会長日誌 
大沼直紀(国立大学法人筑波技術大学 名誉教授・元学長)
https://www.facebook.com/ohnumanaoki

20161029():日本教育オーディオロジー研究会上級講座

  私が監修の「教育オーディオロジー・ハンドブック」(ジアース教育新社)の出版準備に追われてる。1月早々に開催される研修会のテキストとなることが既に決まってるので、絶対に間に合わせなければならない。

【研修会の紹介】参加申し込み受付中
日本教育オーディオロジー研究会 第13回 上級講座 
今回は近々出版される「教育オーディオロジー・ハンドブック」(監修:大沼直紀)を中心テキストにして研修します。
日 程:201717日(土)~9日(月・祝)
会 場:郡山市民文化センター(福島県郡山市堤下町12号)
参加申込:下記の担当者まで「メール」で参加申し込みを。
1.名前、2.所属先(学校名等)、3.連絡先(メールアドレス、電話番号、FAX番号、連絡先住所)、4.情報保障の必要の有無」をお知らせください。
北海道 島田慎平(帯広聾) shinpersie20@gmail.com
東 北 飯塚和也(福島聾) iizuka.kazuya@fcs.ed.jp
関 東 庄司和史(信州大) shoji@shinshu-u.ac.jp
東 海 小岩恭典(千種聾) ykoiwa1978@yahoo.co.jp
北 陸 前田智子(長岡聾) t.maeriki@gmail.com
近 畿 安川恵理(神戸聴覚) yasukawa
̲eri@hyogo-c.ed.jp
中 国 尾田将史(鳥取ろう) oda̲ms@mailk.torikyo.ed.jp
四 国 樋口恵子(徳島聴覚) maupeko@hotmail.com
九州・沖縄 八田徳高(小倉聴覚) chicchiybb@yahoo.co.jp
地区外会員 中瀬浩一(同志社大) nakase1547@gmail.com
9日公開講座・講演「学童期聴覚障害児への支援/障がい理解授業」(平島ユイ子先生・国際医療福祉大学)は事前申込不要です。
開催に関するお問い合わせ:
日本教育オーディオロジー研究会第13回上級講座事務局 中瀬浩一(同志社大学)
e-mail : nakase1547@gmail.com





20161025():学生に送る言葉

  私の「学長式辞」を改めて読んで見たいと、卒業生や関係者から要望がありました。長文ですがここに供覧します。お読みいただければ幸甚に存じます。

【供覧】
卒業式学長式辞
筑波技術大学長 大沼直紀

本日、厳しい本学の履修要件を満たし、職業自立できる専門的な能力を身につけ卒業の日を迎えられた、皆さん一人一人の努力に敬意を表し、新しい門出を祝福します。
さて、これから卒業生の皆さんが飛び込む社会は安泰ではありません。向上心の強い人々に囲まれて弱音を吐きたくなるでしょう。自分のためにしか行動しない利己的な人に幻滅するでしょう。障害者に対する理解を求めるどころではない冷たい現実に直面するでしょう。そして、きっと仕事で失敗したり、競争相手に負けたりもするでしょう。
しかし、人生を本当に幸せにするのはいったい何だろうか。人間の一生にとって最も大切なものは何かを考える余裕もなく、「勝ち組と負け組み」に分ける世相を受け入れてはなりません。

「海と毒薬」という小説があります。
敗戦濃厚な第二次世界大戦末期、昭和205月、九州帝国大学医学部で米軍捕虜8名が生きたままで解剖されたとされる事件が起きました。医学部内の教授達の権力争いと軍の横暴がからんで起きた残虐な事件でした。この米軍捕虜生体解剖事件をモチーフに遠藤周作が創作した小説が「海と毒薬」です。大学病院の外科の研究生だった2人の若い医師が、上司から生体解剖の手術に関わることを求められ、罪だと知りながら手伝うことを承諾してしまいます。生きている捕虜に対して、どれほどの量の空気を血管に注入したら死に至るか、肺をどこまで切除したら死に至るかなどの生体実験でした。
1958
年(昭和33年)に刊行された小説「海と毒薬」を、私は学生時代に読み、人間の良心、倫理観、罪と罰について重苦しく考えさせられたものです。

