2010425(日):「聴覚障害児・者の聴覚の活用を考える会」第2期研究成果報告会

「聴覚障害児・者の聴覚の活用を考える会」は今井秀雄先生のもとで専門家有志により2001(平成13)年2月に結成された。2005(平成17)年にはその研究成果が「早期より聴覚を活用した聴覚障害者の実態に関する調査研究」(代表:大沼直紀)として報告された。その後、若手も加わり新しいメンバーで第2期の活動が継続されている。本日は、21年度に実施された調査研究に基づき「軽・中等度の聴覚障害者の聴覚活用の実態と支援方法の検討」(代表:中川辰雄)がまとめられ、その中間報告会が学士会館で開かれた。

1期の調査研究の対象は聴力90dBより重い「重度聴覚障害者」であったが、今回第2期は聴力90dBより軽い「軽・中等度聴覚障害者」を対象とした。蓄積されたデータをもとに分析・考察が進み、新しい知見が生まれることが期待される。



2010424日(土):10年目を迎えた「えにしの会」

福祉と医療・現場と政策をつなぐネットワーク「縁(えにし)の会」は、大熊由紀子先生(国際医療福祉大学大学院教授)が志の高い方々の縁結びをしようと20015月にスタートさせた集会だ。10年目となる今年の会合にも約500人の関係者が日本プレスセンターに顔を揃えた。筑波技術短期大学が法人化した6年前、ちょうど大熊先生が朝日新聞の論説委員などの要職を退かれたのを知り、学長の私を支えていただくよう理事(非常勤)としてお迎えした。これが縁で私も「えにしの会」に参加するようになった。

会の第1部「この10年~様々な挑戦~」では、世界初の盲聾の大学教授として東大先端研の福島智教授も登壇された。第2部「介護保険30年~原点に戻って考える」には次の方々が登壇しチャレンジングな想い出話を語られた。

介護保険の“猛母”樋口恵子(評論家)、“ミスター介護保険“山崎史郎(内閣府)、高齢者介護・自立支援システム研究会座長の大森彌(東大名誉教授)、自・社・さ政権・福祉プロジェクトの自民党キーマンだった衛藤晟一(参議院議員)、自・社・さ政権・福祉プロジェクトの社会党キーマンだった五島正則(前衆議院議員)、”介護保険の産婆”を名乗る元厚生労働省老健局長の堤修三(大阪大学大学院教授)



2010418日(日):ブルックナーの交響曲を補聴器で聴く

新交響楽団は、創立指揮者が芥川也寸志、名誉指揮者が山田一雄というアマチュアオーケストラの名門である。40年以上もヴィオラ奏者として活躍してきた岡本明先生(今春、筑波技術大学の教授を定年退官された)がこの第209回演奏会を最後に退団された。岡本先生から招待状をいただき東京芸術劇場大ホールで、ブルックナーの交響曲第9番を聴いた。

新交響楽団の演奏会では点字のプログラムも用意される。岡本先生の尽力による。なお、東京芸術劇場では開演前に「携帯電話の電源を・・・」に加えて、「補聴器をお使いの方は、ハウリングの音が出ないよう音量調節にご留意ください」とのアナウンスもされる。

始めは補聴器を両耳に装着し聴いてみた。しばらくして補聴器を外して聴くのと比較してみた。私のような68歳の高齢難聴の耳には、この頃は自宅のスピーカー(タンノイ製30cm同軸型)でジャックリーヌ・デュプレの弾くチェロ(ブルッフ作曲コル・ニドライもいい)などを静かに聴くときは、補聴器を通した音の方が良いと感ずる。試用中の外耳道内スピーカー型補聴器が高音域を補充し、その他の音域は、オープンイヤ耳せんのお陰で外耳道が塞がれないので、スピーカーの音が直接生で耳に入るからであろう。しかし、今日のように演奏会場の好い席で大編成のボリュームあるブルックナーの交響曲を聴くには、やはり補聴器を通さない生の耳が良いと分かった。

なお現在は、東京往復の電車の中で音楽を聴く方式について、最新の補聴援助システムをつないだ耳かけ型補聴器で聴くのと、通常のノイズキャンセリング付きヘッドホンで聴くのとを比較検討しているところである。



