はがき通信ホームページへもどる No.141 2013.6.25.
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<特集!「車イスで空を飛ぶ術」(その2)」>
 

140号(2013年4月発行)の特集に引き続き、トラブルを回避して快適・スムーズな利用のヒントにするために、飛行機にまつわるご投稿を紹介させていただきます。



 特集 飛行機について 


 編集担当者より、「多方面にわたってご活動され飛行機を利用される機会が多いのかな」と勘違いされ、執筆命令を受けたが、航空機搭乗経験は「はがき通信」沖縄懇親会の往復のみ。なので、当時の原稿から搭乗部分を抜き出し、修正。

 <往路・2010年3月12日(金)>
 気温5℃の早朝、極寒の伊丹空港南ターミナルに我が家のハイエースで到着。しかし、搭乗するはずのJALは北ターミナルと分かり、極寒の中を移動。海外の空港では、こういうときは巡回カートで移動できるそうだが、伊丹にはどうやら巡回カートはなさそうだ。しかもいったん屋外へ出なければならないとは……。介助者2名と荷物を転がしてようやく北ターミナルに到着。
 さっそくチェックインカウンターへ。事前にJAL「プライオリティ・ゲストサポート」(障害者窓口)に電話で伝えてあったのと同じ内容を、根掘り葉掘り尋ねられて少しイラッとする。やりとりが終わったところで「スマイルサポートカウンター」(高齢者・障害者などの専用カウンター)に促され、行ってみるとまたまた同じ質問が始まった。3度目、しかもバッテリーを開けて見せろだのと宣(のたま)いはじめたので……切れる。ブチッ! 半泣きのスタッフに「プライオリティ・ゲストサポート」の担当者の名前を告げ、事前通告内容をその場で確認させ、帰りの便で同じようなことがないように念を押す。
 懸案のバッテリーは電源スイッチをオフの状態で封印することで決着。電動車イスは姿勢保持装置を含んで、体の一部であり、精密機械であることを伝え、荷物カートを預けて出発口へ。
 減圧に備えて導尿キットは手荷物にしていたが、電動車イスメンテナンス用の工具をゲート内へ持ち込みそうになった。危ない、危ない。危うくハイジャック犯になるところだった。
 そして、いよいよ搭乗口。しばらく待っていると、来た来た、これが噂の空港内用(こども用?)車イス。改めて床擦れの恐怖を伝え、できるだけ空港内用(こども用?)車イスに乗っている時間を短くするように伝える。4人がかりで移乗。意外にもすっぽりと収まる。緩衝材(俗に言うプチプチ)に覆われた愛車RANGER−Xとはしばしのお別れ。
 空港内用(こども用?)車イスに移動用車輪が取り付けられ、エプロンを通って機内へ。見たところエプロンには大した段差もない、というかむしろバリアフリーになっている。エプロンまでは空港内用(こども用?)車イスに乗り換える意味はないように思われる。
 機内に入るところには段差がある。座席はクラスJをカウンターで追加指定したが、最前列を確保していてくれたので再移乗も無理なく完了。搭乗時のトラブルについては聞き及んでいたものの、あまりにもその通りだったことには苦笑した。しかし、笑っていたのもここまで。ハッチが閉まったとたん我に返った。閉所恐怖症、暗所恐怖症、高所恐怖症、パニック障害の持ち主が初めて飛行機に乗るという現実に引き戻された。
 動き始めた。眼前のモニタがコクピットからの視界に切り替わる。滑走路に出て行く。モニタは六甲山から長尾山系にパーン。北西に離陸するようだ。急にエンジン音が高くなり、徐々にスピードが上がっていく。早いの怖いよ〜。停めてくれ〜。8時40分。
 窓から差し込む光の色が変わったような気がした。機体が右旋回をはじめる。モニタに島影が見えてくる。どうやら北西から着陸するようだ。11時00分、定刻通り那覇空港到着。
 那覇ではリクライニングもできる空港内用車イスが用意されていた。移乗して、愛車を待つ。光だけでなく空気も違う。より自然に近い。駐機してあったピカチュウのラッピング機体が飛び立ったころ、愛車無事到着。時間がゆっくり流れている気がする。
 愛車に再移乗して荷物を受け取り出口へ。空港内のムービングウォークはなぜか「車イスでの利用禁止」の看板がでかでかと掲げられている。海外では考えられない差別扱いに唖然(あぜん)とする。移動制約者がさらに移動を制約される設備があっていいのだろうか?

