20131220():音楽会場での補聴器のハウリング

 クラッシックコンサートの最中に補聴器のハウリングが原因で演奏が中止されるというハプニングがあったらしい。今年の421日、横浜みなとみらいホールで行われたサントペテルブルグ交響楽団の公演中に起きた。当日のプログラム3曲目のショスタコーヴィッチ作曲・交響曲第5番の第1楽章の途中で、指揮者の井上道義氏が演奏を中断し、自ら一列目の客席に降りてハウリングの音をさせている補聴器装用者に注意。その後係員がその方を退場させたという。

 正確な事情は私には分からないが、聞こえのバリアフリー問題として考えさせられる出来事である。第一に、人気指揮者とオーケストラを楽しみに来場した当人にとって、自分の補聴器管理の至らなさとはいえ、聴衆の面前で突然に退場させられてしまった心情は察するに余りある。第二に、補聴器のハウリングに対する世間の無知無理解と、補聴器を装用して来場することもある難聴者に対する主催者側の音響管理の不行き届きである。そして第三に、ハウリングを起こさせない補聴器のフィッティングのサービスと、ハウリング音を自覚認知することが難しい難聴者のための警告表示機能の付加など補聴器の機能改善の必要性である。第四に、補聴器ユーザーが身につけておくべき音のエチケット、補聴器使用のマナーについての啓発など当事者学習の機会の保障である。今回起きた事例を、補聴器装用難聴者に対する人権侵害だと断じるだけでなく、会場内での携帯電話のマナーモード設定が呼びかけられ、信号音の自己管理が自主的に行われるのが当たり前のことになったように、補聴器装用難聴者の側からも聞こえのバリアフリー・コンフリクト(衝突・対立・葛藤)に意を用いる必要があろう。



20131215():新生「きこえを学ぶ会」

 鈴木克美先生(東海大学名誉教授)らがお世話役となり進められてきた「聞こえを学ぶ会」の運営を見直し、次世代の聴覚障害当事者にバトンタッチすることが検討されていたが、この度(新生)「きこえを学ぶ会」が再発足した。人工内耳装用者の組織としては以前から「ACITAの会」がある。これとは別に新たな会を設立したのには理由があった。「きこえの会」の代表となった田村怜君(大学4年生)は新しい会の主旨を次のように述べている。

『これまでの会は比較的年配の方を中心に運営されてきました。このたび、若年層を中心として組織を刷新します。スケジュール的に動きにくい社会人よりも、高校生・大学生を中心とすることで会を発展させます。』

『従来の講演形式の勉強会では、知識の流れは一方通行で受動的なものになりがちでした。そこで、例えばあるテーマについて少人数のゼミナール形式で学び、そこで得たことを実際の場面などに出てフィールドワークとして行動し、自ら活きた知識を吸収してみようというものです。』

『会員は人工内耳装用者に限らず、また人工内耳の会社を問わず、当事者研究の観点も取り入れていきます。』

『若い人工内耳装用者が中心となって自主的・自立的に会が運営されるようになるまでの当分の間は、アドバイザーの役割も兼ねて会長を置きます。会長には大沼直紀先生を、顧問には加我君孝先生をお願いしました。』

『フィールドワーク等の成果の発表や海外の人工内耳装用者との交流を目的として、来年3月にはオーストリアのメドエル社などへの訪問も計画します。』



2013126():文部科学大臣表彰

 全国特別支援教育推進連盟(理事長:大南英明)が結成されて50年を記念する式典が国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された。大変な徹夜国会開けの朝の式典にもかかわらず出席された下村博文・文部科学大臣から、特別支援教育の功労者の一人として表彰を受けた。文科省の大西孝志・特別支援教育調査官から候補者に挙げられていることを前もって知らされたときは戸惑ったのだが、この仕事を48年間も已めないよう私を支えてくれた聾・難聴の親子や関係者に感謝する意味で有難くお受けした次第である。本研究会会員の皆様へのお礼かたがたご報告申し上げます。




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