JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第146号 10月号 2015年10月28発行 ―目次―  トピックス 1.第3回アジア太平洋CBR会議参加者からのアンケート結果  JANNET広報・啓発委員会 2.グローバルフェスタJAPAN2015 参加者からの報告    @中村 由希((特活)アジアの障害者活動を支援する会)    A田畑 美知子(日本盲人会連合) 3.ミニ懇談会「スウェーデンのディスレクシアについて」      〜アニータ・ヒルデンさんを囲む〜報告 中村 冬美(スウェーデン語翻訳者)  4.ベトナムの子ども達を支援する会の活動紹介 坂東 あけみ            (ベトナムの子ども達を支援する会)                                 インフォメーション 1.持続可能な開発目標(SDGs)採択文書 仮訳 2.CBR事例集サイト紹介 3.国連障害者の権利条約批准国情報 イベント情報 1.第26回 国際開発学会 ご案内 2.青年海外協力隊発足50周年企画展 ご案内 「世界に笑顔をひろげよう! ボランティアで国際協力」 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ トピックス  1.第3回アジア太平洋CBR会議参加者からのアンケート結果 JANNET広報・啓発委員会 第3回アジア太平洋CBR会議(2015年9月1日〜3日、新宿京王プラザホテルにて開催)は、46の国と地域から551名が参加し、多くの成果を残して終了しました(第145号のメールマガジンを参照)。広報・啓発委員会では、参加者へのアンケート調査を実施しましたのでご報告いたします。  アンケートは無記名とし、A4用紙1枚に収まる程度のものを英語で作成しました。調査日時は、3日目の午前とし、運営ボランティア(赤十字語学奉仕団の方と難民を助ける会の方々)が主にインタビューにより参加者29名から回答を得ました。その後、準備委員会関係者を通して、帰国前の参加者2名から得た回答を追加し、合計31名分の回答を分析しました。  以下、結果の一部をご紹介します。選択式の場合、アンケートの全回答者数に対する割合(%)を少数第1位四捨五入して回答の実数とともに記述しています。  30名(97%)が期待以上だったと回答しました。28名(90%)が、今回の会議を他の人に勧めると回答しました。  内容や構成などに関する満足度は、回答者全員が内容に「非常に満足した」か「満足した」と回答し、30名(97%)が構成に「非常に満足した」か「満足した」と回答しました。演者や司会者に対しては、回答者全員が「非常に満足した」か「満足した」と回答しました。会議の雰囲気と交流活動については、29名(94%)が「非常に満足した」か「満足した」と回答しました。登録受付の過程と参加者のマネジメントを「非常に満足した」か「満足した」と回答した人は、30名(97%)でした。配布された会議資料については、26名(84%)が「非常に満足した」か「満足した」と回答しました。  「会議はよく組織されていた」という意見に「強く同意する」か「同意する」と回答した人は、29名(94%)でした。「スタッフは助けになり親切だった」という意見に対しては、回答者全員が「強く同意する」か「同意する」と回答しました。  他の会議に較べて、今回の会議を「すばらしい」か「(とても)よい」と評価すると回答した人は27名(87%)でした。  詳細と短評(自由記述)の回答は、ホームページでご紹介しています。  今回のアンケート調査は、参加者551名中の31名(5.6%)と、少ないサンプルの調査でしたが、海外からの参加者の率直な意見と感想を会議開催日程の最中に伺ったことは、今後のJANNETの関わる活動と、第4回アジア太平洋CBR会議の準備の役に立つと考えます。ご協力いただいた参加者の皆さんと、インタビューをしていただいたボランティアの皆さんに感謝申し上げます。 2.グローバルフェスタJAPAN2015 参加者からの報告  @ 「グローバルフェスタ2015」を通じて感じたこと 中村 由希((特活)アジアの障害者活動を支援する会) 日本最大級の国際協力イベントである『グローバルフェスタ JAPAN 2015』が10月3日(土)、4日(日)の2日間かけて、東京お台場で開催されました。今年から昨年までの開催場所であった日比谷から場所を変えて、ウォーターフロントのお台場での開催となりました。当会「アジアの障害者活動を支援する会」も、いつもお世話になっている障害分野NGO連絡会JANNETのブースをお借りし、当会がラオスで行っている障害者に向けた技能訓練の一環のベーカリー研修で、ラオスの障害当事者が作った「ADDPクッキー」やラオス小物を販売する機会を得ることが出来ました。張り切って当会スタッフも2日間お台場に通いました。 この2日間のイベントは、全体での来場者数は2日間で101,300人(主催者発表)にのぼり、参加団体も270団体以上でした。そして、晴天にも恵まれ、大盛況のイベントとなりました。少し汗ばむような陽気でしたが、例年に比べ、場所もお台場とのことで、大勢の若い世代の来場者が目立ったように思います。JANNETブースにもたくさんの方が立ち寄ってくださり、JANNETの活動、また、途上国における障害者支援の状況の説明に熱心に耳を傾ける大学生が多かったことがとても印象的でした。 当会からは4名の平均年齢72歳の「元気なADDP理事達」が2日間、ブース担当をいたしました。