JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第197号 1月号 2020年1月31日発行 ―目 次―  トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1. 一般財団法人全日本ろうあ連盟の国際活動の取り組みについて 一般財団法人 全日本ろうあ連盟 理事 世界ろう連盟アジア地域事務局 副事務局長 嶋本 恭規 2. WAsia会議2020開催にむけて訪問したダッカで WAsia事務局/きょうされん事務局 佐藤 ふき インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. 創立40周年記念「障害がある人々が健康を維持するための取組み」  − 医療・スポーツ・レクリエーションを通じた疾病予防と健康増進 − 2020年2月16日(日) 2. (特非)DPI日本会議 JICA草の根事業完了報告会  〜南アフリカでの障害者のアクセシビリティ向上を目指して〜 2020年2月26日(水) 3. 第3回CBR/CBID世界会議 2020年7月28日(火)-30日(木) トピックス 〜会員団体の活動紹介〜 1.  一般財団法人全日本ろうあ連盟の国際活動の取り組みについて 一般財団法人 全日本ろうあ連盟 理事 世界ろう連盟アジア地域事務局 副事務局長          嶋本 恭規 一般財団法人全日本ろうあ連盟の基本的な活動方針は下記の3つです。 1.手話言語の認知・手話通訳事業の制度化 2.聴覚障害を理由とする差別的な処遇の撤廃 3.聴覚障害者の社会参加と自立の推進 詳しくは当連盟ホームページを参照してください。 http://www.jfd.or.jp/ ここでは、3つの国際活動についてご紹介いたします。 1.世界ろう連盟とアジア地域事務局 世界ろう連盟(World Federation of the Deaf)は、ろう者の権利を守る目的で1951年に設立されました。4年ごとに役員改選が行われ、理事会および世界ろう者会議(World Congress of the Deaf)が開かれています。現在、約120カ国が加盟しており、アフリカ、アジア、ラテンアメリカなどに地域事務局が置かれています。国連の諮問機関としての役割をもっています。現在の理事長はアメリカのMr. Joseph MURRAY(ジョセフ・マーレー)氏です。日本が世界ろう連盟に加盟したのは1959年であり、1991年にはアジアで初めて東京で世界ろう者会議が開催され、6,000名を超える国内外の参加を得ました。それからおもにアジア地域事務局を通して海外への援助に貢献するようになりました。アジア地域事務局は世界ろう連盟規約に従って、アジア地域のろう者が、他者との対等な人権を持てるよう、手話言語認知などの権利確立やネットワークの形成に取り組んでいます。当連盟が2015年までアジア太平洋地域の事務局を担っていましたが、現在はマカオに設置されています。 2.デフリンピック デフリンピック(Deaflympics)は、4年に1回開催されるろう者のオリンピックであり、夏季と冬季大会があります。スターターの音や審判の合図など音声が聞こえないために、スタートランプやフラッシュなどで視覚的な競技環境が整備されていることに大きな特徴があります。なお、2019年にトルコ(サムスン市)で開催されたデフリンピックでは、日本選手団は27個のメダルを獲得し、ランキングは世界6位でした。現在、2025年のデフリンピック日本招致活動に取り組んでいます。 3.アジアろう児・者友好プロジェクト 当連盟の創立50周年記念事業として「アジアろう者友好基金」を1996年に設立し、国内外において、1口3,000円の友の会会員加入と集まったカンパをもとに、アジア地域のろう者の支援を行ってきました。主に奨学金やろう学校の校舎増築など、教育面においてろう児支援を行ってきましたが、近年はアジアのろう者の災害救援活動と女性問題にも取り組んでいます。ぜひ当連盟HPまたはお住まいの地域の当連盟加盟団体経由で「友の会」へ入会いただくようお願いいたします。会員には年に1回「友の会」ニュースを発行し、「アジアろう児・者友好プロジェクト」の活動を報告いたします。随時、カンパも受け付けています。 2.  