JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第130号 2014年5月28日発行 ++ 目次 + トピックス 1.「障害者も参加する防災:知識を通じて固定観念を変えよう」 アジア太平洋地域会議(仙台会議) 2.東チモール独立12周年記念イベントに参加して + インフォメーション 1.日本のCBID事例、集まる! 2.10/27 JANNET研究会報告書、海外講師レジュメ DINFホームページ掲載のお知らせ 3.国連障害者の権利条約批准国情報 + イベント情報 1.ダスキン・アジア太平洋州障害者リーダー育成事業第15期生成果発表会のご案内 ++ トピック 1 「「障害者も参加する防災:知識を通じて固定観念を変えよう」 アジア太平洋地域会議(仙台会議) 可児 さえ マルティーザ・インターナショナル/インクルーシブ防災アドバイザー DiDRRN (障害者インクルーシブ防災ネットワーク)/フォーカルパーソン JANNET個人会員      4月22?23日、仙台メディアテークにて「障害者も参加する防災:知識を通じて固定観念を変えよう。アジア太平洋地域会議」が行われました。私もDiDRRN(*)(障害者インクルーシブ防災ネットワーク)を代表して参加しました。  アジア太平洋地域で、130人以上の障害部門の専門家と防災部門の専門家が一堂に会したのは今回が初めてであり、2015年3月に仙台市で行われる、防災世界会議に向けて大きな布石となる会議となりました。現在まで、障害者インクルーシブな防災に言及している国際的合意文書は国連障害者権利条約(第11条)と「アジア太平洋障害者の『権利を実現する』インチョン戦略」(ゴール7)しかなく、それらもまだ大まかな内容だったため、今回の決議書は、今後の世界防災戦略を作る上で、障害者インクルージョンに詳しくない防災の専門家にも非常に役立つ内容だと思います。文書は3つの部分から成っており、(A)主なメッセージ(B)障害者インクルーシブな防災への明確なアクション(C)障害者インクルーシブな防災への戦略になっており、国連団体のみに限らず、政府または市民団体も対象としており、それぞれの立場で利用できる内容です。最後には「障害者を社会的弱者という一括りの枠に閉じ込めずに、障害者の視点と測定できる指針による、政策の経過報告を明示的に指定すること」とあり、これもDiDRRNが国連世界防災戦略事務局(UNISDR)に対して提言してきたことなので、今回の決議書は大変満足のいくものであると思います。  会議の主催者である、アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)日本財団、リハビリテーション・インターナショナルは、会議翌日にこの決議書を古屋防災担当大臣へ手渡したそうで、来年の世界会議の主催国としての日本政府の対応も今後注目されます。 (*)DiDRRNは国際NGOとDPOから成るネットワークで、アジア太平洋の国連国際防災戦略事務局に対して障害者インクルーシブな防災へのアドボカシーを提言してきました。    http://www.didrrn.net + トピック 2 東チモール独立12周年記念イベントに参加して 上野 悦子  トピックス1でご執筆くださった個人会員の可児さえさん主催の東チモールの写真展とトークによるイベントが5月20日の夕に国立で行われました。  可児さんはフォトジャーナリストになりたての時に東チモールを訪れ、独立を祝う直前の国の様子を大量の写真を撮っていました。独立記念の日に選りすぐりの作品を紹介し、さらに後半では可児さんと、かつて東チモールから亡命して外から独立を支えたゼキト・リビエラさんのトークがありました。  東チモールは16世紀から植民地支配(ポルトガル、オランダ)や併合(インドネシア)された500年の歴史があり、その後24年間はインドネシアから独立する闘争を経て2002年に独立。直後に70か国から支援の申し出があったそうですが、2006年に、自分たちの経験と外部者の両方の「間違い」からまた社会不安が引き起こされ、独立から4年間に行われた教育は保健の開発への様々な意見があり、一方的な見かたからレッテルも貼られたそうです。  でもゼキトさんは言います。「500年の植民地時代にはこの地には何もなかったのだからそれから比べたらどうってことない。」ゼキトさんから強靭さということの意味が伝わってきました。仲間たちと意志や熱意を長く持ち続け外部者の「開発してあげます」の声を呑みこみ、受け流し、本質を見誤らず、人々と共に進むゼキトさんをはじめとする東チモールの人々。多くの日本人にもっと知ってほしいと思いました。  ゼキトさんは、「開発は輸入(ODAからもNGOからも)するものではなく、自分達で組織して行うこと。それ以外では達成できない。」「発展の指標にhappinessを置く。健康で、よい教育を受け、人々と分け合える社会を目指す」と言いました。  私たちに出来ることのひとつは、そういう現地の人々の考えを尊重して、邪魔をしないことだとつくづく思います。Facebookでも「レジリエンス(resilience)について考えたこと」として書きましたのでぜひご覧ください。https://www.facebook.com/JapanNGONetworkonDisabilities <参考図書> 「東チモールに生まれて−独立にかけるゼキトの青春」 横田 幸典 「いつかロロサエの森で」 南風島 渉                                                                  ++ インフォメーション 1.