昨今、日本の指導者や社会の上に立つ人々の中に、不正を行なう人や倫理観のない人が余りにも多く見られます。そのような罪をおかすに至った彼らに共通している認識は、世間の評価や社会から受ける罰ばかりを恐れ、倫理的責任や自らの良心に対する罪を思わなかったことです。金銭や物にこだわり過ぎ、心が豊かでなければ幸せとは言えないことを忘れ、いつしか精神の健康が失われていったのです。このことに自分でも気付かなくなっていたのでしょう。

「井の中の蛙、大海を知らず」とは別の、カエルの話を紹介します。
「湯の中のカエル」です。熱い湯の中に突然入れられたカエルは、すぐ跳びだすに決まっています。ところが、カエルを水に入れ、その水を徐々に温めていくとどうなるだろうか。跳び出すタイミングを失い、カエルはそのまま煮えてしまうそうです。科学的に事実かどうか知りませんが、少しずつ変化する環境に麻痺してしまい、自らを助けることができなくなるというのです。「湯の中のカエル、己(自らの異変)を知らず」ということでしょう。

皆さんは、これからの人生、生き方で岐路に立ち選択を迫られるときがあります。何が大切なのか、何が正しいのか判断に迷うことがあります。そんなとき従うべきは、世間や社会の評価や罰ではなく、自らの良心です。しかし、私達もまた「海と毒薬」の登場人物のように、あるいは「湯の中のカエル」のように、自分を見失いやすい弱い人間に違いありません。

そのためにも、よりどころとなる「信条」や「座右の銘」を持ってください。本当に愛する人ができ、一緒に生きたいと意識できるようになると「思いやり」が本物になります。「思いやり」から生まれる信条がキーワードだと私は思います。人の苦しみや悲しみに少しでも関わって歩めば、つらい仕事にも喜びが伴います。

例えば、私の座右の銘の一つは「自灯明」という言葉です。お釈迦様が死の床にあって弟子達に残したことばです。他の人から道を照らしてもらうのではなく、灯明のロウソクのように自分自身を燃やして周囲を明るく照らすような生き方をしてほしいという意味です。
皆さんはこれからも、他の人のためになる、社会の安全・安心にかかわる仕事をしてください。必ずしもそのような職業に就くことを言っているのではありません。世の中でそのような役割を果たしてください。

聴覚・視覚障害者のための我国唯一の国立大学である技短で学んだ皆さんを、今日世の中に送り出すことができることを、私たちは誇りに思います。卒業おめでとう。

平成18年3月17日
国立大学法人筑波技術大学
筑波技術短期大学部 学長 大沼直紀

【供覧】
入学式学長式辞(平成20年度)
筑波技術大学長 大沼直紀

【同じ障害者同士の理解を】
新入生の皆さん、独りぼっちにならず、より多くの人間と関わりを持ってください。狭い観点ではなく、より広い観点に立つことを心がけてください。より多くの人々と関わることについて、私の考えをいくつかお話したいと思います。
障害について理解のない人々は、私たちを聴覚障害者、視覚障害者と言って一括りにとらえる傾向があります。また、筑波技術大学が、聴覚や視覚に障害のある学生だけの集団であることから、そのような誤ったイメージを持たれがちです。同じような障害を持っていながら、私たち一人一人が個性輝くかけがえのない人間であることを、まず、私たち自身が理解し合い確認する必要があります。

【視覚障害者と聴覚障害者が互いに理解を】
これから皆さんは,産業技術学部のある天久保キャンパスと、保健科学部のある春日キャンパスとに分かれて生活することになりますが、ぜひ相互の学生交流も進めてください。視覚障害者と聴覚障害者とのコミュニケーションが最も困難なことであることを、自ら体験してください。そして、自分と異なった障害を持つ友人を沢山つくってください。
皆さんは「見ること」あるいは「聞くこと」の情報バリアを、これまで何度も克服してきたに違いありません。今度は、視覚障害者と聴覚障害者の間にあるコミュニケーションのバリアを取り除くことにも挑戦してみてください。そうすることにより,自分だけの障害にとらわれないで、本物の「障害補償」とは何か、本物の「情報保障」とは何かが分かってくるはずです。
視覚障害関係学科の目の不自由な学生が手話を覚え、聴覚障害関係学科の耳の不自由な学生とコミュニケーションしようと努力し、春日キャンパスの中に手話サークルを創った先輩がいました。また、「バリアーフリーコミュニケーション・視覚障害者と聴覚障害者とのコミュニケーション」という本を、視覚障害者と一緒に出版した先輩がいました。昨年からは、視覚障害者と聴覚障害者と教職員や市民とが、囲碁を通して「手談」に興じる「囲碁サロン」が活動を開始しています。