当会のラオスでの活動やラオスにおける障害者の置かれた状況、また就労支援を通じて障害者の収入向上が可能となり、技能を習得した障害当事者が、ラオスでロールモデルとして頑張っている様子を、写真やパンフレットを通じて、道行く人々に向けて、声を枯らして説明しました。このようなイベントを通じて、不特定多数の多くの方々にNGO活動を知ってもらう機会というのは私達にとっても大変貴重な機会であり、「活動の発信の場」をたくさん持つことで、「一緒に考え、一緒に活動する」国際協力の担い手、興味を持っていただく方々がたくさん増えればいいな、と思いました。  A グローバルフェスタ2015に参加して 田畑 美知子(日本盲人会連合) 10月4日、今年のグローバルフェスタ2日目に、視覚障害の大学生2名、健常者の大学生1名他、総勢5名でお邪魔しました。昨年の2日目の暴風雨とはうってかわり、良すぎる程の好天に恵まれ、気が付けば首が真っ赤に日焼けしていました。 ウォーミングアップにJANNETのブースでアジア太平洋CBR会議の話を聞いてもらった後、同行の学生が接点のあった教育支援のNGO、視覚障害分野と接点があるベトナムやカンボジアを支援するNGO、筆者が関わりのあるNGOや国連機関、学生が興味のあった難民や環境分野のNGO等、10箇所以上でお話を伺いました。飲食も、豆腐つくね、サツマイモ春巻き、春雨スープ、ココナツスープ、ベトナムコーヒー、トルコのジュース、ルーマニアの貴腐ワインと、国際色豊かなイベントならではの食べ歩きでした。アフリカ音楽のライブや、民族衣装に触れる機会もあり、夕方まで満喫の一日でした。 学生の皆さん、最初は気後れしていたようですが、楽しい雰囲気に飲み込まれ、何時しか率先してクイズに挑戦したり、ブースの人に質問したりするようになりました。筆者が色々なブースで他の活動との関連性を話題にしているのを聞いていた学生の1人が、様々な団体と連携しネットワーキングする重要性を感じてくれていたようです。また、少しずつブースに出る障害当事者が現れてきたり、担当者と話をしていると家族に視覚障害者を支援するボランティアがいたりで、様々なレベルでの繋がりを感じる1日となりました。 3.ミニ懇談会「スウェーデンのディスレクシアについて」 〜アニータ・ヒルデンさんを囲む〜報告 中村 冬美(スウェーデン語翻訳者)  2015年10月6日(火)、日本障害者リハビリテーション協会にてスウェーデンからいらしたアニータ・ヒルデンさんを囲み、ミニ懇談会が行われました。  アニータさんは様々な認知及び言語に関する障害を持つ人々に対し、特にコンピューターやソフトウェアを使って支援教育を行っている、特殊教育専門家です。  アニータさんは、スウェーデンのある市で文字の読み書きに障害を持つ子ども達に対して行ったプロジェクトについて話しました。アニータさんは5冊のデイジー図書を子ども達に読ませたそうです。子ども達はコンピューターから流れてくる音声を聴きながら、画面上の絵本を読みます。子どもによってはお話を聴く方に集中しますし、子どもによっては画面上の文字を目で追うことができます。子どもたちはそれによって頭の中で、音声と文字とを合致させることができます。但しこのプロジェクトで一番大切なことは、子ども達がお話を楽しむということなのだそうです。音声で聴き、お話を楽しむことによってディスレクシアのような読み書きに障害を持つ子どもたちが、読書の面白さを体験することができるのです。   スウェーデンでは学齢期の間中、手厚い言語教育を受けます。子どもの入学後もし親が自分の子どもの読書能力に不安を覚えたら、校医に相談をしてディスレクシアやその他の障害に関する検査を受けることができます。そしてもしなんらかの障害が見つかった場合には、その子どもに合った個別の教育プログラムが組まれます。診断書があれば、個別の教育プログラムで学ぶ権利は大学生まで保証されます。デイジー教科書や、個人的な教師の助け、学びに役立つ様々なパソコンのソフトが無償で与えられます。  これらの話を聴いて、スウェーデンでは読書とは学校の生徒に押し付けられた『勉強』ではなく、文化を享受する為の確固とした権利なのだと実感いたしました。 4.障がいのある子ども達を支える地方行政のシステム作りに協力して      ―25年目をむかえた「ベトナムの子ども達を支援する会(SVCA)」の活動― 坂東 あけみ(ベトナムの子ども達を支援する会)  NGO「ベトナムの子ども達を支援する会(SVCA)」は、1990年にベトナム南部メコンデルタにあるベンチェ省の障がいのある子ども達の支援のために設立されました。当初は、技術協力に加えて障がい児学校や省立病院の建設、村診療所の設備改善なども行っておりましたが、現在はCBR班、小児循環器・新生児ケア班、小児腎臓班の3つの班で技術協力に主眼を置いた活動を行っております。各班とも毎年大体1週間の滞在で活動しています。  SVCAの提言で1998年から始まった母子手帳も2004年からは省の自己資金で印刷され、知識の普及や、障がいの予防、早期発見に関わっています。また障がい児学校には、幼稚部・小学部・中学部・高等部があり、肢体不自由・知的障がい・発達障がい・視覚障がい・聴覚障がいの学級があります。最近は一般校や一般幼稚園に就園・就学している子ども達も増えてきています。また2005年からは省内全村でCBRネットワークがカバーしているので、在宅の子ども達の中には研修を受けたCBRワーカーさんの定期的な訪問を受けている子ども達もいます。このようにそれぞれの機関での一定の発展はあるのですが、数年間の講習会や家庭訪問活動を通して、研修の不足や連携の希薄さなどの課題も多い状況が見えてきましたので、この各機関の活動のネットワーク化を図るために「核となるセンター」が必要と考え、現地地方行政に提案をして開設資金を寄付しました。