○「国連・障害者権利条約特別委員会」傍聴団報告書/V.関係資料

「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム
「国連・障害者権利条約特別委員会」傍聴団総括会議
<会議録>

(日 時)2002年9月11日(水)18:00〜20:00 (会 場)戸山サンライズ 特別会議室
(出席者)※順不同/敬称略
 兒玉 明(日本身体障害者団体連合会会長/団長)
 笹川吉彦(日本盲人会連合会長)
 黒崎信幸(全日本聾唖連盟副理事長)
 河端静子(日本障害者協議会代表)
 三澤 了(DPI日本会議事務局長)
 丸山一郎(RNN事務局長)
 松井亮輔(RI副会長)
※他の団員については、都合により欠席。
(司 会)藤井克徳(最終年記念フォーラム総務・企画委員長)
(記 録)依田葉子(日本障害者協議会事務局)


はじめに、兒玉団長から傍聴団派遣について感想を含めた挨拶が述べられ、報告事項に移った。

○報告事項

1.収支状況の概要
 藤井総務・企画委員長から、本傍聴団派遣事業に係る収支について中間報告が、事務局から資料報告がなされた。最終報告については、各種清算を含め収支計算書がまとまり次第改めて提出するとされた。

2.川口順子外務大臣との報告懇談会
 8月20日午後4時より、約1時間にわたって外務省において川口大臣を囲んでの報告懇談会がもたれた。当日の概要について、河端団員から次のように報告があった。
 八代組織委員長から最終年記念フォーラムの簡単な概要を説明された後、兒玉団長をはじめ各メンバーから傍聴の感想が述べられた。とくに、今後の特別委員会などの国際会議での政府代表にNGOを加えてほしい、障害者権利条約をテーマとした専門家会議を日本に誘致してほしい等を要望した。

○協議事項

1.特別委員会についての全体的な評価
(1)前半の概要(A班・報告:丸山一郎)
 丸山団員から、概要について次のように報告がなされた。

(2)後半の概要(B班・報告:松井亮輔)
 松井団員から、感想含めた次の概要の説明がなされた。

(3)総括ディスカッション
 藤井総務・企画委員長から、(1)傍聴団派遣の運営に関すること(2)特別委員会の内容をどう理解するか(3)日本政府への対応について、3点のテーマがあげられ、次のフリーディスカッションが行われた。

<傍聴団派遣の運営に関すること、特別委員会の内容をどう理解するか>
(三澤)2回目以降の審議では、特別委員会にワーキンググループなどを設置しければまとまらないと感じた。新しい「アジア太平洋障害者の十年」は大きな課題。日本政府にリーダーシップを取らせるようNGOから働きかける必要がある。
感想として、国連内でも南北対立を感じた。発展途上国は、社会開発に対する先進国の役割を求めたが、アメリカは反対し、議論が進まなかった点もある。
日本の主張はモニタリングを効率良く実施するにはどうするかという点だろう。国連への拠出金に使い方にも意見をつける必要がある。

(河端)会議は、公用語として英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語の同時通訳があったが、日本語の同時通訳はなかったので、理解できず苦痛を感じた。ただ、丸山氏からレシーバーを使って同時通訳をしていただいたので、大変ありがたく、何とか理解することができた。しかし、他国の聴覚障害のNGOの方々などから、通訳の声が雑音としてうるさいとクレームがあるなど、気遣うことが多かった。

(黒崎)特別委員会の会期が長いため、前半後半の2班に分かれて参加したが、会期を通して参加したかった。前半での参加だったので、これからという時に帰国となった感がある。
 世界ろう連盟(WFD)のリサ会長と意見交換した際、会長から、日本は政府とNGOの間で取り組みに差があるのはなぜかと質問を受けた。国の消極的な姿勢に対しNGOからアプローチが必要だと感じた。そのためにも、NGOは、例えば「障害者連合」といったように組織をまとめていかなくてはいけない。その上で別々に運動する部分があってもいいのではないかと思っている。

(兒玉)日本のNGOがまとまってロビー活動を行ったことは歴史的なことと認識している。本村大使も日本のNGOが傍聴団を送ったことで大変張り切っていた。この派遣がよい意味での圧力をかけたのだと思う。

(河端)視覚障害、聴覚障害、知的障害、精神障害のある人の外国の当事者組織はまとまっており、議長からNGOの発表も認められており、われわれ日本の参画の遅れを感じた。
 EUの各国の団結は強く、協議上で起こる問題には、各国がすぐに集まり討議し整理の上、議場での発言となったが、アジア太平洋地域ではバラバラという感じなので、今後アジア太平洋地域の結束が非常に必要だと思われた。

