JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第188号 4月号 2019年4月26日発行 ―目 次―  トピックス 1. -連載企画15ー 10年後のモンゴル ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト(DPUB) JICA専門家 千葉寿夫 2. ジュネーブでの障害者権利条約「建設的対話」を傍聴して DPI日本会議 南アフリカ事業国内調整員 降幡 博亮 インフォメーション 1. 第4回 アジア太平洋CBID会議2019開催決定2019年7月2日(火)-3日(水) 2. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 3. RI アジア太平洋地域会議 マカオ 2019年6月26日(水)-28日(金) 4. 第6回災害リスク軽減のためのグローバルプラットフォーム開催スイス・ジュネーブ2019年5月13日(月)-17日(金) 5. 第7回イノベーション、アクセス、生涯学習を通じたSDGs達成のためのアフリカフォーラム開催 エチオピア・アディスアベバ2019年10月7日(月)-11日(金) イベント情報 1. ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業第20期生成果発表会2019年6月1日(土) 2. 第11回国際障害者法サマースクール アイルランド6月17日(月)-21日(金)  3.World Peace Prayer Ceremony in 弘前 2019 2019年5月1日(水) 4.第4回災害時の連携を考える全国フォーラム〜災害支援の文化を創造する〜2019年5月21日(火)-22日(水) トピックス -連載企画15- 1.10年後のモンゴル ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト(DPUB)JICA専門家 千葉寿夫         3月12日、日本女子大学の佐藤克志先生にお越し頂き、物理アクセシビリティ改善セミナーを実施しました。以前も紹介しましたが、モンゴルには急なスロープが数多く存在します。最近建設されたビルの入口にも階段と同じ角度のスロープがありました。なぜ急なスロープばかりつくるのか、その謎は許認可制度にありました。角度や材質、幅など一切関係なく、スロープさえあれば建築許可が下りる。モンゴルでは長年、この状態が常態化していました。 モンゴルは障害者権利条約を批准しており、建築法でアクセシビリティも求められています。障害者のための建築基準もあるのに、許認可ですべてが見落とされていました。そこで佐藤先生には、日本のバリアフリー法の仕組みと許認可制度および許認可時のチェックリストについて講義頂きました。チェックリストが特に重要で、基準に合わせ作成されたチェックリストを自治体がしっかりと管理し、基準が満たされなければ建築許可が下りない。この仕組みを丁寧に説明頂きました。 セミナー後のモンゴル行政官の言葉は印象的でした。「これまでバリアフリーは障害者のためだけだと思っていた。ただ実際は、高齢者や妊婦、重い荷物を持つ人など、すべての人に必要だった。モンゴルをより住みやすくするためにバリアフリーが必要だ。ぜひこれから推進したい」。そう言ってから1ヶ月、建設省はすでに基準とチェックリストの見直しに取り掛かっています。すでに3回の詳細な打合せをDPUBと実施、5月末には名古屋に研修に行く予定です。 基準改定後、新たな許認可制度がスタートします。その制度で承認された建築物が完成するのは数年先のことでしょう。ただもし5年後、10年後にモンゴルに戻り、アクセシブルなビルをたくさん見ることができたら、こんなに嬉しいことはありません。 写真:パネルディスカッションで発言する佐藤克志教授 写真:行政官、NGO、障害者団体の代表、100以上が参加 DPUBフェイスブックページ(日モ)もぜひ御覧ください。 https://www.facebook.com/jicadpub/ 3. ジュネーブでの障害者権利条約「建設的対話」を傍聴して DPI日本会議 南アフリカ事業国内調整員 降幡 博亮   日本障害フォーラム(JDF)視察団の一員としてスイスのジュネーブを訪問し、3月25、26日に欧州国連本部で行われた、障害者権利委員会とノルウェー政府の権利条約実施に関する「建設的対話」を傍聴することができました。建設的対話とは、権利条約の締約国が条約の実施状況についての報告書を国連に提出し、その報告に対して権利委員会と締約国政府の質疑応答が行われるというものです。 この建設的対話では、ノルウェー政府が独自解釈を宣言している12条、14条および25条について多くの委員から質問が出されました。権利条約の独自解釈のもとで運用されている後見人が障害者本人の意志に関わらず勝手に物事を決めてしまったり、治療の強制が行われたりしているといった問題点が、委員から指摘されています。人権先進国としての自負があるためか、独自解釈の撤回はしないという強い姿勢でノルウェー政府が臨んでいたことから、対話には終始緊迫した雰囲気が漂っていました。しかしながら委員から度重なる指摘を受け、今後の国内法の改正や制定において権利条約を必ず参照にするというように、最終的には態度を軟化させていました。 国連では、権利条約の実施状況に関する市民社会側のレポート(パラレルレポート)を提出したノルウェー市民社会連帯の代表団からも多くの話を聞くことができました。代表団によると、この建設的対話に向けて、パラレルレポートの提出前から委員への情報提供を行っていたそうです。また建設的対話の開催期間中も、サイドイベントや委員との面談を通じて、市民社会側からの要望を権利委員会に繰り返し伝えていました。このような働きかけが、委員によるノルウェー政府への鋭い質問につながったようです。 日本政府は2016年6月に報告書を国連に提出しており、それに対する質問事項が今年の9月に権利委員会から公表される予定です。