JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第172号 12月号 2017年12月28日発行 ―目 次―  トピックス 1. 『貧しい人を助ける理由 〜遠くのあの子とあなたのつながり〜』   翻訳出版 & 著者デイビット・ヒューム来日記念セミナー(東京、11月24日) 株式会社アルメックVPI 研究員 岩本あき子   2. 2017年度JANNET研究会のご報告               AAR Japanプログラムマネージャー 五十嵐豪                     (JANNET研究・研修委員会委員) インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 2. デイビッド・ヒューム著『貧しい人を助ける理由』翻訳出版 3. Panasonic NPOサポート ファンド 2017年募集事業の選考結果公表 4. 第6回「笑顔をあきらめない。」写真コンテスト(2018年)開催決定! 5. 【募集中】NPOマネジメントフォーラム2018参加者(2018年1月9日(火)締切) 6. 「ジャパンSDGsアワード」表彰式開催(12月26日) イベント情報 1. 【シンポジウム】熊本地震から学ぶ これからの減災に活かす「受援」と「支援」のあり方 2. 2018年1月27日(土)『チャリティーショップ・フォーラム』を開催 トピックス 1.『貧しい人を助ける理由 〜遠くのあの子とあなたのつながり〜』    翻訳出版 & 著者デイビット・ヒューム来日記念セミナー(東京、11月24日) 株式会社アルメックVPI 研究員 岩本あき子          去る11月24日、『貧しい人を助ける理由 〜遠くのあの子とあなたのつながり〜』(原題 ‘Should Rich Nations Help the Poor?’ 2016)の出版を記念して、国際開発学会と聖心女子大学グローバル共生研究所の共催により、セミナーが開催されました。著者であるデイビット・ヒューム教授は開発研究で世界に名を知られた学者です。そのヒューム教授が、開発援助についてのこれまでの世界での論じられ方を端的に、またその歴史を踏まえてわかりやすく解説したものがこの書籍です。セミナー当日は何度も「日本語を話せなくて申し訳ない」とジョークを交えつつ、軽妙かつあたたかな語り口で書籍についての発表がありました。この日は国際開発学会に所属する日本の研究者が多数集まっていましたが、皆さん一様に「とても勇気づけられる内容」と話しておられました。同時に、今後どのように開発援助を進めていくべきなのか、会場からの質疑も含めて非常に活発な議論が交わされました。  ところで、今回出版された日本語版は、アジア経済研究所の佐藤寛氏が監訳をし、他4名の方々が翻訳に携わっています。その中の一人は、教授の教え子であり障害と開発の分野で活躍する宇都宮大学の土橋善人氏です。多くの途上国で、貧困と障害は密接な関係を持つと言われています。障害の議論を大きな開発の潮流にのせて語ろうとする際に、本書は参考になるのかもしれません。自分自身、都市や交通に関わることを仕事としておりますが、バリアフリーやユニバーサルデザイン単体の価値を説くだけでなく、大局的な視点でもって語る必要性をいつも感じています。  ちなみにこの本、英語版も非常に薄く持ち運びできるサイズで、比較的わかりやすく書かれているので英語の勉強にもちょうどいいように思います。 写真:英語版の書籍と日本語版の書籍   2. 2017年度JANNET研究会のご報告 AAR Japanプログラムマネージャー 五十嵐豪(JANNET研究・研修委員会委員)    JANNETは、2017年度もCBRについての研究会を、海外からのゲストを迎え11月と12月の2回にわたり開催いたしました。以下に2回の研究会について報告いたします。  第1回目は、日本ポーテージ協会との共催で11月7日に開催しました。「教育分野におけるCBRの可能性」というテーマで、ネパールの現地NGO(ネパールポーテージリハビリテーション協会)と日本の国際NGO(AAR Japan)から、それぞれネパールとタジキスタンにおける障害当事者の教育へのアクセスを確保・向上する支援活動の事例を発表いただきました。団体によるアプローチの違いや、国・地域による社会的・文化的背景など違いもありました。しかし、コミュニティの人々と協働することの重要性は共通していました。今回の研究会のような機会に、事例を共有し、比較することで、それぞれの活動地に戻り、より良い活動に繋げていけることを願います。  第2回目は、アジア保健研修所との共催で12月2日に開催しました。「ダリットとして生きる」というテーマで、インドの現地NGO(Thiruppani Trust Association)代表から、カーストや障害のために弱い立場にある人々をエンパワメントする活動事例を発表いただきました。