20131123日(土):情報アクセスビリティ-・フォーラム

全日本ろうあ連盟の主催による「情報アクセスビリティー・フォーラム」が秋葉原UDXにおいて大々的に開催された。日本財団がお世話役となり企画された国際ワークショップ「電話リレーサービスの普及と定着」に参加した。パネルディスカッションでは、聴覚障害者のための電話リレーサービスが、公的支援で普及した国の順番に話題提供があった。最初はアメリカ、次にイギリス、韓国、タイの順である。最後に、最も遅れている国として日本を代表して筑波技術大学の井上正之准教授が登壇した。

会場の私の隣の席に懐かしいお顔の紳士がいらっしゃる。何と文科省の事務方トップを務められた清水潔・元文部科学事務次官である。私が筑波技術大学の法人化や4年制大学化を進めた激動の時に、国の大学行政総元締めである清水・高等局教育局長には大変お世話になった。清水局長の支援がなかったならば4年制・筑波技術大学は誕生していなかったであろう。現在は明治大学の研究・知財戦略機構の特任教授として、また弁護士としても活躍されている。なぜ清水先生が今日この場にと驚いたが、今回の情報アクセスビリティー・フォーラム実行委員会の名誉会長を務められていたのである。不思議なご縁である。



20131122日(金):小中一貫教育全国サミット

「第8回小中一貫教育全国サミットinつくば」が開催された。全国40の教育委員会から教育長や教員が参集し、総会ではつくば市の柿沼教育長が共同声明を宣言した。メイン会場の国際会議場や公開授業を担当した学園(つくば市にある53の小中学校は昨年度から全て小中一貫の学園に再編されている)は大賑わいだった。考えてみると、聾学校は昔から幼・小・中・高の一貫教育を実践してきた訳である。



20131113日(水):電話リレーサービス研究会の発足

日本財団が電話リレーサービスの試験運用を始めている。来年3月末まで無料で利用できる。募集人数500名に対して現在350名以上が登録している。

http://trs-nippon.jp/

聴覚障害者と聴者が通訳オペレーターを介して文字や手話により通話できるように支援する電話リレーサービスについては、欧米や韓国、タイなど世界26か国では既に公的支援を受けて実施されている。この分野での情報保障は日本が特に遅れているという認識が不足しているようだ。日本ではなぜ定着しないのか、広まらない課題は何かについて実情を調査し、実現に向けた公的制度化への課題を検討することを目的に「電話リレーサービスの普及と定着を目指した研究会」が立ち上がった。日本財団の笹川陽平会長の命を受けこの事業を推進する石井靖乃氏(公益ボランティア支援グループ長)の依頼で私が座長を務めることになった。11名の委員(聴覚障害当事者、専門家、研究者など)とオブザーバー(総務省、厚労省など)が集まり熱心な討議を行った。



20131110日(日):手話通訳者養成講座

川崎市聴覚障害者情報文化センターの手話通訳者養成講座で「聴覚障害児の言語発達-聴覚補償の観点から」のテーマで2時間の講義を担当した。



2013114():聴覚補償と情報保障

今年の第58回日本聴覚医学会総会・学術講演会(会長:宇佐美真一・信州大学医学部耳鼻咽喉科教授)のこれまでにない特徴は、会場に「パソコン要約筆記」が用意されたことだ。A会場は長野県要約筆記連絡会所属のメンバーと永野サマライズセンターが、B会場とC会場はアイセック・ジャパンが担当した。私が座長を務めたC会場のセッションでは、自分のパソコンや貸出用のiPadの画面で発表や質疑応答の内容を字幕で見ることができた。沖縄県うるま市にある文字通訳サービス会社が「e-ミミ」を使って文字変換し松本市の学会会場にリアルタイムで届けてくれていたのである。「聴覚補償」の研究を専門とする聴覚医学会が「情報保障」にも配慮するようになったのは革新的な出来事である。

この頃私に依頼される刊行物の原稿などには「聴覚補償と情報保障」について書き加えるように努めている。例えば、季刊誌「FITTING」(日本補聴器販売店協会機関誌)の巻頭言(264号、2013)には次のような文章を載せてある。

●「聴覚補償」と「情報保障」は“ほしょう”の読みが同じなので混同しやすい。私は次のように使い分けている。「聴覚補償」とは、例えば補聴器や人工内耳を活用する、音声言語を習得する、読話の力をつける、手話を学びコミュニケーション力を高めるなど、主として聴覚障害者が自分自身の障害を軽減したり改善したりするために様々な対策を講ずること。一方、「情報保障」とは、例えば会場に磁気ループやFM補聴システムを用意する、音声を字幕に代えてスクリーンに映し出す、手話通訳者や要約筆記者を配置するなど、主として情報が伝わりやすくするための支援環境を整えることを指す。

●近年の医療、教育、補聴技術の進歩により聴覚障害の「補償」の面では一定の成果が得られるようになった。しかしながら聴覚障害者に必要な情報をしっかり「保障」するという面では、「補償」に比べ「保障」は後追いだった感は否めない。聴覚障害者の生活の質を高めるには、その障害を「補償」することだけにとどまらず、伝わりにくい情報を周囲から「保障」することが重要だという認識が高まり、「聴覚補償から情報保障へ」と社会全体が向かう時代を迎えている。障害者総合支援法の施行の年にあたって、意思疎通支援の進展が期待される所以でもある。




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