はがき通信ホームページへもどる No.93 2005.5.25.
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 福岡県西方沖地震 


 3月20日(日)の朝、私はふくふくプラザ(福岡市市民福祉プラザ)の玄関前に着いていた。突然、電動車イスの足元に強い震動(震度6弱)を感じて、傍に立っている介護者のSさんに「これは何?」と尋ねた。上を見上げて周りの建物や、電柱などが揺れるのを確かめながら「地震だ」と答えるSさんは、10年前の阪神大震災を経験済みだった。
 福岡ではあり得ないと思われていた地震が、実際に起こったのである。私も手押しの車イスにのっていたら大きな衝撃を受けていたかも分からない。電車も地下鉄も不通になって、天神ではガラス窓が割れて散乱しているとの情報が入ってきた。震源地はわりと近くて、名前を聞いてもピンと来ない。玄界島の人々の被った惨事については、この時まだ知る由もなかった。Sさんは家のことが気になって電話しているが、混線してつながらなかったらしい。
 余震が続く限り、エレベーターの使用は当然禁止されていた。すでに4階にあがっていた4人の方との連絡が取れぬままに、食堂を借りて弁当を開いた。時間だけが経過する中で、職員が意を決したように車イス使用者を階段から降ろすので、Sさんが一役買って手伝ってくれた。4階では建物の揺れは、ものすごく4人とも机にへばりついた状態で時を過ごしたそうです。
 全員の顔が揃った時は、お互いの無事を確認することができた。いつ、どこで何が起こってもおかしくない時代を私たちは生きているのだ。改めて生命の尊さを教えられる思いだった。

福岡県:K・K


 地震発生時にこんなことが脳裏を走った!! 


 今回の地震で、揺れながらこんなことを考えていました。消毒液は? 自己導尿器具は?何だ! そんなことかと思われることでしょう。
 死に関しては現在も死体(しにたい)同然ですので、家具や建物に潰されて命を落とせば、それでよしと諦めております。
 ただ、被災し、生き残った場合、己の生命を維持できる状況がどんなものになるのか、どう難局に対処すればよいかを受傷以来考えております。
 汗が出ない、足が動かない、手が動かないなどの障害で命を落とすことはありませんが、排尿が出来ないとなると状況が一変します。
 不衛生な状況の中で自己導尿によるセラチア菌感染症によって腎盂腎炎を起こし、一時的に生命の危機に陥る可能性は大きく医療行為となるため医師等の応急処置が必要!!
 その対処法は救急に強力なステロイド含有の抗生物質点滴を受けるなどの薬物投与を必要とします。
 被災したなかで安心して自己導尿医療行為ができる状況とは・・・今後の課題です。また、人工肛門を造設しているのでその処置も医療行為となる。
 今回の地震で家族には人的被害はありませんでした。PCのモニターが落下し、床に凹みが出来た程度で済みました。もう少し長くゆれが続いておれば車いす諸共、転倒する状況でした。震源地に最も近い玄界島が大きな被害を受けており、亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
(2005.3.24)




●自宅(団地)のスロープ部に段差が(2㌢)スロープ
上部(踊場)と団地本体部に亀裂が入り段差が出来る 
福岡県:車いすのおっさん 
 「車いすのおっさん・HOME PAGE」 http://members.jcom.home.ne.jp/wheel-net/


