JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第139号 2015年2月26日発行 ++ 『第3回アジア太平洋CBR会議にむけて』 ― アジア太平洋ろう女性のエンパワメントと社会参加を目指して ― 全日本ろうあ連盟福祉・労働委員会 副委員長 吉野 幸代  今夏の9月に東京で開催される「第3回アジア太平洋CBR会議」はどんな色になるのでしょうか。  2006年12月に採択された障害者権利条約第6条には「障害のある女子」が盛り込まれましたが、果たして、アジア太平洋地域の女性障害者の自立と社会参加は十分に促進されたのでしょうか。  それはアジア太平洋地域に生きる女性障害者は、国の経済力、文化的宗教的な背景で「貧困」であり「女性」であり「障害者」であるという3重の社会障壁に直面しています。加えて、国際的な障害者の会議等でも女性の参加者は少なく、その状況を正確に把握する機会は多くありません。  特にろう女性は情報発信手段が限られていることから、その被害状況が表面化されておらず、人権が守られていない地域が多くあるのは想像に難くありません。  当連盟では昨年、アジア地域のろう女性の状況を把握すべく調査を行いました。今後はさらに調査を進め、ろう女性問題、ひろくは女性障害者状況を把握し国連障害者権利条約に謳われているように障害当事者である我々女性自身がその人権の確立やそのエンパワメントに繋げられるよう、互いの情報交換を通じ社会に向けて様々な提言を発信する必要があると考えています。  こういった状況を踏まえ、この第3回アジア太平洋CBR会議が、アジア太平洋女性障害者の自立と社会参加につながるような情報交換の良い機会となり、今後の方向性を示せることができる実り多き会議となり、日本らしい色で染めてくれるものと期待しています。 ++ 目次 +  トピックス 1.ハンセン病 グローバル・アピール宣言、およびイベントの開催について 2.アメニティ・フォーラム19に参加して + インフォメーション 1.【おくやみ】 トゥリマカセ 小林明子さん 2.国連障害者の権利条約批准国情報 + イベント情報 1.【開催前日】 JANNET研究会「ここまで来た、防災への障害のインクルージョン!- 国連防災世界会議直前、新しい世界防災の枠組みと開発的視点での課題 -」(2月27日) 2.日本ポーテージ協会開催 セミナー等のご案内 ++ トピック 1 ハンセン病 グローバル・アピール宣言、およびイベントの開催について 笹川記念保健財団 チーフプログラムオフィサー 星野 奈央  世界各地で、世界ハンセン病の日(1月最終日曜日)を記念してハンセン病に関する活動が行われます。2006年1月より日本財団は、世界ハンセン病の日にあわせ、ハンセン病にかかった人たちに対する差別をなくすためのグローバル・アピールを発信しています。本年1月には、国際看護師協会の賛同を得て第10回目のグローバル・アピールが東京から発信されました。首相、厚生労働大臣、国際看護師協会会長、東ティモール元大統領、ASEAN元事務局長、海外のハンセン病関係者が参加した式典に続き、ハンセン病を、看護、歴史、今後の3つのアングルから考えるシンポジウムが開催され、大変な盛況のうちに閉会しました。  東京でのグローバル・アピール発信という機会をとらえ、いまいちど、社会の一人一人にハンセン病問題について問いかけるため、笹川記念保健協力財団は、日本各地で1月から3月に行うハンセン病に関するイベントを公募しました。選考の結果、17件のイベント開催を支援します(イベントの一覧はこちら:http://leprosy.jp/ga2015/sideevent/ )。  イベント開催支援に加え、笹川記念保健協力財団も1月29日からから31日にかけて、11か国の参加者と共に、ハンセン病の今後を考える協議会を開催しました。ハンセン病問題を語り継ぐ新しいパートナーについて、そして当事者のさらなる積極的参加について、夜遅くまで活発な議論を行いました。  日本財団ビル1階にて「世界の島は語る」と題したパネル展を2月いっぱい行っているほか、「ハンセン病問題を語り継ぐもの 〜マレーシア・中国・日本より〜」と題した講演会を、2月18日に追手門学院大学社会学部と共催で同大学構内(大阪府茨木市)にて、20日に星塚愛生園入所者自治会と共催で鹿屋市市民交流センター(鹿児島県鹿屋市)にて、22日にはTKP新宿ビジネスセンター(東京都新宿区)にて、これから開催する予定です。 + トピック 2 アメニティ・フォーラム19に参加して 上野 悦子                                   2月6日から8日まで、大津市で、19回目のアメニティ・フォーラムが開かれました。 主催は、全国地域生活支援ネットワーク。毎年大津市で開催するこのフォーラムは、地域生活支援に関する様々な分野の講演が朝8時から深夜26時過ぎまでちりばめられ、講演内容は政策提言、行政説明、研究者や実践者からの発表など多彩でした。 特別講演は「障害者権利条約批准について」(外務省人権人道課山中修課長)、基調講演は「障害者差別解消法の概要について」(毎日新聞論説委員の野澤和弘氏)でした。 また同時並行でミュージアムでは※アール・ブリュット作品展、ミュージックセッション、別室では映画祭も開かれました。その一部に展示・ポスターコーナーがあり、活動紹介が行われました。 ※アール・ブリュット:固定観念にとらわれずに自由に表現するアート。 フランスから世界に広まりました。英語の訳は「アウトサイダー・アート」 (インターネットより) 今回は展示・ポスターコーナーで第3回アジア太平洋CBR会議の広報をさせていただきました。ブースには多くの方が立ち寄ってくださり、会議の趣旨やプログラム内容をご紹介することができました。                                                                  ++ インフォメーション 1.【おくやみ】  トゥリマカセ 小林明子さん   日本CBRネットワーク 渡邊 雅行 国際CBR研究会代表の小林明子さんが2月16日に、病気療養中のところお亡くなりになりました。