【学外の学生・市民との理解を】
障害者だけのために創られた大学だからといって、大学の環境の中だけで苦労なく安住しないでください。自らを世の中から分離・隔離してしまうような学生生活を送らないように心がけてください。私たちの大学と連携協力している大学も国内各地に年々増えています。札幌学院大学、宮城教育大学、群馬大学、静岡福祉大学、愛知教育大学、日本福祉大学、同志社大学、立命館大学、関西学院大学、広島大学、愛媛大学、福岡教育大学などです。これらの大学と情報交換をしてください。また、筑波大学や筑波学院大学など、地元の大学生とも進んで交流してください。更に、地域社会の動きや行事等の情報を収集し,つくば市民としての生活を送ってください。つくば市は、誰もが気持ちよく暮らせる「ユニバーサルデザイン」の町づくりを目指しています。それには、自ら障害を持って暮らす皆さんの経験から生まれた意見やアイディアがとても重要となります。

【国際的な視野に立った理解を】
今や、日本の中だけの障害者の高等教育がうまくいけば良いという時代ではありません。世界的な規模で筑波技術大学の役割を考える必要があります。私たちの大学には姉妹締結した大学が世界に10校あります。韓国,中国,フィリピン,タイ,アメリカ,ロシアなどに設立された障害者のための大学等との交流が益々盛んになっています。
特にアジアの聴覚障害者、視覚障害者は、本学の高等教育の経験から学ぶことが多いと、熱い期待を寄せています。皆さんの在学中に、是非一度は、アジアにある姉妹締結大学を訪れ、アジアの人々と共有できる障害観を確認し、国際的な障害理解・啓発の手がかりをつかんでみてください。

【教師から直接学ぶ本物の教育を】
大学に通う意味は、キャンパスまでバリアフリーにたどり着くことではなく、教室の中で高等教育機関として用意された学ぶべき内容が確かに伝わり合うことが第一です。ただ「障害者にやさしい」大学であるだけでは、本当の教育バリアが取り除かれたとはいえません。耳からの情報入力に制限のある学生が、高度で専門的な教育を受けようとするときに直面する情報授受・コミュニケーションの障害こそが、通常の大学教育では解決しにくい最大の教育バリアなのです。筑波技術大学では、「なまやさしい」環境整備だけでは済ませない本物の教育を実践しています。
教師は学ぼうとする学生に直接に対面し、自らの言葉により教えたいことを学生に伝え思考を刺激する。それに応える学生が自らの理解の様を教師に伝える。言うまでもなく、これが授業の基本スタイルです。聴覚障害学生のいる教室に手話通訳やノートテイカーが配置できる環境は大事です。しかし、これだけで済ませてはいけません。教師と学生との間で第1次情報が直接交わされるコミュニケーション関係が理想的です。
通訳者が介在して教師の講義を学生に伝え、また学生の質問や意見を通訳者が教師に代わって伝えなければならない状況、これが最良の情報保障環境であるとは、私たちは考えていません。例えば、言葉の通じない外国での留学生活で、いつまでも通訳を介していては真の師弟関係は生まれません。学生は師と仰ぐ先生の使用する言語を修得したいと考え、先生も愛する学生の母国語を理解しようと努めるものです。

【真に力のつく学生生活を】
入学し卒業するまで、学力が向上しなければ大学に進んだ意味がありません。「真に力のつく」学生生活を送ってください。
我が国唯一の障害者のための国立大学は、学生に楽な暮らしをしてもらうために設立されたのではありません。君たちが卒業後に自立し、社会に貢献できる人間になってもらうためにあるのです。君たちにはその能力があるのだということを日本の社会が判断し、入学を許可したのです。
他の大学の学生とは比べようもないほど多額な国家予算を君たち一人一人にかけてみようと国民が判断したのです。ちなみに、学生一人当りに使われる公費(運営費交付金額)を比べてみると明らかです。東京大学の学生一人当りの額が約 320万円です。筑波大学が約 270万円、茨城大学が約 90万円です。それに比べ、本学の学生一人当りの経費は約900万円です。筑波大学の3倍以上、茨城大学の約10倍で、700以上ある日本の大学の中で群を抜いてトップです。
我が国唯一の聴覚障害者、視覚障害者のためのこの国立大学に入学したからには、必死に頑張って勉強をして欲しいのです。実は,せっかく入学したにもかかわらず、勉学意欲を失い、留年や退学する学生が少なくありませんでした。これでは、一般の大学で学ぶ多くの障害学生に対しても、また、言葉や情報のバリアのないこの大学で思う存分に勉強してもらいたいと期待した多くの国民に対しても、残念で申し訳ないことです。これからの君たちの4年間は,思う存分学ぶためにあるのです。このことを忘れないでください。

