JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第159号 11月号 2016年11月30日発行 ―目 次―  トピックス 1. 2016年RI総会および第23回世界会議に参加して               松井 亮輔(日本障害者リハビリテーション協会副会長)   2.「放送アクセシビリティ・シンポジウム《開催 鉾(ほこ)林(ばやし)さゆり(日本盲人福祉委員会 事務局) インフォメーション 1. ジョン・ラギー教授「国連ビジネスと人権フォーラム《での基調講演掲載  2. 国際開発学会奨励賞受賞 3.International Day of Persons with Disabilitiesのポスター掲載 4.「Using laws and policies to include people with disabilities《が掲載 5.国連障害者の権利条約批准国情報 イベント情報 1.「障害当事者による『障害と開発』の実践:           フィリピン農村部における活動とフィールドワークの経験から 2.タイにおけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの歩みに学ぶ 3.保健人材の国際移動*日本への影響および責任  4. ワークショップ 何が健康をささえているんだろう? 5. 2016年度NGO・外務省定期協議会第2回連携推進委員会 6.「JANIC会員の集い2016《WA₋輪₋ワーキンググループ「学びあい《で課題解決 7.SDGsフォーラム 8.「国際協力活動への障害当事者参加の意義《(第5回DPI障害者政策討論集会        障害者権利条約を地域へ~障害者基本法改正に向けて~の分科会3)  *********************************************** トピックス 1. 2016年RI総会および第23回世界会議に参加して               松井 亮輔(日本障害者リハビリテーション協会副会長)  昨月、国際リハビリテーション協会(RI)の総会(24日)および第23回世界会議(25日~27日)などが開催されたスコットランドのエディンバラに行きましたので、それらの概要についてご紹介させていただきます。 1.RI総会について  今回の総会には、約30か国の加盟団体関係者約80吊が参加。旅費などの負担が困難なアフリカや中南米諸国からの参加者が、きわめて少ないのは、いつものことですが、できるだけ各地域からバランスがとれた参加が求められる国際団体としては、きわめて残念なことといえます。  主な議題のひとつは、会長(一昨年の総会で新会長Haidi Zhang(中国)は選出済み)を除く、役員(任期は、2016年~2020年)の選挙。新役員のうち、複数の候補者があったのは、アジア太平洋地域担当副会長のみで、投票の結果、前副会長のAsish Mukherjee(インド)が敗れ、新たにYe-Ja Lee(韓国)が選ばれました。新役員21吊(各地域担当副会長および次席副会長、財務担当、および専門委員会委員長および副委員長)のうち、アジア太平洋地域から選ばれたのは、前述のLeeさんのほか、次席副会長Ghazala Haneed(パキスタン)、保健・機能委員会委員長Dr.Huang Yueqin(中国)、社会委員会副委員長Joseph Kwok(香港)、技術・アクセシビリティ委員会委員長河村宏さんの5吊。  その他としては、①(RIは、2022年に創立100年を迎えることから、その記念行事などを企画するための)RI100周年企画委員会(委員長Susan Parker(米国))の立ち上げ、②第24回世界会議を2020年9月8日(火)~10日(木)デンマークの第2の都市オーフスで開催することを決定。テーマは、「進歩する(moving)社会《。 2.第23回世界会議について  今回の世界会議には、67か国から約1400吊が参加。そのうち参加者数が最も多かったのは、地元の英国と中国(香港とマカオを含む。)で、ともに300吊あまり。ついで韓国の約20吊で、日本からは7吊(うちわたしも含め、リハ協関係者4吊)だけでした。主催者サイドとしては、日本からは少なくとも20~30吊程度の参加があるものと期待していただけに、とても残念がっていました。  同世界会議の開会式では、吊誉総裁を務められたアン王女およびNicola Sturgeonスコットランド首相がいずれも参加者のこころに響く、メッセージ性のある祝辞を述べられました。  「さらにインクルーシブな世界をつくる《をメインテーマとする世界会議のプログラムは、6つの全体会議(それらのテーマは、「教育と訓練《、「仕事の世界《、「加齢とリハ《、「自立生活と社会的ケア《、「災害マネジメント《および「文化・余暇・スポーツ・アクセシビリティ・インクルージョン《)と、全体会議とほぼ同じテーマによる4つの分科会、そして分科会と並行してサイドイベントとして、「英国の雇用《、「デンマークのリハ《、「スピーカー・コーナー(事前登録で自由に発表できるコーナー)《のセッションが設けられた。そのうち、「従業員の雇用《分科会では、八重田淳筑波大学大学院人間総合科学研究科準教授)が、また、「スピーカー・コーナー《では、会田玉美目白大学作業療法科教授が、発表された。  閉会式では、Jan Monsbakken現RI会長からHaidi Zhang新会長へのバトンタッチが行われました。そして、この式のアトラクションとして、中国聴覚障害女性ダンスチームによる踊りとバレーが披瀝されるなど、この式を盛り上げるべく中国サイドの並々ならぬ力の入れようが、強く印象付けられました。 2.「放送アクセシビリティ・シンポジウム《開催              鉾(ほこ)林(ばやし)さゆり(日本盲人福祉委員会 事務局)  10月28日(金)東京都千代田区弘済会館にて、障害者放送協議会・日本盲人福祉委員会主催、日本盲人会連合協力による「放送アクセシビリティ・シンポジウム《が開催されました。 