JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第111号 2012年10月30日発行 昨年3月11日の東日本大地震で被災された皆様、そのご家族様へ心よりお見舞い申し上げます。 JANNETの会員で、被災地にて支援活動を開始した団体の状況をお知らせしています。 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet ++目次 + トピックス 1.国際協力NGO「第6回インパクト評価入門研修」参加報告 2.グローバルフェスタJAPAN2012参加報告 3.CBRセミナー『CBR vs 三方よし』報告 4.NGOと企業の連携ネットワーク 第三回定例会に参加して + インフォメーション 1.「facebook」にJANNETのページを開きました! 2.国連障害者の権利条約批准国情報 + イベント情報 1.JANNET研究会(11月5日)中止のお知らせ ++                                              トピック 1 国際協力NGO「第6回インパクト評価入門研修」参加報告 金澤 真実 2012年10月5日に開催された『国際協力NGO「第6回インパクト評価入門研修」』に、JANNETから派遣していただき、研修を受けました。主催は、国際開発センター(IDCJ)で、10時〜17時までの1日、同センター主任研究員で、立教大学や大阪大学でも講師を務めていらっしゃる佐々木 亮氏により、事業のインパクト評価の基本デザインとエクセルを使った統計分析の基礎を学びました。参加者は、国際開発団体(NGO)やネットワーク団体から16名と助成団体(財団)から2名の合計18名でした。 午前中は、インパクト評価の基本デザインの種類とその特徴を学びました。最も単純で費用がかからない「事前・事後比較デザイン」から最も厳格で費用がかかる「実験デザイン」までの、5種類のデザインについて、それぞれの適用事例が紹介されました。中でも「事前・事後比較デザイン」は、インパクト評価の7〜8割に利用されていると言われるもので、「事業開始前はx%であったが、事業修了後はy%に上昇した」(だから、この事業は効果があった)というように、ある2点を比較して差があればそれが事業による因果関係があったと推定するものです。今まではこの評価の客観性についてあまり深く考えたことがなかったのですが、この方法は、外部要因による影響や複数の原因を考慮しないので、信頼性が低いとされていることを学んだことは、新たな発見でした。 午後は、エクセルを使ったアンケートやデーターを統計学的に処理する方法の基礎を学びました。事業のインパクトを計る時の基礎知識として知っておく必要のある事柄で、大変参考になりました。 また、今回の研修により事業の評価を、どのような指標でするのか/できるのか、その指標は適切か、指標の取り方は適切かなど、評価を実施する以前の事柄についてもう一度考えることができました。JANNETから、このような貴重な研修に参加させていただけたことを感謝しています。ありがとうございました。 + トピック 2 グローバルフェスタJAPAN2012参加報告 和田 雅行、柳原 典子、西塚 あすか                                            10月6日(土)、7日(日)にグローバルフェスタJAPAN2012が日比谷公園で開催され、JANNETは例年通り販売展示をおこないました。JANNETブースにはJANNETの活動に関心のある方が多く訪れました。商品販売については、JANNET団体会員のヒーリングファミリー財団が支援をおこなっているタイ・チェンマイの同団体の障害者により作製されたエコバックは昨年以上の好評を得ました。 お忙しいなか、JANNETブースでお手伝いくださったボランティアの皆様の内、以下の3名にご報告いただいています。 10月6日と7日の両日、日比谷公園にて「グローバルフェスタ2012」が開催されJANNETも参加しました。今回は、他主催団体イベントも同公園で開催されたこともあり、これまでと違い一部設営場所の変更もありましたが、以前と変わらず多数の来場者がありました。一日目は、天気も良く事務局の上野さんは積極的に他ブースにも挨拶を兼ねて周っていました。事務局の佐々木さんは早々に会場に来て受け入れ準備を進めてくれていました。個人会員の柳原さん、小林さん、以前事務局を担当された中井さんも友人と一緒に参加協力し、さらに各会員の方が顔を出して頂き活気あるブースとなっていました。二日目は、一時雨も降りだしましたが、会長の松井先生や福山さん、学生会員の西塚さんも応援に駆けつけて頂き、活動紹介、セミナー紹介、物品販売を行ってきました。来場者からは積極的に情報提供を求める声もあり有意義であったと感じました。(個人会員:和田 雅行) 介護おこもり状態にある私としては、開店休業状態のネグロス支援。出展を悩みましたが、元教え子に背中を押され、今年も彼らとネグロス島の障害者のニット製品を販売できて、うれしかったです。またその場を提供してくれたジャネットに感謝です。 ニット製品もよく売れ、黒字転換額が増え車椅子搬送代に近づいています。また、1年ぶりの再会ですが、上野さんやジャネット会員の仲間とも、懐かしく交流ができ、元気をもらいました。 (個人会員:柳原 典子) 2日目はタイ・チェンマイの「さをりひろば」で知的障害のある皆さんが製作したさをり織りのエコバックが大変好評で小さい方のサイズのバッグはほぼ完売しました。並べている物品が少し気になっただけで立ち寄った方々も、チェンマイの知的障害のある方々がつくった作品であること、一人一人が自由に織ってできる作品なので、一つも同じ模様の作品はないことなど説明すると、より深く関心を持ってもらえたようでした。JANNETの活動や、世界の障害者について関心をもってもらえる良い機会になったと感じました。 (学生会員:西塚 あすか) + トピック 3 CBRセミナー『CBR vs 三方よし』報告 (社)日本作業療法士協会 石本 馨 「途上国でのCBR/CBIDと日本の地域づくりや地域福祉の活動の共通点について意見交換する」ことを目的に、CBID活動家のピーター・コールリッジ氏、滋賀県東近江市で地域づくりを実践されている小梶猛氏・山口美知子氏・野々村光子各氏の講演ならびに対話集会形式で実施されました。 