JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第167号 7月号 2017年7月26日発行 ―目 次―  トピックス 1. 2017年度JANIC通常総会報告        清水直治(JANNET会長/認定NPO法人日本ポーテージ協会会長) 2. SDGsを『自分ごと』にしていくために                        宮澤明音(AAR Japan 難民を助ける会) 3. 世界理学療法連盟 学会 2017 Cape Town                     伊藤智典(公益社団法人 日本理学療法士協会) インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 2. JICA企画調査員(ボランティア事業)を目指す方へのセミナー(パートU実践編)開催のお知らせ 3. 『アジ研ワールドトレンド 8月号』で「障害と開発」特集 イベント情報 1. 持続可能な開発目標(SDGs)学生フォトコンテスト2017 2. イタリアンソーシャルファーム実態調査報告会(9月17日) 3. ミャンマーセダナーメンバー来日『ゼロベースから「地域づくりx小学校x国際協力」について学び合い』(7月29日) トピックス 1. 2017年度JANIC通常総会報告 清水直治(JANNET会長/認定NPO法人日本ポーテージ協会会長) 2017年度JANIC(認定NPO法人国際協力NGOセンター)通常総会が、6月19日(月)14:00から、新宿区西早稲田のTokyo Concerts Lab.において開催されました。JANICは2017年度に結成30周年を迎え、新体制のもとに「NGOの力を最大化する」という新スローガンを掲げ、ロゴも新しくしています。その新ロゴには、SDGsの実現を目指して、NGOのネットワークの力を活かしその力を最大限に発揮することで、世界をよりよく変えていこうとするメッセージが込められているといいます。2017年6月現在で、正会員110団体、団体協力会員68団体、企業協力会員40社が加盟しています。JANNETは正会員として出席しました。  通常総会であり、審議事項は、2016年度事業報告、2016年度決算報告、2017・2018年度役員改選、定款改定、そして報告事項は、2017年度事業計画・予算、会員規程改定でした。  2016年度(第30期)事業報告・決算報告では、 総じて“SDGsの達成に向けて国際協力の潮流が大きく変わるなか、国際社会全体の政治・経済・社会情勢全般の先行きが不透明になりました。JANICは「平和で公正で持続可能な世界」の実現に貢献するために、第4期3ヵ年計画(2016-2018)のもとに「SDGs推進プログラム」を実施し、SDGsを軸としてNGO活動のインパクトの最大化を目指しています。提言活動としては、「2016年G7市民社会プラットフォーム」の共同事務局を担い、また『国際協力NGO経営層のためのSDGsガイドブック』をNGOガイドとして発行しました。企業セクターに向けては、「SDGsコンサルティング」を新設しました。その他の取組では、東日本大震災以降関心が高い『人道支援の必要基準』の翻訳を完了し、JANICワーキンググループ制度の整備等もできました。他方、大幅な収入減が発生し、JANIC事業の「選択と集中」が求められ、変化に伴う人員整理と配置に着手した”という報告がありました。  これを受けて2017年度(第31期)事業計画・予算では、“JANICの存在意義と期待される役割に立ち返り、期待される機能を最大限に発揮するために、ガバナンスの強化とともに事業計画の定量・定性的制度を高め、ネットワークを活かしてNGOの力を最大限にするために、活動を行う”ことが明示されました。多様な国際協力NGOのセンターとしての役割を果たそうとする、JANICの意気込みを感じました。 2. SDGsを『自分ごと』にしていくために              宮澤明音(AAR Japan 難民を助ける会)  6月28日、戸山サンライズにて開催された、持続可能な開発目標SDGs勉強会「他分野から学ぼう!他分野と連携しよう!」に参加しました。 勉強会は2部制で、第1部は講演、第2部は分科会でした。  まずは厚生労働省の村山太郎氏の来賓挨拶で幕が開けました。挨拶後すぐにお帰りになってしまったのは残念でしたが、日本NPOセンター新田氏の「来ていただいただけでも着実な一歩」との言葉からは、今までの苦心が伺われました。 その後の第1部は外務省の横地晃氏(外務省)・アジア・ディスアビリティーインスティテュート代表の中西由起子氏・CSOネットワーク事務局長・理事である黒田かをり氏の講演でした。 立場と視点が異なるお三方の講演の内容を比較することは大変興味深いものでした。世界の新しい共通目標として認識しつつも、いまひとつ自分に関係するものとして「実感を伴わない」SDGsを横地氏のいう『自分ごと』にしていけるよう、それぞれに取り組んでいらっしゃる姿が印象的でした。  第2部は分科会で、私は国内政策の分科会に参加しました。分科会では「障害者権利条約の方が身近に感じる」という声や、インチョン戦略についての言及もありました。