2010416日(金):つくば市役所新庁舎竣工式

23年前、筑波研究学園都市の建設に伴う町村合併により現在のつくば市が誕生した。その同じ年、1987(昭和62)年に筑波技術短期大学(現在の国立大学法人筑波技術大学)も創設された。私もそれに合わせて国立特殊教育総合研究所(現在の独立行政法人国立特別支援教育総合研究所)のある横須賀市から誕生したばかりのつくば市に越してきた。

合併以来、そのまま旧町村の役場に各部署を分散させてきた分庁舎方式には様々な弊害もあり、新庁舎の建設が永いあいだ望まれていた。本日、新庁舎の竣工式があり式典・祝賀会が開催された。私がかかわる教育委員会は豊里地区の支所から研究学園駅近くの新庁舎4階に引っ越しする。



2010415日(木):新たな「要約筆記者」の養成に向けて

要約筆記は、1981(昭和56)年に要約筆記奉仕員養成事業が開始されて以来、聴覚障害者特に中途失聴・難聴者の社会参加を促進するための一つの重要なコミュニケーション支援として大事な役割を果たしている。1999(平成11)年度には国から「要約筆記奉仕員の養成カリキュラム」が示され、関係団体や地域において本格的に取り組まれてきた。そして、近年の高等教育の普及、裁判員制度の開始、高齢化に伴う難聴者の増加などの社会的背景から、今後はより専門性の高い「要約筆記者」の養成を全国的に推進しなければならない時代となっている。

そのために平成21年度障害者自立支援調査研究プロジェクト(厚生労働省助成事業)による「要約筆記者養成等調査検討委員会」を社会福祉法人・聴力障害者情報文化センター内に設置した。厚労省の障害保健福祉部・自立支援振興室の応援を得て、先駆的な取り組みと実績のある関係機関の代表者など9名で構成された委員会は、6ヵ月間に6回の会議を開催した。

私が委員会の座長を務め次のことを行った。

1)全国47都道府県と211市区町を対象に、自治体における要約筆記従事者の養成・研修についての実態調査。

2)「要約筆記」に求められる専門性とは何か、「要約筆記者」養成のあり方、今後自治体において養成を進めていく際のカリキュラムの検討。

  「要約筆記者養成等調査検討事業報告書」を刊行した。ご関心のある方は、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターhttp://www.jyoubun-center.or.jp/要約筆記者指導者養成事業担当(森本行雄氏)に照会ください。



2010414日(水):つくば市学校長会

新年度41日付で、教育委員会での私の役付が「教育委員」から「教育委員長職務代理者」となった。つくば市立の小中学校の51名の校長先生が参集して開催された学校長会総会・研修会に出席した。私も特別支援教育に関係しているとわかると、校長先生たちとの懇談の場で話題とされるのは「発達障害」が殆どである。学習障害LD)、注意欠陥・多動性障害ADHD)、高機能自閉症等への対応が最大関心事であり、残念ながら聴覚障害については稀な問題であることが実感させられる。



2010411日(日):聴覚障害に関連した切手

 大沢秀雄先生は筑波技術大学保健科学部の鍼灸学の准教授であるが、特に聴覚・視覚障害関連の郵便切手研究家としても有名である。「2005101日」は筑波技術大学が4年制大学として誕生した日として、私にとって忘れられない記念日である。その開学を祝して大沢先生が筑波中央郵便局の当日消印が付いた記念葉書を学長室に届けてくれた。そのことが縁で、大沢先生がヘレン・ケラー、グラハム・ベル、点字、手話など視覚・聴覚障害に関連した沢山の切手を収集していることを知ることになり、大学内で初めて視覚・聴覚障害関連切手展」の開催をお願いしたのであった。(学長日誌2006722日参照 
http://www.tsukuba-tech.ac.jp/soumu/diary/200607.php


 その後、42回全日本切手展(2007年)に発表した「聴覚障害」が銀賞を受賞するなど活躍が目覚ましい。昨年6月には第57回全国ろうあ者大会で「聴覚障害者切手展」を開催し貴重な資料が公開された。
 先日、大沢先生の最近の論文「聴覚障害に関連した切手」(切手の博物館研究紀要・第6号、2009年)を贈っていただいた。大沢先生の切手収集と研究成果を見ると、聴覚障害者や視覚障害者の歴史と現状がよく反映されていて、一つの障害学テキストとしての価値があることがわかる。



