JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第133号 2014年8月27日発行 ++ 『第3回アジア太平洋CBR会議にむけて』 2015年は第3回国連防災世界会議が開催される年でもあり、ポストMDGsを迎えるなどの重要な年といえます。 一方、日本に目を向けますと、5年後 2020年にはオリンピック・パラリンピック、10年後の2025年には超高齢社会の到来です。 来年の第3回アジア太平洋CBR会議の開催、この機会を我が国がどのような戦略的な取り組みへと変えるべきなのでしょうか。 「コミュニティベースのインクルーシブ開発を通しての貧困削減と持続的開発目標(SDGs)」をテーマに開催する来年の会議では、日本の強みや経験を参加国にどう活用していただくかと同時に、また日本は何を得て社会へ還元できるのか。 メンバーの皆様方と共に考えていければと思います。 広報・啓発委員会 伊藤 智典   ++ 目次 +  トピックス 1.「ハンセン病の歴史を残す〜フィリピンの取り組み」 + インフォメーション 1.第3回アジア太平洋CBR会議(2015年9月1〜3日)関連のお知らせ 2.国連障害者の権利条約批准国情報 + イベント情報 1.グローバルフェスタJAPAN2014開催のお知らせ、およびご協力のお願い ++ トピック 1 「ハンセン病の歴史を残す〜フィリピンの取り組み」 笹川記念保健協力財団 星野 奈央  笹川記念保健協力財団の活動の中心の1つであるハンセン病の歴史保存の分野で、この1年間フィリピンで大きな進展が見られました。  フィリピンには、かつて世界最大のハンセン病隔離施設であり、世界のハンセン病研究の中心地であったクリオン島があります。国際ハンセン病学会もここから生まれるなど、世界のハンセン病の歴史において非常に重要な位置を占めるクリオン島の歴史保存支援を開始したのは、2004年のことです。  そのクリオン島歴史保存の成果が、他療養所の歴史保存の動きを触発しました。また国家歴史委員会と国立公文書館の技術協力を含む全面的協力を得たこと、回復者・支援者全国ネットワークCLAPが歴史保存を主要活動分野の一つとして取り上げたこと、そして保健省がハンセン病歴史保存推進を明言したことなどを受け、2013年には、@歴史家、言語学者、医師、社会学者など異なる分野の専門家によるテーマ別ハンセン病史研究、A8ヶ所の国立ハンセン病療養所とそこで生きてきた人たちの歴史保存を柱とする、国レベルでの包括的な歴史保存プロジェクトが開始されました。  これまでフィリピンの歴史の中で語られることがなかったハンセン病の歴史を、正当な国の歴史の一部として認識するため、と始められたのが、国家歴史委員会主導による歴史調査です。  2014年7月には2日間にわたりパラワン州ブスアンガ島にて、フィリピン大学、アテネオ・デ・マニラ大学などフィリピンのトップレベルの研究者による研究論文原稿発表が行われました。オーストラリア、イギリスのハンセン病歴史専門家によるコメントを受けた各論文は、2015年に書籍として出版される予定です。  ブスアンガ島でのワークショップに引き続き、マニラでは8ヶ所の国立療養所の所長や歴史担当官を対象としたアーカイブならびに聞き取り手法研修が行われました。研修初日には保健省高官の出席もあり、各療養所の歴史保存に対する保健省の支持が表明されました。翌日開催された保健省主催療養所所長会議では、歴史保存を療養所で予算化し、遂行することが提言されるなど、フィリピンでのハンセン病歴史保存は、数多くのパートナーを巻き込み、着実な進展を見せています。                                                                ++ インフォメーション 1.第3回アジア太平洋CBR会議(2015年9月1〜3日)関連のお知らせ  皆様には、すでにお知らせしておりますが、CBR会議のホームページ(英語と日本語)ができました。 http://www.apcbr2015.jp/   (英語) http://www.apcbr2015.jp/jp/ (日本語)  プログラム詳細発表、参加登録や分科会・ポスター発表(要旨)登録などの開始は10月ごろを予定しています。  現在、チラシとポスターの制作を行っています。チラシは9月初め、ポスターは9月中旬以降に完成の予定ですので、チラシ配布やポスター掲示のご協力をお願いいたします。 また、宣伝用幕(日本語、英語30cm×90cm)ができました。薄い布地に会議の日程を印刷したものです。(右の写真ご参照) この幕は、会員の皆さまが関わる会議や研修会の会場内に掲示されたり、皆さまがCBR会議のサポーターとしてこの幕と一緒に写真を撮り、Facebookなどにアップいただいく等、どうぞご利用ください。 ご協力いただける方は、JANNET事務局までご連絡をお願いいたします。 + 2.