多くの国際協力NGOのたゆまぬ歩みを評価していただいたのだと理解しています。」とコメントされています。 関連プレス記事 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/623322           イベント情報 1. 「地域共生社会開発プログラム」連続イベント 2020年10月11日(日)・11月21日(土)・11月30日(月) (公財)日本障害者リハビリテーション協会で開発し、実施してきた「地域共生社会開発プログラム」は、地域で困っている人のことを考え行動するために、専門家だけでなく地域住民がお互いのできることを持ち寄り、その実践を通じて地域での共生社会を目指していくものです。 この度、このプログラムを全国の様々な地域で活用していただきたいと考え、このプログラムを知っていただく「説明会」、体験していただく「体験研修会」、さらに各地で実践されている様々な取り組みをご紹介する「全国の地域共生実践紹介」を含めて、連続イベントとして開催いたします。地域の活動に関心のある方はどなたでもご参加いただけます。 手話通訳、要約筆記を用意しますのでお申し込み時にお知らせください。 【全国の地域共生の実践紹介および「地域共生社会開発プログラム」説明会】 日時:2020年10月11日(日)14:00〜16:30 会場:オンライン開催(Zoom使用) 参加費:無料 申込締切:2020年10月2日(金) 【「地域共生社会開発プログラム」体験研修会】 日時:2020年11月21日(土)10:00〜17:00 会場:戸山サンライズ(東京都新宿区戸山1-22-1) 大・中会議室 講師:鈴木直也氏(NPO法人起業支援ネット 副代表理事) 参加費:3,000円(テキストなど資料代) 定員:20名 ※申込締切:2020年11月13日(金)      【「地域共生社会開発プログラム」プログラム説明会】 日時:2020年11月30日(月)14:00〜15:30 会場:オンライン開催(Zoom使用) 主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 参加費:無料 申込締切:2020年11月24日(火)      《申込方法》 下記URLよりお申し込みください。 申込URL: https://00m.in/cbid 《お問い合わせ》 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課 上野・仁尾 〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 編集後記 JANNETメールマガジンを最後までお読みいただき、ありがとうございます。 今号で紹介されていますように、リハ協カフェがオンラインにて開催されました。 コロナの影響が続く中、オンラインでのセミナー、イベントに慣れつつある今日この頃です。主催者としても、参加者としても、ウェブ会議システム等の使い方、可能性や課題がわかりつつあるように感じます。 そうした中でリアルに集うことの大切さも改めて感じます。たまたま席が隣だった方との何気ない会話、ロビーでの出会いが新たな活動のヒントになるなど、オンラインでは体験できない人と人との交流が確かにあったのだと、今しみじみと思います。 ただ、オンラインでの活動の可能性を感じているのも事実です。コロナ後の時代を見据え、望ましい交流や活動の在り方を、柔軟に模索していきたいと感じました。 季節の変わり目、皆様どうぞご自愛くださいませ。 (伊藤 丈人/JANNET広報啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上