WAsia会議2020開催にむけて訪問したダッカで WAsia事務局/きょうされん事務局 佐藤 ふき            2019年11月24日未明、バングラディシュ・ダッカに初めて降り立ちました。障害のある人の就労支援をしている14カ国・地域の54団体が加盟するワーカビリティ・アジア(WAsia)の理事会に、参加するためです。 ダッカでは、2020年11月4日〜6日にWAsia会議が開催されます。理事会の開催と並行して、会場候補のホテルを下見したり、社会福祉省の州大臣を訪問し、WAsia会議への首相の出席と会議開催支援を要請したり、地元の障害者団体との懇談なども行ないました。 外務省のホームページによると、日本の約4割と言われるバングラデシュの人口は、1億6,365万人(2018年1月、バングラデシュ統計局)だそうです。 車のクラクションが鳴りやまぬ喧騒の中、幹線道路は車とバスでひしめきあい、幹線道路からはずれると地面は凸凹だらけで曲がりくねって、そこここに人や車やリキシャがあふれかえっていました。移動時間の見通しが持てないことが、こんなに苦痛なのかと体感しました。 今回の宿舎は、会議の主催団体であるBangladesh Protibondhi Kallyan Somity (BPKS)の宿舎だったこともあり、宿舎のスタッフのほとんどが障害のある人でした。足首が内反して固まってしまった人、指や腕がない人、弱視の人など、適切な早期介入があればもう少し障害が軽くなったのではないかと感じる人に多く出会いました。 また、BPKSの宿舎に入ってすぐに飾られた写真には、大衆に見えるように高く掲げられた赤ん坊の写真に、「Healthy baby of disabled person (障害のある人の健康な赤ん坊)」のタイトルが着けられていました。障害のある人が親になることがまだまだ一般的でない環境であるということは、頭で理解できるもののとても複雑な思いがしました。 さらに、頸椎損傷のような重度の障害のある人は、バングラデシュでは一生病院暮らしかと尋ねると、医療水準が低いので生きられないという答えが返ってきました。 障害がなくても生きることそのものが厳しいバングラデシュ。日本に生まれるかバングラデシュに生まれるかで、生活の質や命に差が出ることは「なんたる不平等…」なのでしょうか。このギャップを埋めるために、日本の経験を共有しできることを模索することが、日本人としての役割かもしれないと感じたダッカでした。微力を尽くしたいと思います。   ************************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報    (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)    署名国・地域数163/ 締約国・地域数 181 (2019年12月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en   イベント情報 1. 創立40周年記念「障害がある人々が健康を維持するための取組み」 − 医療・スポーツ・レクリエーションを通じた疾病予防と健康増進 − 2020年2月16日(日) 障害のある人々が疾病予防や健康増進のためのさまざまなプログラムにインクルーシブにアクセスできるような環境をいかに提供するかということは、我々にとってきわめて重要な課題であります。 本セミナーでは、障害のある人々が健康を維持するための予防医療、スポーツ、レクリエーション活動などに関する各国の取組みについて、オーストラリア、中国、韓国及び日本の各専門家に報告していただくとともに、障害のある人々の疾病予防と健康増進に関する現状と今後の課題について議論し、理解を深めていきたいと思います。 日時:令和2年2月16日(日)13:30〜17:10(12:30開場) 会場:東京国際フォーラム ホールD7 (〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目5番1号) 主催:国立障害者リハビリテーションセンター(障害の予防とリハビリテーションに関するWHO指定研究協力センター) 使用言語:日本語・英語(同時通訳)、要約筆記、手話通訳 定員:120名(車いす席あり) 参加費:無料 申し込み方法:所定の参加申込書をFAXまたはメールでお送りください。 