 ババア発言の余波 


 石原都知事の例の「ババア発言」問題、(「週刊女性」誌で「文明の産み出した最も悪しきものはハバアだ。生殖能力をなくした者を生かしておくのは害悪だ」という旨の言葉を引用して、女性団体などから抗議を受けた事件)
 あれで訴訟を起こしていた女性グループに、2月24日敗訴が申し渡されたという二ュースが流れた。女性を侮辱した軽率な発言であることは認めつつ、原告女性らの個人的利益を侵害したとまでは言えない、とのこと。
 具体的に目に見える形での不利益はないかもしれないが、精神的に受けた屈辱が大きいことはわかりきった話であり、それをどう掬い上げてゆくかの司法の判断を見たかった。それだけに失望した人たちも多いだろう。
 この問題は女性に限ったことではなく、障害者などにとっても聞き捨てならない。「役に立たないものにも存在の意義はある」という生態系の叡智を学ぶべきだろう。
 だいたいババアを貶めるということは、天に唾吐くようなものだ。石原氏自身の母親を貶めるばかりか、妻も娘もやがてはババアになるのだから。
 そんなことにも思いが至らないような人物が、都民の高い支持を得たり、新党の党主に目されたり、首相の候補に挙げられたりするこの国のうすら寒さはどうだろう。
 そもそも発言を引用されたという松井孝典教授に対しては何か責任を問うような動きが起こっているのだろうか。
 確かだいぶ以前にNHK特集の司会をしていた地球物理学者だが、そんな暴言を吐くような人物には見えなかった。一体どういう文脈の中でこんなことを口走るに至ったのだろう?とずーっと気になっていた。
 そこで、思い立ってヤフーで検索してみると、松井教授の「おばあさん仮説」なるものが紹介されていた。
 NHKの人間講座「宇宙からみる生命と文明」のテキストによれば、氏は農耕牧畜が始まった理由について人間側から考えると、「おばあさん仮説」と言語の獲得による「共同幻想」。この二つであると述べているそうだ。
 「”おばあさん”とは、ここでは生殖年齢を過ぎたメスが生き延びている状態を表すことにします。哺乳動物でも、サルでも、類人猿でも、メスは子供が産めなくなると、それから数年くらいで死んでしまいます。一方オスはいつまでも子供を作れる能力がある。したがっておじいさんは存在します。自然の状態では、哺乳動物にも、サルにも、類人猿にもおばあさんは存在しません。どういうわけか現生人類だけ、おばあさんが存在するのです。
 おばあさんがいると何が違うか、一つはお産が安全になることです。加えて、娘が産んだ子供の面倒をみたりする。このため、メス一個当たりの出産数が増え、群れの個体数増加につながるわけです。人口増加です。人口増加が起こると、或る地域で生きる人の数は決まってますから、地域を移動するという圧力になり、新天地へ散っていきます。このため、現生人類は「出アフリカ」と呼ばれる行動をとるわけです。十数万年前アフリカに誕生した現生人類が、人口増加にともなって世界中に散らばる。これが、我々が何故人間圏をつくって生きるようになったか、一つの理由です。」
 というものであるらしい。なーんだ、暴言なんて吐いてないじゃないか。ここからどうして都知事のような曲学阿世の言説が導き出されるのか、ほとほと愛想が尽きるというものだ。松井教授もさぞかし迷惑していることだろう。
 馬鹿も休み休み言うものである。
 まあ百歩ゆずって、おばあさんのせいで人口増加したことが現在の地球の諸問題の元凶だと、都知事は言いたいのだろう。
 しかし人口増加が悪いことだと考えられるようになったのはせいぜいここ100年くらいの間ではないだろうか。それまでは「産めよ、増やせよ、地に満ちよ」と聖書でさえ勧めているのだから、ずーっとめでたいことだと考えられていたわけである。
 また最近の少子・高齢化社会になって、政治家たちもにわかに結婚・出産を奨めているではないか。そんなふうに短期間でころころ変わる価値観は信用できない。
 それからもう一つ、本当に動物界におばあさんはいないのだろうか。たとえば私の愛犬は15歳まで長生きした。人間では100歳を超えるだろう。さすがに晩年はもうよぼよぼで、目も耳も鼻も用をなさなかった。つまり立派な「おばあさん」だったのである。
 もちろん飼い犬だから「自然の状態」とは言えないし、よぼよぼでもまだ子供が産めたのかもしれない。
 とはいえどうも自然界にもおばあさんはいそうな気がする。
佐賀県:中島 虎彦 E-mail: henomohe@po.ktknet.ne.jp
 「障害者の文学」 http://www.ktknet.ne.jp/henomohe/ 


 夢の「リオのカーニバル」を見て来ました(前編) 


 長年の念願であった「リオのカーニバル」を急に見に行くことになりました。
 私は車椅子ダンスをしていますので、一度はサンバのリズムで踊る本場の姿を見て、車椅子ダンスの参考にしたいとユメユメ思っていました。



●コルコバードの丘(キリスト像)で添乗員を含め3人で


 昨年の暮れに突然旅行会社から「前々から言われていたリオのカーニバルの席がやっと2枚手に入ります」「今回を逃すとまたいつ手に入るかわかりません」「出来ましたらこの機会に参加して欲しいと思います」と連絡が入りました。急なことで私と妻は近々生まれる孫のことや、旅費のこともあるし悩みましたが、「今度のチャンスを逃すといつ手に入るか分からない」という旅行会社の脅しと、「退職後の自分への褒美」として、一大決心をして行くことにしたのです。