前半はアメリカ盲人協議会(ACB)音声解説プロジェクト部長ジョエル・スナイダー博士による講演、後半は行政、放送事業者、障害当事者団体、支援研究者が登壇して、日本における取り組みの現状報告の後、誰もが利用できる放送に向けてディスカッションが行われました。当日は冷たい雨の中でしたが、多くの方にお越しいただき満席、この話題への関心の高さがうかがわれました。 スナイダー博士は35年にわたる豊富な音声解説の経験から、放送や舞台、博物館、漫画や政治家のスピーチなどさまざまなシーンでの音声解説の実例を紹介。観察力の重要性や情報の優先順位のつけ方、コンパクトかつ的確な言葉選び、主観を押し付けないこと、イントネーションの置き方による意味の変化、伝わり方など音声解説のポイントやテクニックを大きなアクションを交えながらエネルギッシュに語りました。 また、アメリカやヨーロッパにおける字幕放送のはじまりから現在に至る普及の状況、法整備との関連などについての紹介もありました。 後半の現状報告・パネルディスカッションでは、日本国内における放送アクセシビリティの現状と進行中の取り組み、目標設定などが報告され、視覚障害、聴覚障害、知的障害それぞれの特性による視聴者ニーズと課題が紹介されました。ドラマや情報番組、バラエティやニュース等の生放送、緊急放送、コマーシャル、多言語・多文化圏コンテンツの音声解説、字幕解説と地域格差にも話題が及び、内容の多様性と量の確保に加え、品質を如何に評価し、水準を保つかについても話し合われました。 ************************************************************************************** インフォメーション 1. ジョン・ラギー教授「国連ビジネスと人権フォーラム《での基調講演掲載  2016年11月14日~16日にスイスで開催された第5回「国連ビジネスと人権フォーラム《にてジョン・ラギー教授が行った基調講演のテキストが公開されています。 英語版:http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Business/ForumSession5/Statements/JohnRuggie.pdf 日本語版:http://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/keynote_ruggie_161114j.pdf 2. 国際開発学会奨励賞受賞  第27回国際開発学会が11月26日、27日に広島で開催され、国際開発学会奨励賞にKamal Lamichhane氏の"Disability, Education and Employment in Developing Countries : from Charity to Investment"(ケンブリッジ大学出版、2015)が選ばれました。Kamalさんはダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業の元研修生で、その後日本で修士号、博士号を取得し、現在は筑波大学の准教授をされています。   3.International Day of Persons with Disabilitiesのポスター掲載  12月3日は国際障害者デーです。今年のテーマは、“Achieving 17 Goals for the Future We Want”。国連サイトにポスターが掲載されています。 http://www.un.org/disabilities/documents/idpd/idpd_poster_generic.jpg      4.「Using laws and policies to include people with disabilities《が掲載   国連人権高等弁務官事務所(UNHCR)より報告書「Using laws and policies to include people with disabilities《が掲載されました。障害のある人々の完全社会参加を目指し、権利条約の実施をサポートするためにまとめられています。 http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Disability/A-71-314_EasyReadVersion.pdf 5.国連障害者の権利条約批准国情報   (関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 標記条約批准国の国と地域の数は以下の通りです。    計:160の国と地域  (2016年11月30日現在) 国連批准国リスト(英語): https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=IV-15&chapter=4 &clang=_en イベント情報 1.「障害当事者による『障害と開発』の実践:           フィリピン農村部における活動とフィールドワークの経験から ◆日時:2016年12月10日(土) 13時~ ◆会場:日本福祉大学東京サテライト(新橋)       http://blog.n-fukushi.ac.jp/tokyo/?page_id=833 ◆講師:曽田夏記氏(JICA職員、DETフォーラム理事、DPI日本会議特別常任委員) ◆参加費:無料 ◆申込:予約上要 2.タイにおけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの歩みに学ぶ  ◆日時:2016年12月18日(日) 14:00~17:00 ◆会場:JICA中部国際センター ◆参加費:無料 ◆参加申込:https://sites.google.com/site/dec2016systemshealth/home/registration  ◆共催:JICA中部国際センター、アジア保健研究所 ◆問合せ・詳細:https://sites.google.com/site/dec2016systemshealth/ 3.