URL:http://www.rehab.go.jp/whoclbc/seminar/ 連絡先:事務局 国立障害者リハビリテーションセンター 企画課国際協力室 秋山、鶴田     TEL 04-2995-3100(内2150、2149) FAX 04-2995-3661     E-mail whoclbc@mhlw.go.jp     住 所 〒359-8555 埼玉県所沢市並木4丁目1番地 2. (特非)DPI日本会議 JICA草の根事業完了報告会 〜南アフリカでの障害者のアクセシビリティ向上を目指して〜 2020年2月26日(水)   南アフリカでは福祉制度としての介助者派遣サービスがなく、この改善のため、2013年から2016年に、ヒューマンケア協会が実施したプロジェクトにより、障害当事者の運営する自立生活センター2か所が設立され、障害者の自立生活の概念が広がりました。 一方で、障害者の自立、社会参加を阻害するものとして、住宅や地域、公共交通等のアクセシビリティが整っていないという新たな問題が明らかになりました。そこで上記2か所の自立生活センターを中心とし、アクセシビリティ・アドバイザー育成と福祉移送サービスを提供するためのモデル作りを行うプロジェクトがDPI日本会議によって2016年9月から実施され、2020年2月に完了を迎えます。 ニーズが高いにも関わらず、行政による実施が進んでいなかった分野での活動に対し、障害当事者とその家族からの評価は高く、行政からの関心を集めました。現地での活動の様子に興味がある方は、ぜひ奮ってご参加ください。 日時:2020年2月26日(水曜日)16:00〜18:00 会場:JICA東京センター 別館セミナールームCD (〒151-0066 東京都渋谷区西原2-49-5) 主催:JICA東京センター ※当日は、手話通訳、要約筆記による情報保障をいたします。 参加費:無料 募集人数:30名 URL:https://www.jica.go.jp/tokyo/event/2019/ku57pq00000lq2g7.html 申し込み方法:2月25日までに、メールにお名前、所属、E-mailを記入のうえ、件名を「2月26日DPI日本会議 報告会参加申込」として、 下記のアドレスに送信してください。なお、手話通訳、要約筆記による情報保障を必要とされる方は、優先席をご用意しますので、その旨記載ください。 ●メールアドレス:Hattori.Masayuki.2@jica.go.jp(JICA東京センター市民参加協力第二課 服部将之) お問い合わせ:JICA東京センター 市民参加協力第二課 服部 将之 電話番号 03-3485-7044    Eメール Hattori.Masayuki.2@jica.go.jp 3.第3回CBR/CBID世界会議 2020年7月28日(火)-30日(木) 日時:2020年7月28日(火)―7月30日(木) 場所:ウガンダ テーマ:「誰も取り残さないー障害者のコミュニティでの人権実現のため地方から世界までの 多分野連携」 発表要旨の申し込みは2020年1月31日まで。 ※なお、第一回CBR世界会議は2009年にインドで開催、第2回CBR世界会議は2016年にマレーシアで開催されました。 https://cbrglobalnetwork.org/ 編集後記 ちょっと遅くなりましたが、会員の皆様本年もどうぞよろしくお願いいたします。 今回の団体紹介では、全日本ろうあ連盟の国際活動を取り上げました。オリパラが何かと話題になる2020年ですが、デフリンピックの招致も是非実現したい動きです。 ワーカビリティの会議準備でバングラデシュ訪問を報告いただいています。2007年にアジア太平洋障害フォーラムでダッカを訪れたのを思い出しました。首相が列席し会議直前に権利条約を批准したことが大々的に取り上げられていました。その後の経済発展も報道で度々耳にしますが、障害分野への恩恵はまだまだなのがよく分かります。 コロナウイルスによる新型肺炎が大きな問題となっています。公共交通機関が止まり、商店がシャッターを下ろした中、障害のある人はどうしているのか。混乱が続く医療機関で適切な受診ができているのか。必要な情報が届いているのか…、緊急時対応の検討でもこうした感染症対応をもっと強化しなければならないのではないかと、とても他人事とは思えません。一日も早い終息を願ってやみません。 (田畑 美智子/JANNET広報啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上