国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html )    標記条約批准国の国と地域の数は以下の通りです。         計:147の国と地域  (2014年8月25日現在) 国連批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 ++ イベント情報 1.グローバルフェスタJAPAN2014開催のお知らせ、およびご協力のお願い  既にメールでもご案内しました通り、国際協力活動を行っている政府機関、NGO、企業などが一堂に会する国内最大の国際協力イベントである「グローバルフェスタJAPAN2014」が下記の通り開催されます。 日時:2014年10月4日(土)、5日(日) 10時〜17時 会場:日比谷公園(東京都千代田区) *イベント詳細は下記をご覧ください。 http://www.gfjapan2014.jp/ JANNETは今年もテントブース(1張)で展示・販売をおこないます。会員の皆さまにご協力のお願いです。 ◆販売商品ご提供のお願い  JANNETブース内での販売商品のご提供をお願いします。商品のご提供方法には下記の2種類がございます。ご提供いただける商品がございましたら、まずは事務局・佐々木 (E-mail: sasaki.yuka@dinf.ne.jp)までご連絡ください。なお、商品は食品以外とさせていただきます。 (1)委託販売商品  会員の皆様が関わるアジア太平洋地域の団体が製作した商品(食品を除く)を当事務局がお預かりし、開催期間中JANNETブース内で委託販売させていただきます。 商品およびその商品の宣伝ポスター等を事前に事務局までお送りいただきます。(商品の価格設定は商品ご提供者にお任せします。) 開催後、売上金は当事務局より貴銀行口座に送金し、残った商品は返送いたします。 (2)商品の無償提供 アジア・太平洋地域の土産品等(食品を除く)で、無償でお譲りいただけるものがございましたら事務局にお送りください。期間中にJANNETブースで商品を販売し、売上金はJANNETの活動資金の一部とさせていただきます。   ※上記(1)、(2)共に、当事務局に商品をお送りいただく際の送料は恐れ入りますがご負担願います。 ◆テントブースのボランティア募集  開催期間内、半日以上のお手伝いができる方が対象になります。お知り合いの学生さん等(会員以外の方でもOK)にお声掛けください。  お仕事の内容は下記の通りです。  ●ブースの設営、撤去  ●販売および展示物の簡単な説明  ボランティアの方には、休憩時間に会場内のイベントや他のブースの見学をしていただきます。お昼時間には、飲食ブースでエスニック料理、飲み物をお楽しみください。 *当日の交通費補助と昼食費補助をお支払いいたします。  ご協力どうぞよろしくお願いいたします。 ++ 編集後記   最近、タイトルに「インクルーシブ」という言葉が含まれている本を2冊手にしました。『インクルーシブデザイン 社会の課題を解決する参加型デザイン』(ジュリア・カセム著、学芸出版社、2014年)、『<インクルーシブ>という発想 排除しないプロセスのデザイン』(ジュリア・カセムら編著、フィルムアート社、2014年)です。これらの本の中で、カセム氏らは、「デザイナーと建築家と障がい者が一緒になってデザインするという新しい国際的なデザインの流れの一つ」として、インクルーシブデザイン、デザイン・フォー・オール、ユニバーサルデザインとう三つの方法論を紹介し、なぜ今「インクルーシブ」なのか、その理念と実践の成果を伝えています。  インクルーシブデザインの定義として、カセム氏らは、「特定のユーザーをリードユーザーとして製品開発プロセスの全体に巻き込むことで、まずは個別のニーズへの徹底した注目から、他の多くのユーザーを巻き込めるようなマルチプルシナリオへと展開する手順で、普遍的な価値を製品やシステムに与えるデザイン手法」と引用しています。特定のユーザーとは、高齢者や障がいのある人、妊婦など、これまでおよそデザインのメインターゲットとならなかった多様なユーザーを指します。  第3回アジア太平洋CBR会議に向けて、JANNETでも広報活動を展開していますが、「インクルーシブ」は会議のテーマのキーワードの一つでありながら、「なぜ今地域に根ざしたインクルーシブ開発(CBID)なのか」「なぜCBRのままではいけないのか」など、今まで自分の中でモヤモヤする疑問があったところ、カセム氏らの本を読んで、インクルーシブデザインとCBIDの違いはありますが、少し勇気づけられた気がしました。  メールマガジンでは、会議の開催に向けて、まずは読者の皆さんに会議への感心を高めてもらうため、リレー形式の巻頭コラムを連載しています。関連の記事と合わせてお読みいただき、ぜひ皆さんの周りの人たちへ会議開催の意義や皆さんが感じる期待についてお話しいただければと思います。 広報啓発委員 古西勇(公益社団法人日本理学療法士協会) ++ JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/