日本のCBID事例、集まる! CBRアジア太平洋ネットワークは、事務局のあるAPCD(アジア太平洋障害者センター)とともに、CBID(コミュニティにおけるインクルーシブ開発)の好事例収集を行いました。各国のコンタクト先が国内コンテストを開催することが条件です。日本ではこのネットワークに加盟しているJANNET(障害分野NGO連絡会)と事務局のあるリハビリテーション協会が中心となって、好事例収集を呼び掛けました。 その結果、地域も対象も活動も多様な例が集まりました。(50音順) いけま福祉支援センター、池間島、沖縄 草の根ささえあいプロジェクト、名古屋市 こころん、福島県泉崎村 のわみ相談所、一宮市 ハックの家、岩手県田野畑村 チームチャッカ、東近江市 麦の郷、和歌山市 選考の結果、一般社団法人草の根ささえあいプロジェクトが日本代表に選ばれ、アジア太平洋の選考会に推薦されました! 草の根ささえあいプロジェクトの調査報告書「できることもちよりワークショップ&支援立ち上げプロジェクト報告書〜つながりささえあう地域をつくるための具体的方法〜」の一部をリハビリテーション協会で英語に翻訳し、それが国連のニュースレター4月号に掲載されましたので合わせてお知らせします。 http://www.un.org/disabilities/default.asp?PID=312 (UNENABLE Newsletter →April 2014の10ページ目) 英語訳の掲載場所はこちらです。日本障害者リハビリテーション協会のサイトです。 http://www.dinf.ne.jp/doc/english/resource/cbr/chapter1.html 事務局 + 2.10/27 JANNET研究会報告書、海外講師レジュメ DINFホームページ掲載のお知らせ  昨年10月27日に開催されたJANNET研究会 ポストMDGsと障害で話題の「障害インクルーシブな開発とは?」の報告書および、同研究会で講演されたモビリティ・インディア所長であるアルビナ・シャンカーさんの講演レジュメ(英語版)「CBID Approach implemented by Mobility India」がDINFホームページに掲載されましたのでお知らせいたします。下記URLよりぜひご覧ください。  ◆JANNET研究会報告書 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/conf/seminar20131027/index.html  ◆アルビナ・シャンカー氏講演レジュメ http://www.dinf.ne.jp/doc/english/resource/cbr/cbid.html どうぞよろしくお願いいたします。 + 3.国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html )     新たに標記批准国となった国と地域は以下の通りです。                       146. アンゴラ     147.ブルンジ                         計:147の国と地域  (2014年5月27日現在) 国連批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 ++ イベント情報 1.ダスキン・アジア太平洋州障害者リーダー育成事業第15期生成果発表会のご案内 JANNET団体賛助会員のダスキン愛の輪基金とリハ協・企画研修部研修課が共に主催する、標記リーダー育成事業の第15期生による成果発表会が以下の通り開催されますのでご案内いたします。 日 時:2014年6月14日(土)13:30〜16:30 場 所:コンベンションルームAP西新宿 参加費:500円(介助者無料) お申込み、詳細:以下のURLからご覧ください。 http://www.normanet.ne.jp/~duskin/infomation/2014/clipmail.html どうぞよろしくお願いいたします。 ++ 編集後記  今号では、「障害者も参加する防災」というテーマで、仙台で開催されたアジア・太平洋地域会議の報告が掲載されています。東日本大震災では、障碍のある人たちの死亡率が高く、避難生活においても多くの困難があったという報告がいくつもおこなわれています。今後に向けて日本がリーダーシップを取り、障碍者を含めた防災対策が各国で実施されていくことを期待したいと思います。 話題は変わりますが、私は長年障碍者スポーツに関わっています。障碍者スポーツを担当する省庁は厚生労働省でしたが、今年度からは文部科学省も担当するようになり、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、選手の発掘・育成、社会のバリアフリー促進などがおこなわれていきます。国内での障碍者スポーツがより充実していくことはもちろんですが、障碍者スポーツにおける環境が不十分な国においても今後その分野の発展が進み、そのことが障碍者の社会参加の一翼を担っていくことを願っています。 青松 利明 国際視覚障碍者交流・協力ネットワーク ++ JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/