【筑波技大生一人ひとりの生き方が勇気と希望のモデル】
一人ひとりの教職員と学生自身が努力し教育成果をあげること、そうすることで世の中の人々が見過ごしている価値と希望を改めて世界中に与えることができる。そのような大学で私たちは仕事し学んでいることを誇りに思います。
今日も、日本のどこかの病院で、聴覚や視覚に障害があることを宣告され、死んでしまいたくなるほどの絶望感に打ちひしがれている子ども達と親御さんがいるにちがいありません。その方々に頑張ってみようと、将来の希望や勇気を示してあげることができるのは、君たち一人一人のこれからの生き方なのだということを忘れないでください。
耳の障害、目の障害に負けずに、ここまで成長した皆さん、それを支え、頑張ったご家族の皆様を、敬意と愛情を持ってお迎えします。




20161022():日本聴覚医学会・代議員選挙に落選

  私が日本聴覚医学会の評議員・代議員に就いたのは平成6年10月である。それまで評議員だった故今井秀雄先生が私にバトンタッチされたのであった。以来、今井先生のご遺志を継いで学会の活動(特に教育オーディオロジー)に微力ながら尽くしてきた。遺憾なことに、この度の代議員選挙で私は落選してしまった(選挙運動を怠ったためか、教育領域の票田が少ないためか)。私の後継と考えていた立入哉先生(愛媛大学教授)も選に漏れてしまった。22年間にわたり務めてきた役目を終えることになった。今井先生に申し訳ない気持ちでいっぱいである。

http://audiology-japan.jp/audi/?page_id=24




20161018():今井秀雄先生ご逝去

  昨夜は吉野先生と旧交を温めながら、我々の恩師である今井秀雄先生の話題が頻りであった。その今井先生が亡くなられたという訃報が。何ということであろう。哀しい。今井先生の薫陶を受け多くの人が(国内外を問わず)活躍している。今まさに出版を準備している「教育オーディオロジー・ハンドブック」を手に取っていただくことができないのが悔しい。合掌。








20161017():吉野公喜先生

  今夕は、知る人ぞ知る吉野公喜先生(元東日本国際大学 学長、元高知女子大学学長)の八郷(茨城県石岡市)の山荘におよばれし旧交をあたため美酒に酔ってる。私が筑波技術大学の学長のときには、理事として大学運営を支えてくれた吉野先生。








2016105():「知ってるつもり?!

  今日の講義。昔 出演した番組「知ってるつもり?!」のビデオを供覧しながら耳の話を。







2016103():聴覚心理学の授業

  聴覚心理学の講義で提示した新聞記事。一般の人に予想外の反響があった例。私たち専門家は障害や福祉のテーマだと三大紙などのメディアに載せることが多かったが、大衆タブロイド紙、あなどるべからず。







  クラス集合写真。言語聴覚士を目指す勉強熱心な学生さんたちです。








2016928():グラハム・ベル

  今日は言語聴覚士養成の授業。私の講演の定番「グラハム・ベル」を連続3時間話す。







2016925():広島講演

  広島です。広島市中途失聴・難聴者協会の要約筆記登録者ステップアップ研修会。3時間30分の長い講演です。







2016923():情報保障支援

 今日は終日つくば市教育委員会の委員長としての勤務。9月定例教育委員会、つくば市・つくばみらい市両市の教育委員会連絡会理事会・総会・研修会・情報交換会が夜まで続いた。忙しい中で嬉しいことが。難聴の生徒から教育委員会あてに手紙が届いた。9年間にわたり要約筆記などの情報保障支援が受けられたおかげで、「聞こえない学校生活を聞こえる学校生活にしてくれた」と、感謝の手紙だった。








