JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第149号 1月号 2016年1月27日発行 ―目次―  トピックス 1. 「社会的インパクトとは」 ~社会的インパクトを意識したNGOと企業の連携~ 参加報告       上野 悦子、高木 香苗(JANNET事務局) 2. 進まないネパール被災地復興 ~国境閉鎖で深刻な燃料・資材不足~ 福山 博(東京ヘレン・ケラー協会理事)                      インフォメーション 1. JANNET事務局、団体訪問を始めました                 2. Disability indicators in proposed for the SDGs  3. 2nd CBR World Congressまであと8カ月 4. JANIC主催、第1回NGO組織強化大賞 エイズ孤児支援NGO・PLASが受賞 5. 障害者差別解消法に基づく対応要領及び対応指針に関する再意見募集 6. 国連障害者の権利条約批准国情報 イベント情報 1.横浜国際フォーラム 2016 (2月6日、7日) 2.障害者の移動支援を考える‐人的支援等ソフト面を中心に‐ (2月13日) 3.インクルーシブ教育 経験からひも解く成功のカギ  ~途上国の現場から~(2月15日) 4.SDGsでソーシャルイノベーション(2月24日)  トピックス 1.「社会的インパクトとは」 ~社会的インパクトを意識したNGOと企業の連携~  参加報告               上野 悦子、高木 香苗(JANNET事務局) NGOと企業の連携推進ネットワークは、国際協力の文脈で企業のCSRとNGOとの連携事業について事例を学び意見交換するというもので、3ヶ月に1回程度の定例会にJANNET事務局も参加しています。今回のテーマは「社会的インパクトを意識したNGOと企業の連携」という興味深い内容でした。 アジアでは、企業のCSRがチャリティからコミュニティ投資に向かい、アカウンタビリティの観点から社会的インパクトを測定するようになってきたとのこと。その測定手法としてSROI(Social Return on Investment)も紹介されましたが、その日のメインはLBG(London Benchmarking Group)の手法で、イギリスの企業6社が1994年に開発した測定方法でした。コミュニティ活動を実施するためのインプットと活動による成果、そして、コミュニティ・インパクトとビジネス・インパクトを見極めます。 発表者はCSRアジアの日本代表、事例は武田薬品とプランジャパンというNGOのタイ、インドネシア、中国、フィリピンでの共同事業についてでした。事業の成り立ちからそれぞれインプット、アウトプット、アウトカムとインパクトまで説明されました。 発表のあとのワークショップでは、企業とNGOの6人が1グループとなり、事例を基に話し合いました。設定された事例は、「先進国のホテルがインドネシアのリゾート地でホテル経営をしつつ、現地の貧困削減のためコミュニティ投資を行う。初等教育水準が低く、子どもの健康と栄養状態がよくない。子ども支援をとりかかりに行う」という内容でした。最後の種明かしで、実際の例だとわかります。グループで問題解決のために活動策定とインプット・アウトプット指標、そして、インパクト指標を実際現場にいるかのように想像しながら話し合いました。 幸いなことに同じグループに小俣典之さん(JANNET前組織委員長、横浜NGO連絡会代表)がいたので、意識をコミュニュティに広げる提案をいっしょにしました。企業の人も同様に、コミュニティの持続発展性のため幅広く長期的に将来を見据えて考えていたことがわかりました。 障害のインクルージョン達成のため、コミュニティ投資は今後も注目していいのでは、と思われます。 2. 進まないネパール被災地復興 ~国境閉鎖で深刻な燃料・資材不足~ 福山 博(東京ヘレン・ケラー協会理事) 「ネパール地震2015」被災者支援と当協会がサポートする統合教育校の現地視察のために12月18日~1月1日の旅程でネパールに出張してきました。  震災復興のために与野党が合意し7年越しに成立した新憲法に反対するインド系住民によるデモで、インド国境沿いの学校は3カ月間休校し、やっと再開されたばかりでした。  カトマンズ空港から、我々が長年CBRを実施したバラ郡にある地方空港に到着。車での移動は危険なので、オートバイの後ろに乗って農道を伝って移動し、まずはNAWB(ネパール盲人福祉協会)バラ支部の役員と日程調整。その最中に、デモに参加して投石していた高校生が、警官に射殺されたという速報が入り、カーフュー(外出禁止令)が出るというので、予定をキャンセルして空港近くの商人宿に待避。翌日、カトマンズに飛んで帰りました。  このような騒ぎで、インドは国境を3カ月以上にわたって閉鎖され、輸入に頼る燃料や医薬品、建築資材が入ってこず、震災からの復興はほとんど行われていません。ホテルもプロパンガスが入手できず、急ごしらえのカマドで調理する始末。ガソリンや軽油は、一時4倍まで高騰し、落ち着いたという現在も2.5倍もしていました。  地震の被害が大きかった丘陵部はデモとは無縁なので、日本盲人福祉委員会(竹下義樹理事長)からの支援物資を満載したNAWBの4WDでゴルカ郡、ダディン郡、ヌワコット郡の被災地を巡り、寄宿生活の視覚障害児にはセーターを、視覚障害被災者には毛布を配布しました。また、当協会の救援金ですでに建設されていたラリトプル郡とカブレ郡の仮設住宅も視察しました。  ネパールではNAWBと当事者団体であるNAB(ネパール盲人協会)が、合同で被災者支援委員会を組織し、今回も同委員会の決定を受けての支援活動です。NAB会員を優先し過ぎている傾向は見られましたが、名簿を作成しながら堅実に配布していました。            ************************************************************************************** インフォメーション 1. JANNET事務局、団体訪問を始めました JANNET事務局では1月から会員団体および国際活動を実施している団体などを訪問し、国際協力活動や運営、JANNETへの期待などご意見を伺っています。 1月は以下7団体を訪問し、有意義なお話を聞くことができました。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。 