●後方の岩山がポンテアスーカル/この地点は手前の山で一回目のロープウェイを降りたところ、これから2回目のロープウェイに乗る


 旅行会社が準備した飛行会社はブラジルの飛行機でした、福岡→成田→ロス→サンパウロ→リオデジャネイロと乗り継ぎながら約34時間かかって到着です。福岡を2005年2月4日午後0時10分発、リオデジャネイロには現地時間2月5日午前9時40分着でした。時差は11時間です。到着時は雨で気温が19度(摂氏)でした。
 事前に旅行会社を通じて、私が車イス使用者と連絡していたので、現地では私たちは独自にワゴン車に乗り単独行動でした。私たち夫婦に日本からの添乗員、現地のガイド、運転手と5人一組のツアーでした。まずリオで一番有名なキリスト像の建つ丘(コルコバード)に登山電車で登りました。このキリストの像は、ブラジル建国100年を記念してフランスから贈られたそうです(アメリカの自由の女神と全く同じです)。やはり像はフランスを向いていました。像の頭と両手のみフランスから作って持ってきて組み立てたそうです。
 翌日は、ポンテアスーカル(一枚岩の大山)・大教会・世界一のサッカー場(13万人収容)・コンパーナ海岸に行き、記念写真を撮り、夜のカーニバル見物に備えました。



●コンパーナ海岸で・1個100円くらいのヤシの実


[カーニバルの由来]
 カーニバルは元来「謝肉祭」の意味を持つ宗教的行事です。4旬節といわれるイースター(キリスト復活祭)までの40日間、食生活を始め全ての禁欲生活の期間として、その期間の始まる前の4日間を開放的なお祭りとしたのが、カーニバルの由来とされています。カトリックでは、伝統的に陰暦(月暦)を使用しているため、4日間のカーニバルの期間は毎年不規則となります。
 ちなみに今年2005年は、2月4日〜7日でしたが、来年2006年は、2月26日〜29日となります。(パンフレットから抜粋)

 我々の見物した「リオのカーニバル会場」は席が指定されていました。福岡で言うドンタクや山笠の時に出来る桟敷席とは違い、年間常設のコンクリート作りの立派な建物でした。約700メートルの長さの会場は約30メートル幅の道路を挟んで両端に観覧席を作ってあり、この間を1時間15分で一チーム約4000〜5000人が踊り歌いながら通過するのです、一夜の見物人は40〜50万人が観覧するそうです。



●山車(ナイスバーディの女性がいっぱい乗っています)


 私たちの観覧席はパレードコースの3分の2過ぎた付近で、前から2番目の桟敷席でした。2メートル四方内に椅子が3個ずつL字型にあり、6人がけでした、私たちは添乗員と3人で、相席の人たちも日本から来ていた男性3人組みの方たちでした。
 パレードは3日目(2月6日)のAチームを見ましたが、パレードはいつも午後9時にスタートします。一チームが1時間15分で通過します、一晩に7チームが通過しますので最後のチームが通過する頃は夜が明けています。
 私たちは午後10時頃に会場に到着しました、会場ではスタッフが大勢いて私を車イスごと4人で抱えて階段を乗り越え、指定席に連れて行ってくれました。観客は全員指定されたプレートを胸から掛けて、しかも腕にも色違いの指定されたブレスレット(プラスチック製)をしました。トイレに行っても入れ替わったり、間違ったりしないようにだと思いました。



●私達の前の桟敷席に居た人、行進を終わって帰ってきたときに「お願い」したら、快く一緒に写ってくれました


 会場の雰囲気は凄まじく、ブラジル人らしき人たちは勿論、日本人の観光客もまるで福岡ドームのホークス応援団の中にいるような熱気でした。私は立てませんので椅子に座っておとなしく観覧しましたが、前の席、隣の席など盛り上がって、たいがい立って踊っていました。パレードが1チーム通過するたびに清掃班が来ますが、そのスタッフも楽しい人たちで、ほうきを持って踊りながら清掃をしていきます。15分の休憩の後、次のチームがスタートしますが、その時は50発くらいの花火が上がります。スタートから30分位して私たちの前を通過し始めます。ゆっくりゆっくり踊りながら通過します。1チーム3〜5台の山車がありますが、1000人に1台の割にその山車がありその山車には着飾った女性や男性が数十人乗り、写真で見るようなナイスバディな人たちが優勝を目指して一生懸命愛嬌をふってくれます。紙ふぶきが舞い、紙テープが飛び交い照明も至るところからライトを当ててくれますのでカメラやビデオもフラッシュをしなくても十分撮影できる明るさです。(次号・後編へ続く) 
福岡県:M・I E-mail: masaisa@beige.plala.or.jp
 「西日本車椅子ダンスの会『アミーゴス』」
 http://www9.ocn.ne.jp/~amigos/index.html


 頸損のダイエットは難しい! 


