はがき通信ホームページへもどる No.85 2004.1.25.
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 お尻から膿が・・・ 


 こんにちは。秋に入ったころ、悪寒のあとに急に高熱が出ました。血液検査は異常なし、尿検査はやや問題あり、ということで、おしっこの色はまるでコーラのように濁っていました。抗生剤を飲みながら様子を見ましたが、下がったり上がったりを繰り返していました。
 それから1週間くらいして、ヘルパーさんに体を拭いてもらっているとき、「お尻が腫れているようですよ」と言われました。すぐに病院に診察に行くと、拳くらいの範囲で腫れていました。切開すると中から大量の膿が……熱は、尿のほうだけじゃなく、この膿にも原因があったようでした。切開後はすぐに熱が引いていきました。
 でも、感覚はなくても傷口が痛むのか、冷や汗としびれが強くて座ることができません。毎日のガーゼ交換も、冷や汗としびれが強くて大変でした。回復には1ヶ月かかりました。
 原因として考えられるのは、以前に車イスから落ちたときに強打して内部出血したまま放置していたために化膿したか、小さな傷ができてそこから化膿したか。いろいろ考えられるそうですが、はっきりとした原因は分からず……みなさんもお気をつけください。
C・K E-mail: thousand@gctv.ne.jp


 黒川温泉宿泊拒否問題で分かったこと 


 今、障害者とその関係者が一番注目しているのは、「支援費」の財源が確保できるかどうかだと思う。しかし、熊本で起きた元ハンセン氏病の人たちの宿泊拒否事件を、障害者問題の最優先課題として考えないと、支援費問題をいくら語っても無意味だといったら乱暴だろうか。
 新聞等を見て、事件のいきさつをご存じの方もおられると思うが、車イス使用者には、他人事と思えないと、憤りを感じている方もおられると思う。今回の事件は、弱い者を切り捨てていく意識、自分と異なる者を排除・抹殺する意識、いわゆる「優生思想」という永遠の課題(見て見ぬふりをしていた実状)に、光(見て見ぬふりできない状況)が当たったような気がする。
 元ハンセン氏病の人たちが起こした裁判に、国は敗訴し控訴しなかった。つまり罪を認めた出来事は、歴史を変えたともいえる。しかし、なぜそこに到ったかを知る人は少ないし、そのような状況に追い込んだ責任の一部が、見て見ぬふりをしてきた、無責任な私たちにもあることに、気付く人は少ない。数年前にも銭湯に元ハンセン氏病の人たちが、入浴しようとして拒否された事件があった。その時にも社会問題になったはずなのに、相変わらず分かっていない、というより無知過ぎる。その無知がどんなに弱い立場の人たちを苦しめているか、知るべきである。
 今回、最も残念なのは、ホテルへの抗議の電話は6割で、残り4割はホテルに賛同する電話だったということだ。また、ホテルの経営者は最後まで、『宿泊拒否はホテル業として当然の判断であった』といっている。その理由は熊本県が最初に元ハンセン氏病患者だとはいわなかったからだという。ある新聞の社説で、「では、元結核患者は宿泊する際、いちいち元結核患者といって宿泊の許可を得るのか。」と書いてあった。私も同感であった。大変わかりやすいので、掲載させてもらったが、ホテル側はあの発言により、さらなる無知と差別意識を露呈したといえる。
 これが、社会一般の常識である。ノーマライゼーションとか叫ばれているが、心の中では自分より劣っている者、変わっている者は排除すべきという考えが、一般社会に根強くあることを浮き彫りにした。車イス使用者の方で、街へ出てジロジロ見られ、いやな顔や態度をされた経験をお持ちの方も少なくないと思う。そのことは今回の事件と根底で繋がっているのです。そのような誤った認識(差別感)や価値観を変えていくためにも、今後も啓発を続けていかなければならないと思う。
 最後に、支援費制度で外出が自由に出来るようになったとしても、重度障害者だから、あるいは奇声を発し何をするか分からないからと、いろんな所や場面で拒まれることがあるかもしれない。そこで、そのような認識しか持ち得ない社会で、支援費制度を利用するより、いろんな人を受け入れる社会で支援費制度を利用した方が、100倍使い勝手の良い支援費制度ではなかろうか。そのために私たちが最優先課題としてすべきことを、改めて考えさせられた事件のような気がする。

(2003年12月3日)


 駅伝を走って気分爽快 


 12月14日日曜日。わが家以上の広島の県北、“作木村”というところで駅伝があり、走って来ました。
 「人数が足りないから来て! 車イスを押すから」と友人からの電話。信じられない!?と思いつつ、いつも対等に見てくれる仲間たちに感謝しています。