201697():Who'sWho in the world 

言語聴覚士を目指す学生のための授業を開始した。学生一人ひとりに自己紹介レポートを書いてもらう。私も自己紹介を兼ねて「聴覚障害にかかわって50年余」を話した。
 その中の1枚のスライド。Marquisの世界紳士録「Who'sWho in the world」に、2000年から私の名前が載っている。educational audiologist(正確には audiologist, educator for hearing impaired)として認められたことが嬉しかった。








2016829():東北教育オーディオロジー研究協議会のホームページ開設

  新たに「東北教育オーディオロジー研究協議会」のWebサイトhttp://tooken.arrow.jp/
が立ち上がった。以下のホームページからは全国各地の教育オーディオロジーの活動状況が見られるので参照してほしい。

日本教育オーディオロジー研究会
 
http://www.jeaa.info/

新北海道教育オーディオロジー研究協議会
 
http://www.normanet.ne.jp/~hkdaudio/

東北教育オーディオロジー研究協議会
 
http://tooken.arrow.jp/

関東教育オーディオロジー研究協議会
  
http://kantou-aud.blogspot.jp/

東海教育オーディオロジー研究協議会
 
http://www.normanet.ne.jp/~tokai/

中国教育オーディオロジー研究協議会
 
http://www.normanet.ne.jp/~chu_eaa/

近畿教育オーディオロジー研究協議会
 
http://www.normanet.ne.jp/~kinki/

九州教育オーディオロジー研究協議会
 
https://sites.google.com/site/9syueaa888/




2016826():聴覚心理学

  来月早々、言語聴覚士の養成校で「聴覚心理学」の講義を初めて担当することになった。教科書は「音の世界の心理学」(重野純、ナカニシヤ出版)を使うことにした。この歳になって新たに講義ノート作りに取り組んでいる。90分授業15回分である。他の人が著した教科書に沿って講義資料を作成していくのは正直言って面白くないものだ(著者の重野先生には申し訳ないが)。そのうちハタと気付いた!自分の本を使えばよかったんだと。拙著「あなたの耳は大丈夫?」である。学生全員(100名以上)には重野先生の本を購入させてしまったので、既に遅し。でも「音の世界の心理学」を読むことで私自身が音響心理学を勉強し直すのにはとても役立っている。







2016823():福島智著「運命を切りひらくもの」

  著書、福島智先生よりたった今恵贈の出来立ての本。福島智と北方謙三との運命的な出会い!







2016821():きこえを学ぶ会

「きこえを学ぶ会」を定期的に御茶ノ水で開催している。人工内耳手術後の聞こえを向上させるための勉強会。今回は「サザエさん」のDVDを再生しながら、セリフを聞き込む練習。







2016812():全国聴覚障害教職員シンポジウム

 埼玉県の浦和です。全国聴覚障害教職員シンポジウムで講演(記念対談)。







2016810():東北教育オーディオロジー研究協議会

 仙台です。今日から2日間、宮城教育大学で東北教育オーディオロジー研究協議会。私は特別顧問として開会式から参加。











201688():「よくわかる補聴器選び】2017年版

「よくわかる補聴器選び」2017年版(関谷芳正著、八重洲出版)が書店に並んだ。今年も私が巻頭に「補聴器で耳の健康寿命を」の文を発刊に寄せて書かせてもらった。補聴器に関心のある一般の人に限らず、「補聴器学」を学ぶ学生、補聴器技能者、言語聴覚士のための分かりやすいテキストとしても役立つを思う。











201687():難聴児のための子ども音楽会

 難聴児のための子ども音楽界に。川崎のソリッドスクエア。「大沼直紀きこえの教育相談クリニック」も後援している。







201681()インタヴュー記事紹介

「メディカルオンライン」私のインタヴューが掲載された(2016720日付)ので見出しなど一部を紹介する。
●第1回:「人間は耳ではなく脳で聞く」( 補聴器は脳の活動をサポートするツールとして捉えるべき )
 大沼直紀先生はオーディオロジー(聴覚学:難聴や聞こえの問題に関する研究)や聴覚障害者のケアに携わり、2005年からは、国立大学法人筑波技術大学の初代学長を務めた。本稿では先生の言葉を交え、オーディオロジーがいかに「脳」を重視してきたかを示し、補聴器に求められている役割をお伝えする。