 過日、神奈川リハビリテーション病院で脊損者を対象に体脂肪、内臓脂肪、骨密度、血液検査、糖負荷検査をする機会があった。薬を服用している関係で血液検査は年に2度しているが、先に書いた他の検査はしたことがない。薬の副作用とホルモンバランスの影響から、1年で10kg近く太ってしまった私……。外出用の車イスのフレームが乗っていて、いきなりポッキリ折れてしまった。溶接して修理をしたが、今も乗っていてパキパキ音がする。さすがにヤバイ! と思い、作り替えの申請をしている。以前はたまに会う人から「またやせたんじゃない?」と言われ、母は私のことを“ルワンダ難民”と呼んでいた。体脂肪、そして、骨密度も気になるところ。
 脊損者は肥満になりやすく、筋肉量が減少し、脂肪量が増えると骨粗しょう症になり、また糖尿病や高脂血症にもなりやすいとのこと。内科のM先生のデータによると、8割が耐糖能異常(糖尿病型か境界型)ということだ。いわゆる歩くことができず(低身体活動)、車イスでの運動や手の運動に限られ、生活習慣病が進行しやすいのだそうだ。上肢も不自由な頸損はなおさら。
 頸損のダイエットは本当に難しい。小食でも体重は減らない。もちろん、水泳も続けている。まぁここ4ヶ月ようやく体重増加が止まり、現体重を何とかキープしているが……。5kgはやせたいと思っている。自分のハラ、ケツ、フトモモ(オット、お腹、お尻、太ももですね。(^^;)を見ると、本当に嫌になる。履けるスラックスを探すのにひと苦労(今の女性ものって股上が浅いのよね)。脊損者の理想のBMI〈ボディマスインデックス=体重(kg)÷身長(m)の2乗〉は、19とのこと(以前はそうだったのに……泣)。ダイエットとは今まで無縁で生きてきたので、この年になって自分がまさかダイエットを考えるとは夢にも思わなかった(中年のオバサンになったということね……)。
 それで検査の結果だが、体脂肪以外何とかお陰様でクリア。肝腎機能も異常なし。骨密度もトータルで年齢的な正常値に入った。やはり、足の骨密度は低い。でも、すぐにポッキリ折れてしまうような値ではないとのこと。内臓脂肪もそれほどでもなかった。体脂肪型肥満より内臓脂肪型肥満のほうがこわいそうだ。しっかし、足の体脂肪率61%には泣ける。おそらくむくみと両方だろう。全体のトータルで51%! ハ〜ア、やっぱりねぇ……。どうすりゃいいのよ、この私……。先生は、(体脂肪はともかく)「水泳を続け、今のバランスを維持できるように」とのこと。もちろん返事は「ハイ」なのだが、加齢とともに頸損という身体のメンテナンスはだんだんと大変になってくる。そのうえ痛いし。今年は、乳がん検診もしないとなぁ。
 生活習慣病ももちろん気になるが、やめられないこともある。私の場合、アルコール。痛みが増悪してから、晩酌の日本酒はかかせなくなった。でも、薬との兼ね合い、ちゃんと適量は守ってますよ〜。特に泳いだ後のアルコールとメシは格別にうまい! 泳ぐことも快楽だが、その後の楽しみも大きい。だから、運動してもやせない? と言われても絶対にやめられない。
 それから、撮ったCTで小さな胆石が見つかったのだが、先日、地元の病院でエコー検査をしたら胆石が見つからない! 流れちゃったのだろうか?? 中島虎彦さんのギャグ風に言うと、「たんせきはどこへいったんのう?」とでもなるのかな。(笑)
 どなたか効果的なダイエット法をご存じでしたらお教えください。 

編集委員:瀬出井 弘美
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