 考えたこともなかった車イスでの駅伝。友人の高校生の息子さん(サッカー部)T君が押してくれることになりました。
 区間は最小距離の5区で1.9km。10年ぶりに、またたすきを受け、肩にかけた……。
 そして猛スピードでスタート。怖いかな?と思っていたけど、これが爽快! 風をびゅんびゅん切って、押してくれるT君の呼吸と、伴走してくれた友人の呼吸が思わず私と重なり、まるで私が走っている気分。大好きだった駅伝、よみがえってきたようでした。
 タイムは1,9km8分25秒。キロ4分25秒ということになります。この速さには座位保持、結構エネルギーが要りますねえ。
 アンカー6区に、「よろしく!」とたすきを渡せた瞬間、ものすごい爽快感と感動で胸がいっぱいに……。押してくれた哲次君、お疲れさん。ありがとう! 誘ってくれた友人たちにもありがとう!!
 雪が積もって寒い1日でしたが、寒さを忘れていました。駅伝パワーです。結果は40チーム走って40位。しかし一般女子の部は1チームだったので優勝! やったー!!
広島県:ハローマリ E-mail: hello-mari@enjoy.ne.jp


 遠距離通話には「フュージョン」がおすすめ 


 「はがき通信」のみなさんお変わりありませんか。ところで私が数ヶ月前から利用している「フュージョン」はご存じでしょうか。IP電話は基本料金(基本料 + TAレンタル料)が高いのと、トラブルが多く月の半分は利用できないこともあり止めました。
 「フュージョン」もIP電話の一種のようですが、今までトラブルがなく、音声も普通の電話と相違しないのと、基本料無料で月々の使用料金だけ支払います(使用しない月は一銭も要りません)。
 料金は国内一律3分20円で、NTTの固定電話と併用でき、パソコンとも無関係で、遠方へかける時だけ、頭に「0038」を付けてダイヤルすればいいのです。NTTやKDDIにマイライン契約していても解約した上で、利用できます。遠隔地や海外通話が多い場合は、検討されてみてはいかがですか?


[問い合わせ先]お客様センター  TEL: 0037-100(通話料無料)

 「フュージョン・コミュニケーションズHP」   http://www.0038.net/
福岡県:H・M E-mail: bistariw@ybb.ne.jp


 補装具交付修理時のストレス緩和のために 

46歳、C4、頸損歴12年め、施設7年め、人工呼吸器・電動車イス使用

 前号(「はがき通信」2003年11月25日号)において、私は受傷後初めて1泊旅行に行くことができたことを報告しましたが、その実現のために「電動車イスに人工呼吸器を載せる台」をつけてもらいました。しかしこの「補装具」を得るまでには、残念ながら「やっぱり」十分なストレスを受けたのでした。「やっぱり」と言うのはすでにこれまで何度も交付修理時のトラブルを経験していたからです。


【1.過去の経験】

①退院〜在宅移行時(1995年:A社:半額行政補助)/具体的には当時健在だった父が対応し私は概要しか知り得なかったのですが、電動ベッド13万円と床ずれ予防マットレス8万円と外から家の中へ車イスを押して入れるようにするための木製スロープ3万円で計24万円、その約半額が行政からの補助でした。不思議に思ったのは請求書が補助額一杯の行政へのものとその残額が分けられていて、行政への書類上は総額が、つまり規定の補助額では実際は不足であるという実態が見えない[補助額の妥当性検証の仕組が働かない]。もうひとつ、木製スロープの価格3万円は父曰く「高過ぎる」とのこと、業者さんが何かの用事で来訪して帰った後には必ずその不平を言っていたものでした。「自分なら1万円で作れる!」そう、価格はどうやって決まっているのでしょう?[価格の不透明性]不満であっても在宅準備の混乱の中、他の業者を探す余裕もありません[競争原理が働かない]。結局、私の外出がきわめて少ないだろうとの予想の下に、何かの折にスロープをキャンセルしてもらいました。

 ②退院後の環境制御装置=ECS購入時(1995年:A社:全額自己負担)/価格について父も私も3割引と聞いていたのに、結局ソフト部分だけが3割引という説明です。見積書を書いてくれるようにずっとお願いしていたのに最後まで書いてくれなかった[見積書をギリギリまで出したがらない]。業者さんと父は最後には喧嘩になってしまい最終的に中庸でまとまったのですが、お互いに不満を残しました[価格トラブル]。

 ③電動車イス購入失敗(1997年:A社:全額行政補助)/2月に電動車イスの希望仕様を私自身が書面化して業者さんと折衝し、妥協もして入手可能な線(100万円)で行政に補助をお願いしたところ、国レベルまで書類が回りそれでも5月にはOKが出たとのことでしたが、その後何の音沙汰もありません。さすがに秋口から業者さんに問い合わせを行なったところ、改造する予定の基になる電動車イスそのものの輸入がなかなかできないとのことです。結局、12月末私が倒れて購入も頓挫してしまいました[納期遅れではなく納期不明。遅れの連絡もなくその後も説明不足]。