 <復路・2010年3月14日(日)>
 15時、那覇空港着。早めにチェックインして、4階レストランフロア「どんぶりの店 志貴」で遅い昼食。ゴーヤー丼、ミミガー丼、最後までおいしい沖縄の食事でした。
 さていよいよ後は帰るだけ。搭乗ゲートをクリアして、出発ゲートへ。誕生日を沖縄で迎え、ご満悦の介助者Cと、この3日の間、夫婦間の問題を解決できず焦りまくる介助者Hをよそに暮れなずむ出発ロビーで楽しい思い出を繰った。
 やがて空港内用車イスがやってきて、移乗、エプロンから機内へ、介助者Hの機転で枕をクッション代わりに座席の左右において座骨を浮かせて座ることにした。「友人が乗ってない」、映画「フライトプラン」にあったような台詞を誰かが言っている……。急にエンジン音が高くなり我に返る。徐々にスピードが上がっていく。速いの怖いよ〜。停めてくれ〜。18時15分。定刻10分遅れ。
 窓からは沈んだはずの最終日の夕陽がまた見えた。雲の上、不思議な風景だ。それも夜の帳(とばり)にかき消され、漆黒に包まれていく。
 目が覚めたらモニタにはぽつぽつと街の灯が。そのぽつぽつが光の川や海に変わっていく。道路や交差点がはっきりとわかる。滑走路の空きを待っているようだ。着陸態勢に入った。淀川の上に阪神高速道路、滑走路、その上に長尾山系。光の点だけだが、南東から進入しているのがはっきりとわかる。
 ランディング。できるだけ座席で待って、空港内用車イスへ移乗。しばらくするとハッチの前まで愛車がやってきた。JALもやればできるんや。20時15分、定刻20分遅れ。寒い。またまた南ターミナルで待つハイエースまで移動。え、北ターミナル前にも車イス用一時駐車スペースあったの?(涙)。

兵庫県:うめ吉


 ひとくちインフォメーション 


 ◆鉄道事故:車いす男性はねられ死亡 「立ち往生」目撃情報−大阪の踏切

 15日午後0時40分ごろ、大阪府高石市加茂1の南海本線羽衣−高石駅間の「羽衣7号踏切」(遮断機、警報機付き)で、電動車いすに乗った男性が上り回送電車(6両)にはねられた。大阪府警高石署によると、男性は全身を強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。現場踏切内は段差が多く、「男性が立ち往生していた」との目撃情報があり、同署は事故当時の状況を調べている。
 同署と南海電鉄によると、死亡したのは近くの無職、林政弘さん(75)とみられる。回送電車の男性運転士は「警笛を鳴らして非常ブレーキをかけたが、間に合わなかった」と話している。当時、遮断機は下がっていたという。この事故で、南海本線は約2時間運転を見合わせ、約1万8000人に影響した。
 現場の踏切は幅約2m、長さ約8・7m。付近には「踏切内段差あり」という表示が設置されていた。車は往来できず、踏切内の障害物を検知して電車に伝える装置がなかった。南海電鉄によると、事故防止のため2019年度に高架化する計画があるという。
 付近住民によると、現場周辺の踏切は同じ形状のものが多く、通行トラブルが相次いでいた。線路沿いの住民男性(71)は「電動車いすが回転しながら宙に浮いていた」と話した。
【高瀬浩平】
 (情報提供:平成25年4月16日 毎日新聞)