日本の市民社会も、JDF作成のパラレルレポートを5月末に権利委員会に提出し、権利条約の完全実施に向けた働きかけを続けます。 写真:欧州国連本部正面 写真:建設的対話開始直前の国連会議場 開会中の撮影や録音はNG 写真:ノルウェー市民社会連帯の代表 ************************************************************************************** インフォメーション 1. 第4回 アジア太平洋CBID会議2019開催決定 第4回アジア太平洋CBID会議の開催が決定いたしましたので、ご連絡いたします。 開催日:2019年7月2日(火)〜3日(水) 会場:シャングリラホテル(モンゴル・ウランバートル) 住所:19 Olympic Street, Sukhbaatar District-1, Ulaanbaatar 14200 Mongolia テーマ:CBIDを通じた持続可能な社会開発と経済成長 主催:モンゴル政府(労働社会保障省)    CBID APネットワーク(旧CBR APネットワーク) 2015年に東京で第3回アジア太平洋CBR会議が開催されましたが、第4回は名称を「アジア太平洋CBID会議」と改めて開催されます。 会議の詳細につきましては、決まり次第随時ご連絡いたします。ご期待ください。 CBID2019紹介ページ http://www.apcbid2019.mn/ *オンライン登録も始まっています。 2. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数162/ 締約国・地域数 177 (2019年4月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en 3. RI アジア太平洋地域会議 マカオ 2019年6月26日(水)-28日(金) テーマ:共に、誰も取り残さず、障害インクルーシブで権利に根ざした進歩 会場:ベネチアン・マカオ、パリジャン・マカオ(2会場) <登録方法>   オンライン登録(https://www.rimacau2019.org/conference/)  早割登録 4/15まで  通常登録 5/31まで  <主催者ホームページ>  https://www.rimacau2019.org/ <プログラム> 6/26 9:00-10:30 開会 開会スピーチ    11:00-12:30 全体会1 A ,B(インチョン戦略、権利条約、SDGs)    12:30-14:00 ランチイベント(WHO、RI関連)    14:00-16:00 全体会2 A,B,C(リハプランニング、RI100周年、テクノロジー)    16:30-18:00 分科会A 8セッション 6/27 9:00-10:30 全体会3 A,B,C,D(職業、障害児の親、女性障害者、教育)    11:00-12:30 分科会B 8セッション    12:30-14:00 ランチイベント    14:00 全体会4 A,B,C,D(メンタルヘルス、ICF、認知症)    15:30 分科会C 8セッション    18:00-21:00 エンターテイメント 6/28 9:00-12:30 A. スタディーツアー、B. ICFワークショップ、C. リハ専門家との円卓会議    12:00-14:00 ランチイベント    14:00-15:30 全体会5  A,B,C(アクセスビリティ、IT、防災)    15:30-16:00 閉会 4. 第6回災害リスク軽減のためのグローバルプラットフォーム開催 スイス・ジュネーブ2019年5月13日(月)-17日(金) 防災のグローバルプラットフォームは、2年に1度開催されます。今回は、スイス・ジュネーブで開催されます。 開催の目的は、災害リスクを軽減するための開発と傾向について話し合います(進捗状況をレビュー、知識の共有や最新の事項など)。国際社会が仙台防災枠組の実施を支援する重要な機会です。 詳細は、URLをご覧ください。 開催日:2019年5月13日(月)-17日(金) 開催場所:スイス・ジュネーブ 主催:UNISDR、スイス政府 URL:https://www.unisdr.org/conference/2019/globalplatform/home 5. 第7回 視覚障害に関するアフリカフォーラム開催  エチオピア・アディスアベバ 2019年10月7日(月)-11日(金) 2019年視覚障害に関するアフリカンフォーラム開催イノベーション、アクセス、生涯学習を通じたSDGs達成のための 会議登録方法など下記URLをご覧ください。 URL:https://www.perkins.org/get-involved/events/africa-forum イベント情報 1.ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業第20期生成果発表会2019年6月1日(土) ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業第20期生が、約10ヶ月間の研修を修了し、6月中旬に帰国いたします。そこで、各研修生が日本での研修を振り返り、その総まとめとして成果発表会を下記の通り開催されます。ご来場の皆さまに研修生の成長した姿をご覧いただき、彼らと共に帰国後の目標や夢を語らう場といたします。是非、ご参加ください。 期日:2019年6月1日(土)13:30〜16:10 会場:戸山サンライズ 大研修室 (東京都新宿区戸山1‐22‐1 地図:http://www.normanet.ne.jp/~ww100006/tizu.htm) 共催:ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第20期生、公益財団法人 ダスキン愛の輪基金、公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 参加費:600円(当日受付にてお支払い/介助者無料) *事前申込がない場合、資料の準備ができない場合がございます。