2013531():江崎玲於奈先生の講演スライド(関東甲信越静市町村教育委員会連合会)

関東、甲信越、静岡(110県)の市町村教育委員がつくば国際会議場に集まり今年度の総会・研修会が開催された。研修会ではノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈博士が「新しい世界を開くイノベーション」の演題で記念講演した。10数年前、江崎玲於奈学長が筑波大学の学長官舎に住まわれていた頃、私は庭続きの敷地にある筑波技術短期大学の学長官舎に隣り合わせて住んでいたことがある。今は90歳近い高齢になられた江崎玲於奈先生であるが、講演では次々と言いたいことが先に頭を廻るのか、ご自分の早口に発音発声がうまく追いてこないようで、失礼ながら素晴らしい話の内容に比べて発話明瞭度はお世辞にも良いとは言えない。目を瞑って音声だけを聞いたとしたら何を言っているのか意味不明に終わるであろう。ところがそれでも面白いくらいに講義の中身が良く伝わってくる。その秘密はご自身で作られたパワーポイント・スライドだった。ご自分で話す内容をほぼそのままの原稿として会場の大スクリーンに文字提示されている。聴衆は自然に江崎先生の曖昧な音声と字幕を合わせて理解し興味深い話に引き込まれる。聴覚障害者や高齢者への文字情報支援の大事さを意外な場面で実感することができた。



2013525():東大先端研の研究室一般公開

61日(土)東大・先端研キャンパスが一般公開される。私の所属する「バリアフリー分野」の各研究室では次のような準備をしている。

1)福島研究室:「見る・聞く・感じるバリアフリーの世界-視覚障害支援・聴覚障害支援・発達障害支援の研究から」。私は「聞こえと補聴器の相談コーナー」を店開きする(午前10時~午後3時)。また、923日に予定されている本研究会の上級講座で特別講演の講師を務める熊谷晋一郎先生と綾屋さんが「発達障害の当事者研究」についてシンポジウムを開く(午後3時~5時)。盲ろうの擬似体験などの興味深い企画もある。

2)中邑研究室:「人間支援工学-先端科学技術が生み出すバリア」

3)巖淵研究室:「支援情報システム-ICTを利用したグローバル支援技術」

4)田中研究室:「人間情報工学-高齢者・障がい者の日常生活を支援するバリアフリー機器」

5)渡邊研究室:「認知科学-実験から見えてくる心の仕組み」

そのほか、実証ロボット「エボルタ」くん(乾電池2本でグランドキャニオンの断崖絶壁を登頂。ル・マン24時間の耐久レースに挑戦。東海道五十三次走破など)の生みの親で、現在はバリアフリー分野の特任准教授である高橋智隆先生の講演「ロボット時代の創造」(午後1時~150分)も面白い。参加予約の必要はないので、この機会に東大先端研を自由参観いただければ幸いである。



2013517 日(金):文科省科研費(新学術領域研究)「構成論的発達科学」の全体会議(京都)

文科省の科研費研究の中でも年間数億円の補助金によって進められる大規模な研究プロジェクトがある。昨年度から新学術領域研究「構成論的発達科学-胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解-」(領域代表・東大 國吉康夫教授)が本格始動している。http://devsci.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/about  http://devsci.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/user/

私はその中の計画班「当事者研究による発達障害原理の内部観測理論構築とその治療的意義」C01班代表:熊谷晋一郎)の連携研究者になっている。私の分担は「聴覚過敏とまとめあげ困難に対する補聴器による支援」である。http://devsci.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/archives/42#C01

全ての領域の研究者が京都(キャンパスプラザ京都)に参集し第1回目の全体会議が開催された。人の心はいかにして発生し発達するのか?発達障害はなぜ起こるのか?ロボティクス、医学、心理学、脳神経科学、そして「当事者研究」が密に協働して、胎児からの発達を観察しモデル化しシミュレーション実験し解釈することで、その根本原理を明らかにするのが目的である。様々な環境要因に伴う変化の様相を明らかにする構成論的発達科学を世界に先駆けて推進し、新たな発達障害理解に基づき真に適切な包括的診断法と支援法・支援技術を構築しようとしている。この広大な研究領域の片隅にでもオーディオロジーが位置づき少しでも貢献できればと考えている。



2013516日(木):大塚ろう学校公開講座で「聴覚学習の基本」を講演

都立大塚ろう学校(横倉久校長)が主催する公開講座に講師として招かれた。今年度第一回目の講演会ということで「聴覚学習の基本」の演題で話した。聴覚障害者に対するときに限らず、日本人は誰もが相手に聴きやすい話し方を心がけてほしいこと。同時にまたよく聴く聴覚障害児が育つための基本は何かなどについて話題提供した。


2013512日(日):「東北教育オーディオロジー研究協議会」第1回準備委員会

東北六県から各々1名以上の準備委員(11名)が選出され、第1回の東北教育オーディオロジー研究協議会準備委員会がもたれた(511日午後2時から、会場:仙台のホテル白萩)。設立趣意書、会則、会員募集のチラシ、研修会プログラムなどの文案が整いつつある。当面は福島県立聾学校の高屋校長以下スタッフと準備委員を中心に、810日(土)に郡山市内で設立総会と研修会を開催すべくその体制作りに励むことになる。
  仙台駅前のホテルに一泊した翌朝、秋保温泉のさらに山奥にある二口渓谷まで分け入り、一軒宿の磐司山荘に立ち寄り日帰り入浴した。磐司岩の岩壁群を眺め、秘湯に浸かりながらの萌える新緑と名残の山桜は絶景である。



201355():引用文献(24年前の論文)

私が所属している主な学会は、「日本特殊教育学会」、「日本聴覚医学会」、「日本音声言語医学会」、「日本音響学会」、「電子情報通信学会」などである。ほとんどが宮城聾学校の教員だった頃に入会登録したもので会員歴30年以上となる。学校現場の教員が学会活動するのはまだ珍しい時代だった。安い給料と小遣いから年会費や学会参加旅費などをよく捻出できたものだと、今更ながら妻の家計やり繰りの苦労に感謝する。

最近では送られてくる学会誌全ての内容を精読することはない。論文タイトルを目次から拾って適当に興味を持ったページだけを読むことが多い。今週届いた「日本音響学会誌」(第695号、「信号対雑音比調整による単語リスト間の単語了解度補正」:近藤公久、坂本修一、天野成昭、鈴木陽一)を拾い読みしていたら、参考文献に私の古い論文が引用されているのを見つけた。国立特殊教育総合研究所の難聴研究室での部下だった中川辰雄先生(横浜国立大学教授)と、恩師の今井秀雄先生、岡本途也先生との共著で24年前に発表した論文である(「日常生活文リスト」の検討-マルチトーカノイズ下における了解度検査法の試行-Audiology Japan 32(5)1989年)。後にこの研究成果をもとに「補聴器適合評価用CDTY89)」のなかに「日常生活文リスト」が収録されることになった。優れた研究仲間と夢中になって論文を作成し学会発表に挑んでいた当時を懐かしく思い出した次第である。






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