 ◆車いすの女性が車で通りかかった男に殴られる 茨城・常陸太田市

 28日午後、茨城・常陸太田市で、電動車いすに乗った女性が、車で通りかかった男に殴られる事件があった。午後2時ごろ、常陸太田市西染町で、電動車いすに乗っていた83歳の女性を、通りかかった白っぽい車から降りてきた男が「この野郎」と言って、棒状のもので殴り、逃走したという。女性は、軽傷を負った。
 逃げた男は30歳くらいで、身長160〜165cmくらいだという。 
 (情報提供:平成25年5月28日 FNN・フジニュースネットワーク)



 ◆全国菓子大博覧会:電動車いす、入場拒否 「暴走すると危険」−広島

 広島市中区で19日開幕した「第26回全国菓子大博覧会・広島」(ひろしま菓子博2013、実行委主催)で、実行委が電動車いすの入場を拒否していることが分かった。菓子博のホームページなどによると、来場者の安全確保を理由としている。会場内の授産施設のブースで電動車いすを利用するスタッフは、一時的に入場が認められたが、授産施設側は「全ての電動車いす利用者を受け入れるべきだ」と反発。実行委は「対応を検討中」としている。
 ブースを運営する曽根都さん(37)=広島県就労振興センター職員=によると、ブースは仮設テントに設置。18日、電動車いすのスタッフが会場を下見していると、実行委から「電動車いすは暴走すると危ない」として、入場できないと注意された。授産施設側が抗議すると、実行委は20日の電動車いすのスタッフの入場だけは許可したという。
 菓子博ホームページによると、電動車いす利用者は予約の上、会場で貸し出す車いすに乗り換えれば入場ができるとしているが、授産施設側は「電動車いすは1人で動くためのもの。普通の車いすでは押す人がおらず動けない」と訴えている。
【植田憲尚、稲生陽】
 (情報提供:平成25年4月20日 毎日新聞)



 ◆全国菓子大博覧会:電動車いす、全面容認するも見守り付き

 広島市で開催中の「第26回全国菓子大博覧会・広島」が電動車いすの入場を制限していた問題で、菓子博実行委は26日、電動車いすの入場を全面的に認めることにし、公式ホームページ(HP)に「障害者の方々への対応が不十分であり、ご迷惑おかけしたことをおわびします」とする文書を掲載した。ただ、「すべての来場者の安全に配慮する必要がある」として電動車いす利用者には本人の意向に配慮した上で見守りスタッフを付き添わせるとした。
 (情報提供:平成25年4月27日 毎日新聞)












【編集後記】



 今号の特集「どうしています夏の体調管理法」に関連する原稿として、135号(2012年6月)のルセナの隠居さんよりご投稿いただいた「夏の暑さ対策〜ルセナ編〜」があります。熱帯気候のフィリピン・ルセナ市で生活されたなかでの暑さ対策が掲載されており、併せてご覧いただければご参考になるのではないかと思います。
 次に前号のUさんより「ファイナンシャル・プランニング技能士に挑戦」は、1997年以来16年ぶりのとてもうれしいご投稿でした。以前にご投稿いただいた方も、ぜひ再びのご投稿を心よりお待ちしております。
 また、ご投稿にさいして何か気がかりなことやご質問がございましたら、お気兼ねなくなんなりと下記の連絡先までお問い合わせください。
 次号の編集担当は、瀬出井弘美さんです。

編集担当:藤田 忠







………………《編集担当》………………
◇ 藤田 忠  福岡県 E-mail:fujitata@aioros.ocn.ne.jp
◇ 瀬出井弘美  神奈川県 E-mail:h-sedei@js7.so-net.ne.jp

………………《広報担当》………………
◇ 麸澤 孝 東京都 E-mail:fzw@nifty.com

………………《編集顧問》………………
◇ 向坊弘道  (永久名誉顧問)

(2012年4月時点での連絡先です)

発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0054 福岡市東区馬出2丁目2-18
TEL:092-292-4311 fax:092-292-4312
E-mail: qsk@plum.ocn.ne.jp

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