コールリッジ氏はインクルーシブ開発との関連で生計について講演され、個人の可能性を最大限に伸ばす機会がすべての市民に平等にある公正な社会を構築することが貧困撲滅には重要で、なかでも地域にある伝統的価値体系がそれらの推進に役立つとのことでした。伝統的価値体系の例としてジンバブエの「ウブンドウ」ならびに近江の「三方よし」を挙げ、両者に共通するのは一方的な支援関係ではなく、お互いにとって幸せとなる相互支援関係で、障害のある人が支援あるいは地域づくりの主体となることが、それにつながるとのことでした。 東近江市の地域づくりについては、小梶氏が東近江市の全体像と総合的取り組みを、山口氏が地域づくりにおける行政の関わりを、野々村氏が障害のある人の就労について講演されました。行政やNPOなどの枠組みを超えた市民参加による地域の現状分析と、「誰かを悪者にせず、無い物ねだりせず、自らができること」を考え実践することから始まった種々の活動が紹介されました。障害のある人の就労についてもその一例で、就労の意義に着目し、障害のある人のために仕事を作るのではなく地域住民のニーズと障害のある人のもつ力とをマッチングさせる支援方法は、まさしく近江商人以来の三方よし精神(売り手よし、買い手よし、世間よし)が現代に活かされていると実感しました。 普段コミュニティで活動していると伝統的価値の負の部分に目を向けがちですが、外部者が外から持ち込んだ価値や考え方を押し付けるのではなく、地域にあるポジティブな部分に耳を傾け、積み上げていくのがCBIDでは特に重要であることが理解できました。 + トピック 4 NGOと企業の連携ネットワーク 第三回定例会に参加して 上野 悦子 10月2日に早稲田奉仕園で開催された定例会に参加したので簡単に報告します。 参加者は企業から18人(16企業)、NGOから26人(22団体)、アドバイザイー1名で45人。今回は「グローバルイシューに“取り組める”背景 徹底ダイアログ」というテーマで武田薬品とパナソニックからそれぞれNGOとの連携による取り組みの発表がありました。質問タイムでは、初め企業メンバーから、続いてNGOから、と分けたのは新鮮で、待たされたNGOからは多くの質問が出ました。 武田薬品は保健医療分野での活動を基本に、アフリカで人材育成・強化をはかる寄付プログラムを実施しています。世界基金をパートナーとして、毎年1億円ずつ、2010年から10年間寄付を続けることにしています。パナソニックはNGOサポートファンドを持ち、環境や子ども分野でNGOと協働している例が紹介されました。いずれの企業も活動の理念を持っていることが伝わりました。この2社を含めて企業から参加していたのはいずれもCSR関係者ですので、意識の高い人達と思われますが、NGOからの質問「企業内部で社員の社会的感度を高めるためにどのようなことをしていますか」、に対しては難しさを抱えていることも明かされ、社員がボランティアしやすい環境作りをしていますという回答もありました。 この連携ネットワークではグローバルイシューとして、一貫してMDGs(ミレニアム開発目標)を取り上げており、企業が取り組みやすいようにNGOが支援するような形で連携が進められています。定例会のまとめの時間には質の高い連携が出来ている状態を共有する予定でしたが、時間が足りず、次回の定例会に持ち越されることになりました。今回はネットワークメンバーで企業とNGOが連携している事例集が配布されましたが、その数は17に上り、具体的に進んでいることがわかりました。                                                                    ++ インフォメーション 1.「facebook」にJANNETのページを開きました! 障害分野ngo連絡会(jannet)で検索して、Like(いいね)を押してみてください。 http://www.facebook.com/home.php#!/JapanNGONetworkonDisabilities またJANNETホームページからもfacebookにアクセスできるようにリンクしました。 http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ まだまだ発展途中のページですが、デザイン、使い方などにご意見をいただければ幸いです。 会員の皆様の情報もぜひお寄せください。 事務局 + 2. 国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 新たに標記批准国となった国と地域は以下の通りです。(2012年10月29日現在)   123. イスラエル    124. ドミニカ    125. マルタ 計:125の国と地域 国連批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 ++ イベント情報 1.JANNET研究会(11月5日)中止のお知らせ 既にご案内しておりますが、先日のCBRセミナー、JANNET HP、MLでご案内して参りましたJANNET研究会(11月5日開催予定)の中止が決定いたしました。 講師・ベンガル・レディさんの入国ビザ取得が間に合わず、ご本人より来日できないとのご連絡がございました。 お申込みくださいました皆様、また楽しみにされていた皆様にはご迷惑をおかけいたしました。 事務局 ++ 編集後記  毎年恒例のグローバルフェスタが10月、7日に日比谷公園で開催されました。残念ながら私は参加できませんでしたが、皆様いかがでしたでしょうか? さて、今号では、インパクト評価の入門研修、グローバルフェスタ、CBRセミナー報告、NGOと企業の連携ネットワークの報告が掲載されています。 パラリンピックでのメダル数が16個、たいへんな活躍だと思っていると、なんと2020年の招致イベントが始まっているようです。8年後、そんなに先じゃありません。 スポーツを通じた国際的な活動の更なる活躍に期待しています。 伊藤 智典 ++ JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/