保健人材の国際移動*日本への影響および責任  ◆日時:2016年12月22日(木) 17:50~19:20 ◆会場:吊古屋市立大学看護大学 ◆参加費:無料 ◆参加申込: https://sites.google.com/site/dec2016systemshealth/home/registration ◆問合せ・詳細:https://sites.google.com/site/dec2016systemshealth/ 4. ワークショップ 何が健康をささえているんだろう?  ◆日時:12月23日(金・祝) 13:30~17:30 ◆会場:JICA中部国際センター ◆参加費:無料 ◆参加申込:https://sites.google.com/site/dec2016systemshealth/home/registration  ◆共催:JICA中部国際センター、アジア保健研究所 ◆問合せ・詳細:https://sites.google.com/site/dec2016systemshealth/ 5. 2016年度NGO・外務省定期協議会第2回連携推進委員会 ◆日時:2016年12月13日(火) 13:30~16:00 ◆会場:外務省(〒100-8919 千代田区霞が関2*2*1) ◆参加申込: http://www.janic.org/aform075.php (締切12月6日(火)15:00) ◆問合せ: NGO・外務省定期協議会「連携推進委員会《NGO側事務局             (特活)国際協力NGOセンター Tel03*5292*2912 E-mail: advocacy@janic.org 6.「JANIC会員の集い2016《WA₋輪₋ワーキンググループ「学びあい《で課題解決  ◆日時:2017年1月18日(水) 15:00~18:00 ◆会場:3331 Arts Chiyoda 1階 コミュニティスペース     (千代田区外神田6丁目11*14) ◆参加費:無料(JANIC会員団体以外1,000円) ◆参加申込: http://www.janic.org/_118janic.php (締切 2017年1月11日(水)) ◆主催:JANIC ◆詳細:http://www.janic.org/MT/pdf/kaiintudoi2016.pdf         ※参加ご希望の方は、JANNET事務局までお知らせください。 7.SDGsフォーラム  ◆日時:2016年12月3日(土) 13:00~16:40 ◆会場:拓殖大学文京キャンパス E館内 ◆参加費:無料 ◆詳細・参加申込:http://www.geforum.org/?p=3284 (締切 12月1日(木))  ◆主催:拓殖大学国際開発教育センター・グローバルファシリテーター育成塾、     一般社団法人グローバル教育フォーラム 8.「国際協力活動への障害当事者参加の意義《(第5回DPI障害者政策討論集会        障害者権利条約を地域へ~障害者基本法改正に向けて~の分科会3)  ◆日時:2016年12月11日(日) 10:00~12:30 ◆会場:戸山サンライズ2階研修室・会議室 ◆参加費:3,000円(介助者で資料上要な方は無料) ◆参加申込:http://dpi-japan.org/99form/form2.html ◆詳細・問合せ:http://dpi.cocolog-nifty.com/         電話:03-5282-3730 DPI日本会議(担当 笠柳) ◆情報保障:参加申込時に連絡 *********************************************** 編集後記 2016年10月28日に「放送アクセシビリティ・シンポジウム ~アメリカ盲人協議会 ジョエル・スナイダー博士を迎えて~《が開催されました。多くの参加者が集い、私たちの生活において欠かすことができない「放送《の分野における情報アクセシビリティと合理的配慮を踏まえた放送のあり方や実践例について共に考え、話し合うことができました。 また、「誰もが利用できる放送《を目指すべく、日本における実践的な取り組みの報告もあり、知的障害者や視覚障害者、聴覚障害者など幅広く誰もが理解してもらえるように、日本語の難しい言い回しを分かりやすく簡潔にする工夫だけでなく、字幕に於いても読みやすい単語や文にするなどの工夫がされていました。その他、手話言語を日常会話で使用している人たちのために、手話言語による解説(通訳)をどのように放送し、どのようにテレビ画面に表示させるか、IPTVを含めた技術的な課題もいくつか報告されました。課題が山ほどある一方で、日々、目に見えて発展している面もあると思います。例えば、11月半ばに福島県内で地震が発生しましたが、NHKで誰にでもわかるように「つなみ!にげて!《のテロップが津波報道で発信されて話題になりました。このように「誰もが利用できる放送《の理念が一般の人にも次第に普及されつつあると思います。 2008年5月に国連障害者権利条約が発効し、以来8年経ちましたが障害者に対する情報アクセシビリティの配慮はまだ充分になされているとは言えません。技術的なことも含め課題は山積みですが、これらをクリアするためにも放送事業者や障害者団体、関係者が共に取り組む必要があることを改めて実感させられるシンポジウムでした。 共に学び合うことで、我が国のあらゆる放送が障害者のアクセシビリティに配慮したものへ改善されることを期待してやみません。 ※ジョエル・スナイダー博士:アメリカ盲人協議会(ACB)等で活躍する音声解説の専門家。 嶋本 恭規(一般財団法人全日本ろうあ連盟 国際委員会/JANNET広報・啓発委員)    *********************************************** JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ ***********************************************