課題を解決するためには、当事者だけでなく、社会的障壁を超えた地域の連携が大切だという事を改めて気付く機会となりました。また、障害分野だけでなく、「カースト」など異なる社会的課題分野を学ぶことにより、改めて障害を考える糸口になったのではないでしょうか。  今年度の2回の研究会は、どちらもJANNET会員団体と密に連携することで実現いたしました。会員やその関連団体が実際に取り組んでいるCBRの事例を共有することで、新たなアプローチや課題解決方法を学ぶことができました。多様な団体が加盟するJANNETのネットワークとしての強みを活かし、シナジー効果を高める内容となりました。 写真:ネパールポーテージ協会2名からの報告、AARJapanよりタジキスタンでの取り組みについて報告、研修会会場の様子 ************************************************************************************** インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報     (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)     署名国・地域数160/ 締約国・地域数 175 (2017年12月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en 2. デイビッド・ヒューム著『貧しい人を助ける理由』翻訳出版 『Should Rich Nations Help the Poor?』(Polity, 2016)の日本語版刊行 日本語版:『貧しい人を助ける理由〜遠くのあの子とあなたのつながり〜』 監訳・佐藤寛 訳・太田美帆、土橋喜人、田中博子、紺野奈央 日本評論社 2017年  定価1700円 3. Panasonic NPOサポート ファンド 2017年募集事業の選考結果公表      社会課題の解決に取り組む市民活動が持続的に発展していくためには「NPO/NGOの組織基盤強化」が欠かせないことから、2001年より「Panasonic NPOサポート ファンド」を通じて、NPO/NGOの組織運営上の課題解決に向けた取り組みを応援しています。 「環境分野」「子ども分野」では、第三者の多様で客観的な視点を取り入れながら組織の優先課題を抽出し解決の方向性を見出す「組織診断」や「組織基盤強化」の取り組みを助成し、「アフリカ分野」では広報基盤の強化に助成します。 2017年募集事業の選考結果を公表しています。 https://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/pnsf/npo_summary.html 4. 第6回「笑顔をあきらめない。」写真コンテスト(2018年)開催決定! http://www.japanpt.or.jp/general/activity/photocon/06/ * 募集作品概要 「笑顔をあきらめない。」をメインテーマとし、理学療法士の活動に関するオリジナリティあふれる写真作品を、医療・介護・研究・スポーツなど様々な領域にて幅広く募集します。 * 応募期間   2018年1月9日〜6月15日まで   (データ受付)最終日の23:59まで   (郵送)最終日の郵便切手消印日もしくは宅配便受付日 * 応募方法 応募要項の内容について、必ず了承したうえ専用投稿フォームまたは郵送にてご応募ください。 *結果発表 「日本理学療法士会ホームページ」にて、7月17日(理学療法の日)公開予定 *入賞者には郵送(またはメール)で通知を致します。 * 贈賞:最優秀賞(1点) 賞状・賞金5万円 優秀賞(2点) 賞状・賞金3万円 佳作(数点) 賞状・賞金5千円 * お問い合わせ 以下のフォームよりご連絡ください。 https://support.japanpt.or.jp/contact/?site=jpta&inq=133213 ※選考基準についてのご質問にはお答えしかねます。    5. 【募集中】NPOマネジメントフォーラム2018参加者(2018年1月9日(火)締切)   主催:内閣府、一般財団法人青少年国際交流推進センター  平成29年度地域課題対応人材育成事業「地域コアリーダープログラム」(以下、「地域コアリーダープログラム」)の一環として行われる国際会議です。本フォーラムでは、高齢者・障害者・青少年関連の非営利分野で活躍する日本と諸外国の若手リーダーが一堂に会し、各国の非営利分野事情や活動事例に基づく有益な情報を共有します。参加者は、事例共有等に基づく意見交換を行い、非営利団体運営に関する概念的知識を深め、対話を通じて実践的能力を向上することで、各地域での社会活動を支え、共生社会の実現に向け中心的な担い手となる青年リーダーの育成を目指します。    * 募集要項:http://www.centerye.org/post-1142/ * お問い合わせ先:一般財団法人青少年国際交流推進センター NPOマネジメントフォーラム担当 〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-35-14 東京海苔会館6階 TEL: 03-3249-0767   Email: core@centerye.org Facebook:https://www.facebook.com/npomanagementforum/ 6. 「ジャパンSDGsアワード」12月26日表彰式開催 写真:ジャパンSDGsアワードロゴ 国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた優れた取り組みを表彰する「ジャパンSDGsアワード」の第1回表彰式が12月26日、行われました。全国の企業・団体から282件の応募があった中から受賞者が表彰されました。 本部長賞(総理大臣賞) 北海道下川町 森林資源を生かした町づくりを進め、過疎化に歯止めをかけたことが評価された 副本部長賞(官房長官賞) NPO法人しんせい,パルシステム生活協同連合会,金沢工業大学 副本部長賞(外務大臣賞) サラヤ株式会社,住友化学株式会社 SDGsパートナー賞(特別賞) 吉本興業株式会社,株式会社伊藤園,江東区立八名川小学校,国立大学法人岡山大学,公益財団法人ジョイセフ,福岡県北九州市 外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/gic/page4_003580.html ジャパンSDGsアワードとは SDGs推進本部では、達成に向けた企業・団体等の取組を促し、オールジャパンの取組を推進するために、SDGs達成に資する優れた取組を行っている企業・団体等を、SDGs推進本部として選定し表彰する制度 イベント情報 1. 【シンポジウム】熊本地震から学ぶ これからの減災に活かす「受援」と「支援」のあり方    ジャパンハートでは、震災後の熊本市・南阿蘇において医療救護活動を行いました。 我々が活動を通して関わった現地の方々がされた経験「支援を受け入れる」は、 今後の我々の災害に対する心構えを育てる大切なことを伝えてくれます。 本シンポジウムでは、被災地で支援を受け入れた方々からの講演、 「受援」と「支援」のあり方を考えるための参加者を交えたディスカッションで、 皆さんと一緒に考える機会になるよう企画しました。  * 開催日時  平成30年1月20日(土)開場・受付 12:30、開始 13:00 * 会場:人権ライブラリー会議室  東京都港区芝大門2-10-12 KDX芝大門ビル4F * 参加費:2,000円(会員1,500円)、学生:1,000円 * 主催:特定非営利活動法人ジャパンハート * 後援:日本財団 * 申込方法:https://www.japanheart.org/contact/inquiry/ 2. 2018年1月27日(土)『チャリティーショップ・フォーラム』を開催 日本チャリティーショップ・ネットワーク(JCSN)では、チャリティーショップが「地域の拠点」として、日本や世界の環境問題や社会活動にどのような意義、可能性を持っているのか、そしてその実現のために何をすべきなのかを共に考えることを目的としてフォーラムを開催します。 皆さまのご参加をお待ちしています! * 日時:2018年1月27日(土)10:00-16:45 * 参加費:1,000円 * 会場   聖心グローバルプラザ(4号館) ブリット記念ホール 等   東京都渋谷区広尾4-2-24   東京メトロ日比谷線広尾駅 4番出口から徒歩1分 * 詳細はこちら:http://charityshop.jp/csforum20180127/ 編集後記    先日、アメリカ・アビリティーズ(Viscardi Center)のJohn D. Kemp会長の通訳をさせていただく機会をいただきました。最も印象に残った話は、病状が非常に不安定な児童にも教育の機会を提供することです。障害を持つ児童が教育を受けられることは、男子校・女子校、インターナショナルスクール、宗教的な学校に行くことなど、それらと同じように選択枝の一つとして社会に存在すべきだというのが彼の主張でした。強い思いは言語、国境、人種などを簡単に超えます。  今回のメールマガジンで、AARの五十嵐氏は、今年度のJANNET研究会について執筆していただきました。来月1月メールマガジンで研修・研究委員会の河野委員長は、国際リハビリテーション研究会 第1回学術大会について執筆していただきます。学術的、教育的に、または実践的に日本発信のJANNETは、国際的な障害課題に対して多くの仲間とともに取り組んでいきます。  伊藤智典(日本理学療法士協会/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。         JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 1