20104月7日(水):入学式】

 午前はつくば市立桜南小学校の入学式に、午後はつくば市立並木中学校の入学式に招ねかれ祝辞を述べた。つくば市のこの辺りは合併前の地名が「桜村」であった。その名のとおり、この日に満開日を合わせたように両校の校庭をぐるりと取り巻く桜の花が見事だ。

 小学校の新一年生と中学校の新一年生に向けてのスピーチは、内容と話し方に相当の準備と配慮が必要である。開会を待つ間、校長先生や地元の来賓の方々は私が元学長で研究者であることを知っていて、子どもたちや保護者に難解な話をしてしまわないようにと気を遣ってくれる。無事に式が終わり控室に戻ると「分かりやすい話し方だった」「感動する話だった」と評してくれた。これまで多くの聴覚障害児とその親の補聴相談に携わらせていただいたお陰である。

 つくば市の小・中学校の入学式や卒業式は体育館で行われる。この年度末と年度始めにあわせて4つの学校を訪れ式典を経験した。天井が高く広い体育館に大勢の人が集まり音声を聴取するには、マイクの使い方やスピーカの音量調整などに無神経であってはならない。学校における「きこえのバリアフリー」や音響環境改善には、各地の教育オーディオロジー研究協議会の先生がその啓発や実践に専門家として関わる余地があろう。



201046日(火):補聴器と眼鏡の併用様式】

 メガネの耳に掛かる部分をテンプル(腕)と言う。このフレームの先端(つる)に耳かけ形補聴器をつないで取り付けたのが「眼鏡形補聴器」である。現在はあまり見かけない。老人が自分の眼鏡形補聴器のボリュームを調整しようと外してしまうと、目盛りをよく見るためにもう一つ別の老眼鏡を用意しなければならなくなるといった滑稽な話があった。

 外耳道内スピーカが開発されたおかげでデザインのよい「耳かけ形補聴器」の新機種が増えている。耳穴に挿入するタイプの補聴器は眼鏡と併用しても装着に不都合はない。一方、耳介に掛けるタイプの補聴器では眼鏡のテンプルの部分も耳に掛かるので、二つの物が耳の上に重なってしまい乗りが安定しなくなる。これからは眼鏡フレームのデザインと耳かけ形補聴器の相性についても装用様式上のフィッティングに考慮される必要がある。

 私のメガネは、耳の上の部分から耳の後ろ側に掛けて耳介に沿ってピッタリと曲がった形のフレームなので、耳かけ形補聴器とメガネのテンプルが二重になってしまい重苦しく使いにくかった。町のメガネ店を覗いていたら、耳かけ形補聴器の上を重ならずにテンプルが通るデザインのフレームが見つかった。早速購入し試用中の補聴器と併用してみると使い心地が良い。



201045日(月):「きこえのバリアフリー」研究室】

東大・先端研への出勤は一応週に一度となっているのだが、実際は一日か二日おきの頻度で通勤している。私にとって最も居心地のよい仕事場は東大・先端研の研究室となってきた。古い煉瓦造りの歴史的な建物の中に用意していただいた客員教授室は、天井がすこぶる高くクラッシックな窓枠と壁でできている。ちょうど2階の窓の前は一面満開の桜におおわれていて綺麗だ。

研究室の呼び名を「きこえのバリアフリー」研究室としている。初めて訪ねて来られる方も多くなってきたので、次のような道案内を差し上げている。どうぞ皆様もお寄りください。

『先端研の正門を入って突き当たりには時計台のある古いレンガ作りの本部館(13号館)があります。ちょうどその後ろに同じような石造りの3階建ての建物があります。それが私の研究室(きこえのバリアフリー)のある14号館です。2階の201室です。京王井の頭線「駒場東大前駅」から、また小田急線「東北沢駅」から徒歩10分ほどの距離です。』




201041日(木):22年度始の教育委員会辞令交付式】

今日から新年度が始まった。昨日と同じ市民ホールで開催されたつくば市教育委員会の辞令交付式に参列した。19名の校長、18名の教頭、76名の教諭等がつくば市立小中学校に転入異動する。さらに17名の新規採用の先生が溌剌とした顔を見せてくれた。








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