1)聞こえの問題を自覚することが補聴器選びの第一歩
「自分の問題を認識している人ほど、サポートしてくれる道具や人に出会うことができます。『自分は聴力が衰えて補聴器を使う必要がある』と自覚している人ほど、補聴器が役立ちます(大沼先生)」
2)「騒音下での補聴器は役に立たない」は過去の話
「かつては周囲が賑やかだと補聴器は役に立たず、むしろ邪魔になるのが定説でした。ところが近年は、騒がしいパーティー会場や広い部屋で相手の話を聞くときには、性能の良い補聴器を装用した方が良いとされます(大沼先生)」
)「日本では片耳だけに装用する傾向にありますが、欧米では眼鏡と同じく、両耳に装用するのが当たり前と見なされています。性能の良い補聴器を両耳に装用することで、健聴者の聞こえに近いバランスの調整が可能になり、音源が移動してもその位置を把握できます(大沼先生)」
4
)補聴器がノイズと見なしてきた音が必要な場合もある
「会話だけではなく、例えば料理中なら炊飯器が発する音や煮物を煮ている音という情報は重要です。補聴器がノイズとしてカットしてきた音声を、健聴者と同じようにキャッチすることも、これからの補聴器の役割として重視されると考えています(大沼先生)」







2016729()新・北海道教育オーディオロジー研究協議会の設立

 札幌です。新・北海道教育オーディオロジー研究協議会が設立された。私は顧問に。記念講演をした。







2016728()全国聾学校教頭会総会で記念講演

 仙台です。全国聾学校教頭会総会で記念講演。演題は「人工内耳装用と経度難聴者の増加に伴う聾学校の在り方(私の期待と展望)」







2016727():小中一貫型義務学校の建築

来年度・再来年度に新たに3つの小中一貫型の学園が建築される。つくばエクスプレス沿線に世帯数と学童数が急増してるためである。合わせて4つもの小中一貫校が作られるのは全国にも例がない。今日はつくば市教育委員長として2箇所の安全祈願祭に出席した。















2016723():聴覚障害者のコミュニケーション教室

 本日の講演、三田の東京都障害者福祉会館で難聴者の参加者を対象に。ちょうどブラジルサンバ・パレードの「三田カーニバル」真っ只中。往復の混雑を覚悟しなければ!







2016625():講演「あなたの耳は大丈夫? 聴力の衰えとその対策」

 私の母校、宮城県古川高校の在京同窓会の総会が上野精養軒であった。比較的高齢の同窓生の参加が多いので、演題は「あなたの耳は大丈夫?聴力の衰えとその対策」としてよかった。終了後の懇親会では、耳の問題で質問したい先輩や同級生・後輩が何人も並び、飲まず食わずの対応だった。







2016614():教え子の来訪:

 懐かしい教え子2人が拙宅を訪ねてくれた。当日の様子を松森果林さんがFacebookに載せたので以下再掲させてもらう。聴覚障害当事者が「自らの聞こえのレベルを自分で測定し確認する授業」(体系的に授業に組み込んだのは世界で初めてかも)を実施した当時のことも書かれている。

「五歳の小春、人が大好きで会ってから五分ほど大はしゃぎしますから覚悟して!」
事前に聞いていましたが、想像を超える熱烈大歓迎。
すんごい勢いで飛びつかれ、舐められ、あっという間に押し倒されました。

 小春ちゃんからの洗礼を受けた後は気持ちの良いテラス席で乾杯。
私たちの恩師、大沼直紀先生のご自宅です。
奥様お手製のお料理が並び、私たちのためにあけてくれたワインは芳醇で美味。
大学時代からの友人とともになんて幸せな時間。

 大学時代に大沼先生から学んだ「聴覚障害学」は、聴覚障害を医学的、生理的な視点からとらえ聴覚障害の教育や歴史、言語、補聴器の扱いを学びました。
聴覚を失ったばかりの私にとって、耳の構造や音の伝達の仕組みなどを知ることは「自分が失った音」を客観的にとらえ「障害と向き合うこと」につながりました。

 聴力検査を受ける機械「オージオメーター」の扱いを学び自分で自分の聴力検査をしたとき、私の世界は大きく変わりました。
なぜならば本当の自分の聞こえなさと向き合うことができたからです。