(笹川)日本政府の対応は不十分だった。また事前情報の入手も遅かったと思う。今年を最終年に1993年から「アジア太平洋障害者の十年」推進キャンペーンを10年間開催してきたが、この特別委員会でまとまりは見られなかった。新しい「アジア太平洋障害者の十年」ではアジア太平洋地域各国で連携するための活動が必要だと感じた。
今後も宿泊費を抑えた形での滞在スタイルが必要。そうすることで、1人でも多く参加できることが大事。

(藤井)総務・企画委員会の事業である傍聴団派遣にあたっては、事前に外務省人権人道課から情報収集を試みていた。まず7月に、日本政府からの派遣者を確認すると、これまでの通例により、派遣者は開催2日前に決まる、そのため政府枠でのNGO参加も難しいとのことだった。その後、7月23日に組織委員長の八代議員の部屋にて外務省担当者と懇談、NGO参加に関する決議が国連でなされたとの情報を入手。NGOであるRIの枠で日本から2名の枠を確保し、その報告を聞くという体制も覚悟していた。最終的に、傍聴団全員が参加が決まったのは出発日ぎりぎりだった。
 外務省へのアプローチは事前に行ってきたが、反応がにぶくかった。国連代表部との懇談の席で、代表部から、帰国後政府へのアプローチを強めてほしいとのコメントをもらったのは成果だと思う。

<日本政府への対応について>
(丸山)フィリピンの代表から、6月開催のESCAPには日本の内閣府から3名も参加していたのに、特別委員会へは誰も参加していないのはなぜと質問された。また、海外のNGOからも日本政府の対応が批判されていたことを認識すべき。その点でも、ESCAPハイレベル政府間会合は重要。日本政府は議長をし、議題には「国連・障害者権利条約への対応」がある。

(藤井)新障害者基本計画のヒアリングで、仁木企画課長(当時)と懇談した際、10月の政府間会合について、日本の障害者の実態を把握しているのは厚生労働省だからぜひ一役を担ってほしいと話すと、それは内閣府の仕事だとけんもほろろだった。

(兒玉)大阪フォーラムでは、障害者権利条約について統一的な意見をまとめて、各国代表へ条約へのNGOの立場を説明できるようにしてほしい。

(松井)障害者権利条約については、大阪フォーラムで初日に「障害者権利条約制定へ向けて」をテーマにしたパネルディスカッションが、最終日には大阪宣言を採択するプログラムが組まれている。

(三澤)DPI世界会議札幌大会でも、初日に「障害者権利条約への道」をテーマにしたシンポジウムを開催する。

(松井)政府間会合へはNGOも参加できるので、大阪・札幌大会の成果を伝える必要がある。

(藤井)特別委員会の議長団に加わっているフィリピンへの働きかけも考えていきたい。

(河端)アジア太平洋地域のNGOのつながりが薄いのは問題。

(松井)アジア太平洋地域全体のNGOの結集を図るため、「アジア太平洋障害者フォーラム」立ち上げにむけた動きがある。国内のNGOについては、皆さんに是非やってほしい。

(藤井)「新障害者の十年推進会議」は2002年で終わる。2003年以降については慎重な議論が必要であり、改めて検討する必要がある。国内のまとまりは条約推進への力ともなる。国内組織、アジア太平洋組織、とものあり様が大事。

(三澤)組織をつくることもひとつの手段だが、まず、この権利条約を自らの問題として積み上げることが必要だと考えている。NGOの意見をまとめるため、力をあわせていきたい。

(丸山)内閣府において開催されている「新しい障害者基本計画に関する懇談会」には、傍聴団メンバーが多数参加している。協力し、「国際協力」の項目にこの障害者権利条約制定にむけた取り組みを入れる作戦が必要だと思う。

(藤井)川口外務大臣への今後のフォローについて、事務レベルでの懇談の前に内容について確認したい。

(丸山)最後にトピックスとして。EU障害者フォーラムの事務局長ステファン・トロメル氏によると、2003年は、EUの障害者年とするとのこと。ギリシャから始まってイタリアまで1年間通してキャンペーンの実施を予定。アジアでも取り組みがあるのなら、EUは協力するとのコメントがあった。なお、ステファン氏は、大阪フォーラムへ参加する。

2.報告書の作成
(1)全体の構成、(2)進行状況
 藤井総務・企画委員長から構成および進行状況について説明がなされた。

3.今後のフォローアップ活動
 藤井総務・企画委員長から次の点について提案があり、確認された。

<10月の国際会議にむけて>

<中期的な取り組み>

以上


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