20131025日(金):聴覚医学会(松本市)

日本聴覚医学会が松本市で開催された。第58回の今年の総会・学術講演会の会長は宇佐美真一教授(信州大学耳鼻咽喉科)が務められた。先週の名古屋での全日本聾教育研究大会も今週の聴覚医学会でも、主催者は台風の接近に心配し通しであった。来年の聴覚医学会の会長として開催準備に当たっている山下裕司教授(山口大学耳鼻咽喉科)の次期会長挨拶でも、例年より開催期間を遅く11月末に設定した理由の一つが台風の影響を避けること、もう一つの理由が下関のフグが美味しい時期となるからだと話されていた。

今年の聴覚医学会の特徴は、43群のセッションに分けて200演題が発表されたが、その中に「障害児教育」のセッションが4群(16演題)も設定されたことである。その他の群でも教育機関と医療との連携が取り上げられていた。医学系の学会の中に聾・難聴教育にかかわるセッションが位置付いているのは珍しく貴重ではないだろうか。このような期待に応え、教育関連のセッションが無くなるようなことにならないように、教育オーディオロジー研究会の会員からもより多くの発表申し込みがあるとよい。

聴覚医学会関連の恒例企画となっている「第36回補聴研究会」では、立入哉教授(愛媛大学教育学部)の座長で、庄司和史教授(信州大学全学教育機構)による「乳幼児の補聴器装用にかかわる保護者支援-装用開始から両耳装用の段階を中心に」の講演があった。



20131017日(木):聾教育研究大会に初の「国際教育・国際交流」分科会

今年の第47回全日本聾教育研究大会(愛知大会)は名古屋で開催され、聴覚障害教育の先生約500名が参加した。長い歴史のあるこの研究会に初めて「国際教育・国際交流」の分科会が設置された。スリランカ、インド、タイ、フランス、カナダ、韓国の聾学校との交流や国際教育の実践報告があったが、これ以外にも全国の聴覚障害教育機関では多様な国際交流が実施されているのではないかと思われる。中国、ロシア、イギリス、ドイツ、イタリア、北欧諸国との国際交流の実績もあるはずである。特別支援教育の講座を持つ大学や聾学校校長会などとも連携して実情調査をし、我が国全体の様子を把握しておく必要があろう。

7年前に東京で開催された第40回全日聾研(関東大会)は国際会議と共催で開催され1200名以上が参加者した。第9回アジア太平洋地域聴覚障害問題会議(APCD2006)である。山東明子・参議院議員が大会会長、私が実行委員長で、秋篠宮殿下妃殿下にご出席いただき、日本の関係者が総出で大会を盛り上げたものである。残念ながらそれ以降は国際関係の組織体制が余り機能しなくなっている。当分の間この分科会の運営に関わる筑波大学附属聴覚特別支援学校の新しい構想に期待したい。



20131011日(金):連載コラム「初めての補聴器選び」

「週刊金曜日」という週刊誌がある。読者からの出資を募り広告に依存しない自由なメディアを目指し、休刊した「朝日ジャーナル」の思潮を受け継ぐものとして井上ひさし氏や筑紫哲也氏などが編集委員となって、20年前に創刊されている。店頭で扱う書店は少なく定期購読が主である。私に記事執筆の依頼があったとき、やや過激な論調で与党、政府、財界など体制を批判する記事も多い紙面なので躊躇した。癖のある週刊誌なので関わると先生の想いが誤解されますよと心配してくれる人も実はいたが、むしろそのような読者にこそ聴覚障害のことを知ってもらう必要があると考えた。編集者と懇談した結果、「初めての補聴器選び」のテーマで一般読者向けに分かりやすく書いてほしいと提案があり、全12回の連載コラムを引き受けることにした次第である。第1回(104日号)は、「どんな人でも“耳も歳をとる”のです」、第2回(1011日号)は、「高齢難聴者の聞こえを擬似体験すると」の見出しで既に掲載されている。



2013104日(金):故郷訪問

FMラヂオつくば(つくばコミュニティ放送)の番組コーディネーター鷲田美加氏(つくば市教育委員でもある)からのインタヴューを受けた。「あの人に学びたい~明日ノート」という新番組で、子供のころの学校や先生などの思い出を話してほしいという出演依頼である。先ずどのような理由で大学を選択したかについて話し始めた。クラッシック音楽が好きだった高校生の私は、東北大学交響楽団の定期演奏会でワグナーのタンホイザー序曲を聴いたとき大いに感激し、東北大学オーケストラのメンバー(ホルン)になりたい。そのためには東北大学に入学しなければと決心した。学部はどこでもよかったのである。たまたま教育学部に合格し、オケラに夢中な学生生活を送った。教養部2年を終えて学部の専攻を選ぶためのオリエンテーションで、「聴覚欠陥学」という新しいコースがあることを初めて知った。耳の障害のためにこんなに美しい音楽を聴くことができない人が世の中にはいるんだ。聴覚に関係する勉強ができるならこれだと専攻を決めた次第である。

さて、名刺交換などのあと出身はどちらですかと訊ねられることがある。宮城県の鳴子だとわかると、鳴子温泉を知っている人からは「大沼旅館がご実家ですか」と言われることが何度かあった。同姓だが親戚関係はありませんと答えてきた。最近も代々木上原の行きつけの小料理屋で隣り合わせた温泉旅の好きな紳士と話が弾み、鳴子温泉で一番のお気に入りの宿は「大沼旅館」だと聞かされた。そんなに評判がいいなら一度は泊まってみようと思うようになっていたので、先週、仙台の墓参りのついでに投宿することにした。何十年振りかの故郷訪問である。高校時代、鳴子にあった私の家から古川高校までは東鳴子駅(現在は鳴子御殿湯駅)から列車通学していた。自宅と駅との間に昔から「湯治宿大沼」はあり、途中の道路に立ち上る温泉の湯煙をくぐって歩いたのが懐かしい。

 大沼旅館の湯と食には期待以上に満たされた。もはや故郷に私のことを知っている人はほとんどいないが、帳場の従業員に簡単な自己紹介をしておいたところ、朝食の後で経営者の大沼伸治社長が時間を割いて鳴子の最近の様子などをお話しくださった。氏が大沼旅館の湯守5代目で、私の高校20年後輩であることも分かった。鳴子温泉郷がかつての人気を失い衰退していくなかで、大沼旅館が「現代の湯治」「快浴洗心の宿」という新しい魅力を産み出していく気概が感じられ頼もしかった。今回の旅で故郷再訪への足掛かりができた。今後、現代湯治のプログラムの中に「聞こえのリハビリ」のような余地があるなら、私も専門ボランティアとして鳴子温泉復興に役立ちたいと思う。



2013101():最近の掲載記事

最近の私の原稿が掲載されたものについて、参考までにいくつかご紹介する。

1)「よくわかる補聴器選び・2014年版-発刊に寄せて」(著・関谷芳正、ヤエスメディアムック41320139月)

2)「手話通訳士試験のあり方等に関する検討会・報告書:巻頭言」(厚生労働省委託・聴力障害者情報文化センター、平成256月発行)

3)「聴覚補償・情報保障とバリアフリー・コンフリクト」(全難聴機関誌 難聴者の明日、No.161,201310月号)

4)「聴覚障害教育の専門性を語る-3- 大沼直紀先生に聾教育のこれからについて聞く」(聴覚障害、Vol.68,No.75020139月号)




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