 それまで私にとって「聞こえないのは悪いこと」でした。
だから、聞こえにくくなって以来、小学校、中学校、高校と毎年聴力検査をするときには、
「早くボタンを押さなくちゃ!」
「でも聞こえないのにすぐ押したらウソになる、五秒待ってから押そう。」
などとボタンを持つ右手は汗びっしょり。
もはや、聴力なんて関係なく、ただ聞こえないことを悟られないようにやり過ごすのに必死の聴力検査。

 しかし「聴覚障害学」の中では、自分の耳が反応するところまで、自分の手で少しずつボリュームを上げ下げして徹底的に調べることができるのです。
印刷されたオージオグラム(聴力検査の結果)を見て「私はこんなに聞こえなかったんだ」と納得しました。「これが私の聴力であり、自分そのものなんだ」と。聴覚障害の受容や、聞こえない自分を作り上げていくことができる授業だったのです。

 大沼先生は、初めてお会いした時から今も変わらず私たちのヒーロー。
笑いあり涙ありで、話題は尽きず、いつのまにか隣家のワンちゃんも一緒に遊んでいたり。

 帰りの駅のホームで「先生という存在って「希望」だね~」などと余韻を楽しんでいたら、乗る予定の電車を見送ってしまいました。目の前に電車が来てるのに何で気付かないの?!とじたばたする私たちは卒業して20年。





2016530():東大先端研・一般公開シンポジウム「聞こえの問題」

 東大・先端研のオープンキャンパスで、聞こえの問題に関する一般公開シンポジウムが開かれる(福島智研究室・熊谷晋一郎研究室)。福島研究室の研究アドバイザーとして私も登壇する。
 
http://komaba-oh.jp/lecture.html

 1)日時:63日、13301630

 2)テーマ:「当事者研究と聴覚生理学から迫る<気づきにくい聞こえの問題>」

 3)会場:東大・先端科学技術研究センター4号館2階講堂(事前申し込み不要、参加費無料)
 
4)内容:発達障害の当事者研究では、コミュニケーションの困難の背後に、音の選択的な聴取や音源位置の特定困難など、独特の聞こえ方が影響している可能性が示唆されてきた。また、人工内耳ユーザー、難聴者、視覚障害者からも、「聞こえないわけではない、独特の聞こえの困難」が報告されつつある。一方、聴覚生理学の分野では、見逃されがちな脳幹レベルの音処理に関する研究が注目されている。盲ろう、難聴、視覚障害、人工内耳ユーザー、発達障害の当事者研究を架橋しつつ、最新の聴覚生理学の知見も織り交ぜながら、<気づきにくい聞こえの問題>に迫る。

 5)登壇者:

 ・山内 菜央子(東京都中途失聴・難聴者協会会員)

 ・大沼 直紀 (筑波技術大学名誉教授)

 ・福島 智  (先端科学技術研究センター教授)

 ・熊谷 晋一郎(先端科学技術研究センター准教授)

 ・綾屋 紗月 (先端科学技術研究センター特任研究員)

 ・大河内 直之(先端科学技術研究センター特任研究員)



2016512():「文藝春秋」に掲載

 文藝春秋6月号に私の記事が載っている(アクティブシニア特集「脳と耳の新習慣」)。特別広告企画の扉インタビューにしては高齢者向けに良く編集された内容であると自負。











2016510():「天職」とは

 つくば市教育研究会は1324人の先生たちが会員となって教育実践研究を進めている。年度はじめの総会・研修会で教育委員長として挨拶し 、「天職」とは何かについてショートスピーチした。ドイツ語ではberuf,berufung、英語ではcallingに相当する。恥ずかしながら、大学卒業後すぐに学校に就職した51年前の私は「でも・しか教師」でしかなかった。10年ほどは「天職」どころか「転職」ばかり考えている駄目教員。これが天職かなと思えるようになったのは教育実践研究の面白さと意義が分かるようになった、ずっと後のことである。







201654():福島智著「ことばは光」

 福島智先生(東大先端研教授)から、数日前に出版されたばかりの著書「ことばは光」の恵贈があった。「智」のサイン入り。福島先生の自筆は、ヘレン・ケラーの字に似ていて、私の好きな書体である。











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