2014815():聴覚障害教育への期待と展望(師匠・恩師)

 東海教育オーディオロジー、東北教育オーディオロジー、北陸教育オーディオロジーの各研究協議会が主催する研修会で講演をした。私が宮城聾学校の教員として聴覚障害教育にかかわり始めてから今年が50年目にあたる。最近はこの教育に期待することは何だろうと考えるようになり、思いつくままメモを取っている。その事柄が今では15項目ほど溜まった。この度の名古屋市、郡山市、長岡市の講演では副題を「聴覚障害教育にかかわり50年目に思うことー期待と展望」とした。研修会では時間の制限もありメモの全部には触れられなかったし、未だ十分な検討をしていない事項もあるので、8から10ほどの「期待と展望」を話した。ちなみに「期待と展望 ①」は『教えを乞いたい“師匠”を見つけ、アプローチし、いつしか勝手に自分の“恩師”にしてしまいましょう』である。

 私には何人かの恩師がいる。アメリカ留学中の師匠は、補聴器フィッティング法のパスコ博士と聴能訓練法のアーバー博士である。また今井秀雄先生(元国立特殊教育総合研究所・聴言部長)と岡本途也先生(元昭和大学耳鼻咽喉科・教授)は私の恩師である。しかし先生たちは必ずしも私を自分の教え子や弟子だとは考えていらっしゃらないであろう。話を聞きに行き、質問をし、魅せられ、行いを真似しするうちに、いつしか勝手に自分の恩師だと私が決めていたのだった。特別支援教育の忙しい現場で、誰も教えてくれないといって待つのではなく、教えを乞いたい師匠を見つけてほしい。



201488():「よくわかる補聴器選び2015年版」発行に寄せて

 関谷芳正先生(名古屋市の関谷耳鼻咽喉科院長)が難聴と補聴器について分かりやすく解説し最新の補聴器カタログとして監修された「よくわかる補聴器選び」の2015年版(八重洲出版、価格1000円)が発行された。私の推薦文「補聴器を選ぶあなたに」が巻頭に載っているのでご紹介する。

●超高齢社会にあって、私たちは誰もが歳をとり高齢者として生きていくことの覚悟を自ら持つようになりました。しかし一方、“耳も歳をとっていく”ということの認識や備えにはまだまだ甘いところがあります。

●『視覚の障害は“物”と繫がりにくくするが、聴覚の障害は“人”と繋がりにくくする』 これは哲学者カントの言葉をヘレン・ケラーが英訳して紹介したものです。

●足腰や目の衰えなどに比べ、難聴は周囲の人から“見えにくい”障害なので、本人がどう困っているか想像しにくく理解されにくいという問題があります。“テレビの音が大きすぎるから一緒に観ない”“声をかけても返事がないから余計な話はしない”“用件や約束などを聞き違えるので迷惑なことになる”“同じことを繰り返し尋ねられるので面倒だ”“孫の声はよく聞こえるのに私の話には聞こえない振りではないか”など、聞こえの問題が人間関係にまで影響を及ぼします。

●現在「補聴器相談医」は4000名以上、「認定補聴器技能者」は2700名以上、「認定補聴器専門店」は650店以上と、適切な補聴器選びの環境が整ってきています。

●そして、最後にお気に入りの一つを選ぶのはあなた自身。補聴器に隠れている優れた性能を引き出し満足のいく愛用品に進化させるのもあなたです。聞こえの問題を抱える当事者が最新情報を得て賢くなる必要があります。本書は、安心な音の世界、自信のもてるコミュニケーション、アクティブな生活へとあなたをつなげるガイドブックです。



201484():北海道教育オーディオロジーが解散。「静かに流れる教育オーディオロジー」

 2日の北海道教育オーディオロジー研究協議会の研修会に参加し、そのまま札幌から名古屋に移動して4日の東海教育オーディオロジー研究協議会に参加した。来週は東北教育オーディオロジーと北陸教育オーディオロジーが続く。全国各地で聴覚障害教育の専門研修が行われている。

 さて、北海道では今回の開催を最後に教育オーディオロジー研究協議会が解散された。東北地区にようやく研究会が設立され全国9ブロックが揃った矢先の出来事である。日本における教育オーディオロジーの研究と実践の場が一つ失われたのは残念なことである。

 思い出す話がある。昔、聴覚活用への風当たりが辛く感じられるようになった時期、関東教育オーディオロジー研究協議会の活動が低迷したことがあった。依頼された講演内容は教育オーディオロジーの今後の展望についてであった。私はその時の演題を『静かに流れる教育オーディオロジー』とした。対立や葛藤があるときは、力んで自分を主張し過ぎない、我を通さないほうがよい。間違ったことをしているのでなければいずれ分かってもらえる。負けるが勝ち。絶えることなく静かに流れる川のように穏やかに必要なことを真面目にやり通せばよい。いつしかその静かな流れに気付いた親や関係者が理解を示してくれるはずだ、と話した。北海道の会員の皆様、お疲れ様でした。有難うございました。









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