予めご了承下さい。 定員:100名(先着順) 申込み方法 申込用紙にご記入の上、5月27日(月)までに事務局宛、お申し込みください。 また、HP上からもお申込いただけます。 URL:http://www.normanet.ne.jp/~duskin/infomation/2019/clipmail.html 事務局・問合せ先 日本障害者リハビリテーション協会 企画研修部研修課(〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1) TEL:03-5273-0633  FAX:03-5273-1523  Email:inquiry@dinf.ne.jp 2. 第11回国際障害者法サマースクール アイルランド2019年6月17日(月)-21日(金)  今年のサマースクールは、「障害者と家族生活への権利」がテーマです。 障害者と家族生活の権利には、家族を形成する権利、子供を生む権利、結婚する権利、市民社会に入る権利、プライバシーの権利、障害のある親から子供を分離させない権利などが含まれます。 サマースクールでは、障害者が家庭生活に対する権利を行使する際に直面する特定の課題にどのように対処すればよいのか、検討します。 詳細は、下記ホームページをご覧ください。↓ https://cdlp.clr.events/event/127934:11th-international-disability-law-summer-school 3.  World Peace Prayer Ceremony in 弘前 2019 2019年5月1日(水) 世界193ヶ国、一国一国の国旗を掲げながら、参加者全員でその国の平和と世界の平和を祈るセレモニーWPPCを開催します。 全ての国に平等に敬意を表しつつ、世界平和という共通の願いのもとに人類の心を一つにすることを目的としています。 老若男女、お子様も含めて、どなたにもご参加できるイベントです。 日時:2019年5月1日(水) 場所:青森県弘前市土手町62-1 蓬莱(ほうらい)広場 参加費:無料 タイムスケジュール 10:00 〜 アトラクション(弘前大学大道芸サークル他) 11:00 〜 WPPC:ピースセレモニー開始 12:00 〜 タオライア―演奏他(たかはしまゆこ) 13:00   終了 主催:PEACE OF MIND(ピース オブ マインド) 共催:青森県WPPC実行委員会 協賛:(一社)青森県ユネスコ協会、NPO法人インターナショナル世界平和の響き 4. 第4回災害時の連携を考える全国フォーラム〜災害支援の文化を創造する〜 2019年5月21日(火)-22日(水) 第4回災害時の連携を考える全国フォーラムでは、連携・協働をベースに「災害支援の文化を創造する」をメインテーマとして掲げ、災害時に直面した課題に対して解決に繋げていくための礎を生み出していくことを目的とし開催するフォーラムです。 オープニング、全体セッション、20分野の分科会を通じて、多種多様な災害支援の担い手が増えるきっかけを作ると同時に、専門的な知識やノウハウを共有し、連携・協働が具体的に進められることを目指しています。本フォーラムでJANICは以下2つの分科会を担当します。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。 分科会3 災害時の外国人支援 〜これまでの取組と今後の課題〜 分科会12 今さら聞けない国際基準 〜スフィアって何?〜 詳細は、こちらをご覧ください。http://jvoad.jp/forum/ お申込みフォーム:https://www.mwt-mice.com/events/jvoad2019/login 日時:2019年5月21日(火)13時〜18時30分(交流会 19時〜20時30分) 2019年5月22日(水)9時〜15時 会場:国際ファッションセンター 3階 KFCホール(東京都墨田区横網1-6-1)https://www.tokyo-kfc.co.jp/access/index.html 参加費:2日参加10,000円、1日のみ参加7,000円(交流会費別途5,000円) 主催:全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD) 問合せ先:特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD) 〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル267-B TEL:080-5961-9213 / E-mail:forum@jvoad.jp(担当:鈴木) 編集後記 モンゴルでのJICAプロジェクトがどんどん進んでおり感動すら覚えます。昨年9月には世界盲人連合アジア太平洋地域協議会の中期総会をウランバートルで開催しましたが、モンゴル側の熱意にははっとされるものがありました。アジア太平洋CBID会議でも、活力あるモンゴルの障害分野の取り組みが見られることでしょう。日本からも多くの方が参加されることを願ってやみません。 今月号にはモンゴル以外にも、海外で開催される興味深い会議の情報が色々あります。ただ、何分、障害分野を生業としておらず、当事者団体のリソースも限られているので、少なくとも筆者の参加は困難です。2月に出かけたUNESCAPの会議報告でも触れたように、この辺りの手当を何とかできないか、改めて頭を痛めます。 2020オリパラがかなり現実的なところまで来ました。筆者も含め、関連企画に携わる機会のある方も多いのでは?インクルーシブな日本がオリパラのレガシーとなって欲しいと切望いたします。 (田畑美智子/JANNET広報啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上