現地地方行政も多額の現地資金を投入して2016年からセンターが本格的に稼働します。このセンターは教育研修局の管轄下におかれますが、省立病院やCBR活動との連携が現地でも理解され始めています。当会は毎年8月第1週にCBR班の技術協力班を出しています。2015年8月には、小児科医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士、障がい幼児保育の専門家、特別支援学級教員、通級特別支援学級教員、特別支援学校教員などの専門家や当事者家族などを中心に43人、ベトナムの現職の青年海外協力隊員6人、ベトナム人の障がい児ケアの専門家2人の計51人が参加して、省立病院のリハビリ科と障がい児学校を会場にして、様々な専門的視点からの総括的な講習会を行いました。来年のセンター開設に伴い、今後も各機関の関係者別の小規模研修会や保護者や子ども達の交流会などを行っていきたいと考えています。2016年のCBR班は、7月31日(日)発で1週間活動をする予定です。                                                                  ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ インフォメーション 1.持続可能な開発目標(SDGs)採択文書 仮訳 2015年9月25日に国連総会で採択されたSDGs「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の仮訳が外務省より発表されました。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf 一方、この採択に際して、JANIC/動く→動かす/グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンは共同声明を発表しました。     http://www.janic.org/pressroom/pressrelease/2030agenda.php 2.地域に根ざした共生社会の実現 日本国内のCBID事例集 2015年9月1日から3日まで東京で開催された第三回アジア太平洋CBR会議にあわせて、コミュニティでの実践を紹介する事例集が作成されました。 下記のサイトに掲載されていますので、ご覧ください。 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/intl/cbr/cbr_jirei_2015/index.html 3.国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 新たに標記批准国となった国と地域は以下の通りです。 158.バハマ国     159. コンゴ民主共和国         計:159の国と地域  (2015年10月21日現在) ? 国連批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ イベント情報 1.第26回国際開発学会 ご案内 ◆場所: 新潟大学五十嵐キャンパス ◆日時: 2015年11月28日(土)・29日(日) ◆参加申込: 2015年11月6日までに専用サイトから申込および振込み ◆参加費: 正会員→5,000円   学生会員→3,000円   非会員→5,000円 ◆学会の詳細: http://jasid2015niigata.net/ を参照してください。 2.青年海外協力隊発足50周年企画展 ご案内 「世界に笑顔をひろげよう! ボランティアで国際協力」 ◆日時: 2015年9月15日 〜 2016年1月10日(日)         10:00〜20:00(土・日・祝日 18:00閉館) ◆会場: JICA地球ひろば(新宿区市谷本村町10-5 JICA市ヶ谷ビル) ◆参加費: 無料 ◆お問合せ: 0120-767278/03−3269−9090 ◆内容: 青年海外協力隊が発足して2015年で50年。 この企画展では、参加した人たちのきっかけから現地での生活や活動の様子、 支援を受けた人々の変化などを紹介しています。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 編集後記  第3回アジア太平洋CBR会議が終わり、2か月が経とうとしています。この会議が大きなトラブルもなく、多くの人に満足される形で終えられたことは、誇るべきことです。しかし本当に大事なことは、この会議がどのようなレガシー(遺産)を残すかにあります。この会議に参加した人たちが、講演や分科会で発表された事例、ワークショップなどを経て得た情報や着想を有効に活用し、それぞれの活動に活かされてこそ、この会議の意義が生まれます。また、ネットや冊子などを通して、自分が参加しなかった分科会での発表に触れられたり、会議に参加しなかった人たちが会議で発表された事例や講演などにアクセスできたりするように、この会議で発表された成果をまとめて共有できるようにすることで、より実りあるものにすることが出来るはずであり、アフターフォローが大切だと思います。せっかく集まった情報を、何とか有効活用したいものです。                                                    宮本 亮平 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/