 ④今の電動車イス購入(2000年:B社:全額行政補助)/ようやく元気になってきたので、再度車イスの購入を希望。前回の失敗からパンフレットを見て「特殊仕様なし」でお願いしたところ、1月発注4月には入手。価格が70万円ほどで県レベルの書類回しで済んだことも早かった理由のようです[成功例]。

 ⑤車イスのアームレスト付加(2001年:C社:全額行政補助)/腕が落ちないようにU字のアームレストを私自身がイメージ化し作成を寮母さんにお願いしたところ、いつのまにか業者さんにお願いすることになってビックリ。自己負担不要と言うのでお任せしていたら、試作〜手直し〜完成まで数ヶ月を要してまたビックリ。後で価格を聞いたら(イメージ化も不具合の指摘も私自身なのに)両腕合わせて2万円と高いのでまたまたビックリ[技術力不足]。

 ⑥腕の装具再作製(2001年:C社:全額行政補助)/腕の装具の片方が壊れたので、もう片方を基に再作製をお願いしたところ、数ヶ月を要し、価格も両腕で5万円! 初代は病院のリハビリ科の方が私の腕に当てながら一時に作ってくれたのに[技術力不足][高価格]。


【2.今回の「電動車イスに人工呼吸器を載せる台」(2003年:B社:半額行政補助)】

 ①5月下旬の初折衝で「台をつけるだけならば、3週間程度で試作できそう」「代金は車イス修理費(?)で対応。5万円以上の時はドクターのコメント〜申請〜許可が必要」とのことでした。

 ②ところが、8月下旬まで月1回毎の問合せに対しても回答がなく、最後は病院のPTの先生に相談してB社の社長さんにまで問合せをしていただき、言わば社長matterになって初めて、その翌日にようやく(あわてて)来訪してくれました。これくらいの遅れ&問合せに答えもしない対応は、この業界(福祉機器)の常識なのでしょうか?

 来訪しても私には何の挨拶もなく、遅れてすみませんとかの謝罪も理由説明等もなく(遅れているという認識がないのでしょうか?=ないらしい)、試作品をいきなり車イスへ取り付け始めます。気まずさがあったとしても、年上のプライドがあったとしても、B社を代表してユーザ対応に来訪したのではないのでしょうか? 社員教育はどうなっているのでしょう。このB社からは現在の電動車イスを購入し(上記1−④)、1年後に点検に来てくれた時を含めてその対応に好感さえ抱いていたので今回の対応はきわめて残念です。
 あるいは、私を顧客とは思っていないのでしょうか? ユーザと顧客は別? そう言えば、私よりも同席してくれた施設の支援員さんに向かって話しかけようとします。また病院においても、私よりもPTの先生に向かって話しかけ確認しようとします(以前の例でも、業者さんは家族がいれば家族と話を決めようとします)。私のひがみorわがままなのでしょうか? あるいは、行政からの補助でほとんどを賄うことが多いので、患者or障害者は施しを受ける対象くらいにしか思っていないのでしょうか?
 もし身近に家族がいれば「お世話いただくのだから、何事も言うことを聞いて」とたしなめられるかもしれません。怒ったら損、怒ったらいかんと思っても、時間の経過とともにだんだん腹が立ってきます。どうしよう、困った。

 そもそも車イスに呼吸器を載せようとすること自体がわがままなことなのでしょうか? でも、それは別の問題でしょう。そういうことなら、仕事を受ける時にそう言ってください。特殊仕様を受け手がないので受けてあげたという認識ですか? そんな認識なら最初から受けないでください。代替案を検討することでしょう。何ヶ月も待たされるほうは迷惑です。
 また、私が不思議なのは、「仕様検討〜見積〜受注〜設計〜試作〜完成〜納入〜検収〜保証」の流れの中で、今回は見積もなく(設計図面もあるのかないのか)いきなり試作品です。受注したなら、足が出ても見積価格を守る、納期を守るのは当然のことでしょう。あるいは、受注していないという認識ですか?