横浜NGO連絡会、日本発達障害連盟、日本キリスト教海外医療協力会、日本点字図書館、全日本ろうあ連盟、ワールドビジョンジャパン、東京ヘレンケラー協会   今後も団体訪問を行って情報収集・共有し、団体同士の橋渡しや繋がりを作っていければと思っています。                  2. Disability indicators in proposed for the SDGs    SDGs目標とフォローアップ、レビューに対する指標が、専門グループ(Inter-agency and Expert Group on Sustainable Development Goal Indicators(IAEG-SDGs))によって提案されました。詳しくは http://www.un.org/disabilities/documents/sdgs/iaeg_report.pdf をご覧下さい。 3.2nd CBR World Congressまであと8カ月   第2回のCBR世界会議は、マレーシアの首都クアラルンプールで9月27日から29日まで開催されます。テーマは”Empowering and Enabling”。今後、ホームページで会議の情報が掲載されますので、お見逃しなく。http://www.2ndcbrworldcongress.com/ 4. JANIC主催、第1回NGO組織強化大賞 エイズ孤児支援NGO・PLASが受賞   NGOの組織強化の取り組みを表彰し、優れた活動につなげること、またその事例を共有・参考にすることを目指し、今年から始まった取り組みです。初年度は、エイズ孤児支援NGO・PLASの「すべてはエイズ孤児のために~残業ゼロ&多様な働き方で寄付収入300%UP!プラスの働き方革命~」が最多得点で大賞に輝きました。 https://www.facebook.com/janic.org/ 5. 障害者差別解消法に基づく対応要領及び対応指針に関する再意見募集 外務省では、障害者差別解消法に基づく対応要領及び対応指針に対するパブリックコメントを募集しています。締め切りは2月10日(水)です。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/ms/prs/page25_000272.html 6. 国連障害者の権利条約批准国情報   ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 標記条約批准国の国と地域の数は以下の通りです。    計:160の国と地域  (2016年1月27日現在)  国連批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 イベント情報 1.横浜国際フォーラム ◆日時:2月6日(土)、7日(日) 11:00~18:00 ◆場所:JICA横浜 ◆参加費:事前申込1日券:500円/1日、2日券:700円/2日  当日券:700円/1日 高校生以下:無料 ◆主催:よこはま国際フォーラム2016プロジェクト ◆詳細・申込:http://yokohama-c-forum.org/wpforum/ 2.障害者の移動支援を考える ‐人的支援等ソフト面を中心に‐  ◆日時:2月13日(土) 12:30-16:45 ◆場所:東京国際フォーラム ホールD7 (東京都千代田区丸の内3-5-1) ◆使用言語:日本語及び英語(日英同時通訳)、要約筆記 ◆参加費:無料 ◆主催:国立障害者リハビリテーションセンター ◆詳細問合せ:国立障害者リハビリテーションセンター 企画課国際協力室  TEL 04-2995-3100  E-mail: whoclbc@rehab.go.jp http://www.rehab.go.jp/whoclbc/japanese/seminar.html 3.インクルーシブ教育 経験からひも解く成功のカギ ~途上国の現場から~ ◆日時:2月15日(月)  18:00~20:00 ◆場所:ECOM駿河台 2階(千代田区神田駿河台3-11-1 ◆参加費:500円(当日支払い) ◆主催:特定非営利活動法人 難民を助ける会(AAR JAPAN) ◆詳細・お申込:http://www.aarjapan.gr.jp/join/event/2016/0215_1950.html   4.SDGsでソーシャルイノベーション  ◆日時:2月24日(水)  14:00~17:10   17:30~19:00(懇親会、名刺交換会) ◆場所:(公財)早稲田奉仕園内 スコットホール(新宿区西早稲田2-3-1) ◆参加費:2,000円 ※ NGOと企業の連携推進ネットワークメンバー、グローバル・コンパクト・ ネットワーク・ジャパンメンバーは1,000円  懇親会費(2,000円) ◆共催:一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン     特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)     NGOと企業の連携推進ネットワーク(連携ネット)     ◆詳細・申込:http://www.janic.org/event/224ngo_sdgs.php(締切 2月15日(月)) 編集後記  今年は4月に障害者差別解消法が施行されます。  アジア国々の中では韓国が日本に先んじて「障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律」を制定している以外には、障害者に関する基本法や福祉法、雇用法などの中で障害者差別を禁止しているだけです。日本国内を対象とした法律とはいえ、省庁等から出されている「対応要領(国の行政機関等が自らの職員に向けて示すもの)」や「対応指針(民間事業者の事業を担当する大臣が民間事業者に向けて示すもの)」に国際協力プロジェクトで当然留意すべことも書かれています。これを参考に、私たちが実施する事業がより障害者の権利条約を反映したものになることを願っています。  なお外務省の対応要領と対応指針に関しては電子メールで提出した意見が受信されていなかったため、意見の再募集を行っています。締め切りは2月10日ですが、 http://www.mofa.go.jp/mofaj/ms/prs/page25_000272.html をご覧になって時間があれば是非意見を出してください。          中西 由起子(アジア・ディスアビリティ・インスティチュート) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/