障害者権利条約は障がい当事者の意見を時間をかけて討議して入れ込んだ上で批准されたという経緯が世界的にも評価されていますが、そのプロセスには、当事者の方々の条約への理解を深め、結果として条約を自分のものとして身近に捉えられるようになったという効果もあったように思います。  今回の勉強会に参加した人たちにとってSDGsは、世間の注目度は高いものの、適用範囲が広く、「どの部分を利用できる/できないのかが不明瞭」という印象に留まっているようです。  SDGsを今後、障害者権利条約と同じように、当事者にとって親近感のある『自分ごと』にしていくためには、さらにSDGsへの理解を深めていくことが必要です。そのためには障害者権利条約の時と同様、当事者を含めた丁寧な協議を行っていくべきではないでしょうか。次回のHLPF(High Level Political Forum)は2019年に開催されますが、それまでの期間に根気強く根を張る作業をすることが、2030年の収穫に繋がると私は考えます。   3. 世界理学療法連盟 学会 2017 Cape Town             伊藤智典(公益社団法人 日本理学療法士協会)  世界理学療法連盟(Would Physical Therapy Association)の学会に参加するため、7月1日〜3日にCape Townに行ってきました。会場となったCape Town International Convention Centre(CTICC)の大ホールでは、開会式の際に参加者が入りきりませんでした。立ち見では入れるかと思いきや、立ち見でも入りきらず、結果的に別の部屋でモニターを通じて参加することになりましたが、ドラムワークショップなどでアフリカの雰囲気を楽しむことができるイベントでした。   開会式の後、6会場に分かれて各セッションとプログラムが開催されます。日本の理学療法でみられにくいのは、ウィメンズヘルス、HIV/AIDSなど様々なトピックスがみられました。私が参加したのはHumanitarian ResponseのDiscussionセッションが90分もたれ、5人のpanelistのうちの1人として日本から参加させていただきました。他のPanelistはThe International Committee of the Red Cross (ICRC)、Handicap International、ネパール理学療法士協会会長、南アフリカ共和国のHIVに伴う障害に関する実践/研究者でした。それぞれ異なる視点からのディスカッションでセッション後も参加者と長く意見交換ができたのが日本の学会とは異なり、講演時間の間の余裕をもたせたプログラムの恩恵だと感じました。  7月2日付でWCPTのWebsiteに掲載された公式情報によると、2,000名以上の理学療法士が100ヵ国以上から参加登録をしており、うち60%が今回初めての参加となったようです。約40のシンポジウム、セッション、セミナーのほか、車座になって話をするというアフリカの討論スタイル(インダバセッション)も、ポスタープレゼンテーションと同じ会場の中で行われるなど、日本とは異なるスタイルを体験することが出来ました。   あるアフリカの国の協会のリーダーと話をしましたが、HIVを含む感染性疾患や、紛争により障がいを持つ人々が多いアフリカの国では近年、ヨーロッパの支援が終了しつつあること、そして日本からも支援をしていただくことが可能ならばありがたいという言葉が印象的でした。 ************************************************************************************** インフォメーション   1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報     (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)     署名国・地域数160/ 締約国・地域数 174 (2017年7月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=IV-15&chapter=4 &clang=_en 2. 企画調査員(ボランティア事業)を目指す方へのセミナー(パートU実践編)開催のお知らせ 青年海外協力協会(JOCA)は国際協力機構(JICA)の企画調査員(ボランティア事業)を目指す方に向けてセミナーを実施し、業務内容だけでなく、キャリアアップにつながる有益な情報を紹介しています。 セミナーは、企画調査員(ボランティア事業)に関心のある方、実際に応募を検討している方を対象とした「パートI:入門編」、晴れて一次試験を合格された方を対象とした「パートII:実践編」にわかれており、今回は「パートII:実践編」の開催のお知らせをいたします。   <開催概要> * 日時:8月5日(土)、7日(月)のうち 希望される一日 * 所要時間:1時間40分(面接指導等1時間、模擬試験40分)        1日当たり10人程度(9:30〜17:30)で実施 * 参加費:無料 * 定員:合計20人 * 申込み締切り:7月26日(水)まで(まずは仮エントリーを受け付けます) * 会場:8/5(土)JOCA本部(〒102-0082 東京都千代田区一番町23-3 日本生命一番町ビル5階)  8/7(月)麹町区民館(〒102-0083 千代田区麹町2-8 東京メトロ半蔵門線半蔵門駅・麹町駅から徒歩5分) お申し込みは、下記ホームページ内の申し込みフォームからお願いします。 