享年61歳でした。小林さんと最初にお会いしたのは、夫の義文さんと1988年にネパールにいらした時です。小林さんご夫妻は1986年まで青年海外協力隊隊員としてマレーシアで活動されており、その後もアジアの国々を中心に障害者の調査や支援をされています。私の協力隊配属先リハビリテーションセンターを訪問し、いろいろと助言してくださいました。また、カトマンズの宿泊先で相談にのっていただいたり、食事をごちそうになったりしました。最近の協力隊員からも小林さんご夫妻のことを伺うことがあり、いつも若い隊員の活動をあたたかく見守り、そして、相談相手となってくださっていました。 明子さんは、CBRを地域住民参加型リハビリテーションとして紹介し、その理論と実践の両輪として実績を積まれていました。『アジアに学ぶ福祉』、『グローバルな地域福祉実践への視座』などの著作だけでなく、福井県ALS協会福井支部事務局長や自立支援協議会アドバイザー、JICA等で海外からの研修を引き受けていました。2月17日のお通夜には大学同僚や学生、多くの障害者の方も参列していました。明子さんの生い立ちがビデオで紹介され、「ありがとう」の言葉で締めていました。多くの参列者が心の中で「明子さん、トゥリマカシ(ありがとう)」と唱えたに違いありません。心よりご冥福をお祈りいたします。 JANNET事務局一同からもお悔やみ申し上げます。 + 2.国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html )    新たに標記批准国となった国と地域は以下の通りです。        152.ベトナム               計:152の国と地域  (2015年2月25日現在) 国連批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 ++ イベント情報 1.【開催前日】 JANNET研究会「ここまで来た、防災への障害のインクルージョン!- 国連防災世界会議直前、新しい世界防災の枠組みと開発的視点での課題 -」 たびたびご案内しておりますJANNET研究会が明日、開催されます。現在も、お申込を受付けております。参加をご希望の方は、事前に事務局までご連絡のうえ、お越しください。 ◆日時:2月27日(金) 18時〜21時 ◆会場:戸山サンライズ 2階大研修室A ■講師:掘内 葵氏(国際協力NGOセンター)     可児 さえ氏(マルティーザ・インターナショナル日本事務局代表) 主催:障害分野NGO連絡会(JANNET) 後援:特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC ) 3月14日〜18日開催の第3回国連防災世界会議を前に、CSO全体の動きはどこまできているのかについてJANICの堀内 葵さんに、そして、障害者が含まれる防災計画、準備の活動については、アジアで実践してきたNGOマルティーザ・インターナショナルの可児さえさん(JANNET個人会員)にお話しいただきます。可児さんには開発という視点での途上国での防災に関して、現在ベトナムで行っている障害インクルーシブなコミュニティ防災に関するプロジェクトについても語っていただきます。 ※詳しいご案内は下記ページ(JANNETホームページ)をご覧ください。  http://www.normanet.ne.jp/~jannet/kenkyukai/150227kenkyukai.html ◆お申込み:氏名、ご所属、ご住所、ご連絡先(E-mailアドレス)を事務局・佐々木にご連絡ください。      (E-mail: sasaki.yuka@dinf.ne.jp 、FAX: 03-5292-7630) ※情報保障に付きましては、開催直前の為、ご用意は難しい状況です。どうぞご理解ください。 事務局 + 2.日本ポーテージ協会開催 セミナー等のご案内 会員団体「日本ポーテージ協会」が今年度上半期に開催する各種セミナーおよび研究会についてご案内いたします。   ■ポーテージ早期教育プログラム初級研修セミナー 第59回  日時:平成27年3月13日(金)〜15日(日) 会場:東洋大学白山キャンパス(東京都文京区) 第60回 日時:平成27年7月18日(土)〜20日(月・祝) 会場:東洋大学白山キャンパス(東京都文京区) 予定 ■ポーテージ早期教育プログラム中級研修セミナー 第31回 日時:平成27年3月6日(金)〜8日(日) 会場:常磐コミュニティーセンター・ウィンクあいち(愛知県名古屋市) ■認定相談員事例研究会 第32回 日時:平成27年4月25日(土)〜26日(日) 会場:東洋大学白山キャンパス(東京都文京区) 予定 ◆セミナー、研究会の詳細、申込み 日本ポーテージ協会の下記ウェブサイトをご覧ください。 http://www.ne.jp/asahi/portage/japan/kouen-semina.htm ※各セミナー、研究会への受講資格については同ウェブサイト以下のページをご覧ください。 http://www.ne.jp/asahi/portage/japan/semi_shikaku.htm ++ 編集後記  今夏に東京で実施される第3回アジア太平洋CBR会議に向けての動きが活発になってきました。現在、日本の福祉分野、特に高齢者分野においては「地域包括ケア」ということが盛んに言われています。地域にいる専門職や住民が連携して、高齢者や障害者が住みなれた地域で住みつづけられるような環境を作っていくという文脈で語られています。その中で、「地域ケア会議」という住民と専門職による会議を開催し、小地域ごとに個別ケースの課題について話し合い、それをさらに大きな地域での会議につなげていくという仕組み、まさにCBRのマニュアル通りのようにも見えます。CBRの実践という意味では、発展途上国が日本の大先輩です。今回の会議では、日本での保健・医療・福祉実践者たちにとっても多くのことが学び取れる場になればと思います。 末筆ながら、小林明子さんのご冥福を、こころよりお祈り申し上げます。 宮本 亮平 ++ JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/