 このあたりのビジネスとしての認識の甘さは、どうして許されるのでしょう。競争がないからではないですか? 福祉機器を扱うには県の認可(安全確保の名目)が必要で、それが逆に他業種の参入を排除しているのではないですか? その結果、技術は停滞し、価格は下がらず、ユーザが不利益を被っているのではないですか? 県内にビジネス範囲が限られれば、業者は小規模、少数となり、ユーザのみならず病院施設からの業者の選択も事実上限られてくる。どうせ足の出た分は自己負担なのですから、業者選択に伴う「安全に対するリスク」はユーザが負うとして、県外でも海外でも業者はユーザが自由に選択しても行政は補助を出すという形に「規制緩和」が必要と考えます。規制緩和後〜実のある仕組になるまでには時間はかかると思いますが、始めなければ何も変わりません。以上は推定を多分に含み、一方的な意見かもしれません。しかし、この腹立ちと困惑は、過去から今回までの経験が(かつて民間企業に籍を置きユーザ対応の経験も少しは有する)私にとってそれほどに信じ難いものだった故と思われます。


 ③9月上旬/「見積書」をようやく入手。しかし①の時は「自己負担は0円」という説明、②の8月下旬には「30千円が行政補助+30千円自己負担」とのこと、そして今回入手した見積書では「30千円行政補助+38千円自己負担」とだんだん自己負担額が増えていくのには不透明さを感じざるを得ません。実際にはなんという名目のいくらの行政補助なのかも含めて、何故このように変わってきたのか(材料費、加工費等内訳の変化)を教えてくれるよう、また自己負担分38千円はイメージしていたよりも高いので値引きを検討してくれるよう、B社に手紙を出しました。最終的に内訳についての回答は得られませんでしたが、値引きについては8千円応じてくれました(値引きの実績はかつてなかったことかもしれません)。

 ④事務手続き/以前と同様、費用のことは然るべき人が処理してくれるのだろうと安易に考えていましたが、「見積書」を入手した時点で、施設の支援員さんも今回仲介してくれたM病院のPTの先生も、事務手続きの詳細は不明とのことです。施設においては通常S病院のドクターの意見書で事務処理してきたのが常であり、一方M病院においては施設入所者対応が珍しいことによるものと推察。また本来、本人が申請すべきところを代行いただいていたようですので、これをチャンスに私自身が可能な限り事務手続きを行なうべく、改めて「申請の流れ」の確認と、今回の「電動車イスに人口呼吸器を載せる台」の件を行政に問い合わせました。行政窓口がEメールでの相談に応じてくれるようになっていたことは、直接窓口を訪れることが難しい私にとって非常にありがたいことでした(Eメールでの問い合わせと施設入所者からの直接の申請も珍しいことだったかもしれません)。

 ⑤9月下旬に完成。試行中壊れた箇所も11月中旬に無償で修理してもらいました。


【3.まとめ(改善提案)】

 ①申請の流れ/時系列に以下の書類がありました(書類名by作成者to宛先)。

 A.交付見積書by業者to市町村社会福祉事務所長殿
 B.補装具交付修理意見書by主治医
 C.補装具交付修理申請書by本人to市町村社会福祉事務所長殿
 D.補装具修理決定通知書by市町村長(担当保健福祉部障害福祉課)to本人
 E.補装具交付券by市町村長to業者

 「Aの業者さんの見積書」と「Bの主治医の意見書」を添付して「Cの申請書」を提出し、市町村が交付修理の妥当性と(納税額によって)自己負担額を「決定」するもののようです。今回の人工呼吸器搭載台は「電動車イスの基準外品目=30千円程度」と規定されているもののようです。

 ②インフォームドコンセント/業者さんと行政窓口の人は上記事情を知っているようですが、初めての人には分かりようもありません。業者さんに対してはユーザに「申請の流れ」を十分知ってもらい、業務発受注の同意をとる義務を課していただきたい(場合によっては同意書による確認が有効)。

 ③情報公開/行政にはホームページにおいて「申請の流れ」と「品目vs補助額一覧」の公開を希望します(今回の例では未公開でした)。個々の窓口対応に追われるよりずっと効率的と思います。

 ④申請書(見積書)/行政補助分+自己負担分=請求総額を記入すべき(価格の妥当性を監視し、補助額の妥当性を定期的に検証するため)。

 ⑤規制緩和/県の認可業者以外(例えば他県の業者)への発注でも行政補助を認めるべき(競争原理の導入による価格低減を期待)。

 不明点を残しつつも敢えてこの文書を作成したのは、私と同じように無防備に(交付の仕組が分からないまま)福祉機器の購入修理を希望する人に参考としていただきたいと考えるからです。場合によっては病院等の担当者、業者さんあるいは行政の担当の方にこの文書を示していただくことによって、私が何度も経験したストレスを極力少なくしてもらえることを期待します。一方、関係各位からは間違い点の指摘と御意見をいただきたいと存じます。以上

(2004年1月4日記)
新潟県:T・H E-mail: th36th@hotmail.com
 3A+Aのページ: http://www.h4.dion.ne.jp/~the-36th/
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