http://www.joca.or.jp/homecoming/volunteer/vcseminar_advanced.html 多数のお申し込みをお待ちしております。 3. 『アジ研ワールドトレンド 8月号』で「障害と開発」特集 アジア経済研究所の一般向けの雑誌、『アジ研ワールドトレンド』は、8月号で2つの特集で「障害と開発」についての記事が掲載されています。 特集1 アジ研研究者が自著について語る / 特集2 開発途上国・新興国の「臥龍鳳雛」  特集1:小林昌之『アジア諸国の女性障害者と複合差別−人権確立の観点から』 特集2:森、山形が共著で、フィリピンの障害リーダー、A.マンラパス氏をアジアの新興リーダーたちのひとりとして紹介しています。 http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/W_trend.html イベント情報 1.  持続可能な開発目標(SDGs)学生フォトコンテスト2017    * 募集期間:4月20日(木曜日)− 8月30日(水曜日) * 会場: 都市センターホール * 応募資格:大学生・短大生・大学院生・専門学生 * 応募サイト:https://communityassignments.gettyimages.com/ja/community-assignments/sdgs_2017/submit * 審査員:レスリー・キー(写真家) 木村祐一(よしもと所属お笑いタレント)他 * 主催:国連広報センター・上智大学   特別協力:Getty Images Japan    HP: www.gtty.im/2pFdNhu    2. イタリアンソーシャルファーム実態調査報告会 *開催日時:2017年9月17日(日) 13:30-16:50 *会場:戸山サンライズ2階 大研修室 (東京都新宿区戸山1-22-1) *主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 *後援:埼玉県民共済生活協同組合・大阪府民共済生活協同組合 *参加費:無料 *定員:100名 *情報保障:要約筆記付き、手話通訳・点字プログラム・磁気ループ、 車いすスペースは要申込 3. ミャンマー「セダナー」メンバー来日『ゼロベースから「地域づくりx小学校x国際協力」について学び合い』(7月29日) ミャンマーで、地域と一緒に小学校を建設するNGO「セダナー」のメンバー15名が来日し、横浜で小学校や自治会と情報・意見交換を行います。 ゼロベースから「地域づくりx小学校x国際協力」について学び合いに参加する方を募集します。 日本と途上国、社会環境は大きくことなりますが、「あらゆるものが不足する」ミャンマーでの小学校と地域コミュニティの関係からは、ゼロベースで日本の小学校と地域を学ぶことに繋がるかもしれません。 * 日時:7月29日(土)9:00〜13:00  * 会場:第一部、横浜市立一本松小学校 / 第二部、横浜市西区第4地区会館 *一部,二部と会場が別なため、ご注意ください。 *第一部のみ、第二部のみ、あるいは通しての参加も可能です。 * 主催:野毛坂グローカル  URL: http://nogezaka-glocal.com * 第一部 9:00〜9:50 小学校の見学 9:50〜10:50 参加者との情報・意見交換会 (ミャンマー側から「地域を巻き込みながら小学校建設を行なう」活動のプレゼンを行ったあと、意見・情報交換) 場所:横浜市立一本松小学校(JR桜木町または京急日ノ出町駅徒歩20分) * 第二部 11:00〜12:30 自治会活動 / 地区社会福祉協議会活動 / 地区街づくり協議会活動などの紹介/意見交換会 12:30〜13:00 同会館で昼食(お弁当:参加自由) 場所:横浜市西区第4地区会館(JR桜木町または京急日ノ出町駅徒歩20分) WEB:http://nogezaka-glocal.com/ 編集後記 局所的な豪雨により、被災された皆様方には心よりお見舞いを申し上げます。今回は清水会長の「2017年度JANIC通常総会報告」と、AARの宮澤様からは「SDGsを『自分ごと』にしていくために」の記事を、私からは世界理学療法連盟の学会に参加したことを記載しました。私が担当したセッション、Humanitarian responseでは、テーマの範囲が広すぎることから、他のPanelistと相談をし、「障がい」に焦点をあてなおそうということで、それまでの議論をゼロからやり直したことがありました。障がい問題は、目に見えにくい、統計に出てきにくいことこそが課題と考えますが、そのためにも、JANNETではどんどん積極的に提言を進める必要があります。この度本会では初のロゴマークを作り、パンフレットも一新しました。どうぞお手に取りいただき、周りの方々へ本会の活動をお知らせいただけますと幸いです。 伊藤智典(公益社団法人 日本理学療法士協会 /JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/